外壁塗装の保証は何を守るのか|アフター点検と免責の読み方

業者選びと見積もり

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

「10年保証が付きます」と言われた。心強い言葉ですが、その10年が何を保証しているのかまで説明を受けた方は多くないはずです。

塗装工事の保証には、法律で決まっているもの、保険の仕組みによるもの、その会社が独自に出しているものの3つが混ざっています。この3つは、性質も、会社が倒産したときの扱いも違います。

この記事では、国が関わる制度と保険の仕組みをもとに、保証書のどこを見るのか、引き渡し後に何をしておくのかを整理します。

契約前に業者を調べる方法は北海道での業者の選び方で扱っています。この記事は契約から引き渡し後の話です。

なお、この記事は工事を請け負う立場で書いたものではなく、法律の解釈を専門とするものでもありません。個別の契約の効力については、契約書と窓口でご確認ください。

  1. 結論:保証は3種類ある
    1. この記事で扱わないこと
  2. 「10年保証」の中身を確かめる
    1. 自社保証が悪いわけではない
  3. 保証書で確認する6項目
    1. 免責事項に何が並ぶか
    2. 免責が広すぎないかを見る
  4. 症状ごとに年数が分かれる理由
    1. だから「色あせは対象外」でも不当ではない
    2. 年数の根拠を聞いてみる
  5. リフォームかし保険という選択
    1. 使うには条件がある
    2. 塗装工事で使えるか
    3. 検査が入ることの意味
    4. 登録事業者かどうかは事前に分かる
  6. 契約書のほうが先に効く
    1. 契約書で見ておく項目
    2. 「工事の内容」が曖昧だと保証も曖昧になる
  7. 引き渡しのときに受け取るもの
    1. 写真がいちばん効く
  8. 引き渡し後にやること
    1. 最初の雨と、最初の冬
    2. 定期点検が保証の条件になっていないか
  9. 点検の中身を先に決めておく
    1. 「見ていない範囲」を書いてもらう
  10. 不具合が出たときの進め方
    1. 相談できる窓口
    2. 言い方を整理しておく
  11. 会社がなくなったとき
    1. 備えとしてできること
    2. 会社の続き方も見ておく
  12. 北海道で保証を考えるときの前提
    1. 1年に1回しか検証の機会がない
    2. 「雪のせい」で片づけられないようにする
    3. 冬は工事ができない
  13. 保証が使えなくなる場面
  14. 保証の年数だけで比べない
    1. 使った材料の期待耐用年数と比べる
  15. よくある質問
    1. 保証書はいつもらえますか
    2. 保証期間中に色あせしてきました
    3. 塗った直後にひび割れが出ました
    4. 担当者が退職していました
    5. 点検の連絡が来ません
    6. 別の会社に見てもらってもいいですか
    7. 保証を付けると費用は上がりますか
    8. 保証書に印鑑がありません
    9. アフター点検では何を見てもらえますか
    10. 保証期間が過ぎたあとの不具合はどうなりますか
    11. 家を売るときに保証は引き継げますか
    12. 複数の会社が関わった場合はどうなりますか
    13. 保証の対象かどうかで意見が食い違ったら
  16. まとめ

結論:保証は3種類ある

先に全体像を示します。

倒産したときに残るかどうかが分かれ目
倒産したときに残るかどうかが分かれ目
種類 誰が負うか 会社が倒産したら
契約にもとづく責任 工事をした会社 請求先がなくなる
自社保証(保証書) 工事をした会社 同上
リフォームかし保険 保険法人 発注者に直接支払われる

いちばん大きな違いは3行目です。自社保証は、その会社が存在していることが前提です。保険は、そこが違います。

この記事で扱わないこと

「10年保証」の中身を確かめる

書類を読む手元

塗装の保証書でよく見かける10年という数字には、注意すべき点があります。

まず、新築住宅の10年保証とは別のものです。新築では、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、売主等が10年間の責任を負う仕組みが法律で定められています。塗り替えのようなリフォームには、この仕組みはそのまま適用されません。

つまり、塗装工事の「10年保証」はその会社が自分で決めて出しているものであることがほとんどです。

自社保証が悪いわけではない

誤解のないように書いておくと、自社保証そのものは真っ当な仕組みです。長く地域で営業している会社ほど、保証を守ることが信用に直結します。

問題は、内容が書かれていない保証書と、会社がなくなったときに何も残らないことの2点です。

保証書で確認する6項目

机の上の契約書類

受け取った保証書に、次の項目が書かれているかを見てください。

  1. 対象の範囲 … 外壁のどの面か、屋根は含むか、付帯部は含むか
  2. 対象の症状 … はがれ、ふくれ、変色、色あせ。どれが対象か
  3. 症状ごとの年数 … 一律ではなく、症状によって分かれるのが普通です
  4. 免責事項 … 何が対象外か(ここがいちばん重要です)
  5. 対応の内容 … 塗り直しか、部分補修か、返金か
  6. 連絡方法と有効の条件 … 定期点検を受けることが条件になっていないか

免責事項に何が並ぶか

多くの保証書で対象外とされているものを挙げます。

  • 天災 … 地震、台風、豪雪、落雷など
  • 下地側の原因 … 外壁材そのものの劣化、ひび割れの再発
  • 第三者による損傷 … 飛来物、車の接触など
  • 経年による色あせ … 一定の範囲は正常な変化とされます
  • 施主側の改変 … 後から穴を開けた、別の塗料を塗ったなど

北海道で気に留めておきたいのは豪雪と落雪です。屋根から落ちた雪が外壁を傷めた場合、それが天災の扱いになるのか、通常の使用の範囲なのか。契約前に聞いておく価値があります。

毎年必ず雪が積もる地域で、「豪雪による損傷は免責」とだけ書かれていると、範囲が広くなりすぎます。どの程度から豪雪と見るのか、除雪で当たった傷はどう扱うのか。曖昧なままにしないほうが安全です。

免責が広すぎないかを見る

免責事項が長く並んでいる保証書は、一見しっかりして見えます。ただし、並んでいる項目を全部足すと、残る範囲がほとんどないこともあります。

読むときは、逆から考えてください。「では、どういう場合なら保証されるのか」。それを一言で説明できないなら、内容を確認したほうがよい保証書です。

症状ごとに年数が分かれる理由

保証書を見ると、症状によって年数が違うことがあります。「はがれ8年、変色5年、色あせ3年」といった書き方です。一見わかりにくいのですが、理屈はあります。

塗膜が果たしている役目は、大きく2つに分かれます。

  • 下地を守る … 水と紫外線を通さない膜として働く
  • 見た目を保つ … 色とツヤを維持する

このうち、家の傷みに直結するのは前者です。はがれやふくれは、膜としての役目が失われた状態なので、長めの保証が付きます。一方、色あせは見た目の変化で、家を傷める現象ではありません。だから短くなります。

だから「色あせは対象外」でも不当ではない

色あせが保証の対象外とされていても、それ自体は不合理ではありません。紫外線を浴びれば色は必ず変わります。変わらない塗料は存在しません。

問題になるのは、面によって極端に差がある、まだらになる、想定より早いといった場合です。そのときは施工の問題である可能性があるため、相談する価値があります。

年数の根拠を聞いてみる

保証年数がどう決められたのかを聞くと、その会社の考え方が見えます。

  • 塗料メーカーの期待耐用年数から決めている … 筋が通っています
  • これまでの施工実績から決めている … 説明できるなら妥当です
  • 他社に合わせている … 根拠としては弱くなります

塗料そのものの選び方は寒冷地の塗料で扱っています。材料の想定と保証年数がかみ合っているかを見るのが、いちばん実質的な確かめ方です。

リフォームかし保険という選択

工事を確認する検査員

会社の存続に左右されない仕組みがあります。リフォームかし保険です。

住宅瑕疵担保責任保険協会の説明によれば、この保険はリフォーム事業者が保険法人へ事業者登録をしたうえで、工事ごとに保険を申し込む形で使われます。手続きの流れには保険法人による検査が含まれます。

保険期間と対象

保険期間は「構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分は5年間、その他の部分は1年間」とされています。保険対象は「リフォーム工事を実施した全ての部分」です。そして「登録事業者の倒産等の場合には、発注者に対して支払う金額は100%となります」と明記されています。

使うには条件がある

この保険は、施主が単独で申し込めるものではありません。工事をする会社が、あらかじめ保険法人に事業者登録をしている必要があります。

登録している会社かどうかは、住宅瑕疵担保責任保険協会の検索で調べられます。調べ方は業者の選び方にまとめています。

塗装工事で使えるか

保険対象は「リフォーム工事を実施した全ての部分」とされていますが、実際に付保できるかは工事の内容と保険法人の判断によります。塗り替えだけの工事で使えるかどうかは、事前に業者を通じて確認してください。

ここで大事なのは、使える・使えないの結論より、その会社が保険の話を理解しているかどうかです。登録の有無も含めて、聞いてみる価値があります。

検査が入ることの意味

この保険で見落とされがちなのが、保険法人による検査が手続きに組み込まれている点です。保険金が下りるかどうか以前に、第三者が工事を見る機会があるということです。

塗装工事は、塗ってしまえば下の状態が見えなくなります。その途中に外部の目が入る機会があるという点には意味があります。ただし検査は保険を引き受けるために必要な範囲の確認であり、工事全体の品質を保証するものではありません。

登録事業者かどうかは事前に分かる

住宅瑕疵担保責任保険協会は、リフォームかし保険を利用する事業者を調べる仕組みを設けています。契約前に自分で確認できる数少ない客観的な情報のひとつです。

ただし、登録しているからといって、その会社が優れていると断定はできません。ひとつの材料として見るのが適切です。ほかの調べ方と組み合わせる方法は業者の選び方にまとめています。

出典:住宅瑕疵担保責任保険協会「リフォームのかし保険」

契約書のほうが先に効く

保証書は工事が終わってから受け取るものです。その前に、契約書に何が書かれているかのほうが実は重要です。

塗装工事は請負契約です。仕上がりが契約の内容に合っていなければ、直してもらう、あるいはその分を減額してもらうという話になります。この土台があったうえで、保証書がそれを補強しているという関係です。

契約書で見ておく項目

項目 確認すること
工事の内容 どこを、どんな材料で、何回塗るのか
数量 面積や長さが入っているか
工期 着工と完了の目安。天候による延長の扱い
支払い 着手金・中間金・完了金の割合と時期
追加変更 下地の傷みが見つかったときの決め方
不具合への対応 期間と、その間の対応内容

いちばん揉めやすいのは追加変更です。足場を組んでから傷みが見つかることは珍しくありません。そのときに誰が、いつ、どう決めるのかを先に書いておくと、後の話がこじれません。

「工事の内容」が曖昧だと保証も曖昧になる

保証は、契約した内容が守られたかどうかで判断されます。契約書に「外壁塗装一式」としか書かれていなければ、何が守られるべきだったのかが不明確になります。

だから、見積書の段階で内訳を出してもらうことが、そのまま保証の実効性につながります。読み方は見積書はどこを見る?に、付帯部の扱いは付帯部の塗装にまとめています。

引き渡しのときに受け取るもの

書類を受け取る場面

保証を実際に使う場面で必要になるものがあります。

受け取るもの 使う場面
保証書(原本) 不具合が出たとき
工程ごとの写真 施工内容を確かめるとき
使用した材料の名称・数量 同じ材料で補修するとき
色番号 部分的に塗り直すとき
下地の補修箇所の記録 同じ場所が再発したとき
担当者の連絡先 連絡するとき

紙で受け取ったら、契約書と一緒に1か所にまとめておいてください。10年後に必要になる書類です。

写真がいちばん効く

不具合が出たとき、話が早いのは写真です。施工中の写真があれば、その場所がどう処理されたかを突き合わせられます。

撮ってもらう内容は工事の流れと工期にまとめています。要点は、塗ってしまうと見えなくなる部分を残してもらうことです。

引き渡し後にやること

雪解け後の住宅の外壁

保証は、放っておいて機能するものではありません。

引き渡し後に見ておく3つの区切り
引き渡し後に見ておく3つの区切り

最初の雨と、最初の冬

不具合が出るとしたら、条件が変わったときです。北海道では次の3つが区切りになります。

  1. 最初のまとまった雨のあと … といの流れ、窓まわり、室内のしみ
  2. 最初の冬が明けたあと … 塗膜のふくれ、目地、雪が当たった面
  3. 1年後 … 全体の色、付帯部、といの固定

とくに2番目です。凍結と融解を一度通した後の状態が、その工事の実力に近い姿になります。見方は外壁の劣化サインと点検の目安で扱っています。

定期点検が保証の条件になっていないか

保証書に「定期点検を受けることを条件とする」と書かれていることがあります。この場合、点検の連絡が来なかったからといって放置すると、保証が使えなくなる可能性があります。

受け取った時点で確認し、点検の時期をカレンダーに入れておくのが確実です。

点検の中身を先に決めておく

外壁を点検する人

「アフター点検に伺います」と言われても、何をするのかは会社によって違います。玄関先で世間話をして終わる訪問もあれば、写真を撮って報告書を置いていく訪問もあります。

契約の段階で、次を確認しておくと期待値がそろいます。

確認すること 聞き方の例
時期 1年後、3年後、5年後など、いつ来るのか
範囲 地上から見るだけか、はしごや足場を使うのか
記録 写真や報告書は残るのか
費用 無料か、有料か。有料ならいくらか
連絡 会社から来るのか、こちらから頼むのか

2番目が実質を分けます。屋根やといの中は、地上からは見えません。足場なしでどこまで見るのかを聞いておくと、点検結果の意味が分かります。

「見ていない範囲」を書いてもらう

点検報告で信頼できるのは、見た範囲と見ていない範囲が区別されているものです。屋根の裏側、隣家との隙間、雪囲いの裏。実際には確認できない部分は必ずあります。

すべてを見たかのような報告のほうが、かえって注意が要ります。点検の考え方は外壁の劣化サインと点検の目安で扱っています。

不具合が出たときの進め方

壁の傷みを撮影する

実際に何か起きたときの手順です。

  1. 写真を撮る … 全体が分かる1枚と、近くで撮った1枚
  2. いつからかを記録する … 気づいた時期と、その前後の天気
  3. 施工した会社に連絡する … まずはここからです
  4. やり取りを文書で残す … メールか書面で
  5. 対応が得られない場合、外部の窓口に相談する

4番目を軽く見ないでください。電話だけのやり取りは、後から確かめようがありません。訪問して見てもらった場合も、その内容を文書で送ってもらってください。

相談できる窓口

会社と話がつかない場合の相談先があります。

  • 住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター) … リフォームに関する相談を受け付けています
  • 消費生活センター … 消費者ホットライン188から最寄りの窓口につながります

相談するときも、契約書・保証書・写真・やり取りの記録があるかどうかで話の進み方が変わります。

住まいるダイヤルは、リフォームに関する相談を受け付けている公益財団法人です。契約前の見積もりについての相談窓口も設けられています。トラブルが起きてからでは利用できないサービスもあるため、心配な段階で一度調べておくと選択肢が増えます。

言い方を整理しておく

相談でも会社との話でも、伝え方を整理しておくと早く進みます。

  1. 事実 … いつ、どこに、どんな症状が出たか
  2. 契約の内容 … 何を頼み、いくら払ったか
  3. これまでのやり取り … いつ、誰に、何を伝え、どう返ってきたか
  4. 希望 … 直してほしいのか、説明がほしいのか、返金を求めるのか

4番目を先に決めておくと、話がぶれません。「納得がいかない」だけでは、相手も動きようがありません。

出典:住まいるダイヤル「悪質なリフォーム事業者にご注意ください!!」消費者庁「消費者ホットライン」

会社がなくなったとき

厳しい話ですが、可能性としてはあります。

自社保証だけの場合、請求する相手がいなくなります。保証書があっても、それを履行する主体が存在しないためです。

一方、リフォームかし保険を使っていた場合は違います。住宅瑕疵担保責任保険協会は「登録事業者の倒産等の場合には、発注者に対して支払う金額は100%となります」としています。

備えとしてできること

  • 保険を使えるか、契約前に聞く
  • 複数の会社に見積もりを取り、保証の条件も比べる
  • 書類を自分で保管する(会社に預けたままにしない)
  • 使った材料と施工内容の記録を残す(別の会社に相談するときの材料になります)

4番目は、実は保険と同じくらい実効的です。記録があれば、別の会社に状況を説明して見てもらえます。

逆に言えば、記録が何もない状態では、どの会社に相談しても一からの調査になります。そのぶん費用も時間もかかります。書類の保管は、地味ですが効きます。

会社の続き方も見ておく

10年先を保証してもらう相手ですから、その会社が10年続きそうかどうかは無関係ではありません。断定はできませんが、判断の材料はあります。

  • 営業年数 … 登記や許可の取得年月から分かります
  • 事務所と施工体制 … 自社の職人がいるか、外注中心か
  • 過去の施工先 … 数年前の現場を見せてもらえるか
  • 建設業許可の有無と更新 … 許可は5年ごとに更新されます

これらの調べ方は業者の選び方にまとめています。保証の話は、会社選びの話とつながっています。

出典:住宅瑕疵担保責任保険協会「リフォームのかし保険」

北海道で保証を考えるときの前提

冬の住宅の外壁

寒冷地では、保証の読み方に加えておきたい視点があります。

1年に1回しか検証の機会がない

塗膜が本当に持つかどうかは、凍結と融解を通してみないと分かりません。その機会は年に1回、冬にしか来ません。

つまり、5年保証なら検証の機会は5回、10年保証でも10回です。本州の同じ年数より、判定の回数が少ないわけではありませんが、1回あたりの負荷は大きいと考えられます。

国土技術政策総合研究所の資料は、寒冷地に限らず冬期には夜間放射によって外壁面の表面温度が外気温より2〜3℃低くなり、凍害発生リスクが高まるとしています。壁が受ける条件は、暦で考えるより厳しいということです。

「雪のせい」で片づけられないようにする

不具合が出たとき、雪や寒さが原因だと説明されることがあります。実際にそうであることも多いのですが、施工の問題と切り分けられなければ、話が進みません。

切り分けの材料になるのが記録です。

  • どの面に、どの高さで出たか … 雪が当たる高さに集中しているか
  • 施工中の写真 … その部分の下地処理がどうだったか
  • 過去の状態 … 前回の塗り替え時にも同じ場所だったか

雪が当たる位置の話は雪から外壁を守るで扱っています。原因が雪であっても、次の工事で対策できるという結論に持っていくほうが建設的です。

冬は工事ができない

もうひとつの前提です。不具合が見つかっても、その場で直せない時期があります。塗装には気温の条件があり、北海道では施工できる期間が限られます。

春に見つけて相談すれば、その年のうちに手当てできます。秋に見つけると、翌シーズンまで待つことになります。点検の時期を春に置く理由のひとつです。時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期にまとめています。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

保証が使えなくなる場面

保証書があっても、実際には使えないという状況があります。先に知っておけば避けられるものが多いので、挙げておきます。

  1. 書類を紛失した … 会社に控えがあることもありますが、確実ではありません
  2. 定期点検を受けていない … 条件に書かれている場合があります
  3. 他社が手を入れた … 原因の切り分けができなくなります
  4. 気づいてから長く放置した … 損害が広がった分が対象外になることがあります
  5. 免責に該当した … 天災、第三者の行為、下地側の原因など

4番目は見落とされがちです。気づいたら早めに連絡し、その日付を残しておくだけで立場が変わります。連絡は電話ではなく、メールなど記録が残る方法にしてください。

保証の年数だけで比べない

見積もりを比べるとき、保証年数の長さで判断したくなります。ただし、年数は会社が自分で決められる数字です。

見るところ 比べ方
年数 症状ごとに分かれているか
免責 何が対象外か。範囲が広すぎないか
対応 塗り直しか、部分補修か
裏づけ 保険か、自社保証か
点検 いつ、誰が、何を見るのか

「20年保証」と書かれていても、免責が広ければ実質は短くなります。年数と免責はセットで読んでください。

使った材料の期待耐用年数と比べる

もうひとつの見方があります。塗料メーカーが示している期待耐用年数と、保証年数が大きく食い違っていないかです。

材料の想定を超える長さの保証が出ている場合、その根拠を聞いてみてください。説明できるなら問題はありません。説明が出てこないなら、数字が営業のためのものである可能性があります。

よくある質問

保証書はいつもらえますか

工事完了後、引き渡しのときが一般的です。その場でもらえない場合は、いつ届くのかを確認してください。忘れられることがあります。

保証期間中に色あせしてきました

多くの保証書で、一定の範囲の色あせは正常な変化として対象外とされています。ただし、面によって極端に差がある、まだらに変色しているといった場合は相談する価値があります。

塗った直後にひび割れが出ました

外壁材側のひび割れが動いた可能性があります。塗膜はひび割れを固定する材料ではありません。ただし、下地の補修が不十分だった可能性もあるため、施工時の写真と合わせて説明を求めてください。

担当者が退職していました

会社が存続していれば、保証は会社に対するものです。担当者個人ではありません。会社の窓口に連絡してください。書類が手元にあれば話が早く進みます。

点検の連絡が来ません

こちらから連絡してかまいません。保証書に定期点検が条件と書かれている場合はとくに、放置しないでください。連絡した記録も残しておきます。

別の会社に見てもらってもいいですか

かまいません。ただし他社が手を入れた後は、元の会社の保証が使えなくなることがあります。まずは施工した会社に連絡し、対応が得られない場合に次を考える順番が安全です。

保証を付けると費用は上がりますか

自社保証は通常、工事費に含まれています。リフォームかし保険を使う場合は、保険料と検査の費用がかかります。金額は工事の規模によるため、見積もりの段階で確認してください。

保証書に印鑑がありません

会社名、代表者名、日付、工事内容が入っているかを確認してください。書式の決まりはありませんが、誰が何を保証しているのかが分からない書面は保証書として機能しません。

アフター点検では何を見てもらえますか

会社によります。「どこを、どうやって見るのか」を先に聞いておくと、当日の受け止め方が変わります。写真を残してもらえるかも聞いてください。

保証期間が過ぎたあとの不具合はどうなりますか

原則として自己負担での補修になります。ただし期間を過ぎていても、施工に明らかな問題があった場合は相談の余地があります。まずは施工した会社に状況を伝え、記録を残してください。

家を売るときに保証は引き継げますか

保証書に「所有者が変わった場合の扱い」が書かれているかを確認してください。引き継げるもの、引き継げないもの、手続きが要るものがあります。売却を考えている場合は、契約前に聞いておくと後で困りません。

複数の会社が関わった場合はどうなりますか

元請の会社が窓口になるのが通常です。下請けの会社に直接連絡するよう言われたら、その理由を確認してください。契約の相手は元請の会社です。

保証の対象かどうかで意見が食い違ったら

まず、会社側の判断の根拠を文書で出してもらってください。免責のどの項目に当たると考えているのかを明確にしてもらいます。そのうえで納得できない場合は、住まいるダイヤルや消費生活センターに相談してください。

まとめ

塗装工事の保証には、契約にもとづく責任、自社保証、保険の3つがあります。多くの「10年保証」は2番目で、会社が存続していることが前提です。

保証書では、年数より免責事項を読んでください。天災、下地側の原因、経年による色あせ。どこまでが対象外かで、実質的な内容が決まります。北海道では豪雪と落雪の扱いを確認しておく価値があります。

会社の存続に左右されない仕組みとして、リフォームかし保険があります。構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分は5年、その他は1年。登録事業者の倒産等の場合には、発注者に対して支払う金額は100%とされています。使えるかどうかは業者を通じて確認してください。

そして、引き渡しで保証書・工程写真・材料名・色番号を受け取り、自分で保管すること。最初の冬が明けたときに一度見ること。この2つが、保証を実際に使えるものにします。

保証の前提になるのは、決められた工程が入っていることです。確かめ方は外壁塗装の3回塗りは本当かで扱っています。

引き渡し前、工事期間中の損害の扱いについては、工事中の事故と近隣への損害にまとめています。

塗装後に出た膨れや剥がれの原因の切り分けは膨れ・剥がれの原因と対処にまとめています。

本記事は保証と保険の一般的な仕組みを整理したもので、個別の契約における保証の適用可否を判断するものではありません。保証の内容は会社ごとに異なり、リフォームかし保険の付保の可否は工事内容と保険法人の判断によります。実際の取扱いは、契約書・保証書の記載と、施工業者および各窓口にご確認ください。

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