最終更新:2026年9月9日公開:2026年8月17日編集方針と検証の手順
マンションの掲示板に外壁塗装の予定が貼り出された。ベランダの物を片づけるように書いてある。いつまで、どこまで片づければいいのか分からない、という状態はよくあります。
戸建ての外壁塗装とは、そもそも仕組みが違います。マンションでは、やるかどうかも、いつやるかも、住んでいる人が個別に決められません。それなのに、暮らしのほうは確実に変わります。
この記事は、区分所有法と国が示している標準管理規約をもとに、誰が決めているのか、自分の側で何が起きるのかを整理したものです。費用の相場や塗料の選び方は別の記事で扱っています。
なお、決議の要件や管理の分担は規約で別段の定めができます。ここに書いたのは国が示している標準的な形なので、最後は自分のマンションの規約を確かめてください。
結論:決めるのは管理組合で、断ることはできません

先に結論を書きます。分譲マンションの外壁塗装は共用部分の工事なので、区分所有者が集まって決めるものであって、一戸ずつ選ぶものではありません。
賃貸で住んでいる場合は、決定からさらに遠くなります。議決権はなく、工事を断ることもできません。
そのうえで、自分の側でできることは残っています。
この記事で扱わないこと
重なる内容は既存の記事へ送ります。費用の目安は費用相場の記事、塗料の選び方は寒冷地の塗料の記事、においの正体と続く期間は塗装のにおいの記事にまとめています。
工程そのものの流れは工事の流れの記事、施工会社の見方は業者の選び方の記事で扱いました。賃貸物件を貸す側の税務は賃貸アパートの記事にあります。
共用部分の工事は集会で決まります

まず、決定の仕組みです。マンションの外壁は共用部分にあたるため、扱いは法律で決まっています。
建物の区分所有等に関する法律の第18条は、「共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する」と定めています。集会というのは、実務でいう総会のことです。
その前の第17条は「共用部分の変更」を扱っていて、こちらは決議の要件が重くなります。ただし条文には「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く」という括弧書きが付いています。
塗り替えは、色や形を大きく変えるものでなければ、著しい変更にはあたらないと考えられます。その場合は第18条の管理として、通常の決議で進むことになります。
| 比べる点 | 戸建て | 分譲マンション |
|---|---|---|
| やるかどうかを決める人 | 所有者本人 | 区分所有者の集会(総会) |
| 時期を決める人 | 所有者本人 | 管理組合と施工会社 |
| お金の出どころ | 自分で用意する | 修繕積立金 |
| 施工会社を選ぶ人 | 所有者本人 | 管理組合(管理会社が候補を出すことが多い) |
| 断れるか | 断れる | 断れない |
| 足場が立つ範囲 | 自分の家だけ | 建物全体 |
この表の右側では、自分で動かせる項目がほとんどありません。だからこそ、決まったあとの過ごし方を先に知っておく意味があります。
専有部分と共用部分の境目
「自分の部屋の窓なのに共用部分」という話に戸惑うことがあります。ここは線の引き方を知っておくと理解しやすくなります。
専有部分は、部屋の内側です。壁や床、天井の内側の仕上げや、部屋のなかの設備がここに入ります。
一方で、建物を成り立たせている部分は共用部分になります。外壁、屋根、廊下、階段のほか、窓枠と窓ガラスもここです。
窓は、自分しか使わないのに共用部分という扱いになります。外から見える面が建物全体の一部だからです。そのため塗り替えの対象にも入ってきます。
玄関扉は少し特殊です。標準管理規約は錠と内部塗装部分だけを専有部分とし、外側は共用部分として扱います。錠と内側の塗装だけが自分、それ以外は管理組合という分け方です。
この線引きは、標準管理規約では第7条第2項に書かれています(共用部分の範囲そのものは別表第2)。自分のマンションではどう書かれているのかを、一度見ておいてください。
決議の要件は規約で変えられます
法律が示しているのは原則で、実際の要件は自分のマンションの規約に書いてあります。法律の側にも、規約で別段の定めができるとする規定が置かれています。
総会の案内が来たら、議案がどの決議にあたるのかを見てください。分からなければ、管理組合の理事会か管理会社に聞くのが早い方法です。
賃貸で住んでいる人は工事を断れません
借りて住んでいる場合、議決権はありません。加えて、工事そのものも拒めない仕組みになっています。
民法第606条第2項は、「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない」と定めています。外壁の塗り替えは建物を保たせるための工事なので、ここに入ります。
ただし、逃げ道がないわけではありません。第607条は、賃借人の意思に反して保存行為が行われ、そのために借りた目的を達することができなくなるときは、賃借人が契約を解除できるとしています。これは「不便だから解除できる」という意味ではなく、住めないという水準の話です。
総会で意見を述べることはできます
議決権がないことと、何も言えないことは別です。区分所有法第44条第1項は、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができるとしています。
標準管理規約第45条第2項も同じ内容で、あらかじめ理事長にその旨を通知することを求めています。外壁塗装はバルコニーへの立ち入りや洗濯物に直接かかわるので、利害関係は認められやすい論点です。
ただし、総会で述べられるのは工事の進め方についての意見です。日程や作業に関する日々の困りごとは、貸主か、物件を管理している会社に伝えてください。
工事のお知らせが貸主から来ていないなら、まずそこを確かめてください。分譲マンションの一室を借りている場合、貸主にも管理組合から通知が届いています。
バルコニーは自分のものではありません

ここがいちばん誤解されるところです。バルコニーは専有部分ではなく、共用部分として扱われます。持っているのは所有権ではなく、そこを自分だけが使ってよいという権利です。

国土交通省が示しているマンション標準管理規約の第14条は、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭、屋上テラスについて、区分所有者が「専用使用権を有すること」を承認すると定めています。
同じ条文の第3項は、部屋を借りている人も、その区分所有者が専用使用権を持つバルコニー等を使えるとしています。
塗り替えは管理組合の仕事だと決まっています
では、そのバルコニーを誰が直すのか。規約の第21条は、敷地及び共用部分等の管理は「管理組合がその責任と負担においてこれを行う」と定めています。
ただし書きで、バルコニー等の保存行為のうち「通常の使用に伴うもの」だけが専用使用権者の負担になります。規約のコメントは、これをバルコニーの清掃や窓ガラスが割れたときの入替えと説明しています。
コメントはさらに、「バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わなければならないのは、計画修繕等である」と続けます。経年劣化への対応も、管理組合が計画修繕として行うものとされています。
ただしコメントには続きがあります。ガイドラインの修繕周期に比べて短い期間で起きた劣化で、かつ他のバルコニー等と比べて劣化の程度が目立つ場合は、特段の事情がない限り専用使用権者の負担になるとしています。もっともコメントは、この場合でも計画修繕の中で劣化が解消されるのであれば管理組合の負担になるとも書いています。外壁塗装のようにまとめて直る工事では、そこで負担が分かれることは通常ありません。
だから工事の人はバルコニーに入ります
外壁塗装は計画修繕にあたるので、バルコニーの側の塗り替えも管理組合の工事に含まれます。作業のために人が入るのは、規約が想定している状態です。
とはいえ、いつ入るのかを知らされないまま入られれば驚きます。立ち入る日を事前に知らせてもらえるかは、確かめておく価値があります。説明会や工事のお知らせで日程が示されるのが一般的な進め方です。
バルコニーに入る日、私物をどこまで片づけるのか、置いたままでよいものは何か。この3つは着工前に文書で示されることが多い項目です。示されていなければ、管理組合か施工会社に聞いてください。
出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント」
「12年ごと」は義務ではなく目安です
マンションの外壁塗装について、「国が12年周期と定めている」という説明を見かけます。ここは正確に押さえておく価値があります。

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインには、たしかに年数が出てきます。コメントのなかで「外壁の塗装や屋上防水などを行う大規模修繕工事の周期は部材や工事の仕様等により異なりますが、一般的に12〜15年程度」と書かれています。
「修繕周期の設定」のコメントに載っている「修繕周期の例」という表にも、外壁塗装が12〜15年として並んでいます。ただし、これは目安として示されているもので、守るべき周期として定めた規定ではありません。
「2回含まれる期間」はここから導かれています
ガイドラインの説明の順序を見ると、周期が先にあります。「一般的に12〜15年程度ですので、見直し時には、これが2回含まれる期間以上とします」という書き方です。
計画期間そのものは「計画期間は、30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とします」と定められています。この条件は、先に決めた計画期間から周期を割り出したのではなく、12〜15年という周期を前提に出てきたものです。もう一方の「30年以上」は別の根拠で、コメントは新築時について「経年が30年程度において実施が見込まれる昇降機設備の取替えなどを含めた期間以上とします」と説明しています。
つまり「12年」は、ガイドラインが挙げている幅の下限にあたる数字です。それを超えたら手遅れという意味ではありません。
周期は自分のマンションで決めるものです
ガイドラインは周期の決め方について、「修繕周期は、新築マンションの場合、推定修繕工事項目ごとに、マンションの仕様、立地条件等を考慮して設定します」と書いています。既存のマンションでは、さらに調査と診断の結果にもとづいて設定するとしています。
標準様式のほうを見ると、外壁塗装の修繕周期の欄は空欄で「年」の単位だけが置かれています。各マンションが自分で埋める前提になっているということです。
立地条件を考慮する、と書いてあるところが北海道では効いてきます。凍結と融解が繰り返される地域では、同じ仕様でも劣化の進み方が変わります。
ちなみにガイドラインは、大規模修繕工事を「建物の全体又は複数の部位について行う大規模な計画修繕工事(全面的な外壁塗装等を伴う工事)」と定義しています。全面的な外壁塗装を行う工事が大規模修繕にあたるという整理です。
出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン(コメント含む)」
北海道では工事できる期間が限られます

ここから北海道の事情です。塗装には気温と湿度の条件があるため、道内で条件がそろう日は春から秋に集まります。
戸建てなら数週間で終わるので、その期間に収めやすくなります。マンションは規模が大きく工程も多いので、収まらないことがあります。
そうなると、年をまたいで工事を分ける、冬のあいだ中断するといった進め方が出てきます。月ごとの向き不向きは塗装の時期の記事にまとめました。
足場が長く立つことがあります
中断をはさむ場合、足場をどうするかという問題が出ます。外したうえで翌春に組み直すのか、立てたまま冬を越すのかで、費用も暮らしへの影響も変わります。足場の考え方は足場費用の記事で扱っています。
雪と一緒に工程が動きます
春の着工は雪解けの進み方に左右されます。予定より遅れることを前提に、日程をきっちり決めすぎないほうが楽です。秋の終わりに近づくと乾燥に時間がかかるので、工程の後半が押していれば翌春に回す判断も出ます。
相談と契約は冬のうちに動いています
工事できる期間が春から秋に集まる以上、施工会社の予定もそこに集中します。管理組合の側は総会の時期から逆算して動くので、総会が春なら施工会社の選定はその前の冬に進んでいるはずです。
区分所有者として関わるなら、議案が出てからではなく、検討が始まった段階で情報を見ておくほうが意見を出しやすくなります。理事会の議事録に動きが出ています。
外壁の仕上げが違っても考え方は同じです
マンションの外壁は、吹き付けの仕上げやタイル貼りなど、戸建てと仕上げが違うことがあります。それでも、塗料が乾く条件は変わりません。
タイル貼りの部分は塗装ではなく、目地の補修や浮きの手当てが中心になります。どこにどの工事をするのかは着工前の調査で決まり、総会の議案や説明会の資料に部位ごとの数量が載っているはずです。
決まってから終わるまでの流れ

総会で決まったあと、居住者の側で何が起きるのかを時系列で並べます。細かい日程はマンションごとに違うので、順番のほうを覚えてください。
| 段階 | 誰が動くか | 自分がすること |
|---|---|---|
| 総会の決議 | 管理組合 | 区分所有者なら議案を読んで出席する。賃貸でも利害関係があれば理事長に通知して出席できる |
| 施工会社の決定 | 管理組合・管理会社 | 特になし。総会の報告を確認する |
| 説明会 | 施工会社 | 日程・片づけの範囲・窓口を確かめる |
| 着工前の調査 | 施工会社 | 室内側で気づいていることがあれば伝える |
| バルコニーの片づけ | 居住者 | 指定された日までに私物を移す |
| 足場の設置 | 施工会社 | 窓の施錠を徹底する |
| 洗浄・下地補修・塗装 | 施工会社 | 洗濯物と窓の開閉を日程に合わせる |
| 検査・足場の解体 | 施工会社・管理組合 | 気になる箇所があれば期間内に伝える |
自分が動く場面は、片づけと窓の管理と、気づいたことを伝えることに集中しています。
工事が終わったあとに確認すること
足場が外れる前後が、外まわりを確かめられる区切りになります。組まれているうちはシートで高いところが見えず、解体が終わればそこには近づけません。
解体の前後で、自分の部屋のバルコニーと窓まわりを見てください。塗り残し、養生テープの跡、動かした私物が元に戻っているか。この3つは自分で確かめられます。
気づいたことを受け付ける期間が決まっていることも多いので、早めに伝えてください。保証の範囲と点検の考え方は保証とアフター点検の記事にまとめました。
説明会で聞いておくこと

着工前に説明会が開かれるのが一般的な進め方です。ここで聞き逃すと、あとから個別に確かめることになります。資料に書いていない項目は、自分から聞くしかありません。
- バルコニーに立ち入る日 … 全日程のうち、どの日に人が入るのか。事前に知らせてもらえるのかも合わせて聞きます
- 片づけの期限と範囲 … いつまでに、何を移すのか。置いたままでよいものがあるかも確かめます
- 洗濯物を外に干せない期間 … 足場とシートがかかっている全期間なのか。とくに干せない日はいつか
- 窓を閉める日 … 高圧洗浄と塗装の日程。換気ができない日が何日あるか
- 困ったときの連絡先 … 現場責任者の名前と連絡方法。管理会社を通すのか直接でよいのか
あわせて、日程表を紙かデータでもらってください。口頭だけだと、あとで確かめようがありません。
資料が後日配られることが多いのですが、質疑応答の内容までは残らないことがあります。管理組合や管理会社に、要点をまとめたものが出るかを聞いてみてください。賃貸で住んでいる場合は、貸主に資料が届いているかを確かめます。
着工前にやっておくこと

片づけは早めに始めたほうが楽です。指定日の直前だと置き場所に困ります。
- バルコニーの私物 … 物干し竿、すのこ、収納庫、自転車。室内に入らないものは、いつまでに移すのかを先に聞いておきます
- 植木鉢 … 数が多いと運びきれません。処分するものと残すものを分けておきます
- エアコンの室外機 … 施工会社が動かす場合と、そのまま養生する場合があります。運転できない日があるかを確かめます
- 網戸 … 外して預けることがあります。戻ってくる時期を聞いておきます
- 貴重品と壊れやすいもの … 人が入る前提なので、置いたままにしません
バルコニーの防水そのものは塗装と別の工事です。バルコニー防水の記事に分けてまとめました。
工事中に変わること

足場とシートが建物を覆うので、暮らしのほうも変わります。期間が長い分、影響を受ける日数も多くなります。
- 洗濯物 … 外に干せない日があります。全期間なのか、洗浄と塗装の日だけなのかを説明会で確かめておきます
- 窓の開閉 … 閉めきりになる日と、養生で開けられない期間があります。日程表が配られるのが一般的です
- 日当たり … シートで覆われるため、室内が暗くなります
- 視線 … 足場に人が上がるので、カーテンを閉める時間が増えます
- 音 … 洗浄機や足場の組立ての音が出ます。在宅で仕事をしているなら、日程を先に押さえておきます
においについては、塗料の種類と工程で強さも期間も変わります。塗装のにおいの記事で、正体と対処をまとめました。
音とにおいが強い日は工程で決まっています。日程表をもらったうえで、影響の大きい日を先に把握しておくと予定を組み替えられます。心配があれば、説明会の場で伝えておいてください。
困ったときはどこに言うか
言う先を間違えると話が進みません。役割が分かれているので、内容で分けてください。
| 言う先 | 扱うこと | 向かないこと |
|---|---|---|
| 施工会社の現場責任者 | 作業のやり方、立ち入りの連絡、片づけの範囲 | 工事をやるかどうかの話 |
| 管理会社 | 日程の周知、居住者からの取次ぎ | その場での工事内容の変更 |
| 管理組合の理事会 | 工事の範囲や進め方についての意見 | 個別の作業への即時対応 |
| 貸主(賃貸の場合) | 住み続けられるかに関わること | 共用部分の工事内容そのもの |
作業のやり方で気になることは、まず現場の責任者に言うのが早い方法です。解決しないときに、管理会社や理事会へ上げてください。
物を壊されたときの扱い
工事で私物や建物が傷ついた場合、施工会社が入っている保険で扱われることがあります。写真を撮り、いつ気づいたのかを添えて伝えてください。
工事中の事故と損害の責任の考え方は工事中の事故の記事にまとめました。
積立金が足りないと言われたら
総会で「修繕積立金が不足している」と説明されることがあります。ここで出てくる選択肢は限られます。
- 一時金を集める … 区分所有者が追加で負担します
- 借入れをする … 管理組合として借り、積立金から返します
- 工事の範囲を分ける … 急ぐ部位を先に行い、残りを次の機会に回します
- 積立金の額を見直す … 次の工事に向けて月額を上げます
どれを選ぶにしても決めるのは総会です。金額の話が出たときは、何をどこまでやる前提の金額なのかを確かめてください。
自治体によっては共同住宅向けの制度が用意されていることがあります。探し方は補助金の記事にまとめました。
長期修繕計画を見せてもらう
不足しているかどうかは、長期修繕計画と突き合わせないと分かりません。この計画は管理組合が保管しているもので、区分所有者は理由を付した書面で請求すれば閲覧できます(標準管理規約第64条第2項)。
見るところは3つです。計画期間が何年になっているか、次の大規模修繕がいつの想定か、そのときの積立金の残高がどう見込まれているか。
ガイドラインは計画期間を30年以上かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上としています。期間が短い計画だと、2回目の工事が見えないまま積立金の額が決まっていることがあります。
計画は定期的に見直すものとされています。何年も更新されていないなら、そこも総会で聞いてよい話です。
出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン(コメント含む)」/国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント」
よくある質問
マンションの外壁塗装は何年ごとにやるのですか
守るべき周期として国が定めているわけではありません。長期修繕計画作成ガイドラインは目安として「12〜15年程度」を挙げ、計画期間を30年以上かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とするよう定めています。
12年という数字は、ガイドラインが目安として挙げている「12〜15年程度」の下限です。実際の周期は、仕様や立地条件、調査と診断の結果をふまえて各マンションが決めます。
工事の人がベランダに入るのは問題ないのですか
バルコニーは共用部分で、区分所有者が持っているのは専用使用権です。標準管理規約は、バルコニー等の計画修繕を管理組合の責任と負担で行うものと定めています。
ですから、外壁塗装で作業者が入ること自体は想定されています。入る日を事前に知らせてもらえるかは、説明会や工事のお知らせで確かめてください。
自分の部屋のところだけ断れますか
共用部分の工事なので、一戸だけ外すことはできません。足場も建物全体に組むため、範囲を部屋単位で区切る前提になっていません。
作業のやり方や日程について要望を伝えることはできます。やるかどうかとは分けて話してください。
賃貸で住んでいますが断れますか
断れません。民法第606条第2項が、賃貸人が保存に必要な行為をしようとするときは賃借人はこれを拒めないと定めています。
ただし、賃借人の意思に反する保存行為で借りた目的を達することができなくなるときは、第607条により契約を解除できます。不便という水準ではなく、住めないという水準の話です。
洗濯物はどれくらい干せなくなりますか
期間はマンションの規模と工程で変わるため、一律には言えません。足場とシートがかかっている間は外干しが難しく、洗浄と塗装の日はとくに干せないと考えておいてください。
日程表が配られるのが一般的です。もらっていなければ、施工会社か管理会社に聞いてください。
工事の費用は誰が払うのですか
分譲マンションでは修繕積立金から出ます。個別に請求されるのは、積立金が足りず一時金を集めることになった場合です。
賃貸で住んでいる人が工事費を負担することはありません。負担するのは所有者の側です。
北海道では冬に工事が止まりますか
止まることがあります。塗装には気温と湿度の条件があり、道内で条件がそろう日は春から秋に集まるためです。
規模が大きいマンションでは、年をまたいで分ける進め方も出てきます。足場を外すのか立てたままにするのかで暮らしへの影響が変わるので、確かめておいてください。
窓は開けられますか
工程によります。高圧洗浄の日と塗装の日は閉めることになり、窓に養生がかかっている期間も開閉できません。いつ養生を外してもらえるかは、説明会で確かめておいてください。
換気ができない日が続くと負担になります。日程表をもらって、影響の大きい日を先に把握しておいてください。
塗装の色は自分で選べますか
選べません。共用部分の色なので、総会で決まります。候補が示されてアンケートや説明会で意見を聞く形をとるマンションもあります。
色を大きく変える案は、形状または効用の著しい変更にあたるかどうかが議論になることがあります。議案の書き方を見てください。
駐車場や自転車置き場は使えますか
足場を組む場所や資材を置く場所が要るため、一時的に使えなくなることがあります。建物に近い区画ほど影響を受けます。
移動先が用意されるのか、期間はどれくらいかは、工事のお知らせに書かれているはずです。書かれていなければ管理会社に聞いてください。
管理組合の理事になっていない場合、何ができますか
総会に出席して議決権を使うことができます。委任状や議決権行使書だけで済ませると、意見を伝える機会がなくなります。
賃貸で住んでいる場合、議決権はありませんが、利害関係があるときは理事長に通知したうえで総会に出席して意見を述べることができます。それ以外の困りごとは貸主か管理会社に伝えてください。
まとめ
マンションの外壁塗装は、やるかどうかも時期も、住んでいる人が個別には決められません。共用部分の工事として、集会の決議で決まります。
バルコニーも自分のものではありません。持っているのは専用使用権で、計画修繕は管理組合の責任と負担で行うものと標準管理規約が定めています。作業者が入るのは、その仕組みのなかの話です。
「12年ごと」は守るべき決まりではありません。ガイドラインが目安として挙げているのは12〜15年程度という幅で、実際の周期は仕様と立地条件、調査の結果から各マンションが決めます。北海道では、その立地条件のところが効いてきます。
そのうえで、自分の側でやれることは3つです。片づけの範囲と期限を確かめる。日程表をもらって影響の大きい日を押さえる。困りごとは内容に応じた先へ言う。
この3つは説明会の場でだいたい片づきます。決められないことに気を取られるより、変えられるところに手をかけたほうが、工事の数か月は過ごしやすくなります。
タイル面の浮きや目地の直し方は、外壁タイルのメンテナンスで工法ごとに整理しています。
この記事は工事の請負や診断を行う立場で書いたものではありません。掲載した内容は国が示している標準的な形であり、決議の要件や管理の分担は各マンションの規約で別段の定めができます。実際の取り扱いは自分のマンションの管理規約と総会の決議によります。判断に迷う場合は管理組合、管理会社、または各自治体のマンション相談窓口にご確認ください。

