最終更新:2026年9月16日公開:2026年8月27日編集方針と検証の手順
外壁の見積書に「基礎巾木塗装」の行があった。春先に雪が解けたら、基礎の表面のはがれが去年より広がっていた。基礎の塗装を調べ始めるきっかけは、たいていこの2つです。
調べると「塗ったほうがいい」と「塗らないほうがいい」の両方が出てきます。どちらも間違いではなく、条件が違うだけです。
塗る目的の分け方、湿気・サインが隠れる・耐久性という3つの心配、剥がれの原因、北海道で効いてくる条件、見積書での確かめ方を順に整理します。もとにするのは法令と告示、国の仕様書、それにメーカーの公開仕様です。
当サイトは工事も見積もりも受けません。基礎の単価はここでは扱いません。外壁塗装全体の費用は別の記事にまとめています。
基礎の塗装は「何のために塗るか」で決まる

基礎の塗装は、必要か不要かの二択で答えの出る工事ではありません。塗る目的は保護・美観・中性化の抑制の3つに分けられ、どれを狙うかで材料も、そもそも塗るかどうかも変わります。
当サイトの別の記事も「塗れます」という立場で、条件つきの判断として扱っています。禁じ手ではなく、目的と下地の状態で決める工事だと考えるほうが実際に近い形です。
まず、この3つの目的を分けるところから始めます。目的が決まると、材料に何を求めるかも、いま塗るのか次に回すのかも決まります。
塗る目的は3つに分けられる
1つめは保護です。表面の傷みや、水の出入りを抑える狙いになります。
2つめは美観で、汚れや補修の跡を整える目的です。3つめが中性化の抑制で、住宅の基礎用塗料を出しているエスケー化研と日本ペイントの両社とも、これを特長に挙げています。中性化は、コンクリートが空気中の炭酸ガスの影響でアルカリ性を失っていく変化のことです。
エスケー化研は「水分や炭酸ガスの浸入を防ぎ、コンクリートの中性化を抑制します」と書いています。ただしこれは各社の製品の説明で、基礎の塗装全般に当てはまる一般則ではありません。
塗ったほうがよい場合と、急がなくてよい場合
塗る方向に傾くのは、表面の傷みがすでに出ているとき、外壁と同時なら養生や職人の出入りといった段取りの手間が減るとき、中性化を抑えたいときです。
急がなくてよいのは、下地が健全で汚れも目立たないときです。もう1つ、メーカーが「絶えず結露するなど、湿潤環境にある基礎部分には塗装しないでください」と明記している条件に当たる面があります。
これはその製品の使用条件で、基礎の塗装そのものを禁じたものではありません。
付帯部の塗装では「基礎も塗れますか」という問いに、「塗れます」と答えています。続けて「ただし基礎は湿気を含みやすく、塗膜で密閉すると内部の水分が抜けにくくなることがあります」という但し書きが付きます。そのうえで「透湿性のある材料を使うかどうかを含めて相談してください」と結ばれています。
この記事で扱わないこと
基礎の周辺には、それぞれ別の記事が要る話がいくつもあります。ここで扱うのは、塗るかどうかの判断と、見積書での確かめ方だけです。
次の内容は別の記事に置いています。
- 凍害の仕組み … 凍害とは
- 雪解け水と地面の勾配 … 雪と外壁
- ひび割れの幅と補修の工法 … 外壁のひび割れ
- 工事全体の費用の内訳 … 北海道の外壁塗装の費用
- 自分で塗るときの注意 … 外壁塗装のDIY
判断は基礎の面の種類でも変わるので、自分の家がどちらか分からないときは、次の章から読むほうが近道です。
基礎の何を塗るのか

一口に基礎といっても、塗る相手は2つあります。コンクリートがそのまま出ている面と、上からモルタルを薄く塗って仕上げた面です。
見積書に出てくる「基礎巾木」は、地面から立ち上がった見える部分を指す言い方になります。メーカーも用途を「住宅の基礎巾木(コンクリート、モルタル)」と書いていて、どちらの面も塗る対象です。これはその製品の説明で、基礎全般の一般則ではありません。
まず自分の家がどちらの面かを確かめると、あとの話が読みやすくなります。傷み方も、塗る前に直すかどうかも、面の種類で分かれるからです。
生コンクリートの面と化粧モルタルの面
見分ける手がかりを並べます。
| 生コンクリートの面 | 化粧モルタルの面 | |
|---|---|---|
| 見え方 | 型枠の跡や気泡の跡が残る | 表面が平らでこてむらがある |
| たたいた音 | 詰まった鈍い音 | 浮いた場所は軽く高い音 |
| 出やすい傷み | 表面が粉を吹く、細かい欠け | 層ごとの浮き、ふちからのはがれ |
| 塗装での扱い | 面としてはそのまま塗れる | 浮きを直してから塗る |
化粧モルタルは、コンクリートの上に薄く塗られた別の層です。新築の見た目を整えるために使われることが多く、年月が経つと下地との縁が切れることがあります。
ここが浮いているかどうかが、あとの判断を分けます。剥がれる仕組みは、この記事の後半でまとめて扱います。
基礎巾木という呼び方
基礎巾木は、地面から上に出ている立上りの、外から見える帯の部分です。見積書ではこの言い方で数量が拾われます。
平成12年建設省告示第1347号は、べた基礎の「立上り部分の高さは地上部分で三十センチメートル以上」と定めています。見える帯の高さには、おおよその下限があるわけです。
ただしこの告示は基礎の構造についての規定で、塗装の可否を定めたものではありません。
出典:国土交通省「建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件(平成12年建設省告示第1347号)」/エスケー化研「ベースプロテクト」
基礎に塗る塗料は何が違うのか
住宅の基礎用としてメーカーが出している製品は、外壁用とは狙いが違います。効くのは色や樹脂のグレードより、透湿性・下地追従性・中性化の抑制の3つです。
水性か溶剤か、弾性か硬質かという分け方もありますが、基礎ではこの3つを満たすかどうかで見るほうが早く決まります。実際、住宅の基礎用として公開仕様を確認できた2社は、同じ性質を挙げています。
なお当サイトは製品の順位付けをしないので、おすすめの銘柄は書きません。ここで扱うのは、材料を選ぶときに見る性質の名前だけです。
水性か溶剤か、弾性か硬質か
水性は水で薄めるもので、においが出にくく住宅の周りで扱いやすい形です。溶剤は薄め液を使うぶん、においと養生の手間が増えます。工事中のにおいが気になる家では、この違いが効きます。
水性と溶剤形の違いそのものは外壁塗装のにおいで扱っています。
硬質の塗膜は表面が締まり、弾性の塗膜は伸びます。基礎のように下地に細かいひびが入りやすい面では、伸びる側の性質が効いてきます。
樹脂の種類でシリコンやアクリルという言葉も出てきますが、耐久性の等級だけで選ぶと、次に挙げる透湿性と下地追従が抜け落ちます。外壁で使う選び方をそのまま持ち込まないほうが安全です。
基礎で効くのは透湿性と下地追従
エスケー化研は「高い透湿性により、膨れなどを抑制します」「微弾性により、優れた下地追従性を示します」と書いています。
日本ペイントも「従来品に比べ透湿性が向上。背面からの水分の影響を緩和し、膨れやはく離を抑制」「微弾性塗膜により、下地のヘヤクラック(幅0.3mm以下、深さ4mm以下)に追従」としています。ヘヤクラックは、髪の毛ほどの細いひびを指す言い方です。
2社が同じ2点を挙げているのは、基礎という面がそれだけ水と動きにさらされるからだと読めます。いずれも各社の製品の説明で、基礎の塗装全般の一般則ではありません。
出典:日本ペイント「キソエース」/エスケー化研「ベースプロテクト」
国の基準と、北海道の基礎で効く凍結深度

基礎の構造方法については、建築基準法施行令第38条と、そこから委任された平成12年建設省告示第1347号に基準が定められています。立上りの高さ・厚さ、根入れの深さに数値があります。
そして根入れには、「かつ、凍結深度よりも深いものとする」という条件が付きます。北海道の基礎は、この条件のうえに建っているわけです。
塗装そのものを定めた規定ではありませんが、何を守るための部分なのかが読み取れます。業者の説明を聞くときの物差しにもなるので、数値を押さえておいて損はありません。
立上りの高さと厚さ、根入れの深さ
告示1347号は、べた基礎の寸法を3つ決めています。「立上り部分の高さは地上部分で三十センチメートル以上と、立上り部分の厚さは十二センチメートル以上と、基礎の底盤の厚さは十二センチメートル以上とすること」。
布基礎では数値が変わり、「根入れの深さにあっては二十四センチメートル以上と、底盤の厚さにあっては十五センチメートル以上」と定められています。
これは構造の規定であって、塗装の可否や塗り方を定めたものではありません。基礎がどんな役割を負っているかを知るための材料として読みます。
根入れは「凍結深度よりも深い」
同じ告示の根入れの条文が、寒冷地では効いてきます。「根入れの深さは…十二センチメートル以上とし、かつ、凍結深度よりも深いものとすることその他凍上を防止するための有効な措置を講ずること」。
凍上は、地盤の中に氷の層ができて成長し、地盤ごと持ち上がる現象です。凍らない深さまで基礎の底を下げておく、というのがこの条文の考え方になります。
条文が「その他凍上を防止するための有効な措置」と続けているのは、深さ以外の方法も認めているからです。
凍結深度は市町村ごとの標準値が示されているので、具体的な数値はお住まいの地域の基準で確かめてください。地質や地下水位、標高によって設定は変わります。数値そのものが塗装の可否を決めるわけではありません。ただし、この前提から決まる基礎の作りは、塗る前に見る項目になります。
表面のはがれの原因の一つは凍結と融解
構造の深さの話とは別に、地上に出ている面には別の傷み方があります。雪と外壁では、「基礎の表面がはがれてきました」という問いに「凍結と融解の繰り返しによる劣化が考えられます」と答えています。
同じ記事は「塗るだけで済むかどうかは状態によります」とも書いています。はがれが広い面は、塗る前に別の判断が要るわけです。
凍結と融解が外壁材を壊す仕組みそのものは、凍害とはで扱っています。
出典:国土交通省「建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件(平成12年建設省告示第1347号)」/e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
床下の換気は家によって前提が違う

「基礎を塗るときは換気孔をふさぐな」という注意はよく見かけます。ただ北海道では、そもそも換気孔が無い家が珍しくありません。
建築基準法施行令第22条にはただし書きがあり、床下をコンクリートで覆う場合はこの条の対象から外れます。基礎断熱の住宅では床下が室内側として扱われるため、外壁の足元に換気孔が並ばない形になります。
一律の注意として受け取る前に、自分の家がどちらかを確かめるほうが先です。ただし基礎と土台の間で換気する作りもあるため、目立つ開口が無いというだけで基礎断熱と決まるわけではありません。分からなければ、建てた会社か施工した業者に聞いてください。
令22条にはただし書きがある
条文はこう書かれています。「最下階の居室の床が木造である場合における床の高さ及び防湿方法は、次の各号に定めるところによらなければならない。ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料で覆う場合…この限りでない」。
各号の中身は2つです。一号は「床の高さは、直下の地面からその床の上面まで四十五センチメートル以上」。二号は「外壁の床下部分には、壁の長さ五メートル以下ごとに、面積三百平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること」です。
この条は居室の床の高さと防湿方法についての規定で、塗装について定めたものではありません。
換気孔は構造上も扱いが決まっている
告示1347号にも換気孔の記述があります。「換気口を設ける場合は、その周辺に径九ミリメートル以上の補強筋を配置すること」。
開口として設計され、鉄筋まで決められている場所です。換気孔がある家では、塗料や補修材でふさぐ対象ではありません。
まわりの補修をするときも、開口の形を残してもらいます。この告示も基礎の構造についての規定で、塗装の可否を定めたものではありません。
逆に言えば、換気孔の無い家にこの注意をそのまま当てはめても意味がありません。だから先に数えます。
自分の家に換気孔があるか数える
確かめ方は単純です。
- 家のまわりを一周して、基礎の足元に開口があるか見る
- あれば位置と数を写真に残す
- 換気孔がある家は、塗るときにふさがない段取りを約束しておく
壁内結露では、「北海道では基礎断熱の住宅が多く、床下も室内側として扱われます」と書いています。開口が見当たらない場合は、この型の家である可能性があります。
出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」/国土交通省「建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件(平成12年建設省告示第1347号)」
塗ることの心配ごとをどう考えるか

基礎の塗装で挙がる心配は、3つに整理できます。湿気がこもる/劣化のサインが見えなくなる/耐久性が上がるとは限らない、の3つです。
どれも「だから塗らない」で終わる話ではありません。材料の選び方と、点検のしかたで扱いが変わります。
湿気は材料の側で扱われていて、メーカーの公開仕様に答えの一部が書かれています。サインが見えなくなることは、塗ったあとの点検のしかたの話です。耐久性は、塗装という工事の守備範囲そのものの話になります。
順に、何がどこまで言えるのかを見ていきます。
湿気はこもるのか
心配の中身は、塗膜で密閉されてコンクリートの中の水分が抜けなくなる、という話です。材料の側でどう扱われているかは、「基礎に塗る塗料は何が違うのか」で見たとおりです。
付帯部の塗装も透湿性のある材料かどうかを相談するよう書いていて、立場は同じになります。
ただし材料で解決できない条件もあります。最初の章で引いたエスケー化研の使用条件、つまり絶えず結露するような面はそれに当たります。絶えず濡れている面があるなら、水の当たり方から先に手をつけます。
劣化のサインは見えなくなるのか
塗膜は表面を均すので、細いひびや粉吹きは見えにくくなります。次の異変に気づく手がかりが減る、という指摘は当たっています。
だからこそ、塗る前に見ておくことに意味があります。塗ったあとは、施工前後の写真を残して次の点検の基準にしておくと、変化を追えます。
工事の記録は、次の塗り替えを頼むときにも使えます。
ある住宅基礎用の製品は、幅0.3mm以下・深さ4mm以下のヘヤクラックに追従するとしています。ただし追従することと、下地のひびが直っていることは別です。
耐久性が必ず上がるわけではない
塗装は表面を保護する工事で、基礎そのものの構造の性能を上げるものではありません。塗ったから丈夫になる、という言い方は正確ではないわけです。
中性化の抑制は各社が特長に挙げていますが、これも製品の説明であって、どの家でも同じ結果になるという意味ではありません。
「塗れば凍害を防げる」とも書けません。そう読める説明を受けたときは、何を根拠にしているのかを聞いてみてください。
出典:日本ペイント「キソエース」/エスケー化研「ベースプロテクト」
剥がれの原因は塗料より下地にあることが多い

基礎の塗装が数年ではがれた、という話の多くは、塗料の性能ではなく下地の状態から来ています。化粧モルタルが浮いていれば、その上の塗膜も一緒に動きます。

国の仕様書も、塗り替えの下地調整について「劣化部分は除去し、活膜部分は残す」としています。落とすところと残すところを分ける、という考え方です。
塗料の等級を上げても、この順序は変わりません。下地を直さずに良い材料を使うのは、順番を入れ替えているだけになります。
下地が浮いていれば塗膜も一緒に動く
化粧モルタルは薄い層で、コンクリートとの間で縁が切れると浮きます。地上から手で軽くたたくと、浮いた場所は音が変わります。
塗膜は、ヘヤクラック程度の細かい動きには追従しても、層ごと浮いた面の動きには追従しません。浮いた層の上に塗れば、層ごと落ちるときに塗膜も一緒に落ちます。
仕様書は「活膜は残す」と書いている
公共建築改修工事標準仕様書は、コンクリート面の下地調整について「特記がなければ、RB種とする」としています。RB種の既存塗膜の除去範囲は「特記がなければ、劣化部分は除去し、活膜部分は残す」とされています。
活膜は、まだ密着している健全な塗膜のことです。全部を裸にするのではなく、傷んだところだけ落とすのが原則になっています。
区分の中身はケレンとはで扱っています。この仕様書は公共建築の工事に適用されるもので、戸建ての民間工事に義務として及ぶわけではありません。
出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
塗る前に確かめる5つの状態

塗る前に見ておきたい状態が5つあります。粉を吹く/細いひび/浮きや欠け/水がたまる面/はがれが広い面です。

このうち浮きと欠けは、塗る前に直さないと同じ場所で再発しやすくなります。どれも地面に立ったまま、目とたたく音で確かめられます。
高いところに上がる必要はありません。基礎は地面に接している部分なので、しゃがんで見れば手の届く範囲で確かめられます。
見た結果を写真に残しておくと、見積もりを取るときの材料にもなります。
地上から見分ける
5つを並べます。
| 状態 | 地上からの見分け方 | 塗る前にすること |
|---|---|---|
| 粉を吹く | 手でこすると白い粉が付く | 洗って落とす。急がない場合もある |
| 細いひび | 目を近づけると線が見える | 幅と本数を写真に残す |
| 浮き・欠け | たたくと音が軽い、ふちが欠けている | 直してから塗る |
| 水がたまる面 | 春先に地面が濡れたまま残る | 水の当たり方を先に見てもらう |
| はがれが広い | 層ごとめくれている範囲が広い | 塗るだけで済むか別に判断する |
外壁に生じたひび割れの幅の目安と補修の工法は、外壁のひび割れで扱っています。水がたまる面については、雪と外壁が春先の雪解け水と地面の勾配を整理しています。
直したあとは十分に乾燥させる
直した部分は、乾いてから塗ります。公共建築工事標準仕様書のコンクリート面の素地ごしらえ(塗る前の面のととのえ方)も、工程1に「素地を十分に乾燥させる」を置いています。
同じ表には注が付いていて、「コンクリート面の場合は、工程3を省略する」とされています。工程3が吸込止めです。面の種類で工程が変わる、という書き方になっています。ここで省けるのは吸込止めであって、製品が指定する下塗りが要らなくなるという意味ではありません。
これは新しく塗る面の規定で、しかも公共建築の工事に適用される仕様書です。塗り替えのときは改修側の表(RB種)を見ます。
出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
塗れる時期と乾かす条件
改修仕様書は、塗装改修工事の施工管理として「気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない」としています。
ただし採暖や換気を適切に行う場合は除く、というただし書きが付きます。北海道では、この条件で秋口の工程が後ろにずれます。
基礎だけ後回しにすると、翌年になることがあります。外壁が終わってから考え始めると、条件を満たす日が残っていないという事態が起きます。
塗る時期は、外壁の工事を決める段階で一緒に決めておくほうが安全です。
気温5℃以下・湿度85%以上では塗らない
同じ項には「外部の塗装は、降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない」ともあります。基礎は地面に近く、朝晩の冷え込みと湿りをまともに受ける面です。
日中は条件を満たしても、夕方には気温が5℃を割ってしまう日が出てきます。塗れる時間帯が短くなるのが、寒くなってからの条件です。
この条件も公共建築の工事に適用される仕様書のもので、戸建ての民間工事に義務が生じるわけではありません。目安として使います。
基礎だけ後回しにすると翌年になる
外壁が終わって足場を外したあと、基礎だけ残すという段取りもあります。ただ地面に近い面は乾きにくく、秋は日照も短くなります。
北海道で外壁塗装ができる時期で全体の季節の枠を整理しています。外壁と同じ工期に入れるか、翌年に回すかを先に決めておくと、先送りになりません。
翌年に回すなら、それまでの間に傷みが進む面がないかも見ておきます。
出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
見積書で基礎の行をどう読むか

基礎の行は、3とおりに分かれます。「基礎巾木塗装 一式」、「○㎡ 単価○円」、そして行そのものが無いものです。
基礎は、長さと高さから塗装面積が拾える部分です。だからこそ一式ではなく、数量と材料で出してもらうと比べられます。同じ家でも社によって数え方が違うことがあるので、そろえてもらうところから始めます。
下地の補修が別立てになっているかも、同時に確かめます。塗るだけの金額と、直してから塗る金額は別物だからです。
見るのは3点だけなので、手元の見積書を開きながら読んでください。
3つの書き方をどう読み分けるか
3つの型を並べます。
| 見積書の書き方 | 読み取れること | 読み取れないこと | 次にすること |
|---|---|---|---|
| 基礎巾木塗装 一式 | 費用に含まれてはいる | 塗装面積、材料、下地の補修 | 数量と材料を書面で出してもらう |
| ○㎡ 単価○円 | 数量と、他社との比較 | 透湿性のある材料かどうか | 材料名と下地の補修の有無を聞く |
| 記載なし | なし | 実施の有無そのもの | 基礎を塗る前提かどうかを聞く |
基礎は建物本体と分けて見積もってもらうほうが、やるかどうかを後から判断しやすくなります。金額を分けておけば、今回は見送るという選び方もできます。
見積書のチェックは、「一式」ばかりの見積書は比較できない、という点から始めています。基礎の行も、そこは同じです。
そのまま使える聞き方
電話でもメールでも使える形にします。
- 何のために塗りますか(保護ですか、美観ですか、中性化の抑制ですか)
- 透湿性をうたっている材料ですか
- 下地の補修は別に入っていますか
- 換気孔をふさがない段取りになっていますか
4つ目は、家のまわりに換気孔がある場合の質問です。無い家なら飛ばして構いません。
答えが口頭だけで返ってきたときは、見積書か打ち合わせの記録に残してもらってください。
よくある質問
基礎についての質問は、費用・色・DIY・下塗りの4つに寄ります。本文で扱いきれなかった8つの問いに、ここで短く答えます。
答えの根拠は、各節の末尾に置いた出典と同じ資料です。製品の順位付けやおすすめは書きません。数値で答えられないものは、どこを見て決めるかを添えました。
金額そのものと施工の手順は、当サイトの別の記事へ送ります。迷ったときは、まず自分の家の面がどうなっているかを見るところからです。塗るか塗らないかは、そのあとで決まります。
基礎の塗装をしないと家が傷みますか
塗装は表面を保護する工事です。傷みの進み方は、下地の状態と水の当たり方で決まります。まず自分の家の面がどうなっているかを見てください。
基礎塗装の費用はどれくらいですか
単価も相場もここでは扱っていません。基礎の金額は塗装面積と下地の状態で動くため、単価だけを比べても答えが出にくいからです。工事全体の費用の考え方は北海道の外壁塗装の費用、足場については足場費用で扱っています。
白い粉が出ています。すぐ塗ったほうがいいですか
粉吹きだけなら急がない場合もあります。浮きや欠けがあるかどうかを先に見て、その結果で決めるほうが順序として自然です。
自分で塗ってもいいですか
手が届く高さの部位ではあります。ただし下地が浮いているかどうかの判断が要るので、外壁塗装のDIYの注意点を先に読んでください。
何色でも選べますか
製品ごとに色の範囲が決まっています。外壁との見え方は、足場があるうちに現物で確かめておくと迷いが減ります。
新築なのに基礎のモルタルがはがれてきました
化粧モルタルの層の問題として扱う話です。新築住宅の保証は塗装工事の保証とは別の仕組みなので、まず建てた会社に連絡してください。違いは保証とアフター点検で整理しています。
下塗り(プライマー)は省けますか
面の種類で工程が変わるので、省けるかどうかは面を見てから決まります。仕様書が省略できるとしているのは吸込止めの工程で、製品が指定する下塗りを省ける根拠にはなりません。下地調整の区分はケレンとはで扱っています。
外壁の塗り替えと同時にやるべきですか
段取りの都合では同時のほうが進めやすい形です。ただし金額は建物本体と分けて、別の見積もりで出してもらってください。
まとめ|基礎の塗装は目的と下地の状態で決まる
基礎の塗装は、必要か不要かではなく、何のために塗るか・下地がどうかで決まります。塗る目的は保護・美観・中性化の抑制の3つです。
見積書で確かめるのは、①何のために塗るのか、②数量が入っているか、③下地の補修が別に入っているか、の3点。書かれていなければ書面で出してもらいます。
北海道では凍結深度と基礎断熱という構造側の前提があるので、換気孔の有無を先に数えておいてください。この記事へのご指摘や、取材・監修のご相談はお問い合わせへどうぞ(工事の依頼と見積もりは受け付けていません)。
屋外の灯油タンク(ホームタンク)の錆をどうするかは、ホームタンクの錆|塗る・替える・動かすを位置と程度で見分けるで、脚・外面・底・配管と置き場所に分けて整理しています。
この記事は編集部が公的資料とメーカーの公開仕様をもとにまとめたものです。引用した告示と施行令は基礎の構造方法についての基準で、塗装の可否を定めたものではありません。仕様書は公共建築の工事に適用されるもので、戸建ての民間工事の基準ではありません。当サイトは施工を請け負っていません。

