中古住宅を買う前の外壁チェック|建物状況調査の使い方

業者選びと見積もり

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

中古住宅を検討するとき、内見で見るのはたいてい室内です。間取り、水まわり、収納。ところが、購入後に大きな出費になりやすいのは外側です。外壁の塗り替えは足場が要る工事で、建物の規模や傷み方によっては、屋根とあわせて100万円を超えることもあります(参考値)。

北海道では、これに凍害、すが漏り、雪の影響が加わります。本州の中古住宅と同じ見方では、傷みの意味を読み違えることがあります。

この記事では、国が定めた建物状況調査(インスペクション)の仕組みと、内見のときに自分で見られる箇所を整理します。買う前に何が分かり、何は分からないのかを切り分けるのが目的です。

なお、この記事は不動産の売買を仲介する立場で書いたものではありません。取引の判断は宅地建物取引業者や建築士にご相談ください。

  1. 結論:外側は「買う前」にしか見られない
    1. この記事で扱わないこと
  2. 建物状況調査とは何を調べるものか
    1. 限界も明記されている
  3. 費用と時間の目安
  4. 宅建業者はあっせんの説明をする
    1. 売主が断ることもある
  5. 内見で自分が見られるところ
    1. 室内から分かること
  6. 調査を頼むかどうかの判断
  7. 北海道の中古住宅で先に確かめること
  8. 建築年から外壁材の見当をつける
    1. アスベストの可能性がある年代
  9. 売主に聞いておきたいこと
  10. 買ってすぐに工事が要るかどうかの目安
  11. 調査の結果をどう受け止めるか
  12. 指摘を価格や条件にどう反映するか
  13. 既存住宅売買のかし保険という仕組み
  14. 売り出しの写真だけで判断しない
  15. 2回目の内見で見る場所を変える
  16. 購入後の計画の立て方
  17. 屋根は買う前にいちばん見えない場所
  18. 敷地と近隣の条件も見ておく
  19. 内見のときの持ち物
  20. 引き渡しまでにやっておくこと
  21. よくある質問
    1. 建物状況調査は誰に頼むのですか
    2. 売主が調査を断ったら諦めるしかないですか
    3. 調査をすれば不具合が全部分かりますか
    4. 冬に見た物件はどう判断すればいいですか
    5. 築何年から外壁の工事を見込むべきですか
    6. 外壁がきれいなら安心ですか
    7. リフォーム済みの物件はどう見ますか
    8. 調査の費用は誰が払うのですか
    9. 塗装業者に見てもらうのではだめですか
    10. 調査の結果は次の買主にも引き継げますか
    11. リフォーム費用も住宅ローンに含められますか
  22. まとめ

結論:外側は「買う前」にしか見られない

先に要点を示します。

  • 買ったあとに分かった外壁の傷みは、原則として買主の負担です。ただし契約不適合にあたる場合や、かし保険の対象になる場合は別です
  • 国の制度として建物状況調査があり、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を調べます
  • 費用は物件の規模や実施者によりますが、6万円程度〜が目安、時間は1〜3時間程度とされています
  • ただし調査はすべての瑕疵がないことを約束するものではありません

内見で数十分見ただけで判断するより、調査という選択肢があることを知っておくほうが安全です。

この記事で扱わないこと

建物状況調査とは何を調べるものか

建物を調べる調査員

国土交通省の手引きでは、建物状況調査を次のように説明しています。

建物状況調査で分かること・分からないこと
建物状況調査で分かること・分からないこと
建物状況調査(インスペクション)とは

国の登録を受けた機関が開催する講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、目視や計測、非破壊検査を行います。売主・買主どちらが実施してもかまいません。ただし、買主が実施する場合は売主の同意が必要です。

調査の対象範囲も具体的に示されています。

区分 対象
構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材など)、床版、屋根版、横架材(はり、けたなど)
雨水の浸入を防止する部分 屋根もしくは外壁、またはこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具/雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分

外壁と屋根は、はっきり対象に入っています。ここが、この記事で建物状況調査を取り上げる理由です。

限界も明記されている

同じ手引きには、調査できない箇所がある場合は省略することができます、全ての瑕疵がないことを約束するものではありませんという注記があります。

目視と非破壊が基本なので、壁の中や、雪に埋もれている部分は見られません。万能の検査ではないという前提で使うものです。

出典:国土交通省「既存住宅状況調査方法基準の解説」

費用と時間の目安

調査の記録用紙

手引きに示されている目安を引用します。

  • 時間は物件の規模にもよるが1〜3時間程度が見込まれる
  • 調査費用は物件の規模に加えて調査実施者によっても異なるが6万円程度〜が目安

手引きは「住宅という大きな買い物をすると考えると調査の負担はそこまで大きくない」という言い方をしています。実際、外壁と屋根の工事が必要かどうかで、購入後の資金計画は大きく変わります。

また、実施した人のうち78.5%が満足と回答しているという調査結果も示されています(回答数205)。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」

宅建業者はあっせんの説明をする

不動産の相談窓口

建物状況調査は、宅地建物取引業法の手続のなかにも組み込まれています。国土交通省の資料によれば、既存住宅の媒介契約締結時に、宅建業者が建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付することが定められています。

そして、調査を実施した場合には、重要事項説明の際にその結果の概要を買主に説明するという枠組みになっています。対象になるのは原則として過去1年以内に行われた調査で、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等では過去2年以内とされています。古い調査結果がそのまま使われるわけではない、ということです。

つまり、買う側から「調査をお願いしたい」と言い出してよいということです。制度としてその流れが想定されています。仲介会社に相談してみてください。

売主が断ることもある

買主が実施する場合は売主の同意が必要です。手引きには、実施しなかったことによるリスクとして、次の例が挙げられています。

購入検討者から調査の要望があったが断り、引き渡した後に買主から不具合の指摘があり、隠していたのではないかと言われてトラブルに発展したという売主の例です。

あわせて、民法572条について売主が担保責任を負わない特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができないと注記されています。

出典:e-Gov法令検索「民法」第572条

内見で自分が見られるところ

室内を見て回る内見

調査を頼むかどうかにかかわらず、内見のときに外側を見ておく価値はあります。1周回るだけで、その後の話が変わります。

内見のときに外まわりを見る順番
内見のときに外まわりを見る順番
見る場所 確認すること
外壁の面 触って白い粉が付くか(チョーキング)
目地(コーキング) 切れ、はがれ、やせ
外壁の下部 表面のはがれ、欠け、ぼろつき
窓の下・換気フードの下 黒い筋、伝い水の跡
といと排水口 変形、外れ、詰まり
破風・軒天 しみ、はがれ、めくれ
基礎 ひび、欠け、白い粉の跡
室内の天井と壁の隅 しみ、輪の跡、クロスの浮き

外壁の下部にぼろつきや欠けがあれば、凍害の可能性があります。凍害は表面を塗り直すだけでは足りない場合があり、判断が変わってきます。詳しくは凍害の記事で扱っています。

逆に、緑や黒の汚れは、それだけでは判断材料になりません。外壁材の団体の資料では、藻やカビは表面で繁殖するだけで建物の構造体に対しては特に悪影響を与えないと説明されています。汚れているかどうかより、触ったときに粉が付くか、表面が欠けているかのほうが重要です。詳しくはコケ・藻・カビの記事で扱っています。

室内から分かること

外側を見る前に、室内の天井の隅を見てください。うっすらとした輪の跡が残っていれば、過去に水が回っていた可能性があります。とくに最上階の、外壁側の天井は要確認です。北海道であればすが漏りの跡かもしれません。

調査を頼むかどうかの判断

外壁を見上げる人

すべての物件で調査が必要というわけではありません。頼む価値が高い場面と、そうでない場面があります。

状況 調査の優先度
築20年以上で、工事の履歴が分からない 高い
室内にしみがある、においが気になる 高い
外壁や屋根に見て分かる傷みがある 高い
長く空き家だった 高い
直近で大規模なリフォームがあり記録もある 状況による
築浅で、工事の記録がそろっている 低め

長く空き家だった住宅は、人が住んでいた家より傷みが進んでいることがあります。暖房も換気も止まっていた期間の影響は、外から見ただけでは分かりません。空き家の傷み方は空き家の外壁の記事で扱っています。

北海道の中古住宅で先に確かめること

雪の残る中古住宅

本州では出てこない確認項目があります。

  • 屋根の形 … 落雪屋根か、無落雪屋根か。落雪の方向はどこか
  • 堆雪スペース … 落ちた雪が敷地内に収まるか
  • 雪の置き場 … 除雪した雪をどこに寄せるのか
  • 玄関と駐車場の位置 … 落雪や雪庇の下になっていないか
  • 断熱の年代 … 建築年と、断熱改修の履歴があるか
  • 暖房の種類 … 燃料と設備の更新時期
  • といの構造 … M形屋根なら中央のといの状態

屋根の雪の処理は、住んでからの作業量を毎年左右します。研究機関の資料では、雪庇の形成方位に駐車場や玄関アプローチがある場合、対策を怠ると冬季に何度も屋根にのぼって雪庇除去をしなければならないと指摘されています。

同じ資料は、住宅用地を購入する場合には周辺住宅の雪庇の形成方位を観察したり、冬季の風向を知っておくことが重要だとしています。中古住宅でも考え方は同じです。近所の家の屋根を見れば、その一帯で雪がどちら側に寄るかが分かります。

詳しくは屋根の雪処理の記事にまとめています。

建築年から外壁材の見当をつける

外壁材の継ぎ目

建築年が分かれば、使われている外壁材の見当がある程度つきます。年代で確定するものではありませんが、内見のときの手がかりになります。

見え方 外壁材の候補 確かめ方
縦横に継ぎ目があり、目地が入っている 窯業系サイディング 目地の位置と幅
金属の板が横に張られている 金属サイディング 叩くと軽い音がする
継ぎ目がなく、面が続いている モルタル 表面の質感、ひびの形
大きなパネルで、目地が規則的 ALCパネル 厚み、開口部の納まり
板が重なって張られている 木質系(下見板) 木目、塗膜の状態

外壁材が分かると、塗り替えの中身と、塗り替え以外の選択肢が見えてきます。見分け方は外壁材の種類と選び方で詳しく扱っています。

アスベストの可能性がある年代

古い住宅では、石綿を含む建材が使われている可能性があります。改修や解体をともなう工事では、法令にもとづく事前調査が必要になります。

ここは誤解されやすいところです。厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトは、外壁工事や塗装等を含む小規模工事等でも、施工業者(元請事業者)が石綿使用の有無の調査を行うと案内しています。さらに、元請事業者は原則として工事の規模・種類にかかわらず、改修等の対象箇所すべての材料に対し事前調査を行う必要があるとされています。塗り替えだから対象外、とは言えません。

誰の義務かも押さえておいてください。事前調査を行う義務は施工業者(元請事業者)に課されるもので、住まい手が自分で調べる義務ではありません。令和5年10月1日以降に着工する工事では、有資格者による調査が義務づけられています。一定規模以上の工事では、労働基準監督署と都道府県等への報告も元請事業者が行います。

住まい手の側で関わるのは、調査結果の報告を受けることと、調査や必要な措置にかかる費用が見積もりに入っているかを確かめることです。中古住宅を買ってから外壁を張り替える、屋根を葺き替えるといった計画があるなら、なおさら費用の見込みに関わってきます。詳しくはアスベストの事前調査の記事にまとめています。

出典:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト 小規模工事等の着工前に必要な手続きについて」

売主に聞いておきたいこと

鍵と資料を手渡す場面

仲介会社を通じて確認できることがあります。売主が覚えている範囲でかまいません。

聞くこと 分かること
外壁を最後に塗り替えた時期 次の塗り替えまでの見当
その工事をした会社 記録が残っているか
屋根の工事の履歴 板金の状態、かぶせ改修の有無
雨漏り・すが漏りの経験 再発の可能性
雪下ろしの頻度 屋根と敷地の条件
新築時の図面の有無 のちの工事のしやすさ

図面が残っているかどうかは、あとになって効いてきます。外壁材の種類、断熱の仕様、通気層の有無が分かれば、工事の判断が正確になります。図面がない場合、業者は安全側の工程を組むことになり、その分が費用に乗ります。

買ってすぐに工事が要るかどうかの目安

内見で分かる範囲での、おおまかな見当です。建物の状態によって変わりますので、あくまで目安としてご覧ください。

状態 見当
塗り替えから5年以内 当面は様子見でよいことが多い
チョーキングが出ている 数年内に検討
目地が切れている 早めに補修の検討
外壁の表面が欠けている 塗装だけで足りない可能性
室内にしみがある 購入前に原因の確認を
屋根の板金が浮いている 購入前に専門業者の確認を

下の2つは、金額が読めないという点で性質が違います。原因が分からないまま買うと、想定を超える出費になることがあります。手引きにも、調査を実施せず購入後に不具合が見つかり想定外に高額な改修費用が必要になってしまったという買主の例が挙げられています。

調査の結果をどう受け止めるか

調査を行った場合、結果は劣化事象等の有無という形で示されます。ここで気をつけたいのは、「指摘があった=買ってはいけない」ではないということです。

手引きには、売主側の事例として次のようなものが紹介されています。調査の結果、不具合があったが、それも含めて適正価格で売却でき、事前に買主に伝えられたことでトラブルがなかったというものです。買主側でも、築年が古い物件でも劣化等の不具合が事前に明確になったので、それを踏まえてリフォームを含めた資金計画が立てられたという例が挙げられています。

つまり、調査は合否を決めるものではなく、計画を立てるための材料です。受け止め方を整理します。

指摘の内容 考えること
外壁の塗膜の劣化 いつ、いくらで塗り替えるか
目地の切れ 補修の時期。単独でも可能か
雨水の浸入の跡 原因が特定されているか。追加調査が要るか
構造部の劣化事象 建築士に相談。工事の規模が変わる

3行目と4行目は、金額の幅が大きい領域です。ここに指摘があった場合は、購入の判断そのものに関わります。

ひとつ補足します。建物状況調査は、告示で定められた劣化事象等を目視・計測で確かめる基礎的な調査です。塗り替えの要否や時期、金額を出すための調査ではありません。上の表の右列は、調査結果を受けて別に外装の診断と見積もりを取るための出発点だと考えてください。

出典:国土交通省「既存住宅状況調査方法基準の解説」

指摘を価格や条件にどう反映するか

調査で見つかった内容を、そのまま値引きに直結させられるとは限りません。ただし、交渉の材料にはなります。実務的な進め方を挙げます。

  • 指摘された箇所について、複数の業者から概算を取る
  • 金額が出たら、いつやる工事なのかを仕分ける(すぐ/数年後)
  • すぐに必要な工事があれば、その分を条件の相談材料にする
  • 売主が補修してから引き渡すのか、現状のままで価格を調整するのかを整理する

売主が補修する場合、誰がどんな仕様で直すのかを確認してください。安く早く塞いだだけの補修だと、あとで同じ場所が問題になります。見積書の見方は見積書のチェックポイントが参考になります。

既存住宅売買のかし保険という仕組み

中古住宅の売買には、既存住宅売買瑕疵(かし)保険という制度があります。ただし、引き渡し後に見つかった不具合なら何でも対象になる、というものではありません。

項目 内容
対象部分 構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱、小屋組、土台、床版、屋根版、横架材など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、開口部の建具、屋内の排水管など)
対象になる損害 その部分の設計上または施工上のミス(瑕疵)に起因する損害
対象外 自然災害、部材等の劣化、定期的なメンテナンスを長期に怠った場合の不具合など、瑕疵によらない損害
保険期間 5年、2年または1年。加入する事業者が申込み時に選択

つまり、経年で塗膜が傷んできた、といった話は対象になりません。個人間の売買では、加入するのは売主ではなく登録された検査事業者等になります。特約で対象部分を広げられる場合もあるため、どの商品に、誰が、どの期間で入るのかを個別に確認してください。

この保険を扱うのは国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人で、住宅瑕疵担保責任保険協会のサイトから確認できます。同協会は既存住宅状況調査技術者講習も実施しています。

加入には検査が必要で、どの住宅でも入れるわけではありません。対象や条件は保険法人によって異なるため、仲介会社を通じて確認してください。リフォーム工事にかける保険については保証とアフター点検の記事で扱っています。

出典:住宅瑕疵担保責任保険協会「個人間売買の既存住宅売買かし保険」

売り出しの写真だけで判断しない

物件情報の写真は、よく見える角度と季節で撮られているのが普通です。判断の材料としては足りません。

  • 撮影時期を聞く(雪のある写真なら足元は見えていません)
  • 写真に写っていない面があれば、そこを重点的に見る
  • 近景の写真がなければ、自分で近づいて撮る
  • 屋根が写っていなければ、見える場所を探す

「見せていない面がある」からといって、隠しているとは限りません。単に撮りにくかっただけということも多いものです。ただ、確認するのは買う側の役割です。

2回目の内見で見る場所を変える

1回目の内見は、どうしても室内が中心になります。2回目は外まわりのために使うと決めておくと効率的です。

見るもの
1回目 間取り、日当たり、生活動線、周辺環境
2回目 外壁、屋根、といと排水、基礎、敷地の条件
可能なら3回目 雨の日、または雪解け後の状態

雨の日の内見は貴重です。水がどこを流れるのか、たまる場所があるのかが分かります。晴れた日には見えない情報です。

購入後の計画の立て方

調査や内見で状態が見えたら、購入後の計画に落とし込みます。

  • 入居前にやる工事 … 住みながらでは難しいもの(内装との同時進行)
  • 1〜2年以内にやる工事 … 目地の補修、といの直し
  • 5年以内に見込む工事 … 外壁と屋根の塗り替え
  • 資金の置き方 … リフォーム費用を住宅ローンに含められるか

北海道では、塗装の条件を満たす日が春から秋に集まります。冬に購入した場合、外まわりの工事は翌春以降になることが多いと考えておいてください。時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期にまとめています。

リフォーム費用の借入れについては減税とリフォームローンの記事で扱っています。

屋根は買う前にいちばん見えない場所

外壁は地上から見えますが、屋根は見えません。それでいて、工事になれば金額が大きい部分です。

内見で確認できる範囲を挙げます。

  • 隣の建物の2階や、坂の上から見る(見える角度があるか探す)
  • といの状態(変形、外れ、継ぎ目のずれ)
  • 軒天と破風(しみ、はがれは屋根側の水の跡かもしれません)
  • 雪止めや金具(さび、緩み)
  • 屋根の形(落雪屋根か、M形などの無落雪屋根か)

M形屋根であれば、中央のといが健全かどうかが最大の確認点です。研究機関の資料は、この形の注意事項として縦どいに落ち葉やゴミが詰まると漏水しやすいことを挙げ、接合部のシーリングが経年劣化すると雨漏れの原因になるとしています。

売主に板金業者の点検を受けたことがあるかを聞いてみてください。同資料は何年かに一度、板金の専門業者に定期点検を依頼する必要があるとしています。屋根材ごとの見方は屋根材と塗装の記事にまとめています。

出典:北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

敷地と近隣の条件も見ておく

建物そのものではありませんが、外壁の傷み方に影響する条件があります。

条件 影響
隣家との距離が近い 足場が組みにくく、工事費が上がることがある
前面道路が狭い 資材の搬入に制約。作業効率が落ちる
敷地が低い、水はけが悪い 足元が乾かず、藻や傷みが出やすい
樹木が壁に近い 風が抜けず乾きにくい
海に近い 塩分の影響で金属部のさびが早い
幹線道路沿い 汚れが付きやすい

とくに隣家との距離は、将来の工事費に直接効いてきます。足場が組めない面があると、工法が変わることもあります。足場の考え方は足場費用の記事で扱っています。

内見のときの持ち物

用意しておくと確認がはかどるものを挙げます。

  • 携帯電話(写真を撮る。日付が残ります)
  • 懐中電灯(床下・小屋裏の点検口、暗い部屋)
  • メジャー(軒先から境界までの距離)
  • 白い手袋か紙(外壁を触ってチョーキングを見る)
  • 方位が分かるもの(北面がどこか、風下がどこか)

屋根に上がる、床下にもぐるといったことはしないでください。点検口から覗いて写真を撮るまでにとどめます。理由はDIYの記事で挙げた転落事故の数字のとおりです。

撮った写真は、あとで見返せるように整理しておいてください。物件を何件か見ていると、どの家の写真か分からなくなります。撮影の最初に、物件名を書いたメモや資料を1枚撮っておくと区別できます。

そして、気になった箇所は仲介会社に質問として投げてください。その場で答えが出なくても、売主に確認してもらえることがあります。聞いたこと自体が記録に残るという意味もあります。

引き渡しまでにやっておくこと

購入を決めてから引き渡しまでのあいだに、進めておけることがあります。

  • 外まわりの写真を撮り直す(引き渡し時の状態の記録になります)
  • 塗装業者に概算の見積もりを取る(工事の順番を決める材料)
  • 屋根について板金業者に見てもらう(M形屋根なら特に)
  • 売主から図面や工事の記録を受け取れるか確認する
  • 市町村の補助制度を調べておく

とくに図面と工事の記録は、引き渡しのタイミングを逃すと手に入りません。「あるものは全部いただけますか」と伝えておいてください。

補助制度の探し方は補助金の記事にまとめています。制度は年度で変わるため、工事の年度に合わせて確認し直す必要があります。

よくある質問

建物状況調査は誰に頼むのですか

国の登録を受けた講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が行います。仲介する宅建業者は、媒介契約のときにあっせんに関する事項を記載した書面を交付することになっています。まず仲介会社に相談してください。

売主が調査を断ったら諦めるしかないですか

買主が実施する場合は売主の同意が必要です。断られた場合、それ自体をどう受け止めるかは判断材料になります。手引きには、実施しなかったことでトラブルに発展した事例も紹介されています。

調査をすれば不具合が全部分かりますか

いいえ。手引きには調査できない箇所がある場合は省略することができる、全ての瑕疵がないことを約束するものではないと明記されています。目視と非破壊が基本です。

冬に見た物件はどう判断すればいいですか

雪に埋もれている部分は見られません。外壁の下部、基礎まわり、屋根、といは、冬の内見では確認が難しいと考えてください。可能であれば雪解け後に再訪するか、売主に写真の提供を相談してください。

築何年から外壁の工事を見込むべきですか

年数より前回の塗り替えからの経過で考えてください。新築から一度も塗り替えていない築15年以上の住宅であれば、近いうちに費用が発生する前提で計画するほうが安全です。

外壁がきれいなら安心ですか

直前に塗り替えられている場合、その下の状態は見えません。塗り替えの時期と施工会社を確認し、可能であれば工事の記録を見せてもらってください。

リフォーム済みの物件はどう見ますか

室内はきれいでも、外まわりが手つかずということがあります。「リフォーム済み」の範囲がどこまでかを、書面で確認してください。

調査の費用は誰が払うのですか

実施した側が負担するのが基本です。売主が実施する場合も、買主が実施する場合もあります。費用の目安は6万円程度〜とされています。

塗装業者に見てもらうのではだめですか

塗装の見積もりのために見てもらうのは有効です。ただし建物状況調査とは目的も範囲も違います。調査は構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を対象とし、既存住宅状況調査技術者が行うものです。両方を使い分けるのが実際的です。

調査の結果は次の買主にも引き継げますか

調査結果の取り扱いは実施の経緯によります。誰が依頼し、誰に結果が帰属するのかを、依頼の前に確認してください。

リフォーム費用も住宅ローンに含められますか

金融機関の商品によります。購入と同時に申し込む必要があるものもあるため、物件を決める段階で確認しておいてください。借入れの選択肢は減税とリフォームローンの記事で扱っています。

まとめ

中古住宅で外まわりを見落とすと、購入後に自分の費用で工事することになります。内見のときが、いちばん自由に確認できる機会です。

国の制度である建物状況調査は、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分を対象にしています。ここには屋根と外壁、その開口部の建具が含まれます。費用は6万円程度〜、時間は1〜3時間程度が目安とされ、実施した人の78.5%が満足と回答しています。

ただし、調査できない箇所は省略でき、全ての瑕疵がないことを約束するものではありません。壁の中や雪に埋もれた部分は見られない、という限界を理解したうえで使う道具です。

北海道では、屋根の形と敷地の条件を確認しておくことをおすすめします。落雪の方向、堆雪スペース、玄関と駐車場の位置。ここが住んでからの作業量を毎年左右します。

そして、冬の内見では外まわりの多くが見えません。判断を急がなければならない事情がないのであれば、雪解け後にもう一度見る機会をつくることをおすすめします。

調査で指摘が出ても、それだけで諦める必要はありません。手引きに紹介されているのは、不具合があってもそれを含めて適正価格で売買が成立し、事前に伝えられたことでトラブルがなかったという事例です。買主側でも、劣化等の不具合が事前に明確になったので、リフォームを含めた資金計画が立てられたという声が挙がっています。

外まわりは、買ったあとに費用が発生しやすい部分です。いつ、いくらかかるのかを買う前に見積もっておけば、それは想定外の出費ではなくなります。調査も内見も、そのための道具として使ってください。

本記事は公表資料をもとに一般的な考え方を整理したもので、個別の物件の状態や取引条件を判断するものではありません。建物状況調査の内容・費用・実施の可否は、調査実施者や物件により異なります。掲載した費用の目安は国の手引きに示された参考値であり、実際の金額を保証するものではありません。取引に関する判断は、宅地建物取引業者、建築士、必要に応じて弁護士にご相談ください。

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