無落雪屋根は塗装できる?北海道の屋根メンテナンスの考え方

塗料と外壁材

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月3日編集方針と検証の手順

屋根の中央にある溝へ雪解け水を集めて流す。北海道の戸建てでよく見かける無落雪屋根は、落雪の心配が少ない代わりに、排水と防水の仕組みに頼った屋根です。

「そろそろ塗り替えたほうがいいのだろうか」と考えて調べ始めると、話がなかなか噛み合いません。塗装をすすめる記事もあれば、塗装では意味がないと書いている記事もある。金額も数万円から数百万円まで幅がありすぎて、自分の家がどこに当てはまるのか分からなくなります。

結論から言うと、塗装で足りるかどうかは「屋根板金と下地がまだ健全か」と「漏水があるならその原因は何か」で分かれます。この記事では、その判断の基準と、塗装では止まらない場合に何を検討することになるのかを整理します。

なお、この記事は塗装工事を請け負う立場ではなく、公開されている資料をもとに判断の枠組みを整理したものです。金額はいずれも参考値で、最終的な診断は現地を見た業者の判断によります。

結論:塗装で足りるかは「板金の状態」と「漏水の原因」で決まる

屋根板金に穴あきや欠損がなく、継ぎ目の浮きもなく、室内へ水が入った経験もないなら、錆止めを含む塗装で延命できる範囲です。

漏水があった場合は、そこで一段階入ります。まず原因を切り分けてください。原因によって、やるべきことが変わるからです。

  • 排水経路の詰まりが原因 … 清掃と部品の交換で解決することがある
  • 防水層や板金の劣化が原因 … 塗装では止まらず、防水層を新しくする工事の検討へ

塗装は表面を守る工事であって、水の通り道をつくり直す工事ではありません。この違いが判断の分かれ目です。

調べていて情報が食い違って見えるのは、多くの場合、書き手の立場が違うからです。塗装を手がける会社は塗装で維持できる範囲の話をし、防水工事を手がける会社は塗装では足りない場面の話をします。どちらも嘘を書いているわけではなく、対象にしている家の状態が違うだけです。

まず用語を決めておきます

記事によって呼び方が違うため、この記事では次の意味で使います。

  • 無落雪屋根 … 屋根の雪を意図的に落とさない構造の屋根の総称
  • スノーダクト方式 … 屋根の中央を低くして溝(ダクト)を設け、雪解け水を集めて流す方式
  • フラットルーフ … ほぼ平らな屋根。ダクトを持たないものもある
  • 勾配屋根方式 … 傾きのある屋根に雪止めを並べ、雪を留めておく方式(「スノーストッパールーフ」などの製品名で呼ばれることがあります)
  • はぜ … 金属板の端どうしを折り曲げて噛み合わせた継ぎ目

「M型屋根」という呼び方も見かけますが、これはスノーダクト方式を屋根の断面の形から呼んだものです。媒体によって指す範囲が少し違うので、業者と話すときは呼び名より「中央に溝があるかどうか」で確認するほうが確実です。

「相場100万〜300万円」は塗装の話ではありません

検索すると「無落雪屋根は100万〜300万円」といった金額が出てきますが、これは混同しやすい数字です。

その金額の多くは、今ある屋根を無落雪屋根に作り替える工事の相場を指しています。すでに無落雪屋根の家を塗り替える費用ではありません。

調べるときは「無落雪屋根にする」のか「無落雪屋根を直す」のか、どちらの話なのかが要点です。桁がひとつ変わることもあります。見積もりを取るときも、自分がどちらを求めているのかを最初に伝えておくと、話が食い違いません。

無落雪屋根の3つの方式

雪が載ったままの平らな屋根

排水の仕組みが違えば、点検すべき場所も変わります。自分の家がどれかを知っておくと、業者の説明が理解しやすくなります。

方式 雪と水の流れ とくに見る場所
スノーダクト方式 屋根の中央の溝へ集めて縦の管で下ろす ダクト内部・排水口・縦管
フラットルーフ ほぼ平らな面から緩やかに流す 防水層の劣化・水たまり
勾配屋根方式 雪止めで雪を留め、少しずつ融かす 雪止め金具・軒先・継ぎ目

このうちスノーダクト方式は、排水口が詰まると水の行き場がなくなります。雨のように地面へ落ちていくわけではなく、集めて一か所から下ろす仕組みだからです。そのぶん、ダクトの中・排水口・縦管の3か所を重点的に確認することになります。

フラットルーフは屋根面全体が水に触れる時間が長く、防水層の状態がそのまま寿命に響きます。勾配屋根方式は水の流れ自体は自然ですが、雪止め金具の周りが弱点になりやすい構造です。

自分の家がどれか分からないときは、雪解けの時期に外へ出て、屋根から地面へ下りている縦の管があるかを見ると見当がつきます。管があってそこから水が出ていれば、ダクトで集めて下ろす仕組みだと分かります。

もうひとつ、道路の向かい側など少し離れた場所から家を眺めるのも有効です。屋根の中央が低くくぼんで見えるならスノーダクト方式、全体がほぼ平らならフラットルーフ、緩い傾きに金具が並んでいるなら勾配屋根方式です。建てたときの図面が手元にあれば、そこにも記載があります。

屋根材はほとんどが金属

金属屋根の継ぎ目(はぜ)の接写

無落雪屋根の屋根材は、ガルバリウム鋼板やトタンといった金属板が大半を占めるとされています。平らに近い面をつくるには、瓦のような部材より一枚ものの金属板のほうが適しているためです。

金属である以上、いちばんの敵は錆です。そのため塗装は錆止めの下塗りと、その上の仕上げ塗りという2層構成が基本になります。外壁の塗装と違い、色や質感より先に「錆をどう抑えるか」が主題になります。

ここは外壁との大きな違いです。外壁の塗り替えでは仕上げの色や艶が話題の中心になりますが、金属屋根では下地処理と錆止めで工事の質の大半が決まります。仕上げ塗料のグレードだけを比べて業者を選ぶと、肝心なところを見落とします。

メンテナンスフリーではありません

「雪を落とさなくていい屋根だから手がかからない」と受け取られることがありますが、これは誤解です。無落雪屋根は排水と防水の仕組みに頼っているぶん、放っておけば不具合が出ます。

手入れは、頻度の違う3つの階層で考えると整理しやすくなります。

  • 清掃 … 排水経路の落ち葉やゴミを取り除く。毎年、冬に入る前に行うことが重要だとされています
  • 点検 … 板金の専門業者に定期点検を依頼する。何年かに一度という頻度が示されています
  • 塗装 … 錆止めと上塗りの塗り直し。10年前後で検討することが多い工事です

清掃と点検の頻度は、北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所などが監修した戸建て住宅の屋根の雪処理計画に示されているものです。同資料は、樋の接合部のシーリングが経年劣化すると雨漏れの原因になるため、何年かに一度、板金の専門業者に定期点検を依頼する必要があるとしています。

この3つは目的が違います。清掃をしていれば塗装が要らなくなるわけでも、塗装をすれば清掃が不要になるわけでもありません。

なお、同資料は屋根の上にのぼっての清掃・点検を想定していますが、屋根の上での作業は落下の危険があります。自分で上がるのではなく、業者に頼むことをおすすめします。

弱点は「はぜ」と呼ばれる継ぎ目

金属板は、端どうしを折り曲げて噛み合わせる「はぜ」という納まりでつながっています。ここは構造上どうしても隙間が生まれやすく、水が入り込む入口になりやすい場所です。

とくに冬、屋根の上に氷の層ができて水がせき止められると、行き場をなくした水がこの隙間からじわじわと入り込みます。細い隙間を水が伝っていく現象で、平らな屋根ほど起こりやすくなります。

塗装のときも、この継ぎ目を先に丁寧に塗ってから面を塗るのが順序とされています。見積書や工程の説明で継ぎ目の扱いに触れているかは、業者の丁寧さを見る材料になります。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

塗装が向くケース・向かないケース

塗膜が傷んで錆が出た金属屋根

同じ「無落雪屋根の傷み」でも、塗装で延命できる状態と、塗ってももたない状態があります。

塗装で足りるか、防水層の更新が要るかの見分け方
塗装で足りるか、防水層の更新が要るかの見分け方

塗装で延命できる状態

  • 板金に穴あきや欠損がない
  • 継ぎ目(はぜ)が浮いていない
  • 室内へ水が入ったことがない
  • 表面の色あせや、部分的な軽い錆にとどまっている
  • 排水口と縦管が正常に機能している

この段階なら、錆を落として錆止めを入れ、上塗りで保護する工事で対応できる範囲です。早いほど工事は軽く済みます。塗装は傷んでから直すものというより、傷む速度を遅らせるための手当てだと考えてください。

塗装では止まらない状態

  • 天井や壁の上部にシミが出たことがある
  • 排水口があふれたこと、水が逆流したことがある
  • 板金の下にある防水層が傷んでいると指摘された
  • 錆で板金に穴があいている
  • 過去に同じ場所の漏水を繰り返している

この場合、表面を塗り直しても水の入口はふさがりません。防水層そのものを新しくする工事が検討対象になります。

継ぎ目にコーキング材を詰める応急処置が行われることもありますが、これは一時しのぎで、数年で再発する例が報告されています。冬のあいだ持ちこたえるための処置として説明されているなら納得できますが、「これで直りました」という説明だけでは根拠として弱いところです。

自分だけで結論を出さないでください

ここまでの仕分けは考え方の目安です。板金の下がどうなっているかは、外から見ただけでは分かりません。

大事なのは、業者にどこがどう傷んでいるのかを写真と傷んだ範囲で示してもらうことです。「塗装で大丈夫です」も「全面やり直しが必要です」も、根拠のある説明が伴っているかが判断材料になります。

そして、塗装業者と板金・防水業者では得意分野が違います。得意な工法に寄った提案になることは珍しくないので、判断が分かれる場合こそ複数社に見てもらう意味があります。比べるときは結論だけでなく、写真・傷んでいる範囲・原因の説明・工事の仕様・保証の範囲を並べてください。会社の数ではなく、根拠の中身が判断材料です。

確認したいこと

「このままだと危ないですよ」と不安をあおるだけで、どこがどう傷んでいるのかを写真で示さない業者には、その場で契約しないでください。屋根は自分の目で確かめにくいぶん、説明の丁寧さがそのまま信頼の材料になります。

雪を落とす屋根とは何が違うのか

同じ屋根塗装でも、雪を落とす一般的な三角屋根と、雪を留めておくスノーダクト方式では、塗膜が置かれる環境が違います。全国向けの記事をそのまま当てはめられない理由がここにあります。

雪を落とす勾配屋根とスノーダクト方式の違い
雪を落とす勾配屋根とスノーダクト方式の違い

なお、ここでいう「雪を落とす屋根」は、先ほど定義した勾配屋根方式(雪止めで雪を留める無落雪屋根の一種)とは別のものです。本州でよく見る、雪や雨が傾きで流れ落ちる屋根を指します。

観点 雪を落とす一般的な屋根 スノーダクト方式
水の扱い 傾きで流し去る 集めて排水口へ導く
塗膜が置かれる環境 水が流れ去りやすい 雪や水が滞留しやすい
冬の状態 雪が落ちることがある 雪が載ったまま冬を越す
重点の点検箇所 軒先・雪止め・棟 ダクト・排水口・継ぎ目
起こりやすい不具合 雨のときの漏水 雪解けの時期の漏水

スノーダクト方式は雪と水が長く留まる前提の屋根です。同じ塗料を使っても条件が厳しくなるため、「屋根は何年ごと」という一般的な数字はそのまま当てはまりません。

とくに最後の行が手がかりになります。どちらの屋根でも雨でも雪解けでも漏ることはありますが、雨が降っていないのに天井が濡れるなら、雪解け水が関わっている可能性を先に考えられます。凍結と融解が建物に与える影響については凍害とは?北海道の外壁で起きていることでも扱っています。

すが漏りとダクトの詰まり

屋根の排水口まわりに残った氷と落ち葉

見落とされやすい点があります。ダクトが詰まっている状態では、屋根を塗っても漏水は止まりません。塗装は表面の保護、詰まりは排水の問題で、原因が別だからです。

冬に屋根の雪が融け、再び凍って水の逃げ場がなくなる。行き場を失った水が継ぎ目から室内側へ回る。これが「すが漏り」と呼ばれる現象です。屋根に穴があいているわけではないので、点検しても原因を特定しにくいのが難点です。

報告されている3つの原因

  • ゴミの詰まり … 落ち葉や砂が排水口をふさぐ。周囲に木がある家で起きやすい
  • カバーの破損 … 排水口のカバーが壊れて異物が入り込む
  • 管の凍結 … 縦管の中で水が凍り、そこから上がふさがる

この点は公的な資料でも指摘されています。北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所などが監修した戸建て住宅の屋根の雪処理計画は、屋根の中央に横樋と縦樋を持つM形屋根について「この屋根の注意事項は、縦樋に落ち葉やゴミが詰まると、漏水しやすいことです」と述べています。

いずれも塗装とは別の話です。塗り替えを検討するときは、排水経路の点検も一緒に頼んでおくと原因を切り分けられます。「屋根を塗ったのに翌年また漏った」という事態を避けられます。

もうひとつ、屋根そのものではなく建物側の条件が関わることもあります。室内の熱が屋根裏へ抜けて雪を融かし、その水が屋根の縁で再び凍る。この場合は断熱や屋根裏の換気の状態も調べる対象になります。詰まりを取っても再発するなら、この線を疑ってみてください。

3つめの凍結は、その年の気温次第で起こる面があります。前の年に問題がなかったからといって安心はできません。何年も無事だった家で、ある年に急に漏り出すことがあるのはこのためです。

そして、この3つはいずれも塗装工事の見積もりを取っただけでは見つかりません。塗装業者が屋根に上がったときに排水口まで見てくれるとは限らないからです。「ダクトの中と縦管も確認してほしい」と、こちらから伝えておいてください。

天井のシミが出やすい時期

気温が上がり始め、日中に融けて夜に凍る時期に相談が増えるとされています。北海道では冬の終わりから雪解けにかけてです。

この時期に天井や壁の上部にシミを見つけたら、雨漏りではなく、すが漏りの可能性を考えてください。雨が降っていないのに濡れるのが特徴です。

やっかいなのは、気温が安定するとシミが乾いて目立たなくなることです。「そのうち止まったから大丈夫だろう」と放置すると、翌年また同じ場所から漏ります。表面が乾いても内部に水分が残っていたり、次の凍結と融解でまた濡れたりする可能性があります。乾いたから直ったわけではありません。跡が残っているうちに、写真を撮って業者に見せておくと話が早くなります。

なお、水が出ている最中は近づき方に気をつけてください。照明器具や配線の近くには触れず、天井が膨らんでいる場所の下には立たないこと。バケツを置いて水を受け、写真を残して、早めに業者へ連絡するのが安全な順序です。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

塗装以外の選択肢

屋根に防水シートを敷く作業

塗装で足りないと分かったとき、次に検討することになる工法です。どれを選ぶかは傷みの範囲と予算で変わります。

方法 どんなときに 考え方
部分補修 傷みが一部に限られる もっとも軽い対処。原因が特定できている場合に
シート防水 防水層が劣化している 屋根面に防水シートを敷き直す。継ぎ目を減らせる
ダクトを埋めて全面防水 ダクトの不具合が繰り返す 排水の仕組みごと見直す。大がかりになる
カバー工法・葺き替え 板金そのものが寿命 屋根材を更新する。外壁のカバー工法と考え方は近い

このうちシート防水は、無落雪屋根のメンテナンスとして選ばれることが多いと紹介されています。継ぎ目のない面をつくれるため、はぜから水が入る問題そのものを避けられるという理屈です。

ただし注意したいのは、これらを勧める情報の多くが、その工法を手がける業者から発信されていることです。「塗装は不要になります」といった説明は、自社工法の利点を語る文脈で書かれていることが少なくありません。

どの方法にも向き不向きがあり、費用も耐用年数も違います。複数社に見てもらい、判断が一致するかを確かめてから決めるのが安全です。

費用の考え方

見積書と電卓を前に検討する手元

屋根塗装の費用は、足場・下地処理・錆止め・上塗りの4つで大半が決まります。なかでも金属屋根は、下地処理と錆止めをどこまでやるかが金額を左右します。

ひとつ断っておくと、無落雪屋根の塗装に絞った単価は公開情報が乏しく、以下は一般的な屋根塗装として示されている目安です。無落雪屋根の実勢価格ではありません。

工程ごとの単価の目安

工程 単価の目安 見るポイント
足場 800〜1,200円/平方メートル 外壁と共有できるか
高圧洗浄 200〜300円/平方メートル 省かれていないか
ケレン(下地処理) 150〜200円/平方メートル 金属屋根では最重要。範囲の記載があるか
下塗り(錆止め) 600〜1,200円/平方メートル 製品名と塗る回数が書いてあるか
中塗り・上塗り 各800〜1,400円/平方メートル 塗料のグレードと塗る回数

屋根の面積が50平方メートル程度であれば、これらを積み上げた工事費はおおむね20万円台から40万円台に収まる計算になります。ただし足場を外壁と分けて組むかどうかで、この額は大きく動きます。

見積書がひとまとめの金額しか書いていない場合、この内訳を出してもらいましょう。どこにいくらかかっているかが分かれば、他社と比べられます。「屋根塗装工事一式」とだけ書かれた見積書では、工程が省かれていても気づけません。見積書の読み方は外壁塗装の見積書はどこを見る?で詳しく扱っています。

金額を比べるときは、単価だけでなく数量(何平方メートル分か)も一緒に見るのが要点です。単価が安くても、面積の見立てが違えば総額は変わります。逆に、他社より高くても下地処理の範囲を広く取っているなら、その差には理由があります。

塗料のグレードと耐用年数

上塗りの塗料は、グレードが上がるほど単価も耐用年数も上がります。一般的な屋根塗装として示されている目安は次のとおりです。

塗料 単価の目安 耐用年数の目安
ウレタン 1,600〜2,000円/平方メートル 7〜8年
シリコン 2,000〜2,500円/平方メートル 10〜12年
フッ素 3,000〜3,800円/平方メートル 15〜18年
無機 4,500〜5,500円/平方メートル 20〜23年

ただし、この年数は標準的な条件での目安です。雪と水が長く留まる無落雪屋根では、同じ塗料でもこの年数どおりもつとは限りません。

もうひとつ、金属屋根には塗料の系統という論点があります。金属面には弱溶剤系の塗料が使われるのが基本とされています。グレードだけでなく、金属屋根に使える製品かどうかが確認どころです。塗料の考え方は寒冷地に強い外壁塗料の選び方をご覧ください。

費用を抑える手立てとして補助金を探す方もいます。制度は自治体ごとに内容が違うため、北海道の外壁塗装で使える補助金で考え方を整理しています。使えることがある、という範囲で受け取ってください。

予防にかける費用と、後からかかる費用

排水口の清掃は、1回あたり1万円前後という目安が示されています。一方、屋根面に防水シートを張り替える工事について、80〜120平方メートルの住宅で150万〜250万円という金額を公開している施工会社があります。

後者は1社が示している数字なので、相場としてではなく規模感の目安として受け取ってください。それでも桁が2つ違うという差は判断材料になります。

ただし注意が必要です。清掃で防げるのは詰まりが原因の漏水だけで、防水層そのものの経年劣化は清掃では止まりません。それでも、詰まりを放置して水が室内へ回れば、防水層の工事に内装の補修が上乗せされます。清掃は、その引き金を減らすための手当てにあたります。

屋根は目につきにくく、不具合が出るまで放置されがちな場所です。症状が出てから動くと選択肢が減り、金額も上がりやすくなります。何もないうちに見てもらっておくと、大きな工事になる前に手を打てる可能性があります。

もうひとつ、漏水は屋根だけの問題では終わりません。水が室内側へ回れば、断熱材が濡れて性能が落ち、下地の木材が傷みます。屋根を直す費用に、内装を直す費用が上乗せされることになります。早めに手を打つ理由はここにもあります。

外壁と同時に行うと足場が1回で済む

屋根の工事にも足場が必要です。外壁塗装と時期を合わせれば、足場代を1回分で済ませられます。

別々に頼むと、足場だけで2回分の費用がかかります。屋根と外壁で数年ずらして工事をすると、そのぶん足場代を余分に払うことになります。

無落雪屋根の場合、屋根面が平らに近いぶん外壁の足場と組み合わせやすいという事情もあります。外壁の塗り替えを考えているなら、屋根の状態も同時に見てもらうほうが合理的です。費用の全体像は北海道の外壁塗装の費用相場にまとめています。

ただし、一度に出ていく金額は当然大きくなります。屋根と外壁の傷み具合に差がある場合は、無理に合わせず、急ぐほうを先に手当てするという判断もあります。

北海道で工事できる時期

足場が組まれた家と秋の空

屋根も外壁と同じく、春から秋にかけてが現実的です。塗料には施工できる気温と湿度の条件があり、積雪や凍結があれば足場を組むことも難しくなります。

ただし何月から何月までと言い切れるものではありません。地域の条件、その年の天候、使う製品によって変わります。条件さえ満たせば時期を問わないという見解もあります。時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期はいつ?で詳しく扱っています。

1年の動き方

無落雪屋根の場合、次の流れが理にかなっています。

  1. 雪解けのころ … 天井のシミや排水の異常に気づきやすい時期。異変があれば写真を残す
  2. 初夏 … 業者に見てもらい、見積もりを取る。複数社に頼むなら時間の余裕がいる
  3. 夏から初秋 … 工事を行う。施工できる期間が限られるため予約は早めに
  4. 雪が降る前 … 排水口の清掃と点検を済ませる

最後の「雪が降る前の点検」は、費用のわりに翌年の不具合を減らしやすい手当てです。落ち葉が落ち切ったころが適期とされています。早すぎるとそのあと葉が落ちて詰まり、遅すぎると雪が積もって手が出せません。

この流れの利点は、異変に気づいてから工事までに時間を確保できることです。慌てて一社だけで決めずに済みます。

自分でできる点検

地上から自宅の屋根を見上げる人

はじめに大事なことを書きます。屋根には上がらないでください。無落雪屋根は平らに見えても、濡れていれば滑ります。冬は言うまでもありません。

地上から、あるいは室内から確認できることだけを挙げます。

  • 縦の管から水がきちんと出ているか(雪解けの時期)
  • 管の周りに氷が張り付いていないか
  • 天井や壁の上部にシミがないか
  • 屋根の縁に錆の筋が垂れていないか
  • 軒下や外壁の上部に、水が流れた跡がないか
  • 雪解けの時期に、屋根の縁から水がしたたっていないか

最後の項目は見落とされがちです。本来は排水口から下りるはずの水が、屋根の縁から落ちているなら、どこかで正常に流れていない可能性があります。

どれか当てはまれば、業者に見てもらう合図です。異常がなくても、年に一度は排水口を見てもらうのが安全側の判断です。

写真を残しておくと、あとで役に立ちます。スマートフォンで撮れば日付も残るので、いつからその状態なのかを業者に伝えられます。年に一度、同じ角度から撮っておくと変化も分かります。手間のわりに効きます。

業者に聞いておきたいこと

提案が妥当かは、次の質問への答え方でおおよそ分かります。

  • 屋根のどこが、どの程度傷んでいますか(写真で示せるか)
  • 塗装で足りると判断した根拠は何ですか
  • 継ぎ目(はぜ)の部分はどう処理しますか
  • 錆止めには何を使いますか。何回塗りますか
  • 排水口と縦管の状態はどうでしたか
  • 外壁と同時に行う場合、足場はどう見積もっていますか
  • 工事のあと、何年くらいで次の手入れが必要になりますか

その場で答えられなくても、後日きちんと調べて答えてくれるなら問題ありません。答えをはぐらかす、質問を面倒がる場合は要注意です。屋根は施主が確かめにくい場所だからこそ、説明の姿勢が判断材料になります。

訪問してきた業者に「無料で点検します」と言われて屋根に上がられ、その場で契約を迫られる例が相談窓口に寄せられています。国民生活センターも屋根工事の点検商法について注意を呼びかけていますその場で本契約はしないでください。水が漏れているなど急を要する状態なら、応急処置だけを頼み、本工事は別の会社にも見てもらってから決めるという進め方があります。

なお、訪問販売にあたる契約は、法律で定められた書面を受け取った日から原則8日以内であればクーリング・オフできる場合があります。個別の可否は状況によるので、判断に迷うときは消費者ホットライン(188)に相談してください。

出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています!」国民生活センター「クーリング・オフ」

よくある質問

共通する答えは「板金の状態と漏水歴で決まる」です。そのうえで、疑問の多い項目に答えます。

無落雪屋根なら雪下ろしは不要ですか

基本的には不要とされていますが、条件付きです。想定を超える積雪があった年には必要になる場合があると案内されています。屋根がどれだけの雪に耐える設計かは家ごとに違うので、建てたときの資料や施工した会社の説明が最優先です。建具が開きにくい、天井にたわみが出たといった変化があれば、専門家に見てもらってください。屋根に上がる作業自体が危険なので、自分で確かめようとしないでください。

何年ごとに塗り替えるものですか

塗料によって幅があり、一般的な目安はシリコンで10〜12年、フッ素で15〜18年とされています。ただし無落雪屋根は雪と水が長く留まるため、この年数どおりもつとは限りません。年数だけで決めるより、錆の出方と継ぎ目の状態を見て判断するほうが確実です。前回の工事から10年近く経っているなら、症状がなくても一度見てもらう価値はあります。

自分で塗ることはできますか

おすすめしません。平らに見えても高所であることに変わりはなく、濡れれば滑ります。加えて、錆の落とし方や錆止めの塗り方が不十分だと、かえって傷みを早めます。塗膜の下で錆が進むと、外から見えないまま板金が薄くなっていきます。

3回塗りは必要ですか

メーカーの仕様で定められた工程と塗布量が基準になります。金属屋根では錆止めの工程が特に重要です。工程を削る提案は、耐久性を削っているのと同じだと考えてください。安く見える見積書は、工程が減っていないかが確認どころです。

塗装すれば雨漏りは止まりますか

止まらないことがあります。すでに水が入っている場合、原因は排水経路の詰まりや防水層の劣化にあることが多く、表面を塗っても解決しません。まずは原因の特定が先です。原因を調べずに「塗れば直る」と言う業者は避けたほうが無難です。

排水口はどのくらいの頻度で見ればいいですか

清掃と点検は別の行為です。落ち葉や砂を取り除く清掃は年に一度、屋根全体の状態を専門家に見てもらう点検はもう少し長い間隔で、という考え方が示されています。周りに木がある家は、清掃の頻度を上げる必要があります。

火災保険は使えますか

経年による劣化は対象外とされるのが一般的です。強風や雪の重みで壊れた部分については対象になることがありますが、判断するのは保険会社です。

手順として大事なのは、工事や申請代行の契約をする前に、加入している保険会社や代理店へ直接連絡することです。「保険で無料になる」と断言する業者や、申請を代行すると持ちかけて手数料を求める業者については、日本損害保険協会が住宅の修理に関するトラブルへの注意を公開しています

外壁と同時にやったほうが得ですか

足場を1回で済ませられるぶん、別々に頼むより総額を抑えられることが多くなります。ただし一度に出ていく金額は大きくなります。屋根と外壁の傷み具合を見比べて判断することになります。

出典:日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」

まとめ

無落雪屋根を塗装で維持できるかどうかは、屋根板金と下地がまだ健全か、そして漏水があるならその原因は何かで決まります。穴あきや継ぎ目の浮きがなく、室内に水が入っていなければ、錆止めを含む塗装で延命できる範囲です。

漏水があった場合は、原因の切り分けが先です。排水経路の詰まりなら清掃で解決することがあり、防水層や板金の劣化なら塗装では止まりません。後者は防水層を新しくする工事が検討対象になります。

塗り替えを頼むときは、屋根の表面だけでなく排水経路の点検も一緒に依頼するのが要点です。塗装と排水は別の問題なので、片方だけを直しても解決しないことがあります。

次の一歩は、屋根と外壁をまとめて複数の業者に見てもらうことです。そのとき「塗装で足りる」と言われたら、その根拠を写真と傷んでいる範囲で示してもらってください。屋根は施主が自分の目で確かめにくい場所です。だからこそ、説明を惜しまない相手を選ぶことが判断の助けになります。

外壁の塗り替えと同じ足場でまとめるかどうかは、屋根と外壁は同時に塗るべきかで扱っています。

屋根から落ちた雪が外壁に与える影響は雪から外壁を守るで扱っています。

屋根材そのものを塗れるかどうかは、また別の判断になります。屋根は塗れる材質かもあわせてご覧ください。

冬前の点検を誰がやるかという問題については、屋根の雪処理にまとめています。

外壁側が金属サイディングであれば、金属サイディングの塗装の記事もあわせて確認してください。

ドローンを使った点検の法令と限界は外壁のドローン点検にまとめています。

屋根ふき材に使われている金属がどういう材料なのかはトタン屋根とは?北海道の家で見る錆の段階と3つの選択肢で扱っています。

M形やフラットルーフに換気棟が付かない理由は、換気棟とは?北海道で必要かどうかは屋根の形と断熱の位置で決まるにまとめました。

単価・耐用年数・工事費の目安は、屋根塗装を扱う複数の解説記事および施工会社が公開している数値をもとにした参考値であり、特定の価格を保証するものではありません。無落雪屋根に絞った実勢価格ではない点にご注意ください。実際の費用は屋根の面積・形状・傷みの程度により変わります。クーリング・オフの可否や保険の適用可否は、個別の契約内容と約款によります。

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