高圧洗浄は何をしているのか|塗装前に落とすものと乾燥の時間

塗料と外壁材

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

外壁塗装の見積書に「高圧洗浄」という行がある。金額もそれなりに入っている。ただ水で洗うだけなのに、なぜ費用がかかるのか。自分でやってはいけないのか。

高圧洗浄は、きれいにするための工程ではありません。塗料を密着させるための下ごしらえです。ここを省くと、その後に何を塗っても持ちません。

この記事では、国が定めている工事の仕様書と、外壁材の業界団体が公表している維持管理の資料をもとに、洗浄で何を落としているのか、どこに加減が要るのか、立ち会うときは何を見るのかを整理します。

なお、この記事は工事を請け負う立場で書いたものではありません。掲載する内容は一般的な整理で、実際の判断は現地の確認によります。

  1. 結論:洗浄は塗装の一部
    1. この記事で扱わないこと
  2. 何を落としているのか
    1. 汚れとほこり
    2. コケ・藻・カビ
    3. チョーキングの粉
    4. 浮いた古い塗膜
  3. 落とさないとどうなるか
    1. 塗料が密着しない
    2. 早い時期にはがれる
    3. 保証の対象から外れることがある
  4. 洗浄の方法
    1. 圧力は強ければよいわけではない
  5. 外壁材によって加減が変わる
    1. 窯業系サイディング
    2. モルタル
    3. 木部
    4. シーリング部
    5. 外壁材ごとの注意点
  6. 乾かす時間が要る
    1. なぜ待つのか
    2. 気象条件によって変わる
    3. 同日に塗ると言われたら
  7. 北海道で気をつけたいこと
    1. できる時期が限られる
    2. 朝と夕方は冷える
    3. 雪解け直後は汚れが多い
  8. 洗浄で分かること
    1. 汚れの下から症状が出る
    2. 水の抜け方を見る
    3. 報告を受け取る
  9. 近隣への配慮
    1. 音が出る
    2. 水と汚れが飛ぶ
    3. いつやるのかを伝える
  10. 当日までに施主がやっておくこと
    1. 換気の穴に注意する
    2. 雨戸とサッシの隙間
  11. 洗浄と養生の順序
    1. 洗浄のあとで養生する理由
  12. 見積書での見方
    1. 水道はどうするか
    2. 洗浄だけ極端に安い場合
  13. 立ち会うときに見るところ
    1. 写真を残してもらう
  14. 自分でやってはいけないか
    1. 塗装の前工程としては勧められない
    2. 日常の手入れとしてなら
  15. よくある質問
    1. 洗浄は何日かかりますか
    2. 雨の日でもできますか
    3. 洗ったら壁の色が変わりました
    4. コケがまた生えてきます
    5. 洗浄だけを頼むことはできますか
    6. 薬剤は植木に影響しませんか
    7. 洗浄したら塗装しなくてもよくなりますか
    8. 洗浄をしない工事はありますか
    9. 窓は開けられますか
  16. まとめ

結論:洗浄は塗装の一部

先に要点を示します。

  • 洗浄は塗料を密着させるための工程です。清掃ではありません
  • 落としているのは汚れ、コケ、チョーキングの粉、浮いた古い塗膜です
  • 外壁材によって圧力の加減が変わります。強ければよいものではありません
  • 洗ったあとは乾かす時間が要ります。同日に塗ることはできません

見積書に洗浄の行がない、あるいは金額が極端に小さい場合は、何をどこまでやるのかを確認してください。屋根や付帯部を含むかどうかでも、金額は変わります。

この記事で扱わないこと

何を落としているのか

コケの生えた外壁

洗浄で除去する対象は、いくつかに分かれます。

洗浄で落としている4つのもの
洗浄で落としている4つのもの

汚れとほこり

大気中のちりや排気、雨で流れた土などが表面に付いています。目に見える汚れは、いちばん落としやすい部類です。

ただし、長年たまった汚れは表面に固着します。軽く流しただけでは落ちません。圧力をかけて落とす必要があるのは、このためです。

同協会の資料も、サイディングの塗り替えの素地調整について「元の塗膜のチョーキング、浮きや汚れなどを高圧水洗やサンドペーパー、ワイヤーブラシ、ヘラ、ウエス等で取り除きます」「塗装面を十分に乾燥させます」としています。落とす工程と乾かす工程が、塗装の前に置かれているということです。

汚れの付き方は面によって違います。道路に面した壁は排気で黒ずみ、風下側の壁は砂やほこりがたまります。同じ家でも、洗浄にかかる手間は面ごとに変わります。

コケ・藻・カビ

日当たりが悪く、湿気がとどまる面には、コケや藻が出ます。北側の壁、隣家との間、植栽の近くによく見られます。

これらは根を張るように表面に入り込みます。水で流すだけでは残ることがあり、薬剤を併用する方法がとられることもあります。

コケが出ているということは、そこに水がとどまる条件があるということでもあります。落とすだけでなく、なぜそこに出たのかを見ておくと、次に活きます。雨どいから水があふれている、隣家との間が狭く風が通らない、といった原因が見つかることがあります。

チョーキングの粉

外壁を手でこすると白い粉が付く状態を、チョーキングと呼びます。塗膜の樹脂が紫外線で分解され、顔料が表面に出てきたものです。

この粉が残ったまま塗ると、粉の上に塗料をのせることになります。粉ごとはがれるおそれがあるため、落とす工程が置かれています。

チョーキングは、外壁の傷み具合を知る手がかりでもあります。手のひらにはっきり付くようなら、塗膜の保護の力はかなり落ちています。点検の目安は外壁の劣化サインと点検の目安で扱っています。

浮いた古い塗膜

前回の塗膜が浮いている、あるいははがれかけている箇所があります。洗浄の水圧で落ちるものは、その場で落とします。

洗浄後に古い塗膜が広くはがれてしまうことがあります。これは洗浄が原因というより、すでに密着が失われていたものが表に出たと考えるのが自然です。

出典:日本窯業外装材協会「サイディングの維持管理はどうするの お施主様へ」

落とさないとどうなるか

はがれた塗膜

下ごしらえを省いた場合に起きることを整理します。

塗料が密着しない

国土交通省の公共建築工事標準仕様書は、塗装の素地ごしらえについて汚れや付着物の除去、油類の除去を工程として定めています。塗る前に表面を整えることが前提になっているということです。

これは公共建築物を対象とした仕様であり、戸建住宅にそのまま適用されるものではありません。ただし塗る前に落とすという考え方は、住宅でも変わりません。

塗料メーカーも、製品ごとに下地の条件を定めているのが一般的です。汚れや脆弱な塗膜が残った面に塗ることは想定されていません。その前提が満たされていなければ、材料が本来の性能を出せないことになります。

早い時期にはがれる

密着していない塗膜は、数年で不具合が出ることがあります。塗った直後はきれいに見えるため、施工時には分かりません。

ここが下ごしらえの難しいところです。省いても、その場では誰も気づきません。だからこそ、見積書と工程の記録が意味を持ちます。

保証の対象から外れることがある

塗料メーカーは、材料ごとに施工の条件を定めています。その条件を満たしていない施工は、材料側の保証の対象外になりうるという構造です。

保証の読み方は塗装の保証とアフター点検にまとめています。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

洗浄の方法

高圧洗浄の作業

現場で使われる方法は、ひとつではありません。

方法 内容 向いている場面
高圧洗浄 水を圧力をかけて当てる 一般的な汚れ全般
回転ノズル 水を回転させて当てる 固着した汚れ
薬剤併用 洗浄剤を使う コケ・藻が多い面
手作業 ブラシ等で落とす 圧力をかけにくい部位

どれか一つだけということはなく、部位に応じて使い分けられます。薬剤を使う場合は、植栽や近隣への影響について事前に説明があるかを確認してください。

圧力は強ければよいわけではない

ここが誤解されやすい点です。圧力を上げれば汚れは落ちますが、外壁材そのものを傷めます。

削れた表面は、あとから元に戻せません。落とすべきものを落とし、材料を傷めない加減が求められます。加減の判断こそが、この工程に費用がかかる理由です。

加減は、ノズルの種類、当てる角度、壁からの距離でも変わります。同じ機械でも、離せば弱く、近づければ強くなります。数値としての圧力だけで語れる工程ではありません。

外壁材によって加減が変わる

サイディングの表面

同じ圧力を全面に当てればよい、という工事ではありません。

窯業系サイディング

日本窯業外装材協会の資料は、塗膜の劣化について「塗膜の部分的な剝離が起こり、基材が露出すると吸水しやすくなり、変形や基材そのものの劣化などが現れてきます」としています。表面の状態が保護の要になっているということです。

塗膜が痩せている面に強い圧力を当てれば、下地まで水が入ります。板の継ぎ目や、板の小口(切り口)は、とくに水が入りやすい部分です。

モルタル

モルタルの外壁では、ひび割れがあるところに圧力をかけると、ひび割れから水が中に入ります。

洗浄の前にひび割れの状態を確認し、必要なら先に処理するという判断もあります。ひび割れの扱いは外壁のひび割れと補修にまとめています。

木部

木の部分は、圧力で毛羽立ちます。水を吸って乾きにくくもなります。金属や窯業系とは別の扱いが要る部位です。

付帯部の考え方は付帯部の塗装で扱っています。

シーリング部

板と板の間を埋めているシーリング材は、劣化していれば洗浄でさらに傷むことがあります。打ち替えるなら洗浄後、という順序が一般的です。

日本シーリング材工業会の資料も、住宅外壁の改修においてシーリングの状態確認と適切な施工手順を求めています。洗浄とシーリングの順序をどう考えているかは、聞いておく価値があります。

外壁材ごとの注意点

部位ごとの扱いを整理します。実際の加減は現地の状態によります。

部位・材料 注意すること
窯業系サイディング 板の小口と継ぎ目に水を入れない
モルタル ひび割れから水が入る
金属サイディング 変形させない。裏に水を回さない
木部 毛羽立つ。乾きにくい
シーリング 劣化していれば傷む
換気口・配管まわり 内部に水が入る経路がある

最後の行は見落とされやすい部分です。換気の穴や配管の貫通部は、外から中へつながっています。そこに直接強い水を当てれば、水は中に入ります。

これらの部位をどう扱うかは、事前に確認しておく価値があります。「養生してから洗う」「その部分は手作業で落とす」といった対応があるかどうかで、結果が変わります。

出典:日本窯業外装材協会「サイディングの維持管理はどうするの お施主様へ」日本シーリング材工業会「住宅外壁改修のためのシーリング材ガイド」

乾かす時間が要る

濡れた外壁

洗ったあとは、乾燥の時間をとります。

なぜ待つのか

外壁材は水を含みます。含んだままの状態に塗料をのせると、あとから水分が抜けようとして塗膜を押し上げます。

表面が乾いて見えても、中は湿っていることがあります。見た目だけでは判断できないため、時間で管理されます。

とくに、水を吸いやすい状態の外壁材では、中に入った水が抜けるまでに時間がかかります。塗膜のふくれは、この水分が逃げ場を失って起きることがあります。塗ったあとで表面に小さな泡のようなものが出た場合、乾燥が足りなかった可能性を含めて確認してください。

気象条件によって変わる

公共建築工事標準仕様書は塗装について「気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない」としています。乾燥に不適当な条件では塗らない、という考え方です。

洗浄後の乾燥も同じで、湿度が高い日や気温が低い日は、乾くまでに時間がかかります。工程表どおりに進まないことがあるのは、このためです。

同日に塗ると言われたら

洗って当日に塗るという工程には、無理があります。なぜ乾いていると判断したのかを聞いてください。

季節と天候によっては、乾燥が早いこともあります。一律に否定するものではありませんが、根拠の説明は求めてよいところです。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

北海道で気をつけたいこと

雪解け後の外壁の下部

寒冷地では、洗浄の工程にも条件が加わります。

できる時期が限られる

気温が低い時期は、洗浄した水が凍ります。足場が凍れば作業そのものが危険になります。

洗浄も塗装と同じシーズンに限られると考えてください。時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期にまとめています。

屋外の水道が凍結防止のために止められている時期もあります。水が使えるかどうかは、工事ができるかどうかに直結します。春先に工事を始める場合、水栓を開ける時期も確認しておいてください。

朝と夕方は冷える

春と秋は、日中と朝夕の気温差が大きくなります。朝は結露で濡れ、夕方は早く冷えます。実際に洗浄と乾燥に使える時間は、思うより短いことがあります。

工期に余裕を見ておくほうが安全です。洗浄の日に雨が降れば、翌日以降にずれます。

雪解け直後は汚れが多い

冬のあいだ、外壁の下部には融雪剤や泥はねが付きます。雪が解けたあとの外壁は、上下で汚れ方が違います。

下部だけ念入りに洗う必要があることもあります。雪と外壁の関係は雪から外壁を守るで扱っています。

また、雪が長くとどまっていた面は、乾く時間も長くかかります。基礎に近い部分や、北側の日陰になる面は、洗浄後の乾きが遅いと考えておいてください。工程を組むときに、この差が効いてきます。

洗浄で分かること

洗浄は、下ごしらえであると同時に外壁の状態が表に出る工程でもあります。

汚れの下から症状が出る

汚れやコケに隠れていたひび割れ、欠け、塗膜のはがれが、洗浄後にはっきり見えるようになります。見積もりの段階では見えていなかったものが出てくることがあります。

この場合、追加の補修が必要になることがあります。洗浄後に工事内容が変わる可能性があるかどうかを、契約の前に聞いておいてください。追加費用の扱いをどうするかも、あわせて確認する項目です。

あらかじめ「洗浄後に補修が必要と判明した場合は、着手前に見積もりを出して合意する」と決めておけば、進めながら金額が増えていく事態を避けられます。追加が出ること自体は珍しくありません。問題になるのは、その扱いを決めていないことのほうです。

水の抜け方を見る

洗浄の水がどこから抜けるかで、水が入る経路が分かることがあります。壁の下端や水切りから水が出てくるのは、通常の逃げ道です。

一方で、予期しない場所から水が出る、室内側に水が回るといったことがあれば、そこに開口があるということです。雨漏りの調査では、あえて水をかけて確かめる方法もあります。原因の調べ方は雨漏りの原因の調べ方で扱っています。

報告を受け取る

洗浄が終わった段階で、気づいたことがあれば知らせてもらうよう頼んでおいてください。その場で見た人にしか分からないことがあります。

「特に問題ありませんでした」でも構いません。何を見たうえでの判断かが分かれば十分です。

この報告は、見積もりと実際のずれを早い段階で確認する機会でもあります。洗浄が終わった時点なら、まだ塗る前です。工事内容を調整するなら、このタイミングがいちばん動きやすいと言えます。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

近隣への配慮

洗浄は、工事の中でも近隣に影響が出やすい工程です。

音が出る

高圧洗浄機はエンジンやモーターで動くため、作業中は音が出ます。朝早い時間から始めない、事前に日時を伝えておくといった配慮が要ります。

環境省は、生活騒音について住民同士の配慮を求める資料を公表しています。工事の音も、近隣との関係に関わるという点は同じです。

水と汚れが飛ぶ

洗浄では、落とした汚れを含んだ水が周囲に飛びます。隣家の壁、車、洗濯物に影響が出ることがあります。

養生でどこまで防ぐか、当日の洗濯物をどうするかは、事前に伝えておくと問題になりにくくなります。

隣家との距離が近い場合、相手側の壁や窓に養生をさせてもらう必要が出ることもあります。これは施主から一言あるかないかで、受け止め方が変わる部分です。工事の前のあいさつのときに、洗浄の話まで含めておくと後が楽になります。

いつやるのかを伝える

近隣へのあいさつのときに、洗浄の日がいつになりそうかを伝えておいてください。天候でずれることも含めて話しておくと、後から説明しやすくなります。

工事全体の進み方は工事の流れと工期にまとめています。

出典:環境省「騒音規制法パンフレット 住みよい音環境を目指して」

当日までに施主がやっておくこと

窓を閉めた住宅

洗浄の日は、いくつか準備しておくと進みやすくなります。

やること 理由
窓と換気口を閉める 隙間から水が入る
外に置いたものを移動する ぬれる。作業の邪魔になる
車を移動する 汚れた水が飛ぶ
洗濯物を室内に干す 当日は外に干せない
植木を移動または養生する 薬剤を使う場合がある
ペットを室内に入れる 音と水を避ける

換気の穴に注意する

1行目に換気口を挙げたのには理由があります。浴室やトイレの換気口、レンジフードの排気口は、外と中がつながっています。フィルターやフードで覆われていても、強い水を当てれば入ることがあります。

業者が養生してくれるのが一般的ですが、どこを養生するかを事前に確認しておくと確実です。屋外にエアコンの配管がある場合、その貫通部も同じ扱いです。

雨戸とサッシの隙間

古いサッシは、隙間から水が入りやすい部分です。これまで雨で濡れたことがなくても、洗浄の水は角度が違います。下から吹き上げるように当たれば、通常の雨では入らない経路から入ります。

気になる窓があれば、先に伝えておいてください。内側にタオルを置いておくといった対応もできます。

洗浄と養生の順序

工程の順序を整理しておくと、当日の様子が理解しやすくなります。

洗ってからケレンに入る順序と、その根拠になっている資料はケレンとはで扱っています。

洗浄は工程のどこに入るか
洗浄は工程のどこに入るか
  1. 足場を組む … まず作業できる状態にします
  2. 飛散防止のシートを張る … 足場の外側を覆います
  3. 洗浄 … 上から下へ
  4. 乾燥 … 天候によって日数が変わります
  5. 下地の補修 … ひび割れ、欠け、シーリング
  6. 細かい養生 … 窓、床、植栽など塗らない部分
  7. 塗装 … 下塗りから

2番目と6番目は、どちらも養生と呼ばれますが目的が違います。2番目は洗浄と塗装の飛散を防ぐもの、6番目は塗料が付いてはいけない部分を覆うものです。

洗浄のあとで養生する理由

窓や床の養生を洗浄の前にやってしまうと、養生材が濡れて使えなくなります。だから細かい養生は、洗って乾いたあとに行われます。

この順序を知っておくと、「まだ窓が養生されていない」と心配する必要がないことが分かります。工事全体の流れは工事の流れと工期にまとめています。

逆に言えば、洗浄が終わって乾いたあとは、窓が塞がれる期間が始まります。その間は開けられません。換気や採光をどうするかは、事前に確認しておいてください。

見積書での見方

洗浄は、見積書で扱いが分かれる項目です。

  1. 項目があるか … 独立した行になっているか
  2. 面積 … 平方メートルで書かれているか
  3. 単価 … 面積あたりいくらか
  4. 屋根を含むか … 屋根も洗うなら別に計上されるのが一般的です
  5. 薬剤の有無 … 使うなら何のためか
  6. 付帯部 … 雨どい、破風、軒天の扱い

「洗浄 一式」だけでは、どこをどこまで洗うのか分かりません。面積が書かれているかどうかが、ひとつの目安になります。

水道はどうするか

洗浄には水を使います。自宅の水道を使うのか、業者が水を持ってくるのかを確認してください。

自宅の水道を使う場合、その分の水道代は施主の負担になるのが一般的です。金額としては大きくありませんが、事前に話がある業者のほうが説明が丁寧と言えます。

電源についても同じです。機械によっては自宅のコンセントを使います。どこから取るか、当日その場所を空けておく必要があるかを聞いておいてください。

洗浄だけ極端に安い場合

他社と比べて洗浄の単価が極端に低い場合、作業時間が短く設定されている可能性があります。金額の差がどこから来ているのかを聞いてください。

見積書の読み方は見積書はどこを見る?にまとめています。

立ち会うときに見るところ

洗浄前後の壁面

洗浄の日は、可能なら在宅して様子を見ておくとよい工程です。

  1. 時間 … 一般的な住宅で数時間はかかる作業です
  2. 順序 … 上から下へ洗っているか
  3. 部位 … 壁だけでなく、付帯部も洗っているか
  4. 養生 … 隣家や車への飛散を防いでいるか
  5. 洗浄後 … 汚れが落ちているか、削れていないか

2番目は基本的な作業の順序です。下から洗うと、上から落ちた汚れが再び付きます。

3番目も見ておく価値があります。壁面はきれいになっても、雨どいや軒天が手つかずということがあります。付帯部を洗うかどうかは見積書の内容によるため、事前に確認しておいてください。付帯部の扱いは付帯部の塗装で扱っています。

写真を残してもらう

洗浄の前後で写真を撮ってもらってください。塗ったあとでは、洗浄の状態は確認できません。

足場に上がって自分で確認するのは避けてください。足場は作業者のためのもので、施主が上がることを前提としていません。気になる箇所があれば、その場所を撮ってもらうよう頼んでください。

自分でやってはいけないか

家庭用の高圧洗浄機を持っている方から、この質問をよく受けます。

塗装の前工程としては勧められない

塗装の下ごしらえとしての洗浄は、外壁材ごとの加減と、落とすべきものの見きわめが要ります。家庭用の機械で表面をきれいにしても、その工程の代わりにはなりません。

また、洗浄した結果を業者が確認できなければ、その後の不具合の責任の所在が曖昧になります。

日本窯業外装材協会も、施主に向けて「高所作業を伴う点検やお手入れ、および塗り替えや補修工事は、お施主様ご自身では絶対に行わないでください」としています。外壁材をつくる側からの注意です。

日常の手入れとしてなら

塗装とは切り離して、汚れが気になる部分を洗うのであれば、それ自体は問題ありません。ただし脚立や梯子での高所作業は避けてください。

手の届く範囲を、弱い水流で流す程度にとどめるのが安全です。目地やシーリングに直接強い水を当てないようにしてください。

もうひとつ注意点があります。工事の直前に自分で洗ってしまうと、業者が洗浄前の状態を確認できません。どこがどれだけ汚れていたか、その下に何があったかという情報が失われます。工事が決まっているなら、そのまま業者に任せてください。

出典:日本窯業外装材協会「サイディングの維持管理はどうするの お施主様へ」

よくある質問

洗浄は何日かかりますか

一般的な戸建てで、1日程度が目安です。面積、汚れの程度、屋根を含むかどうかで変わります。その後に乾燥の時間が加わります。

雨の日でもできますか

洗浄自体は水を使う作業なので、小雨なら進めることもあります。ただしその後の乾燥に影響します。判断は現場によります。

洗ったら壁の色が変わりました

汚れが落ちて元の色が出た場合と、表面が削れた場合があります。まず業者に確認してください。前後の写真があれば、判断がしやすくなります。

コケがまた生えてきます

コケは日当たりと湿気の条件で出ます。洗っても、条件が変わらなければ再び出ます。植栽との距離、風の通り、水の当たり方といった環境の側から考える必要があります。

洗浄だけを頼むことはできますか

汚れを落とすことだけを目的に依頼することは可能です。ただし塗装の下ごしらえとしての洗浄とは、目的も加減も違います。何のために洗うのかを伝えて相談してください。

薬剤は植木に影響しませんか

使用する薬剤によります。使うかどうか、使うなら何をどう養生するかを事前に確認してください。大切にしている植栽があれば、その旨を先に伝えておくと対応が変わります。

洗浄したら塗装しなくてもよくなりますか

汚れが落ちれば見た目は改善します。ただし塗膜が痩せている状態は、洗っても戻りません。見た目がきれいになったことと、保護の力が戻ったことは別です。

洗浄をしない工事はありますか

状態や工法によっては、洗浄以外の方法で下ごしらえを行うこともあります。「洗浄がない=手抜き」と決めつけるのではなく、何をするのかを聞いてください。

窓は開けられますか

洗浄中は閉めてください。サッシの隙間から水が入ることがあります。換気は洗浄が終わってからにしてください。

まとめ

高圧洗浄は、外壁をきれいにするための工程ではありません。塗料を密着させるための下ごしらえです。汚れ、コケ、チョーキングの粉、浮いた古い塗膜を落とすことが目的です。

圧力は強ければよいというものではなく、外壁材によって加減が変わります。削れた表面は元に戻りません。加減の判断が、この工程に費用がかかる理由です。

見積書では、洗浄が独立した行になっているか、面積が書かれているかを見てください。「一式」だけでは、どこをどこまで洗うのか分かりません。

洗ったあとは乾かす時間が要ります。北海道では、朝夕の冷え込みと湿度で、乾燥に使える時間が短くなります。工期に余裕を見ておいてください。

洗浄のあとは、汚れに隠れていた症状が表に出ます。見積もりの段階で見えていなかった補修が必要になることがあるため、その場合の扱いを契約前に決めておいてください。

そして、洗浄の前後で写真を残してもらってください。塗ってしまえば、あとから確認する手立てはありません。工事の前に一言伝えておくだけで済みます。

手の届く範囲で自分でできる汚れ落としについては、外壁のコケ・藻・カビにまとめています。

塩を落とす目的の洗浄については、外壁の塩害の記事で自分でできる範囲を整理しました。

ブロック塀を洗うときの注意点は、ブロック塀の塗装の記事で扱っています。

塗装後に出た膨れや剥がれの原因の切り分けは膨れ・剥がれの原因と対処にまとめています。

工事中のにおいの正体と対処は外壁塗装のにおいにまとめています。

既存の塗膜を落とす工法は、国の改修仕様書が4つを挙げています。モルタル外壁の塗装で整理しました。

本記事は外壁塗装における洗浄工程についての一般的な整理で、個別の住宅の診断や施工方法を判断するものではありません。公共工事の仕様書は公共建築物を対象としたもので、戸建住宅にそのまま適用されるものではありません。使用する機材・圧力・薬剤の選定は、外壁材の種類と状態に応じて施工業者が判断します。高所での作業や足場への立ち入りは行わないでください。

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