外壁塗装の契約書で確認する15項目|建設業法が定める記載事項

業者選びと見積もり

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

見積もりが決まり、契約の段になった。差し出された書類はA4で1枚。金額と工期だけが書かれている。これで契約してよいのか、判断がつかない。

建設工事の請負契約は、書面に何を書くかが建設業法で定められています。1枚に金額と日付だけ、という契約書は、その要件を満たしていません。

この記事では、国土交通省が公表している資料をもとに、契約書に書かれているべき項目と、そのうちどこを重点的に見るかを整理します。

なお、この記事は法律相談ではありません。掲載する内容は一般的な整理で、個別の契約の効力や紛争の見通しを判断するものではありません。

  1. 結論:書く項目は法律で決まっている
    1. この記事で扱わないこと
  2. 建設業法が定める15項目
    1. 書面の形はひとつではない
    2. 契約の締結に際して交付する
    3. 変更するときも書面にする
  3. とくに確認したい項目
    1. 工事内容(1番)
    2. 着手と完成の時期(3番)
    3. 支払の時期と方法(5番・12番)
    4. 設計変更・中止のとき(6番)
    5. 天災その他不可抗力(7番)
    6. 検査と引渡し(11番)
    7. 契約不適合責任(13番)
    8. 紛争の解決方法(15番)
  4. 契約の原則
    1. 対等な立場で公正に
    2. 不当に低い請負代金は結べない
    3. 著しく短い工期は結べない
    4. 解体を伴う工事では項目が増える
  5. 残りの項目も見ておく
    1. 工事を施工しない日(4番)
    2. 価格等の変動(8番)
    3. 資材の提供(10番)
    4. 遅延利息と違約金(14番)
  6. 電子契約の場合
    1. 法律にも定めがある
    2. 控えが手元に残るか
  7. 北海道で効いてくる条項
    1. 冬季中断の扱い
    2. 工期の見込みに幅を持たせる
    3. 落雪と第三者への損害
  8. 見積書と契約書の関係
    1. 見積書を契約書に添付する
    2. 内訳の見積書は請求できる
    3. 値引きの求め方にも線がある
  9. 契約の前にそろえるもの
    1. 控えを受け取る
    2. その場で決めない
  10. 約款でよく問題になる書き方
    1. 「協議のうえ定める」
    2. 「甲は乙に対し異議を述べない」
    3. 「工期は目安とする」
    4. 保証の除外事項
  11. 署名する前の最終確認
    1. 分からない条項は聞く
    2. 口約束は書面にする
  12. 工事が終わったあとに残すもの
    1. 次の工事のときに効いてくる
    2. 家を売るときにも使える
  13. よくある質問
    1. 契約書が1枚だけです
    2. 収入印紙は誰が貼りますか
    3. 着工後に金額が増えると言われました
    4. 工期が大幅に遅れています
    5. 契約を取り消したくなりました
    6. 金額が小さければ契約書は要りませんか
    7. 知り合いの業者でも契約書は要りますか
    8. 保証書は契約書と別ですか
  14. まとめ

結論:書く項目は法律で決まっている

先に要点を示します。

  • 建設工事の請負契約書には、15項目を記載することが求められています
  • 書面は着工前に、双方が署名または記名押印して交付します
  • とくに不可抗力の扱いと紛争の解決方法は、あとから効いてきます
  • 北海道では天候による工期の変更の定めが実際に問題になります

契約書を見るとき、金額と日付以外に何が書かれているかを確かめてください。

この記事で扱わないこと

建設業法が定める15項目

契約書の書類

建設業法第19条第1項は、建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないと定めています。掲げられているのは次の事項です。

番号 記載事項
1 工事内容
2 請負代金の額
3 工事着手の時期及び工事完成の時期
4 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
5 前払金又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その時期及び方法
6 設計変更・着手の延期・中止の申出があった場合の工期の変更、代金の変更、損害の負担及び算定方法
7 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法
8 価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め
9 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担
10 注文者が資材を提供し、又は機械を貸与するときは、その内容及び方法
11 完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
12 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
13 契約不適合を担保すべき責任又はその履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の定めをするときは、その内容
14 履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
15 契約に関する紛争の解決方法

16番目に「その他国土交通省令で定める事項」という項目もありますが、内容は省令に委ねられています。実務で確認するのは、上の15項目です。

書面の形はひとつではない

「契約書」という1通の書類にすべてが収まっているとはかぎりません。約款が別紙になっていることもあります。その場合は、約款も一緒に受け取っているかを確認してください。

大切なのは書式ではなく、15項目が書面として交付されているかです。表題が何であれ、内容がそろっていれば足ります。

契約の締結に際して交付する

条文は「契約の締結に際して」書面を交付するとしています。工事が始まってから書面が出てくる、あるいは終わってから精算書だけが届くという進め方は、この定めに沿っていません。

変更するときも書面にする

同条第2項は、請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないと定めています。

つまり、追加工事や工期の変更も、口頭では済ませないという建て付けになっています。工事の途中で内容が変わったときは、この規定を思い出してください。

出典:e-Gov法令検索「建設業法」(昭和24年法律第100号)

とくに確認したい項目

書類を読む

15項目のうち、実際に問題になりやすいものを見ていきます。

契約書でとくに見ておく項目
契約書でとくに見ておく項目

工事内容(1番)

もっとも曖昧になりやすい項目です。「外壁塗装工事 一式」だけでは、何をするのかが特定できません。

見積書の内訳が契約書に添付されているかを確認してください。使う塗料の製品名、塗る部位、工程の数が分かる形になっていれば、あとから「それは含まれていない」という話になりにくくなります。

工事内容の欄に、最低限次のことが分かる形になっているかを見てください。

  • どこを塗るか(外壁のみか、屋根・付帯部を含むか)
  • 何を使うか(下塗り材と上塗り材の製品名)
  • どう塗るか(工程の数)
  • 下地の処理(洗浄、ひび割れ補修、シーリング)
  • 含まれない作業(別途になるもの)

最後の項目も重要です。「含まれないもの」が明記されていれば、あとから追加を求められたときに確認できます。見積書の見方は見積書はどこを見る?にまとめています。

着手と完成の時期(3番)

着工日と完成日を書く項目です。「天候により変動」とだけ書かれている場合、いつまでに終わるのかが分かりません。

予定として書いたうえで、変更があった場合の扱いを6番と7番で定めるという構成が自然です。日付が入っていない契約書は、確認する理由になります。

支払の時期と方法(5番・12番)

前払金や中間金を設定する場合は、その時期と方法を書きます。全額を着工前に支払うという条件は、慎重に考えてください。

着手金、中間金、完成後の残金という分け方が一般的です。それぞれいくら、いつ支払うのかが書かれているかを確かめてください。

「完成後」がいつを指すのかも決めておく必要があります。足場を解体した日か、検査が終わった日か、引渡しの日か。11番の検査と引渡しの項目と合わせて読むと、支払いのタイミングがはっきりします。

設計変更・中止のとき(6番)

工事の途中で内容が変わる場面はあります。洗浄したら下地の傷みが分かった、という場合がその典型です。

この項目には、工期の変更、代金の変更、損害の負担、それらの額の算定方法を書くとされています。「協議のうえ定める」だけでも書式としては成立しますが、着手前に見積もりを出して合意するという手順まで書いておくと、進めながら金額が増える事態を避けられます。

天災その他不可抗力(7番)

北海道でとくに意味を持つ項目です。大雪、暴風、地震で工事が止まった場合の扱いを定めます。

足場が立ったまま冬に入った場合の費用をどちらが負担するのか。再組立てが必要になったらどうするのか。これらは、実際に起きてから話し合うと難しくなります。

検査と引渡し(11番)

完成をどう確認し、いつ引き渡すかを定める項目です。施主が立ち会って確認する機会があるかが要点になります。

足場を解体すると、手直しが難しくなります。足場があるうちに確認する場を設けられるかを相談しておくと、あとの負担が減ります。

ただし、施主が足場に上がるものではありません。気になる箇所を伝えて、その部分の写真を撮ってもらうという形になります。確認の方法まで決めておくと、当日の食い違いが減ります。

契約不適合責任(13番)

仕上がりが契約の内容に適合しない場合の責任について、定めをするときはその内容を書くとされています。保証書と混同されやすい項目です。

保証は業者が任意に付けるもの、契約不適合責任は契約に基づくものです。両方について、範囲と期間を確認してください。保証の読み方は塗装の保証とアフター点検で扱っています。

紛争の解決方法(15番)

最後の項目ですが、軽視できません。話がこじれたときに、どこへ持ち込むかを決めておくものです。

この項目が書かれていない契約書は、15項目を満たしていないことになります。書式として整っているかどうかの、ひとつの目印にもなります。

実務では、話し合いで解決しない場合の手続きを定めておく形が一般的です。どこの機関を使うのか、どの裁判所を選ぶのかといった内容が入ります。読み飛ばしがちな条項ですが、必要になる場面ではここだけが頼りになります。

契約の原則

打ち合わせの様子

建設業法には、契約の進め方についての原則も定められています。

対等な立場で公正に

建設業法第18条は建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならないと定めています。15項目の書面交付は、この原則を具体化したものという位置づけです。

不当に低い請負代金は結べない

同法第19条の3第1項は注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならないと定めています。

これは注文する側に向けられた規定です。過度な値引きを求めることは、法の考え方に沿いません。安全にかかる費用まで削られれば、結果として工事の質に返ってきます。

著しく短い工期は結べない

同法第19条の5第1項は注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないと定めています。第2項では、建設業者の側にも同じ内容が定められています。

「来週までに終わらせてほしい」という要望が、工程上無理であれば、それは結べない契約ということになります。急がせることが自分の不利益になるという点は、押さえておいてください。

解体を伴う工事では項目が増える

建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)第13条第1項は、対象建設工事の請負契約について建設業法第19条第1項に定めるもののほか、分別解体等の方法、解体工事に要する費用その他の主務省令で定める事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないと定めています。

外壁の張り替えや屋根の葺き替えを伴う場合、この規定が関わることがあります。塗装だけの工事で対象になるかどうかは、工事の内容と規模によります。該当するかどうかは、業者に確認してください。

出典:e-Gov法令検索「建設業法」(昭和24年法律第100号)e-Gov法令検索「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(平成12年法律第104号)

残りの項目も見ておく

先に挙げなかった項目にも、確認する意味のあるものがあります。

工事を施工しない日(4番)

作業をしない日や時間帯を定める項目です。日曜は休む、朝8時前と夕方6時以降は作業しないといった取り決めがここに入ります。

近隣への配慮という面でも意味があります。在宅で仕事をしている、小さな子どもがいるといった事情があれば、この項目で調整できます。

価格等の変動(8番)

材料の価格が大きく変わった場合の扱いを定める項目です。契約から着工までに時間が空く場合に関わります。

春に契約して秋に着工するといった進め方では、この条項がどうなっているかを見ておいてください。

資材の提供(10番)

施主が材料を用意する場合の項目です。塗料を自分で買って支給するといったケースは一般的ではありませんが、色見本や部材を持ち込む場合に関わることがあります。

遅延利息と違約金(14番)

支払いが遅れた場合、工事が遅れた場合の取り決めです。一方にだけ重い定めになっていないかを見てください。

施主の支払い遅延には利息がつくのに、業者の工期遅延には何の定めもない、という構成であれば、確認する理由になります。

電子契約の場合

近年は、書面ではなく電子的な方法で契約することもあります。

法律にも定めがある

建設業法第19条第3項は、書面の交付に代えて当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を講ずることができるとしています。措置を講じた者は、書面の交付を行ったものとみなされます。

方法が電子になっても、記載すべき事項は同じです。15項目が満たされているかを確認する点は変わりません。相手方の承諾が前提になっている点も、押さえておいてください。

控えが手元に残るか

紙と違い、電子の場合はあとから自分で開けるかどうかが重要になります。PDFで受け取る、印刷して保管するといった形で、手元に残してください。

契約から10年以上たってから見返すことがあります。そのときに開けない形式で保存していないかを確かめておいてください。

出典:e-Gov法令検索「建設業法」(昭和24年法律第100号)

北海道で効いてくる条項

冬の住宅と工事

寒冷地では、いくつかの項目が実際の場面につながります。

冬季中断の扱い

秋に着工して、天候で遅れて冬に入ることがあります。そのまま中断するのか、翌春に再開するのかを決める必要が出ます。

このとき問題になるのが、足場をどうするかです。残すのか、解体して春に組み直すのか。その費用を誰が負担するのか。7番の不可抗力の項目と、6番の中止の項目に関わります。

足場の考え方は足場代の中身にまとめています。

工期の見込みに幅を持たせる

北海道の施工期は限られています。予定どおりに進まない前提で工期を組むほうが、結果的に無理がありません。

契約書の完成時期を厳しく設定しすぎると、天候待ちができなくなります。条件が整わない日に無理に塗れば、仕上がりに影響します。時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期で扱っています。

落雪と第三者への損害

9番の項目は、工事によって第三者が損害を受けた場合の賠償の負担を定めるものです。足場からの落下物、飛散した塗料、除雪の障害といった場面が考えられます。

業者が損害賠償責任保険に加入しているかどうかは、あわせて確認する価値があります。契約書の項目とは別に、証書の写しを見せてもらうという方法があります。

近隣の車や建物に被害が出た場合、対応するのは業者です。ただし施主が発注した工事である以上、話が持ち込まれるのは施主のところからという場面もあります。備えがあるかどうかを知っておくと安心です。

見積書と契約書の関係

見積書と契約書

この2つは役割が違います。混同すると、あとで話がずれます。

見積書 契約書
役割 金額と内訳を示す 権利と義務を定める
署名 不要なことが多い 双方が署名または記名押印
拘束力 提示にとどまる 契約として拘束する
手元に残るもの 提出された1通 相互に交付した控え

見積書に細かく書かれていても、契約書と結びついていなければ、契約の内容として特定されているとはかぎりません。

見積書を契約書に添付する

もっとも簡単な方法は、見積書を契約書の添付書類として明記することです。「別紙見積書のとおり」と工事内容の欄に書かれていれば、内訳が契約の内容に取り込まれます。

添付されていない場合、契約書の「工事内容」欄だけで工事の範囲が決まります。そこに「外壁塗装一式」としか書かれていなければ、細かい約束は残りません。

内訳の見積書は請求できる

建設業法第20条第1項は、建設業者に対して工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費及び当該建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるものその他当該建設工事の施工のために必要な経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した建設工事の見積書を作成するよう努めなければならないとしています。

作成については努力義務ですが、交付については踏み込んだ定めがあります。同条第4項は建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならないとしています。

つまり、注文する側が請求すれば、内訳を記載した見積書の交付を求められるという建て付けです。一式見積もりだけで話が進む場面では、内訳を求める根拠になります。

値引きの求め方にも線がある

同条第6項は、注文者に対してその材料費等の額について当該建設工事を施工するために通常必要と認められる材料費等の額を著しく下回ることとなるような変更を求めてはならないとしています。

値引きの交渉そのものが禁じられているわけではありません。材料と人にかかる費用を、必要な水準を著しく下回るところまで削らせてはならないということです。

出典:e-Gov法令検索「建設業法」(昭和24年法律第100号)

契約の前にそろえるもの

書類をそろえる

署名する前に、手元にそろっているとよいものを整理します。

  1. 見積書(内訳が分かるもの)
  2. 契約書と約款
  3. 工程表(いつ何をするか)
  4. 使用する材料の資料(製品名が分かるもの)
  5. 保証の条件(範囲と期間)
  6. 連絡先(現場責任者と会社の窓口)

すべてがそろわないと契約できない、というものではありません。ただし1番と2番がない状態で署名するのは避けてください。

控えを受け取る

契約書は、双方が署名または記名押印して相互に交付するものとされています。つまり施主の手元にも1通残ります。

その場で預けたまま、控えを受け取っていないという状態にならないよう確認してください。あとで内容を確かめる手立てがなくなります。

その場で決めない

契約書を渡されたら、持ち帰って読む時間をとってください。読む時間を与えられない進め方は、それ自体が判断材料になります。

訪問販売による契約の場合、法律で定められた書面を受け取った日から一定の期間内であれば、クーリング・オフができる場合があります。詳しくは訪問販売への対応で扱っています。

約款でよく問題になる書き方

約款の条文には、読み方によって意味が変わるものがあります。

「協議のうえ定める」

もっともよく出てくる表現です。それ自体は普通の書き方ですが、協議が整わなかったときにどうなるかが書かれていないと、決着がつきません。

15項目の最後にある「紛争の解決方法」が、その受け皿になります。両方が書かれてはじめて機能するという関係です。

「甲は乙に対し異議を述べない」

施主側の権利を制限する表現が入っていることがあります。どの範囲について異議を述べないのかを確かめてください。

すべての場面に及ぶ書き方であれば、確認する理由になります。意味が分からないまま署名しないことが大切です。

「工期は目安とする」

天候に左右される工事なので、幅を持たせること自体は自然です。ただし期限がまったくない状態にはしないでください。

「着工から〇日以内、ただし天候による中断日数は算入しない」といった形なら、幅を持たせつつ枠は残ります。

保証の除外事項

保証書の条件に、除外される場合が並んでいることがあります。経年劣化、天災、第三者による損傷といった内容が一般的です。

問題になるのは、除外の範囲が広すぎて何も残らない書き方になっている場合です。何が対象で何が対象外かを、具体的に確認してください。

署名する前の最終確認

署名する手元

15項目を1つずつ照合するのは大変です。実務的な確認の順序を示します。

署名する前に見る順序
署名する前に見る順序
  1. 会社名と所在地が正しいか
  2. 建設業許可の番号が記載されているか(許可を受けている場合)
  3. 金額が見積書と一致しているか
  4. 工事内容が見積書と結びついているか
  5. 着工と完成の日付が入っているか
  6. 支払の時期が具体的か
  7. 約款が添付されているか
  8. 紛争の解決方法の条項があるか

2番については、500万円未満の工事では建設業の許可がなくても請け負えます。許可がないこと自体が問題とはかぎりません。許可の考え方は外壁塗装業者の選び方で扱っています。

分からない条項は聞く

約款には、専門的な表現が並びます。意味が分からない条項があれば、その場で聞いてください。

説明を求めたときの応じ方も、判断材料のひとつです。「決まり文句なので気にしないでください」という答えは、説明になっていません。

口約束は書面にする

打ち合わせで決めたことが、契約書に反映されていないことがあります。「この部分もやってもらえる」と聞いた内容は、書面に入っているかを確かめてください。

書き足すのが難しければ、覚書という形もあります。メールのやりとりを残しておくだけでも、記録としては意味があります。

工事が終わったあとに残すもの

保管された書類

契約書は、工事が終わっても捨てないでください。

書類 使う場面 保管の目安
契約書・約款 不具合が出たとき 次に塗り替えるまで
見積書・内訳書 次回の比較 次に塗り替えるまで
工程写真 下地の状態の記録 次に塗り替えるまで
保証書 保証を使うとき 保証期間+α
領収書 費用の記録 必要に応じて

次の工事のときに効いてくる

10年後に塗り替えを考えるとき、前回何を使ったかが分かっていれば、判断が速くなります。下塗り材の種類、塗料の製品名、補修した箇所の記録がそろっていれば、次の業者への説明も簡単です。

手元にない場合は、今の外壁の状態から推測することになります。それでも工事はできますが、手がかりが多いほど判断は確かになります。

家を売るときにも使える

住宅を売却する場面では、いつどんな修繕をしたかという記録が資料になります。外壁の塗り替えは、その中でも分かりやすい項目です。

まとめてファイルに入れておくだけで済みます。デジタルで保存する場合は、契約書と写真を同じ場所に置いておいてください。

よくある質問

契約書が1枚だけです

15項目が1枚に収まることは考えにくく、約款が別にあるかどうかを確認してください。それもない場合は、記載事項が足りていない可能性があります。

収入印紙は誰が貼りますか

請負契約書には印紙税がかかる場合があります。どちらが負担するかは当事者間の取り決めによります。契約書に定めがあるかを見てください。

着工後に金額が増えると言われました

6番の項目に、変更があった場合の扱いが定められているはずです。着手前に見積もりを出して合意する手順になっているかを確認してください。合意なく進んだ追加工事の扱いは、争いになりやすい部分です。

工期が大幅に遅れています

まず原因を確認してください。天候によるものか、段取りによるものかで、契約上の扱いが変わります。7番と14番の条項がどうなっているかを見てください。

契約を取り消したくなりました

訪問販売による契約であれば、クーリング・オフができる場合があります。それ以外の場合は、契約の内容と経緯によります。お住まいの自治体の消費生活センターや消費者ホットラインに相談できます。

金額が小さければ契約書は要りませんか

金額の大小にかかわらず、書面で内容を確認しておくほうが安全です。部分補修であっても、何をいくらでやるのかが書かれていれば、あとの行き違いが減ります。

知り合いの業者でも契約書は要りますか

知り合いだからこそ、書面にしておく意味があります。関係が近いほど、金額や範囲の話をしにくくなるためです。書面があれば、そこを読むだけで済みます。

保証書は契約書と別ですか

別の書類として渡されるのが一般的です。ただし契約書の13番の項目に、保証に関する定めが書かれていることがあります。両方を照らして確認してください。

出典:国民生活センター「クーリング・オフ」消費者庁「消費者ホットライン」

まとめ

建設工事の請負契約書には、15項目を記載することが建設業法で定められています。金額と日付だけの1枚は、その要件を満たしていません。

とくに見ておきたいのは、工事内容、設計変更や中止のときの扱い、天災その他不可抗力の扱い、紛争の解決方法です。どれも、順調に進んでいるうちは使わない条項ですが、必要になったときには決定的に効いてきます。

北海道では、天候による工期の変更と、冬をまたぐ場合の足場の扱いが現実に問題になります。着工前に決めておいてください。

約款に分からない条項があれば、その場で聞いてください。説明を求めたときの応じ方も、判断材料のひとつです。

そして、契約書は持ち帰って読んでください。その場で署名を求められる進め方には、応じる必要がありません。

契約書で確認したい保険と第三者への対応については、工事中の事故と近隣への損害にまとめています。

塗装後に出た膨れや剥がれの原因の切り分けは膨れ・剥がれの原因と対処にまとめています。

本記事は建設工事の請負契約書に関する一般的な整理で、個別の契約の効力・適法性・紛争の見通しを判断するものではありません。法令の適用は工事の内容・規模・当事者によって異なります。契約内容に不安がある場合は、お住まいの自治体の消費生活センター、消費者ホットライン(188)、または弁護士等の専門家にご相談ください。

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