雪から外壁を守るには|落雪・除雪・雪囲いと傷みの関係

塗装の時期

最終更新:2026年9月16日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

春に雪が解けたら、外壁の下のほうだけ塗装がはがれていた。窓の下に傷が付いていた。物置側の壁だけ色が違う。

北海道の外壁の傷みには、雪が直接の原因になっているものがあります。塗料の寿命でも施工不良でもなく、その場所に毎年雪が当たっているという条件の問題です。

この場合、同じ材料で塗り替えても、数年後にまた同じ場所から傷みます。原因が残っているからです。

この記事では、国の研究機関と北海道の研究機関の資料をもとに、雪が外壁に何をしているのか、どこを見るのか、どう手当てするのかを整理します。

凍害の仕組みそのものは凍害とは何かで、屋根の雪処理は無落雪屋根の塗装で扱っています。この記事は雪と外壁の関係に絞ります。

なお、この記事は工事を請け負う立場で書いたものではありません。実際の判断は、現地を見た業者の説明によります。

  1. 結論:雪の傷みは「高さ」に出る
    1. この記事で扱わないこと
  2. 雪が外壁に与える3つの力
    1. 1. 押しつけられる
    2. 2. 当たる
    3. 3. 長く濡れたままになる
  3. どこを見るか
    1. 面によって差があるかを確かめる
    2. 「下だけ」なら塗料のせいではない
  4. 外壁材によって出方が違う
    1. 継ぎ目と取り合いを重点的に
  5. 雪の置き場を変える
    1. 壁ぎわに積まない
    2. 屋根から落ちる位置を把握する
    3. 除雪機の向き
  6. 受ける部材を付ける
    1. 費用と効果を並べて考える
    2. 取り合いの納まりを確認する
  7. 雪囲いとの付き合い方
    1. 固定方法を確認する
    2. 立てたままにしない
    3. 当たる位置を毎年変えない工夫
  8. 敷地の使い方から考える
    1. 雪を置く場所を決める
    2. 植栽と物置の位置
    3. 屋根から落ちる雪の行き先
  9. 塗り替えのときにできること
    1. 「気候のせい」で終わらせない
    2. 色の選び方にも関わる
  10. 凍害との関係を整理する
    1. どちらか判断がつかないとき
  11. やってはいけないこと
    1. 凍結防止のためにやりがちなこと
    2. つららが大きい家は別の問題がある
  12. 雪が解けた水の行き先
    1. 基礎まわりに水がたまる
    2. 凍結と融解を繰り返す時期
    3. つららの落ちる位置
  13. 冬に入る前にやること
    1. 雪が積もる前に写真を撮る
    2. 春にやること
  14. よくある質問
    1. 雪が当たる面だけ塗料を変えられますか
    2. 腰壁を張ると費用はどのくらい上がりますか
    3. 雪囲いはしたほうがいいですか
    4. 下部の傷みは放っておくとどうなりますか
    5. 屋根に雪止めを付ければ解決しますか
    6. 基礎の表面がはがれてきました
    7. 隣家との隙間が狭くて雪が入り込みます
    8. 春に見たら壁に穴が開いていました
    9. 毎年同じ場所が傷むので諦めています
    10. 除雪をシルバー人材センターなどに頼んでいます
    11. 雪解け後に壁が白っぽくなっています
    12. 賃貸に住んでいますが気になります
  15. まとめ

結論:雪の傷みは「高さ」に出る

先に要点を示します。

  • 雪による傷みは、接雪・除雪・落雪の影響を受ける高さに現れやすくなります(高さは住宅ごとに違います)
  • 原因は押しつけ・当たり・長期間の湿潤の3つに分かれます
  • 同じ材料で塗り替えても原因が残っていれば再発します
  • 手当ては塗装ではなく、雪の当て方を変える・受ける部材を付けるという方向になります

点検のときは、その高さの壁を近くで見るだけで、かなりのことが分かります。

この記事で扱わないこと

雪が外壁に与える3つの力

壁に寄せられた雪

ひとくちに「雪で傷む」と言っても、起きていることは違います。

雪が外壁にしている3つのこと
雪が外壁にしている3つのこと

1. 押しつけられる

積もった雪は、時間がたつと沈み込みます。壁ぎわに積まれた雪は、その過程で壁を横方向に押します。

この力は、雪囲いや物置、フェンスの倒れとして表れることがあります。外壁そのものが動くことは少ないものの、目地や取り合いの部分には負担がかかります。

2. 当たる

屋根から落ちた雪の塊、除雪機が飛ばす雪、除雪で寄せた雪。これらは瞬間的な衝撃として壁に加わります。

金属サイディングならへこみ、窯業系サイディングなら欠けや割れ。表面の塗膜が傷つけば、そこから水が入ります。点のような小さな傷でも、水の入口としては十分です。

3. 長く濡れたままになる

これがいちばん厄介です。雪に埋まっている部分は、数か月にわたって湿った状態が続きます。

国土技術政策総合研究所の資料は、多雪地域について「屋根と雪との接面では0℃、100%が長期間継続する」ため、屋根材からの浸水や透水のリスクが高まると説明しています。これは屋根について述べられたものですが、壁でも雪に接している状態が続けば、湿った状態が長引く可能性はあります。

さらに同資料は、寒冷地に限らず冬期には夜間放射によって外壁面の表面温度が外気温より2〜3℃低くなり、凍害発生リスクが高まるとしています。濡れていて、冷える。凍害の条件がそろいます。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

どこを見るか

外壁の足元を確認する

雪解け後の点検で、優先して見る場所を挙げます。

場所 見るもの 疑うこと
壁の下部(腰から下) 塗膜のやせ、欠け、変色 長期間の湿潤、押しつけ
屋根から雪が落ちる面 へこみ、割れ、傷 落雪の衝撃
除雪機を使う側 点状の傷、塗膜のはがれ 飛ばした雪と氷の粒
雪囲いを立てる位置 金具まわり、こすれ跡 部材の当たり、ねじ穴
水切り 変形、さび 雪の重みと当たり
基礎の立ち上がり 表面のはがれ、ひび 凍結融解の繰り返し

共通しているのは高さです。積雪の深さ、除雪の仕方、落雪の位置によって変わりますが、多くは人の腰から下の範囲になります。そこだけ状態が違うという見え方をします。

見るときは、しゃがんで壁に近づいてください。立ったまま見下ろすと、この高さは視界に入りにくく、傷みを見落とします。普段いちばん目に入らない高さだからこそ、進行してから気づくことになります。

面によって差があるかを確かめる

家を一周して、同じ高さを4面とも見比べてください。特定の面だけ状態が悪ければ、そこに原因があります。

状況 疑う原因
屋根の軒下にあたる面だけ悪い 落雪
道路側だけ悪い 除雪で寄せた雪
北面だけ悪い 雪が解けにくい、乾きにくい
物置や植栽の側だけ悪い 風が通らない、雪がたまる
4面とも同じくらい 雪以外の原因も検討する

最後の行が重要です。全面が同じように傷んでいるなら、原因は雪ではなく経年変化か、別の要因である可能性が高くなります。

「下だけ」なら塗料のせいではない

判断のポイントを示します。

  • 壁全体が均等に色あせている … 紫外線による経年変化。通常の劣化です
  • 下部だけ状態が違う … 雪の条件を疑います
  • 特定の面だけ傷んでいる … 落雪や除雪の向きを疑います
  • 同じ場所が前回も傷んでいた … 原因が残っています

4番目に心当たりがあるなら、今回は塗り替え方だけでなく、雪の当て方から見直す機会です。

外壁材によって出方が違う

傷んだ外壁の下部

同じ条件でも、材料によって症状が変わります。自分の家の外壁が何かを知っておくと、見るべきものが絞れます。

外壁材 雪で出やすい症状 見るところ
窯業系サイディング 表面の欠け、板の端の傷み 板の継ぎ目と小口
金属サイディング へこみ、傷からのさび 下部の面と角
モルタル 表面のはがれ、ひび 面全体の広がり方
ALCパネル 吸水による傷み 目地と表面の状態

窯業系サイディングとALCは水を吸う材料です。長く濡れたまま凍る条件では不利になります。金属は吸いませんが、傷が付けばそこからさびます。

材料ごとの性格は外壁材の種類と選び方にまとめています。

継ぎ目と取り合いを重点的に

どの材料でも共通して弱いのは、継ぎ目と、違うものが接する部分です。

  • 板と板の目地 … 弾力が失われていないか
  • 基礎と外壁の境 … 水切りが変形していないか
  • 窓まわり … 充填材が切れていないか
  • 配管や換気口の貫通部 … 隙間ができていないか

これらは雪に埋まる高さにあることが多く、普段は見えていません。春先の点検で、しゃがんで見る価値があります。目地の判断はコーキングの打ち替えと増し打ちで扱っています。

雪の置き場を変える

除雪した住宅の敷地

いちばん効くのは、実は工事ではありません。雪をどこに寄せるかです。

壁ぎわに積まない

除雪で出た雪を建物の際に積むと、その部分は春まで雪に埋まります。可能な範囲で、壁から離した位置に置いてください。

敷地が狭くて置き場がない場合もあります。それでも、いちばん傷んでいる面だけでも避けるという選び方はできます。

屋根から落ちる位置を把握する

雪が滑る屋根の場合、落ちる位置は決まっています。そこに物を置かない、人が通らないようにする、壁を守る部材を検討するという順で考えます。

北方建築総合研究所などがまとめた資料では、屋根の雪処理について計画的に考えることの重要性が示されています。落雪の受け場所を敷地のどこに取るかは、住まいの安全にも関わります。

除雪機の向き

飛ばした雪に氷の粒が混じると、壁に当たったときに傷が付きます。壁に向けて飛ばさないという単純な対策で、傷の数はかなり減ります。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

受ける部材を付ける

腰壁のある住宅

置き場を変えられない場合、壁の側で受ける方法があります。

方法 内容 向く場面
腰壁を張る 下部だけ別の材料で覆う 毎年同じ高さが傷む
板金を巻く 傷みやすい部位を金属で保護 破風や出隅など
雪囲いを立てる 冬のあいだ壁を保護する 落雪の当たる面
雪止めを検討する 屋根から落ちる量を抑える 屋根の形による

1番目は北海道の住宅でよく見かける形です。下部だけ材料が違う住宅は、この考え方で作られていることがあります。

新築のときからそうなっている家もあれば、途中で張った家もあります。自分の家がどちらかは、外から見ただけでは分かりません。途中で張った場合、その継ぎ目の処理が後の傷みに関わります。

なお、既存の上に部材をかぶせる改修では、外壁の通気層をふさいでしまわないかが論点になります。北海道立総合研究機構北方建築総合研究所の屋根かぶせ改修に関する研究でも、これまでの改修工法の多くが下屋と外壁の取り合い部で壁の通気層の下部をふさぎ、建物の耐久性を低下させる要因になっていると指摘されています。

費用と効果を並べて考える

部材を足す工事は、塗装だけより費用が上がります。判断するときは、次を並べてみてください。

  • 今回の追加費用
  • 次回以降、その部分の補修が減る分
  • 下地まで傷んだ場合の工事費

3番目が見落とされがちです。表面を塗り直すのと、外壁材ごと交換するのでは、桁が変わります。水が入り続ける状態を放置した先にあるのは、後者です。

ただし、腰壁を後から張る場合は取り合いの処理が重要になります。既存の外壁との継ぎ目から水が入っては本末転倒です。

取り合いの納まりを確認する

国土技術政策総合研究所の資料は、リフォーム工事について注意を促しています。新築では上下の取り合いを「下方の部材の外側に上方の部材を重ねる」という雨仕舞いの原則で納めますが、改修では既存の解体を最小限にするために取り合いを逆順序としたり、浸水防止をシーリング材での止水のみに依存することも多く行われ、その結果多くのトラブルを招いているとされています。

部材を足す工事を検討するときは、「水はどこを通って、どこから抜けますか」と聞いてみてください。答えられる会社なら安心です。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章北海道立総合研究機構北方建築総合研究所「研究概要」

雪囲いとの付き合い方

雪囲いを立てた住宅

冬に板や波板を立てて壁を守る雪囲い。有効な方法ですが、注意点があります。

固定方法を確認する

雪囲いを固定するために、壁にねじや金具を打っていることがあります。その穴は水の入口になりえます。

塗り替えのタイミングで、金具のまわりに充填材が入っているか、さびが出ていないかを見てもらってください。可能なら、壁に穴を開けない固定方法に変えられるかも相談する価値があります。

立てたままにしない

雪囲いを春に外さず、そのまま夏を越す家があります。手間としては省けますが、その裏側は乾きにくく、風も通りません。

藻やかびが出やすくなり、木部なら腐朽の原因にもなります。外せるものは外して、壁を乾かす期間を作ってください。

当たる位置を毎年変えない工夫

同じ部材を毎年同じ場所に当てると、そこだけ塗膜がやせます。当たる部分に緩衝材を挟むだけでも違います。

敷地の使い方から考える

外壁の話ですが、実際に効くのは敷地をどう使うかです。工事より先に検討できることがあります。

雪を置く場所を決める

毎年その場しのぎで積んでいると、置きやすい場所(=家の際)に集まります。あらかじめ置き場を決めておくだけで、壁への負担が変わります。

決めるときの目安を挙げます。

  • 建物から離れている … 可能な範囲で壁から離す
  • 日が当たる … 春に早く解けます
  • 水の逃げ道がある … 解けた水が基礎に向かって流れない
  • 隣家に迷惑をかけない … 敷地の境界を越えない

3番目は見落とされがちです。雪が解けた水が建物のほうへ流れる地形だと、基礎まわりが長く濡れます。濡れやすい面に塗るときの注意は基礎の塗装にまとめました。

植栽と物置の位置

壁ぎわに植木や物置があると、そこに雪がたまり、風も通りません。春になっても乾かない状態が続きます。

すぐに動かせるものではありませんが、塗り替えや外構の手入れをする機会に、位置を見直す価値はあります。北面ならなおさらです。

屋根から落ちる雪の行き先

屋根の形によっては、落ちた雪が隣家の敷地や通路に入ることがあります。これは外壁の傷み以前に、近隣との関係の問題になります。

落雪で隣家に被害を出した場合の扱いは火災保険の記事で触れています。起きてから考えるより、屋根の工事を検討するときに合わせて相談するほうが選択肢が多くなります。

塗り替えのときにできること

足場が架かる機会は、雪への備えを見直す好機です。

手当ての順番
手当ての順番
  1. 傷みが集中している高さを共有する … 業者に「毎年ここが傷む」と伝えます
  2. 下部の仕様を変えられるか相談する … 塗料を変える、材料を足す
  3. 水切りの状態を見てもらう … 変形していれば交換
  4. といの固定を確認してもらう … 雪の重みで緩んでいることがあります
  5. 雪囲いの金具まわりを処理してもらう … 穴の周辺の充填

2番目は費用が上がる話ですが、次の10年で同じ場所が傷むかどうかを分けます。金額と効果を聞いたうえで判断してください。

業者に伝えると話が早い3つのこと

①どの面の、どの高さが毎年傷むか/②その面に雪をどう置いているか(屋根から落ちるのか、除雪で寄せるのか)/③前回の塗り替えが何年前で、そのときも同じ場所だったか。この3つを最初に伝えると、原因の見立てが具体的になります。写真があればなお確実です。

「気候のせい」で終わらせない

雪や寒さが原因であることは事実です。ただし、それで説明が終わってしまうと、次も同じことが起きます。

聞きたいのは原因の名前ではなく、次の10年で同じことを起こさないために何ができるかです。「気候の問題なので仕方ありません」で止まる説明と、「この面はこう手当てできます」と続く説明では、そのあとが変わります。

付帯部の扱いも合わせて相談してください。とい、水切り、雪囲いの金具まわりは、雪の影響を受けやすい部分です。詳しくは付帯部の塗装で扱っています。

色の選び方にも関わる

雪が当たる高さは、傷と汚れが集まる位置です。その部分だけ暗めの色にする、あるいは汚れが目立ちにくい色を選ぶという考え方があります。

色の決め方は外壁の色の選び方で扱っています。下部を濃くする塗り分けは、見た目の面でも落ち着きます。

凍害との関係を整理する

「雪で傷む」と「凍害」は、重なりますが同じではありません。区別しておくと、業者の説明が理解しやすくなります。

雪による損傷 凍害
起きること ぶつかる・押される・濡れ続ける 材料が含んだ水が凍って膨らむ
見え方 へこみ、傷、局所的なはがれ 表面が層状にはがれる、ぼろぼろ落ちる
必要な条件 雪が当たること 材料が水を含んでいて凍ること
対策 当て方を変える、受ける 水を入れない、抜けるようにする

関係としては、雪が原因で長く濡れた結果、凍害が起きるという順番になります。つまり、雪への対策は凍害の予防にもなります。

どちらか判断がつかないとき

症状だけで切り分けるのは難しいものです。次を手がかりにしてください。

  • 傷の形がはっきりしている(点や線) … 当たった可能性
  • 表面が面で浮いている・欠けている … 凍害の可能性
  • 一定の高さで帯状に出ている … 雪に埋まる範囲
  • 面全体に散らばっている … 別の原因を疑う

いずれにしても、塗り替えの前に原因を共有しておくことが大事です。凍害そのものの詳しい仕組みは凍害とは何かにまとめています。

やってはいけないこと

軒先の大きなつらら

よかれと思ってやると、かえって傷める行為があります。

  • 壁ぎわの雪を金属のスコップで削り取る … 壁を傷つけます
  • 凍った雪をたたいて割る … 衝撃が壁に伝わります
  • お湯をかけて溶かす … 急な温度変化と、再凍結を招きます
  • 屋根に登って雪を下ろす … 転落の危険があります
  • つららを下から棒でたたく … 落下物の危険があります

とくに4番目と5番目は、外壁の話を超えて身の安全に関わります。屋根の上の作業は、慣れていない人が行う場所ではありません。

雪下ろしや屋根の上での作業による事故は、毎年発生しています。外壁を守るために危険を冒す必要はありません。高いところの作業は、装備と経験のある人に任せてください。

凍結防止のためにやりがちなこと

よかれと思って行われるものの、注意が要る対処があります。

  • 融雪剤を壁ぎわにまく … 成分によっては金属部材やコンクリートに影響します
  • ヒーターを壁に近づける … 局所的な温度差を作ります
  • ビニールシートで壁を覆う … 中で結露し、乾かなくなることがあります

3番目は雪囲いの代わりとして行われることがありますが、通気が取れないと逆効果になります。覆う場合は、下端を開ける、隙間を作るといった配慮が要ります。

つららが大きい家は別の問題がある

軒先に大きなつららができる場合、屋根の断熱や換気に課題があることがあります。つらら自体を壊しても、原因は残ります。

屋根にたまった雪の下で解けた水が凍り、行き場を失って室内側に回る現象についてはすが漏りで扱っています。つららは、その手前の状態を外から見せてくれるサインと考えられます。

雪が解けた水の行き先

雪は積もっているあいだだけでなく、解けるときにも外壁に関わります。ここは見落とされやすい部分です。

基礎まわりに水がたまる

春先、建物のまわりの雪が解けると、大量の水が地面に染み込みます。地面が建物に向かって傾いていると、その水は基礎に集まります。

確認しておきたいのは次の点です。

  • 建物のまわりの地面の高さ … 建物側が低くなっていないか
  • 雨水の排水先 … といの縦管の下がどうなっているか
  • 基礎の表面の状態 … 白い粉が吹いていないか、はがれていないか

基礎は常に濡れることを想定した部分ではありますが、長く水に浸かる状態が毎年続くのは別の話です。表面のはがれが広がるようなら、早めに見てもらってください。

凍結と融解を繰り返す時期

春先は、昼に解けて夜に凍るという往復が続きます。これは材料にとっていちばん厳しい条件です。

国土技術政策総合研究所の資料は、寒冷地に限らず冬期の夜間放射によって外壁面の表面温度が外気温より2〜3℃低くなるとしています。日中に濡れた壁が、夜に予報より低い温度まで下がるという組み合わせになります。

この時期に壁が濡れたままにならないよう、雪を早めに散らす、風が通るようにするといった手当てが効きます。

つららの落ちる位置

軒先にできたつららは、解けて落ちます。落ちた先が窓や壁、といであれば、当たった衝撃が加わります。

つららができやすい家では、その真下に何があるかを確認してください。物置や室外機を置いている場合は、位置を変えられないか検討する価値があります。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

冬に入る前にやること

秋の住宅と雨どい

秋のうちに済ませておくと、春の状態が変わります。

  1. といの掃除 … 落ち葉と土を取り除きます
  2. といの固定の確認 … 金具の緩みを直します
  3. 壁ぎわの片づけ … 物を置いたままにしない
  4. 雪囲いの点検 … 部材の傷みと固定方法
  5. 雪の置き場を決めておく … 家族で共有します

1番目と2番目は、北方建築総合研究所などの資料でも冬を迎える前の掃除と点検として重要性が指摘されています。詰まったといは、あふれた水で壁を濡らします。

とくに、といが凍って詰まると、行き場を失った水が継ぎ目からあふれて壁を伝います。そのまま冬を越すと、伝った跡が凍った状態で春まで残ることになります。

掃除は高い位置の作業になるため、自分で無理をしないでください。足場が架かる年に業者へまとめて頼む、あるいは板金業者に定期的に見てもらうという方法があります。

雪が積もる前に写真を撮る

秋のうちに、壁の下部の状態を写真に残しておくと、春との比較ができます。

  • 各面を1枚ずつ、同じ位置から
  • 気になる箇所は近くでもう1枚
  • 撮影日が記録される設定にしておく

これがあると、春に見つけた傷が今年の冬に付いたものかどうかが分かります。火災保険を検討する場面でも、時期の説明がしやすくなります。

春にやること

雪が解けた直後は、冬のあいだに起きたことがまだ生の状態で残っています。

  • 壁の下部を近くで見る
  • 傷やへこみを写真に撮る
  • といと水切りの状態を確認する
  • 去年の写真と比べる

点検の進め方は外壁の劣化サインと点検の目安にまとめています。同じ場所を毎年撮っておくと、変化が分かります。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

よくある質問

雪が当たる面だけ塗料を変えられますか

できます。ただし色や質感が変わるため、見た目の統一をどうするかを相談してください。下部だけ仕様を変える塗り分けは、実用と意匠の両立ができる方法です。

腰壁を張ると費用はどのくらい上がりますか

材料と面積によります。金額の幅が大きいため、この記事では数値を示しません。塗装だけの見積もりと、腰壁を足した見積もりの両方を出してもらうと判断しやすくなります。

雪囲いはしたほうがいいですか

落雪や除雪の当たる面には有効です。ただし固定方法と、春に外すかどうかで結果が変わります。壁に穴を開けない方法があるかを含めて相談してください。

下部の傷みは放っておくとどうなりますか

塗膜が切れた部分から水が入り、外壁材そのものが傷みます。吸水しやすい材料では、凍結によって内部から壊れることがあります。詳しくは凍害の記事で扱っています。

屋根に雪止めを付ければ解決しますか

落雪は減りますが、屋根に雪が残る前提になります。屋根の構造や勾配によっては適さない場合があります。屋根の形式ごとの考え方は無落雪屋根の記事を参照してください。

基礎の表面がはがれてきました

凍結と融解の繰り返しによる劣化が考えられます。基礎は建物を支える部分なので、範囲が広い場合は早めに見てもらってください。塗るだけで済むかどうかは状態によります。

隣家との隙間が狭くて雪が入り込みます

乾きにくく、点検もしにくい条件です。その面だけ傷みが早いことがあります。足場が架かる機会に、状態を写真に残してもらってください。

春に見たら壁に穴が開いていました

落雪や飛来物による損傷であれば、火災保険の対象になる可能性があります。修理する前に写真を撮り、保険会社に連絡してください。詳しくは火災保険の記事で扱っています。

毎年同じ場所が傷むので諦めています

諦める前に、その面だけ仕様を変えられないかを相談してみてください。腰壁を張る、板金を巻く、雪の当て方を変える。塗り替えのたびに同じ場所を直すより、一度手を入れたほうが結果的に安く収まることがあります。

除雪をシルバー人材センターなどに頼んでいます

作業する人が変われば、雪の置き方も変わります。「この面には積まないでほしい」と伝えておくだけで違います。壁の傷みを知っているのは住んでいる側です。

雪解け後に壁が白っぽくなっています

汚れが浮いているだけのこともあれば、材料の成分が出てきていることもあります。手でこすって粉が付くか、水で流れるかを見てください。判断がつかない場合は写真を撮り、業者に見てもらってください。

賃貸に住んでいますが気になります

気づいた点を写真とともに管理会社や所有者に伝えるところまでにとどめてください。補修の判断と費用は所有者側の話になります。放置されると建物が傷むため、伝えること自体には意味があります。

まとめ

雪による外壁の傷みは、地面から1メートル前後の高さに集中します。壁全体が均等に劣化しているなら経年変化ですが、下だけ状態が違うなら雪の条件を疑ってください。

起きているのは押しつけ・当たり・長期間の湿潤の3つです。とくに3番目が厄介で、雪に埋まった部分は数か月にわたって濡れたままになります。そこに夜間放射で外気温より2〜3℃低くなる条件が重なります。

手当ての順番は、①雪の置き場を変える → ②受ける部材を検討する → ③塗り替えの仕様を変えるです。①はお金がかからず、効果があります。

そして塗り替えのときに「毎年ここが傷む」と伝えること。原因を共有しないまま同じ仕様で塗り直すと、次も同じ場所から傷みます。

雪の季節に工事ができなかった場合は北海道で塗装の時期を逃したら、雪がたまるバルコニーはバルコニーの防水は塗装と別で扱っています。

屋根に載った雪をどう処理するかについては、屋根の雪処理にまとめています。

冬の季節風は雪だけでなく塩も運びます。海に近い地域の注意点は外壁の塩害の記事で扱っています。

屋外の灯油タンク(ホームタンク)の錆をどうするかは、ホームタンクの錆|塗る・替える・動かすを位置と程度で見分けるで、脚・外面・底・配管と置き場所に分けて整理しています。

本記事は雪と外壁の関係を一般的に整理したもので、個別の住宅の診断に代わるものではありません。傷みの原因は建物の形状・立地・積雪の条件によって異なります。落雪や除雪に関わる作業には危険が伴うため、屋根の上での作業や高所の作業は行わないでください。実際の対策と工事の判断は、現地を確認した施工業者によります。

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