すが漏りとは?雪解けに天井が濡れる原因と直し方

劣化とトラブル

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月3日編集方針と検証の手順

雨は降っていない。それなのに天井にシミが広がっている。冬の終わりから雪解けにかけて、こうした相談が増えます。

これは「すが漏り」と呼ばれる現象です。屋根が壊れているとは限らず、建てたばかりの家でも起こります。そのため原因が分かりにくく、対処を間違えると翌年も同じ場所から漏ります。

結論から言うと、すが漏りは「屋根の雪を融かす熱」と「融けた水が流れられない状態」がそろったときに起こります。どちらか一方だけを直しても止まらないことがあります。ここがこの現象のややこしいところです。

この記事は工事を請け負う立場ではなく、公的機関が公開している資料をもとに整理したものです。金額は参考値で、最終的な診断は現地を見た業者の判断によります。

結論:すが漏りは「熱」と「排水」の2段で起きる

雪が積もったままの住宅の屋根

順番はこうです。屋根に積もった雪が、下から伝わる熱で融ける。融けた水が流れていく先で凍り、行き場をなくす。あふれた水が屋根の継ぎ目から室内側へ回る。

ここから分かるのは、対策には2つの方向があるということです。

  • 熱を屋根に伝えない … 断熱や気密を見直して、そもそも雪を融かさない
  • 水の通り道を確保する … 排水口や樋の詰まり、凍結を取り除く

そして、どちらが主な原因かは家によって違います。だから「断熱を直せば止まります」も「掃除すれば止まります」も、その家に当てはまるとは限りません。

雨漏りとの違いは3つ

すが漏りと雨漏りは、原因も対処も違います。混同したまま業者に相談すると、話が噛み合いません。

観点 すが漏り 一般的な雨漏り
起きる時期 冬から雪解けにかけて 雨や台風のとき
屋根の状態 壊れていなくても起こる どこかに傷みがあることが多い
築年数 新しい家でも起こる 経年劣化と結びつきやすい

とくに2つめが重要です。屋根に穴が開いているわけではないので、点検しても「異常なし」と言われることがあります。それでも冬になるとまた漏る。この食い違いがすが漏りの特徴です。

「すが」は氷を指す言い方

「すが」は氷やつららを指す方言だとされ、東北地方の言葉として紹介されることが多い呼称です。北海道でも使われます。

表記は「すが漏り」「すが漏れ」の両方が使われ、どちらも同じ現象を指します。英語では「アイスダム」と呼ばれ、後で紹介する国の資料でもこの語が使われています。

国の資料が示す発生の連鎖

軒先に並んだ大きなつらら

すが漏りについては、国の研究機関が発生の流れを整理しています。国土交通省 国土技術政策総合研究所の木造住宅の劣化対策ガイドラインは、屋根のすが漏りを次のように記しています。

すが漏りが起きるまでの4段階
すが漏りが起きるまでの4段階

固体(積雪)が屋根面の熱で融解して液体になり、軒先へ流下して凍結し、ふたたび固体になってアイスダムを形成する。そこへ上から流れてきた水がせき止められてオーバーフローし、天井面や室内へ漏出する。

状態が固体から液体、また固体へと変わりながら進むのがこの現象の本質です。同じ資料は、こうした水の状態変化が「通常の気象条件の下で起こりえること」が建築物の劣化要因としての水分の特徴であり、原因の究明や対策を難しくしていると述べています。

原因が分かりにくいのは、あなたの家が特殊だからではありません。現象そのものが特定しにくいのです。

同じ資料は、水分に起因する建物各部の不具合を整理した表のなかで、積雪によって起こるものとして「すが漏り、つらら、雪庇」を挙げ、発生部位を「屋根、庇」としています。つららとすが漏りは、同じ原因から生まれる関連した現象として整理されているということです。

だから、軒先に大きなつららが下がる家は、すが漏りが起きやすい条件を持っていると考えられます。つららを毎年見ているなら、天井のシミが出る前に相談する価値があります。

屋根と雪の接する面はずっと0度

同じ資料には、多雪地域の条件についてこう書かれています。12月前後から4月前後まで降雪があり、その間屋根に雪が積もった状態が続く。屋根と雪との接面では0度、湿度100パーセントが長期間継続するため、屋根材からの浸水や透水のリスクが高まる、と。

雪が載っている屋根は、水に濡れ続けている状態に近い。これがすが漏りの土台にあります。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

北海道で多いのは「排水がふさがる」型

雪解け水があふれた屋根の排水口

ここが全国向けの記事と読み分けたい点です。多くの解説記事は軒先のつららが水をせき止めるという説明をしています。ところが北海道では、屋根の中央に溝を設けて水を集める無落雪屋根が広く普及しています。

この形の屋根では、水をせき止めるのは軒先のつららではなく、排水口や縦樋の詰まりや凍結であることが多くなります。

北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所などが監修した戸建て住宅の屋根の雪処理計画は、屋根の中央に横樋と縦樋を持つM形屋根について「この屋根の注意事項は、縦樋に落ち葉やゴミが詰まると、漏水しやすいことです」と述べ、毎年、冬に入る前に掃除や点検を行うことが重要だとしています。

つまり「軒先のつららを取れば止まる」という説明は、無落雪屋根にはそのまま当てはまりません。自分の家の屋根がどの形かを先に確かめてください。屋根の形と塗装の考え方は無落雪屋根は塗装できる?で整理しています。

同じ資料が指摘するもうひとつの弱点

同資料は、樋の接合部についてもこう述べています。縦樋や横樋の接合部はシーリングするのが一般的だが、経年劣化すると雨漏れの原因になる。そのため何年かに一度、板金の専門業者に定期点検を依頼する必要がある、と。

詰まりだけでなく、つなぎ目の劣化も水の入口になります。掃除を続けていても漏る場合は、接合部も確認対象です。

排水がふさがる3つのきっかけ

現場からは、次の3つが報告されています。

  • 落ち葉やゴミの詰まり … 周囲に木がある家で起きやすく、秋のうちに溜まります
  • 排水口のカバーの破損 … 壊れていると異物がそのまま管へ入ります
  • 縦樋のなかでの凍結 … 水が凍って管をふさぎ、そこから上に水が溜まります

3つめは、その年の気温次第で起こる面があります。去年なんともなかったから今年も大丈夫、とは言えません。気温が下がった年に、何十年も無事だった家が急に漏り出すことがあるのはこのためです。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

説明が4通りある理由

すが漏りを調べると、記事によって説明が違って戸惑います。実際には、着目している段階が違うだけで、矛盾しているわけではありません。下の表は、上の2つが原因側、下の2つが水の通り道の側にあたります。

説明の型 着目している段階 対応する対策
小屋裏の熱漏れ型 雪を融かす熱が生まれる段階 断熱・気密・小屋裏換気
軒先の氷ダム型 軒先で水がせき止められる段階 熱を伝えない・氷を除去
排水閉塞型 排水口や縦樋がふさがる段階 清掃・部品交換・排水経路の改修
継ぎ目の吸い上げ型 水が室内側へ入る段階 板金の補修・防水層の更新

いちばん上がすべての上流にある原因です。室内の熱が屋根に伝わらなければ、そもそも雪は融けません。

4つめは、金属板の継ぎ目に細い隙間から水が入り込み、冬に凍って膨らむことで継ぎ目が開いていく、という説明です。これは現場の施工業者が指摘しているもので、今回の調査では公的な文献での裏づけは取れていません。そういう見方もある、という程度に受け取ってください。

初期のサイン

軒天に広がったシミと塗装の剥がれ

すが漏りは、天井にシミが出る前から前ぶれがあります。次のいずれかに心当たりがあれば、業者に見てもらう段階です。

  • 軒先につららが多くできる … 屋根の熱で雪が融けている証拠になります
  • 軒天にシミや塗装の剥がれがある … 軒の裏側は水がたまりやすい場所です
  • 晴れているのに室内が濡れる … 雨漏りでは説明がつきません
  • 壁の上部にうっすら輪郭のある跡がある … 乾いたあとの跡です
  • 冬の終わりだけ、カビのにおいがする … 見えない場所に湿気や漏水がある可能性があります

厄介なのは、気温が安定するとシミが乾いて目立たなくなることです。止まったように見えても、翌年また同じ場所から漏ります。跡が残っているうちに写真を撮っておくと、業者に状況を伝えやすくなります。

もうひとつ、症状が出る時期そのものが手がかりになります。日中に融けて夜に凍る、この繰り返しが起きる時期に集中します。北海道では冬の終わりから雪解けにかけてです。

逆に言えば、真冬の厳寒期には症状が出ないこともあります。屋根の上で水が動かないからです。「一番寒いときは平気なのに、暖かくなると漏る」という不思議な現れ方をしたら、すが漏りを疑う材料になります。

放置するとどうなるか

屋根裏の木の下地に残る黒い水染み

「毎年少し濡れるだけだから」と様子を見ている方もいます。しかしこの現象は、見えない場所を傷めます。

先ほどの国土技術政策総合研究所の資料は、天井断熱が不完全で暖気が漏れ小屋裏空間が温まるとすが漏りが発生し、野地板や桟木の腐朽リスクが極めて高くなると述べています。

野地板は屋根材の下地になる板で、桟木はそれを支える部材です。いずれも屋根材を支える下地にあたります。ここが傷むと、屋根材だけを取り替えれば済む話ではなくなり、補修の範囲が広がることがあります。

加えて、断熱材が濡れると断熱性能が低下する可能性があります。暖房の効きが悪くなり、その熱がまた屋根の雪を融かす、という循環につながることも考えられます。

そしてもうひとつ。すが漏りは症状が出る場所と、水が入っている場所が離れていることがあります。天井のシミが出ている真上から水が入っているとは限らず、屋根の別の場所から入った水が下地を伝って落ちてきている場合があります。

だから、シミの部分だけを直しても解決しません。放置した期間が長いほど、水が伝った範囲も広がります。早く手を打つほど、直す範囲は狭くて済みます。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

いま起きているときの動き方

天井からの水滴をバケツで受ける室内

水が落ちてきている最中は、被害を広げないことを優先します。

  1. 電気に近づかない … 照明器具や配線の近くには触れないでください
  2. 膨らんだ天井の下に立たない … 水がたまって落ちてくることがあります
  3. バケツと雑巾で受ける … 床や家財への被害を抑えます
  4. 写真を撮る … 日付が残るので、状況の説明に使えます
  5. 業者に連絡する … 状況と、雨が降っていないことを伝えます

水が止まったあとも、それで終わりではありません。濡れた断熱材や内装材は乾かす必要があり、放っておけばカビの原因になります。照明や配線の近くが濡れた場合は、電気設備の点検も含めて業者に相談してください。

屋根には上がらないでください

冬の屋根は滑ります。氷を割ろうとして落下する事故が起きています。先ほど紹介した公的資料も冬に入る前の点検を勧めていますが、これは屋根上での作業を伴います。自分で行うのではなく、業者に頼んでください。

コーキングでふさぐ処置の限界

継ぎ目にコーキング材を詰めて水の入口をふさぐ処置が行われることがあります。すぐに手を打てる方法ですが、限界があります。

水がそこから入っているのは事実でも、入口をふさいだだけでは、行き場をなくした水がどこかへ回ります。せき止めている氷や詰まりは残ったままだからです。

施工業者のなかには、この処置について数年後に同じ症状を繰り返す例があると指摘しているところもあります。原因に合っていない部分的なシーリングでは、再発する可能性があるということです。

応急処置として説明されているなら妥当です。ただし「これで直りました」と言われたときは、せき止めている側は何だったのかを聞いてください。

原因別の対策

屋根の上で樋の点検をする作業員

どこで水が止まっているかによって、打つ手が変わります。

原因の側 やること 注意点
熱の側 天井や屋根の断熱を見直す。気密層の連続を確認する 排水が詰まっている場合は効果が限定的です
排水の側 排水口と縦樋の清掃、破損した部品の交換 毎年、雪が降る前に行うのが基本です
防水の側 樋の接合部の補修、防水層の更新 経年劣化が進んでいる場合の本格的な工事です
屋根全体 断熱材を挟むかぶせ改修、葺き替え 大がかりですが根本から見直せます

屋根材の更新については、外壁のカバー工法と塗り替えの判断基準と考え方が近く、既存の上に新しい層をつくるか、剥がしてやり直すかという選択になります。

既存の屋根の上に断熱材を敷き、その上に新しい屋根材を施工する改修は、道内でも行われています。北方建築総合研究所の研究概要資料も、この工法が「安価であり、すが漏れなどを改善できるため普及しています」と述べています。断熱の強化と屋根材の更新を一度に行える点が利点です。

ただし、既存の下地が傷んでいれば上から重ねる工法は選べません。屋根が重くなる点や、断熱層を足したあとの湿気の逃がし方も設計に関わります。下地の状態を確認したうえでの判断が前提になります。

ただし、どの手を打つかは原因の見立て次第です。排水が詰まっているだけの家に屋根の改修を勧められたら、その根拠を確かめてください。逆に、断熱が足りていない家で清掃だけを続けても、毎年同じことになります。

融雪ヒーターは万能ではありません

排水経路にヒーターを設ける方法があります。水があふれるのを防ぐには有効だとされます。

ただし、施工業者のなかにはヒーターの熱が届かない場所で水が凍り、かえって氷のダムができた例を報告しているところもあります。設置する位置や運転のしかたで結果が変わるため、ヒーターを入れれば解決、とは考えないほうが安全です。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」北海道立総合研究機構北方建築総合研究所「研究概要」

断熱・気密・小屋裏換気はセットで考える

天井裏に敷き詰められた断熱材

熱の側の対策は、断熱材を足すだけでは足りません。3つがそろって効きます。

国土技術政策総合研究所の資料は「多雪地域では断熱・気密の徹底が重要である」とし、さらに野地板の裏面に通気層を設けて外気で冷やすことによりすが漏りを防ぐことができると述べています。屋根の裏側を冷やしておく、という発想です。

北方建築総合研究所などの資料は、トラブルを防ぐM形屋根(中央に樋を持つ無落雪屋根)の要件として次の3点を挙げています。ほかの形の屋根にそのまま当てはまるわけではありませんが、考え方の参考になります。

  1. 天井または屋根の断熱性能が一定の基準と同等以上確保されていること
  2. 防湿気密層が切れ目なく連続して施工されていること
  3. 小屋裏の換気措置が、必要な換気孔面積を満たしていること

2つめの「切れ目なく」が要点です。断熱材が入っていても、気密層が途中で切れていれば、そこから暖気が抜けます。点検口の周りや配線の貫通部が弱点になりやすい場所です。

3つめの換気も欠かせません。小屋裏に入り込んだ熱と湿気を、外気で逃がすための措置です。断熱だけを厚くして換気を塞ぐと、かえって結露を招くことがあります。

この3点セットは、リフォームで後から完璧にするのが難しい部分でもあります。天井裏に断熱材を追加するだけなら比較的手軽ですが、気密層を切れ目なくやり直すとなると、天井を剥がす工事になることがあります。

だからこそ、業者から「断熱を足しましょう」と言われたときは、気密と換気をどう扱うのかまで聞いてください。断熱材だけ足して終わりの提案は、効果が限定的になる可能性があります。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

費用と工期の目安

すが漏りの工事は、原因と範囲で金額が大きく変わります。ここでは公開されている情報から、おおよその段階を示します。

対応 金額の目安 期間の目安
排水経路の清掃 1回あたり1万円前後 半日ほど
部分的な補修 10万〜30万円と紹介する媒体があります 数日
防水層の更新 100万円台になる例が報告されています 1週間前後
葺き替え・かぶせ改修 屋根の面積と工法で大きく変わります 1〜2週間程度

いずれも限られた出所の数字なので、幅として受け取ってください。期間は天候に左右され、冬季は工事そのものができないこともあります。時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期はいつ?で扱っています。

注目したいのは、清掃と防水層の更新とで金額の桁が大きく違うことです。清掃で防げるのは詰まりが原因のものだけですが、それでも詰まりを放置して水が室内へ回れば、屋根の工事に内装の補修が上乗せされます。

見積書を比べるときは、金額だけでなく何を原因と見立てているかを並べてください。原因の見立てが違えば、金額が違うのは当然です。読み方は外壁塗装の見積書はどこを見る?が参考になります。

期間について補足すると、屋根工事の解説記事で工期に触れているものはほとんどありません。実際には足場を組む日数、天候による中断、材料の手配が加わるため、表の日数より長くなると見ておいたほうが現実的です。

とくに北海道では、工事ができる期間が限られています。希望する時期に対応してもらえないこともあるため、複数の会社に施工できる時期を確認しておくと予定を立てやすくなります。春に気づいたなら、夏の工事を目指して初夏のうちに相談を始めるのが無理のない進め方です。

火災保険は使えるのか

結論を先に書くと、この記事では「使える」とも「使えない」とも言えません。補償の対象、免責の条件、損害の原因の見方は契約ごとに違い、判断するのは保険会社だからです。解説記事のあいだでも見解が正面から割れている論点です。

一般論として押さえておきたいのは、次の点です。

  • 火災保険には風災や雪災といった補償項目があり、どの損害がどの項目に該当するかは約款と事故の状況にもとづいて確認されます
  • 経年による劣化が原因と判断されれば、対象外とされるのが一般的です
  • 屋根の破損、建物の損害、室内の水濡れはそれぞれ別に扱われることがあります
  • 免責金額が設定されていれば、その分は自己負担になります

手順として大事なのは、工事や申請代行の契約をする前に、加入している保険会社や代理店へ直接連絡することです。順番を逆にすると選択肢が狭まります。

「保険で自己負担ゼロ」「必ず下ります」と断言する業者には注意してください。日本損害保険協会は住宅の修理に関するトラブルへの注意を公開しています。事実と異なる申請は、不正な請求と判断されるおそれがあります。

新築の場合は別の枠組みがあります

火災保険とは別に、新築住宅には売主や施工会社が一定期間責任を負う制度があります。国土交通省が新築住宅を取得する方へとして制度の内容を公開しています。

ただし、すが漏りがこの制度の対象になるかどうかは設計や施工に問題があったと認められるかどうかによる個別判断です。一律に決まるものではありません。新築から年数が浅い家で症状が出た場合は、まず建てた会社に連絡し、そのうえで相談窓口に確認するのが順序です。

出典:日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」

すが漏りと結露を取り違えない

混同されやすいのが小屋裏の結露です。どちらも「冬に天井が濡れる」という同じ形で現れますが、水の出どころが違います。

すが漏りと小屋裏の結露はどこが違うか
すが漏りと小屋裏の結露はどこが違うか
観点 すが漏り 小屋裏の結露
水の出どころ 屋根の外にある雪解け水 室内から上がった湿気
起きやすい条件 屋根に雪が載り、融けて凍る 小屋裏が湿り、外気で冷やされる
主な対策 熱を伝えない・排水を確保する 湿気を上げない・換気を確保する

ややこしいのは、両方が同時に起きていることがある点です。断熱と気密が不十分な家では、熱が上がって雪を融かし、同時に湿気も上がって小屋裏で水になります。

そのため、業者によって見立てが分かれることがあります。どちらだと考えるのか、その根拠は何かを聞いておくと、提案の妥当性を判断しやすくなります。小屋裏を実際に見たかどうかも確認したいところです。

さらに、冬に天井が濡れる原因はこの2つに限りません。給排水管や設備からの漏水、屋根材や下葺き材の不具合による雨水の遅れた浸入も候補に入ります。季節や天候との関係を整理して伝えると、切り分けの助けになります。

業者に確認したいこと

提案が妥当かは、次の質問への答え方でおおよそ分かります。

  • 水はどこでせき止められていると考えていますか
  • そう判断した根拠は何ですか(写真で示せるか)
  • 排水口と縦樋の状態はどうでしたか
  • 小屋裏の断熱と気密は確認しましたか
  • 今回の工事で再発しなくなる根拠は何ですか
  • 応急処置と本工事のどちらの提案ですか
  • 小屋裏には入って確認しましたか。写真はありますか
  • 今回、確認できなかった範囲はどこですか

最後の質問は判断材料になります。応急処置であることをそのまま説明できるかどうかは、比べるときの手がかりのひとつです。すべてを「これで直ります」と言う場合は、原因を絞り込めていない可能性があります。

なお、訪問してきた業者に不安をあおられ、その場で契約する例が相談窓口に寄せられています。国民生活センターも屋根工事の点検商法について注意を呼びかけています。判断に迷うときは消費者ホットライン(188)に相談できます。

出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています!」

よくある質問

雪下ろしをすれば止まりますか

屋根の雪が減れば融ける量も減るため、一時的に軽くなることはあります。ただし熱が伝わっている状態も、排水がふさがっている状態も変わりません。根本的な解決にはならないと考えてください。屋根に上がる作業自体が危険です。

新築なのに漏るのはおかしくないですか

すが漏りは屋根の破損を前提としない現象なので、新しい家でも起こります。ただし、断熱や気密の施工に問題がある可能性は残ります。建てた会社にまず連絡してください。

断熱を強化すれば必ず止まりますか

止まらないことがあります。熱の側が原因なら効きますが、排水口が詰まっているタイプには効きません。断熱だけを勧める提案と、清掃だけを勧める提案は、どちらも片面だけを見ている可能性があります。

屋根を塗り替えれば直りますか

一般的な塗り替えだけでは、すが漏りの原因は解消できないことがあります。塗装は表面を保護する工事で、水の通り道をつくり直すものではないためです。ただし塗り替えの足場を組むタイミングで、排水経路の点検を一緒に頼むのは合理的です。

どのくらいの頻度で点検すればいいですか

清掃と点検は別の行為です。排水経路の清掃は毎年、雪が降る前に。屋根全体を専門業者に見てもらう定期点検は何年かに一度、という頻度が公的資料に示されています。

すが漏りと結露はどう違いますか

別の現象です。すが漏りは屋根の外にある雪解け水が入り込むもの、結露は室内側の湿気が冷たい面で水になるものです。ただし症状が似ているため、業者でも見立てが分かれることがあります。両方が同時に起きていることもあります。

相見積もりは取ったほうがいいですか

取ってください。すが漏りは原因の見立てが分かれやすく、会社によって提案が大きく違います。金額だけでなく、原因の説明を比べるために複数社に見てもらう意味があります。

賃貸に住んでいる場合はどうすればいいですか

まず管理会社や大家に連絡してください。建物の維持管理の範囲になるため、入居者が直接業者を手配する話ではないのが一般的です。状況を写真で記録して伝えると話が早くなります。

まとめ

すが漏りは、屋根の雪を融かす熱と、融けた水が流れられない状態がそろったときに起こります。屋根が壊れているとは限らず、新しい家でも起こります。

全国向けの記事の多くは軒先のつららを原因として説明しますが、無落雪屋根が広く普及している北海道では、排水口や縦樋の詰まり・凍結が水をせき止めていることが多くなります。自分の家の屋根の形を確かめるのが出発点です。

そして、断熱だけ直しても、清掃だけしても止まらないことがあります。どこで水がせき止められているのかを業者に説明してもらってください。それが再発するかどうかを分けます。

放置すれば、屋根を支える下地が傷みます。跡が残っているうちに写真を撮り、雪が降る前の点検と合わせて相談するのが、費用の面でも安全の面でも現実的な進め方です。

屋根まわりを含めて、どこをいつ見るかは外壁の劣化サインと点検の目安で整理しています。

雪が外壁側に与える影響は雪から外壁を守るで扱っています。

すが漏り以外の経路も疑う場合は、雨漏りの原因の調べ方で調査の進め方を扱っています。

すが漏りと取り違えやすい内部結露については、壁の中の結露にまとめています。

小屋裏の熱を外へ逃がす部材そのものの選び方は、換気棟とは?北海道で必要かどうかは屋根の形と断熱の位置で決まるで扱っています。

掲載金額は、屋根工事を扱う解説記事および施工会社が公開している数値をもとにした参考値であり、特定の価格を保証するものではありません。実際の費用は原因・範囲・屋根の形状により変わります。保険の適用可否は個別の契約内容と約款により、保険会社が判断します。

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