窯業系サイディングの塗り替え|北海道で見分ける板と塗膜の傷み

塗料と外壁材

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月23日編集方針と検証の手順

壁を手でこすったら白い粉がついた。目地のシーリングが黒く切れている。

板の継ぎ目が少し浮いて見える。

どれも窯業系サイディングで「そろそろ塗り替えですね」と言われる症状ですが、打つ手はそれぞれ違います。

塗装で戻せる部分と、塗装とは別の工事が要る部分が混ざっているからです。ここを分けずに見積もりを取ると、安い提案と高い提案のどちらが妥当なのか判断できません。

分けて見るための材料を、公的な資料から塗膜・板・目地の順に並べました。当サイトは工事も見積もりも受けていません。

北海道は工事のできる期間も限られるので、年数も工程も目安として読んでください。

  1. 窯業系サイディングの塗り替えで戻るのは塗膜
    1. この記事で扱わないこと
    2. 3つに分けて見ると判断が早い
  2. 自分の家が窯業系サイディングかを確かめる方法
    1. 継ぎ目と目地でおおよそ分かる
    2. 金属系・ALC・モルタルとの見分け
  3. 窯業系サイディングを水から守る二段の仕組み
    1. 水を吸う板を塗装が守っている
    2. 防水は板と通気構法の二段構え
    3. 通気構法か直張りかで壁の中が変わる
  4. 「窯業系サイディングはダメ」と言われる理由
    1. 弱点は吸水と目地の多さ
    2. 手入れの前提が最初から組まれている
  5. 塗り替えの時期は年数ではなく塗膜の段階で決まる
    1. 前期・中期・後期で進み方が変わる
    2. 7〜12年という数字の注釈
    3. 年数ではなく症状で決める
  6. 窯業系サイディングの板と目地は塗装では直らない
    1. 反りは状態を見てから直す
    2. 欠け・割れは張り替えを含めて考える
    3. 目地の打ち替えは塗装と順序を決める
  7. 窯業系サイディングの塗り替え手順と塗料の決まり方
    1. 事前調査から検査まで5つの段階
    2. 既存がクリヤーかエナメルかで塗料が決まる
    3. メーカーが挙げる4つの注意点
  8. 北海道は気温で塗装とシーリングの時期が決まる
    1. 気温5℃以下は原則として避ける
    2. 耐凍結融解性は「表示する場合に適用」
  9. 点検の周期と、見積もりを取る前に見ておくこと
    1. 点検は年1回と、雪解けのあとに
    2. 自分で見て回る3点
    3. 見積書で聞く3つの質問
  10. よくある質問
    1. 窯業系サイディングは何年もちますか
    2. 塗装しないほうがいいと聞きました
    3. 弾性塗料は使えますか
    4. ガルバリウムに張り替えたほうがいいですか
    5. 高圧洗浄機で自分で洗ってもいいですか
    6. 欠けたところだけパテで埋められますか
    7. 手入れをしないとどうなりますか
    8. 冬に見つけた傷みは春まで待てますか
  11. まとめ

窯業系サイディングの塗り替えで戻るのは塗膜

窯業系サイディングの塗り替えで戻るのは、板の表面にある塗膜の保護です。板そのものの反りや欠け、目地のシーリングの切れは、塗る工程では回復しません。

程度によって、それぞれ別の手当てが要ります。

外壁の傷みを塗膜・板・目地の3つに分けておくと、見積書の項目がどこに対応しているかを読めます。金額の差も、この3つのうちどこまで手を入れる前提かで開きます。

3つを混ぜたまま比べると、安い提案が本当に安いのかが分かりません。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」

この記事で扱わないこと

重なるテーマは既存の記事に譲ります。外壁材の比較は外壁材の種類と選び方、目地の工法はコーキングの打ち替えです。

塗料の樹脂グレードは寒冷地用塗料の選び方、凍害の仕組みは凍害とは何かが担当しています。費用の相場は外壁塗装の費用相場、工事の時期は北海道で外壁塗装に適した時期です。

ここでは窯業系サイディングという板の側から、塗り替えで何が決まるのかだけを追います。

3つに分けて見ると判断が早い

説明を受けるとき、聞く順番を決めておくと話が早くなります。まず塗膜がどの段階か。

次に板に反り・欠け・割れがあるか。最後に目地を打ち替えるかどうか。

この3つは、使う材料も工程も別です。塗装だけの見積もりに目地の打ち替えが入っていないことも、逆に板の張り替えまで入ることもあります。

3つのうちどれが入っていて、どれが入っていないのか。それが分かれば、金額の差が手抜きなのか前提の違いなのかを切り分けられます。

自分の家が窯業系サイディングかを確かめる方法

縦の目地が規則的に並ぶ窯業系サイディングの外壁

自分の家が窯業系サイディングかは、板の継ぎ目に走る目地でおおよそ見当がつきます。窯業系サイディングは工場で作った板を外壁に張ってつくる壁で、板と板のあいだにシーリング材の目地が入るからです。

目地の出方は製品や張り方で変わるので、目地だけで断定はできません。

継ぎ目の位置や表面の質感をいくつか重ね、そのうえで業者に確認するのが確実です。新築時の図面が残っていれば、仕上表に製品名が書かれていることが多く、確かな手がかりになります。

継ぎ目と目地でおおよそ分かる

外壁を横から眺めると、板の継ぎ目が縦や横に走ります。1枚の寸法が決まっているので、継ぎ目は規則的です。

継ぎ目には帯状のシーリング材が入っています。幅は製品や部位で決まるので、寸法では判定できません。

窓やドアの周囲、出隅(外側の角)にも同じ材料が使われます。

板を横に長く使う張り方だと縦の目地が減り、遠目には継ぎ目が目立たない家もあります。柄のデザインが石やレンガに似せてあると、板だと気づきにくくなります。

金属系・ALC・モルタルとの見分け

似た外観の外壁と混同しやすいので、違いを並べます。表は手がかりで、断定のためのものではありません。

外壁の種類 継ぎ目の出方 表面の手ざわり
窯業系サイディング 板の寸法どおりに規則的 硬く、柄の凹凸がある
金属系サイディング 板が薄く継ぎ目が浅い 金属特有の冷たさ
ALCパネル 目地が広く、板が厚い ざらつきがある
モルタル 継ぎ目のない一枚の面 砂壁状や凹凸模様

協会が求めている点検は、建物の外壁の目視です。表で決まらないときは、現地調査のときに業者へ聞いてください。

材料ごとの性格は外壁材の種類と選び方にあります。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」

窯業系サイディングを水から守る二段の仕組み

雨がつたう窯業系サイディングの壁面

板は水を吸うので、塗膜と目地で表面の水を止め、入った水は防水紙と通気層で外へ逃がしています。日本窯業外装材協会は、セメント質原料・繊維質原料・混和材の混合原料を成型し、養生・硬化させた板だと説明しています。

板そのものは、表面の仕上げがなければ水を吸います。

表面には塗装が施され、板と板のすきまはシーリング材でふさがれます。さらに壁の中には防水紙があり、入り込んだ水と湿気は通気層を通って外へ抜けます。

役割の違う部材が順に並んでいると分かると、塗膜が切れたときに何が起きるのかも見えてきます。

水を吸う板を塗装が守っている

塗膜が薄くなったり切れたりすると、雨水や雪解けの水が板にしみこみます。板そのものに高い防水性があるわけではありません。

吸った水が凍って膨らみ、また溶ける。

これが繰り返されると、板の表面がぼろぼろと剥がれてくることがあります。

凍結と融解が繰り返される地域や部位ほど、この傷み方が出やすくなります。仕組みそのものは凍害とは何かで扱っています。

塗り替えは美観を戻す作業に見えますが、板に水を入れないための手入れです。協会も維持管理の目的として、サイディングの寿命を伸ばすことを挙げています。

防水は板と通気構法の二段構え

協会の資料は、防水の機能を板そのものと通気構法の二つに分けて説明しています。

板と目地の表面で水を止め、それでも入った水は防水紙で受けて通気層から外へ出します。

塗膜が切れた瞬間に雨漏りする、という話にはなりません。ただし入った水が抜けにくい状態が続けば、板は湿ったままです。

通気層は湿気の出口でもあります。入った水と湿気の逃げ道を確保することが、この二段構えの前提です。

通気構法か直張りかで壁の中が変わる

協会は、外装材の内側と断熱材とのあいだに通気層を設ける外壁通気構法を、全国標準の工法としています。一方で、板を下地に直接張る納まりの家もあります。

どちらかは外から見ても分かりません。水切り(壁の下端で水を切る金属板)の形、板の下端の隙間、換気部材の有無から推測はできますが、自分で決めつけず、現地調査のときに聞いてください。

工法が違えば、壁の中の水と湿気の逃げ方が変わります。直張りだから塗れない、という単純な話ではありません。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」日本窯業外装材協会「製品概要」

「窯業系サイディングはダメ」と言われる理由

目地のシーリングが切れかけた外壁

「窯業系サイディングがダメな理由」として挙げられる弱点は、板が水を吸うことと目地が多いことの二つに集約されます。検索でいちばんよく見かける疑問でもあります。

どちらも事実ですが、どちらも最初から手入れを前提にした部分でもあります。協会は維持管理の資料を作り、点検の項目と塗り替えの目安、補修の方法までそろえて公表しています。

欠陥というより、付き合い方があらかじめ決まっている材料と読むほうが実態に近いと思います。

弱点は吸水と目地の多さ

板が水を吸うので、表面の塗装が切れると劣化が板側に進みます。継ぎ目が多いぶん、シーリング材の総延長も長くなります。

シーリング材は紫外線と温度差で少しずつ硬くなり、やがて切れます。板より先に補修の時期が来ることがあり、塗装とは別の周期になります。

板は割れや欠けが起きる材料でもあります。協会は点検項目に「サイディングの破損・地震などによって発生した亀裂など」を挙げ、対応を「部分張り替え等 適宜対処」としています。

手入れの前提が最初から組まれている

維持管理資料には、点検の項目とメンテナンス時期の目安が表で示されています。塗装表面は塗り替え、目地は打ち替え等 適宜対処(既存のシーリング材を撤去して充てんし直すこと)、板は部分張り替え等 適宜対処

傷む部位ごとに、対応がはじめから分かれています。

傷むことを想定して手入れの手順が用意された材料、とも言えます。

見方を変えると、症状が表に出やすい材料でもあります。粉がつく、目地が切れる、板が浮く。

どれも地面から見て分かる変化で、判断の材料を自分で集められます。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」

塗り替えの時期は年数ではなく塗膜の段階で決まる

外壁を手でこすってチョーキングを確かめる

協会の資料は、一般的なアクリル樹脂系の塗膜を例に、劣化を前期・中期・後期の3段階で説明しています。前期は光沢が落ちる程度、中期で色あせと粉ふきが出て、後期に入ると塗膜が減り、浮き、割れ、部分的な剥がれへ進みます。

塗膜の劣化は3段階で進む
塗膜の劣化は3段階で進む

よく引用される「7〜12年」という数字には、「一般的なクリヤー塗装の場合」という注記がついています。板そのものの寿命年数ではありません。

同じ資料が、劣化の進み方は地域や部位で違うので目安として使うようにと断っています。

前期・中期・後期で進み方が変わる

前期は光沢が少しずつ落ちる段階で、遠目には変化が分かりません。

中期になると、色あせが進んで塗膜の表面が粉状になります。手でこすると白い粉がつくこの状態をチョーキングと呼び、見積書にもこの語で出てきます。

協会は「塗装面を触って塗装色や白い粉が多く付着するようになるとメンテナンス時期です」と書いています。

後期は、塗膜が減って浮きや割れが出て、やがて部分的に剥がれます。板がむき出しになると水を吸いやすくなり、変形や劣化へ進むこともあります。

協会は、剥がれが始まる前に、劣化に応じた前処理をしてエナメル塗装で仕上げるよう求めています。

7〜12年という数字の注釈

点検表には、塗装表面の状態に対して「塗り替え 7〜12年(注)」とあります。注の中身は「一般的なクリヤー塗装の場合」です。

クリヤー塗装は、板の柄を活かすために透明な塗料で仕上げたものです。色で塗りつぶすエナメル塗装とは、劣化の見え方も選択肢も変わります。

ご自宅がどちらなのかを確かめずに年数だけ当てはめると、目安がずれます。

同じ表で、目地と板は「適宜対処」です。年数が示されているのは塗装だけです。

年数ではなく症状で決める

築年数から逆算して勧められることがあります。訪問や電話で年数だけを根拠に急かされたときは、訪問販売への対応の見方も合わせて確かめてください。

日の当たる南面と、屋根から落ちた雪が寄る北面では進み方が違います。

同じ家の中でも差が出ます。

先に見るのは、手でこすったときに粉がつくかどうか。次に、目地に切れや剥離がないか。

最後が、板の反り・欠け・浮きです。

協会も、メンテナンス時期は一様ではないとしたうえで、スケジュールはあくまで目安として使うよう書いています。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」

窯業系サイディングの板と目地は塗装では直らない

角が欠けた窯業系サイディングの板

反り、欠け、割れ、目地の切れは、塗る工程では戻りません。

程度によって、ねじの増し打ち、部分張り替え、打ち替えといった別の作業が要ります。どれを選ぶかは症状の位置と広がりを調べてから決まります。

見ないまま電話で決められる話ではありません。

見積もりにこれらが入っているかどうかで、金額も工期も違ってきます。安い見積もりが、板と目地の手当てを外しただけということもあります。

項目の有無を先に確かめてください。

反りは状態を見てから直す

板の端が浮いて見えるとき、維持管理資料が補修方法のひとつに挙げるのが、ねじの増し打ち(ねじを追加して留め直す方法)です。凸反りなら幅の中央あたりに1か所、凹反りなら端部に2か所と、位置の決め方まで示されています。

ただし、増し打ちで補修しきれない場合は張り替えを検討するようにとも書かれています。下地そのものが変形している可能性があるからです。

作業の前に確かめることがあります。孔をあけるときは、板に石綿が含まれていないことを確認するよう協会は明記しています。

築年によっては調査が要る作業で、施主が自分でやる話ではありません。

欠け・割れは張り替えを含めて考える

亀裂が大きく、著しい欠損やはがれ落ちそうな場合は、その部分を取り外して新しい板に張り替えます。そうでない場合は状況に応じた補修だと、協会は書いています。

取り外しは目地のシーリングを切り、くぎを抜いて下段を傷つけないよう浮かせる手順で、いずれも業者の作業です。

交換用の板を差し込み、規定の本数でとめてから、目地を打ち替えます。

板を金具で引っかけて留める納まりの家では、交換用の板のうち既存の金具に当たる部分を切って納めます。切断のときも石綿の確認が要ります。

調査の制度はアスベストの事前調査を見てください。

一部だけ交換すると色の差が出ます。塗り替えと同時なら全体を塗るので差は抑えられます。

目地の打ち替えは塗装と順序を決める

目地のシーリングは、塗装とは別の工程です。先に打ち替えてから塗る場合と、塗ってから打つ場合があり、仕上がりと耐久の考え方が分かれます。

協会は、シーリング工事は晴天の日に行うとし、外気温5℃以下または被着面(シーリング材が接する面)が50℃以上のときは施工しないとしています。塗装と同じく、気温に縛られる作業です。

目地の増し打ちと打ち替えの違いはコーキングの打ち替えで扱っています。

症状 塗装で戻るか 主な手当て
色あせ・チョーキング 戻る 塗り替え
塗膜の浮き・割れ 前処理しだい 素地調整のうえ塗り替え
板の反り・浮き 戻らない 状態を見てねじの増し打ちか張り替え
板の欠け・割れ 戻らない 部分張り替え
目地の切れ・剥離 戻らない 打ち替え

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」

窯業系サイディングの塗り替え手順と塗料の決まり方

外壁を高圧洗浄する塗装職人

協会が示す一般的な塗り替えは、事前調査・塗料選定・素地調整・塗装工事・検査の5段階です。塗料を選ぶのは2番目で、その前に調査が入ります。

一般的な塗り替えの5段階
一般的な塗り替えの5段階

塗料は好みだけでは決まりません。いま塗られているのがクリヤーかエナメルか、板が高耐久タイプかで、使える下塗りと仕上げの範囲が決まるからです。

協会も、塗り替えの仕様は現状の塗装仕様を確認したうえで決める必要があるとして、事前に住宅会社や塗装工事店へ確認するよう書いています。

事前調査から検査まで5つの段階

事前調査で見るのは3つです。塗膜にクラック(ひび割れ)・剥離・チョーキングがないか、基材(塗装の下にある板そのもの)が露出していないか。

板にクラックや反り、うねりがないか。目地に打ち替えや補修が要らないか。

素地調整では、古い塗膜のチョーキングや浮き、汚れを高圧水洗やサンドペーパー、ワイヤーブラシなどで落とします。そのうえで塗装面を十分に乾燥させることになっています。

乾燥が足りないまま塗ると、あとから膨れの原因になります。気温が低い時期は乾燥に日数がかかります。

塗装工事のあとは仕上がりを確認し、塗りムラや塗り残しがあれば塗り重ねます。

既存がクリヤーかエナメルかで塗料が決まる

クリヤー塗装は板の柄が見えるので、近くで見ると印刷の模様が残っています。エナメル塗装は色で塗りつぶされていて、柄の凹凸はあっても色は単一です。

ただし多色仕上げや過去の塗り替えがあると、外から見ただけでは判断できません。

塗装の種類は、エナメル・クリヤー・機能を付与した特殊な塗装の3つに分けられています。塗料のほうはアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フッ素樹脂系などです。

樹脂の種類で耐久性と価格の目安は変わりますが、膜厚や下地の状態、施工条件にも左右されます。

寒冷地で見る性能は寒冷地用塗料の選び方、クリヤーのまま塗り替えられるかの判断はクリア塗装にあります。

メーカーが挙げる4つの注意点

日本ペイントは、窯業系サイディングの塗り替えで注意が要る理由を4つ挙げています。

  • 旧塗膜が弾性塗料(ゴムのように伸びる塗料)の場合、剥がさずに塗り重ねると水蒸気が逃げにくくなり、熱で軟らかくなった塗膜が膨らむ
  • 可塑剤(材料を柔らかく保つ添加剤)を含むシーリング材に直接塗るとべとつきが出て、黒い筋汚れの原因になる
  • シーリング材は伸縮するので、その動きで塗膜がひび割れたり剥がれたりする
  • 高耐久サイディングでは、普及タイプ向けの下塗り塗料では十分な付着を確保しにくい場合がある

いずれも事前調査で拾える話で、見積書の「素地調整」と「シーリング」の項目で確かめられます。膨れや剥がれが起きる仕組みは塗膜の膨れと剥がれにまとめています。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」日本ペイント「外壁の窯業系サイディングの塗替えは注意が必要と聞いたがどういう意味ですか?」

北海道は気温で塗装とシーリングの時期が決まる

晩秋の北海道の住宅と足場

塗装もシーリングも、各製品が定める施工条件を外れる気温では原則として行いません。協会はシーリング工事について、外気温5℃以下では行わないとしています。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書は「気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない」としています。

ただし同じ条項には「採暖、換気等を適切に行う場合は、この限りでない」というただし書きもあります。

この仕様書は公共建築物向けで、戸建ての契約仕様を定めるものではありません。

実際の可否は、使う製品の仕様書と、現場を見た業者の判断で決まります。

気温5℃以下は原則として避ける

温暖な地域と比べると、施工の条件がそろう期間が短い市町村があります。気象庁の平年値から作った市町村別 塗装カレンダーで月平均の日最低気温が5℃を上回る月を数えると、道内でも4か月から6か月まで幅がありました。

月数は見当をつけるための目安で、その日に塗れるかどうかは気温や湿度、結露で変わります。

温暖な地域なら春と秋の年2回に候補が分かれますが、道内は適期そのものが短くなります。目地の打ち替えと塗装を続けるなら、両方が収まる期間を先に見ます。

時期の決め方そのものは北海道で外壁塗装に適した時期にあります。

耐凍結融解性は「表示する場合に適用」

窯業系サイディングは日本産業規格 JIS A 5422 に規定されています。性能の項目には曲げ破壊荷重や耐候性、含水率などが並び、そのなかに耐凍結融解性もあります。

ただし規格の表には「耐凍結融解性を表示する場合に適用する」という注がついています。すべての製品に一律で課される項目ではない、ということです。

試験の方法としては JIS A 1435「建築用外装材料の凍結融解試験方法」が引用されています。

つまり「JIS品だから凍害に強い」とは言えません。新しく板を選ぶ場面では、耐凍結融解性の表示があるかどうかをメーカーの資料で確かめることになります。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」日本窯業外装材協会「製品概要」日本規格協会「JIS A 5422:2019 窯業系サイディング」

点検の周期と、見積もりを取る前に見ておくこと

点検メモを手にして外壁を見る住まい手

点検は年1回程度を目安に、地震や台風のあとを足すのが協会の示す頻度です。見積もりの前に見ておくのは3点です。

協会がクリヤー塗装品の塗り替えを例に示すスケジュールは、初期点検から始まります。

そのあとは施主の日常点検と専門業者の定期点検が続き、途中で再塗装、さらに先で再々塗装が入ります。

点検の頻度は「地震、台風後他、年に1回程度」とされています。

塗り替えを考える段階になったら、粉がつくか、目地が切れていないか、板に反り・欠け・浮きがないかの3点をメモしてから複数社に声をかけます。同じ材料を渡して比べると、提案の違いがどこから来ているのか読めます。

点検は年1回と、雪解けのあとに

協会は点検の季節までは限定していません。

北海道に置き換えるなら、雪が解けたあとが見やすい時期です。積雪でふさがれていた壁の下部が現れるからで、これは資料の指定ではなく読み替えです。

見るのは地面から届く範囲で構いません。協会は「高所作業を伴う点検やお手入れ、および塗り替えや補修工事は、お施主様ご自身では絶対に行わないでください」と書いています。

自分で見て回る3点

1つめは塗膜です。壁を手のひらでこすって、白い粉や塗装の色が多くつくかを見ます。

日の当たる面と当たらない面の両方で試すと差が出ます。協会は点検項目に、藻や落ちなくなった汚れも挙げています。

北面や樹木の陰は湿気がこもるので、藻やカビによる緑や黒の汚れが広がっていないかも見ておきます。

2つめは目地です。シーリング材にひび割れや剥離がないか、板との境目に隙間がないか。

窓の下に黒い筋が伸びていれば、そこも記録します。

3つめは板です。継ぎ目で浮きや段差がないか、角が欠けていないか。

地面から届く範囲で見るだけにして、写真を撮ります。

見積書で聞く3つの質問

現地調査で聞いておくと、あとの比較がしやすくなります。

  • いまの塗装はクリヤーですか、エナメルですか。どうやって確かめましたか
  • 素地調整では何をしますか。乾燥にどれくらい日数を見ていますか
  • 目地は打ち替えますか、部分的な補修ですか。塗装との順番はどうしますか

後日書面で返ってくれば条件を比べられます。契約前なら、住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)の見積書相談を無料で使えます。

使えるのは契約前のみ、回答は電話のみで最長60分、予約は登録から最短14日後です。運用は変わるので、申し込む前に案内を確認してください。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」住まいるダイヤル「リフォームの見積書に関する相談」

よくある質問

検索でよく見かける疑問のうち、年数で答えられるのは塗り替えの目安だけです。板が何年もつのか、張り替えたほうがよいのかは、協会の資料にも規格にも数字が示されていません。

業者ごとに答えが違って聞こえるのも、共通の基準が資料の側に無いためです。年数より、どの症状を見てそう言っているのかを確かめてください。

答えられないものは答えられないと書き、代わりに何を見ればよいかを添えています。手元に材料が増えるほど、業者の説明のどこが自分の家の話なのかを切り分けやすくなります。

窯業系サイディングは何年もちますか

板そのものの寿命年数は、協会の資料にも規格にも書かれていません。示されているのは塗り替えの目安で、一般的なクリヤー塗装の場合という注釈つきです。

塗装しないほうがいいと聞きました

塗膜が切れたまま置くと、板が水を吸いやすくなります。協会が示すのは、剥がれる前に前処理をしてエナメル塗装で仕上げるという手当てです。

塗らない判断が成り立つ場面もありますが、製品の仕様と現状の診断しだいです。

弾性塗料は使えますか

どちらの資料も、弾性塗料を使ってはいけないとは書いていません。日本ペイントが挙げるのは、旧塗膜が弾性塗料のときに剥がさず塗り重ねると膨れが起きる現象です。

既存の仕様を調べてから決めます。

ガルバリウムに張り替えたほうがいいですか

金属系は板そのものが水を吸わないので、凍害の出方が窯業系とは違います。ただし壁の中の結露や下地の傷みは材料を替えてもなくならず、判断は板と下地の状態と予算しだいです。

詳しくは金属サイディングの塗装にあります。

高圧洗浄機で自分で洗ってもいいですか

協会は日頃の手入れを水洗い、または食器洗い用洗剤と柔らかい布・ブラシでの洗浄としています。高圧洗浄は塗膜やシーリング目地を傷めることがあるとし、スチーム洗浄は行わないよう書いています。

業者が塗り替え前に行う高圧水洗は素地調整の一部で、これとは目的が違います。

欠けたところだけパテで埋められますか

資料が示すのは、状況に応じた補修と部分張り替えです。施主がパテで埋める手順は案内されていないので、業者へ相談してください。

手入れをしないとどうなりますか

塗膜が減って浮き、割れ、剥がれへ進み、板がむき出しになると水を吸います。変形や劣化まで進むと、塗り替えでは戻せません。

冬に見つけた傷みは春まで待てますか

施工条件を満たさない気温では、塗装もシーリングも原則として行えません。板が割れて水が入っているなら、応急の処置を相談してください。

出典:日本窯業外装材協会「窯業系サイディング お施主様へ」

まとめ

窯業系サイディングの塗り替えで戻るのは塗膜の保護で、板の反りや欠け、目地の切れは別の手当てです。塗膜・板・目地の3つに分けておくと、見積書の項目と金額の差が読めます。

年数は入り口として使い、決め手は症状に置きます。7〜12年は一般的なクリヤー塗装の場合の目安で、板の寿命ではありません。

次にやるとすれば、3点を地面から見て回り、写真とメモを残すことです。そのうえで複数社に現地調査を頼み、迷うときは契約前に公的な窓口を使ってください。

記事の内容に誤りの指摘や、専門家としての監修のご相談があれば、お問い合わせからお知らせください。当サイトは工事の依頼や見積もりは受け付けていません。

掲載した内容は参考であり、結果を保証するものではありません。

実際の判断は、現地を見た専門家の診断にもとづいて行ってください。

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