最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順
外壁の見積もりを頼んだら、「屋根もいっしょにどうですか」と言われた。ところが別の業者からは「この屋根は塗っても意味がありません」と言われた。同じ屋根を見ているのに、言うことが違う。
どちらかが嘘をついているとはかぎりません。屋根は、材料によって塗装できるものとできないものがあります。そして同じ材料でも、状態によって塗装が向かないことがあります。
この記事では、国が定めている工事の仕様書と、北海道の研究機関がまとめた資料をもとに、どの屋根材が塗装できるのか、できないときは何をするのかを整理します。
なお、この記事は工事を請け負う立場で書いたものではありません。掲載する内容は一般的な整理で、実際の判断は現地の確認によります。
結論:材料と状態の両方で決まる
先に要点を示します。
- 金属屋根とスレートは基本的に塗装できます
- 粘土瓦は塗装しないのが一般的です
- 材料が塗れるものでも、状態が進んでいれば塗装では対応できません
- 塗装できないときは、かぶせるか、葺き替えるかになります
つまり「屋根材が何か」だけでは決まりません。その屋根が今どうなっているかまで見て、はじめて判断できます。
この記事で扱わないこと
- 北海道に多い無落雪屋根の塗装 … 無落雪屋根の塗装
- 屋根と外壁を同時にやるかどうか … 屋根と外壁を同時にやるべきか
- すが漏りの仕組みと対策 … すが漏りとは
- 外壁のカバー工法 … 外壁のカバー工法
- 石綿の事前調査の手続き … 石綿の事前調査
まず自分の屋根材を知る

判断の出発点は、屋根が何でできているかです。

金属かどうかで大きく分かれる
北海道の住宅では、金属屋根が多数を占めます。雪が滑りやすく、軽く、継ぎ目が少ないためです。トタン(亜鉛めっき鋼板)や、ガルバリウム鋼板と呼ばれるものが該当します。
金属屋根は、遠目には平らな板が並んでいるように見えます。音でも分かります。雨が当たると響く屋根は金属です。
スレートとセメント系
薄い板が魚のうろこのように重なっているものは、化粧スレートと呼ばれる屋根材です。セメントを主原料にした板で、本州では広く使われています。北海道でも、比較的新しい住宅で見かけます。
厚みのある瓦の形をしていて、表面が塗装されているものはセメント系の瓦です。粘土を焼いた瓦とは別物なので、見分けが必要になります。
分からないときは図面を見る
いちばん確実なのは、新築時の図面や仕様書です。屋根材の製品名が書かれています。手元にない場合は、業者に確認してもらってください。
築年数も手がかりになります。いつ建てたか、いつ屋根に手を入れたかが分かれば、候補が絞れます。前回の工事の書類が残っていれば、それが最良の資料です。
屋根材ごとの整理
代表的な屋根材を一覧にします。あくまで一般的な傾向で、製品によって例外があります。
| 屋根材 | 塗装 | 主な手入れ |
|---|---|---|
| トタン(亜鉛めっき鋼板) | する | さび止めと塗り替え |
| ガルバリウム鋼板 | する | 塗り替え、傷の補修 |
| 化粧スレート | する | 塗り替え、割れの補修 |
| セメント系の瓦 | する | 塗り替え、ずれの補修 |
| 粘土瓦 | しない | ずれ・割れの補修 |
| アスファルトシングル | 一般的でない | 重ね張り、葺き替え |
この表は「できるかどうか」だけを示したものです。できる屋根材でも、状態が進んでいれば塗装は選べません。そこは次の項で扱います。
塗装できる屋根材

塗り替えで手入れができる屋根材から見ていきます。
金属屋根
金属屋根は、塗膜がなくなると地の鉄がむき出しになり、さびます。塗装は見た目のためではなく、さびを止めるための工事です。
金属屋根の塗り替えは、さびが出る前、あるいは表面のさびにとどまっているうちに行うのが基本です。穴があくところまで進むと、塗装では戻せません。
金属屋根の中でも、古いトタンとガルバリウム鋼板では持ちが違います。めっきの成分が異なり、さびにくさに差があります。ただしどちらも塗膜が切れれば進行が始まる点は同じです。金属屋根の考え方はトタンとガルバリウムの違いでも扱っています。
化粧スレート
スレートは、表面の塗膜で水をはじいています。塗膜が失われると水を吸うようになり、凍結と融解でもろくなります。北海道では、この経過が本州より早く進む可能性があります。
色あせやコケが出ている段階なら、塗り替えで対応できます。割れや欠けが多数出ていれば、塗装では追いつきません。
スレートは踏むと割れることがあります。点検や工事のために人が乗ることで、新たな割れが生じるという事情もあります。むやみに上がらないほうがよい理由のひとつです。
セメント系の瓦
セメント系の瓦も、表面の塗装で保護されています。塗り替えの対象になります。
ただし、表面に細かい粒子の層があるタイプは、その層を落としてからでないと塗料が密着しません。下地処理の手間が変わるため、見積もりの内容を確認してください。
塗装しない屋根材

次に、塗装が選ばれない屋根材です。
粘土瓦
粘土を焼いてつくる瓦は、そもそも塗膜で守る必要がありません。釉薬をかけたものは表面がガラス質で、水を吸いません。
粘土瓦の手入れは、塗装ではなくずれや割れの補修、漆喰の詰め直しといった作業になります。「瓦を塗りましょう」という提案があれば、必要性を確かめてください。
アスファルトシングル
薄いシート状の屋根材で、表面に細かい石の粒がまいてあります。この粒が塗料をはじくため、塗装は一般的ではありません。
傷んだ場合は、重ね張りか葺き替えで対応することになります。
塗装しても意味がない状態のもの
材料としては塗れても、状態が進んでいれば塗装は選べません。次のような場合です。
- 穴があいている … 塗料では穴はふさげません
- 割れが多数出ている … 塗っても割れは埋まりません
- 下地の木が傷んでいる … 表面を塗っても中は直りません
- 屋根材が浮いている・ずれている … まず固定の問題です
この見きわめが、業者によって答えが分かれる理由です。どこを見てそう判断したのかを聞いてください。
塗装で足りるかどうかの見きわめ
同じ屋根材でも、進み方によって対応が変わります。目安を整理します。
| 状態 | 対応 | 考え方 |
|---|---|---|
| 色あせのみ | 塗り替え | いちばん軽い段階 |
| 表面のさび | さび落とし+塗り替え | 広がる前に |
| さびが厚い・穴 | 部分交換またはかぶせ | 塗装では戻らない |
| 割れ・欠けが少数 | 補修+塗り替え | 原因の確認も必要 |
| 割れが多数 | かぶせまたは葺き替え | 塗っても追いつかない |
| 下地が傷んでいる | 葺き替え | 表面の工事では直らない |
判断の根拠を聞く
業者によって提案が分かれたときは、この表のどこにあたると考えたのかを聞いてください。「古いから」ではなく、何を見てそう判断したのかが答えられるかどうかが目安になります。
屋根は自分では見えないぶん、説明の内容が判断材料になります。写真を撮ってきてもらうのは有効です。撮った場所と、そこが屋根のどこにあたるかも確かめてください。
部分的に直せることもある
屋根全体が同じ状態とはかぎりません。南面だけ傷みが進んでいる、雪が滑る経路だけ塗膜が痩せているということがあります。
全面のやり直しを前提にせず、部分的な補修で持たせられないかも聞いてみてください。ただし部分補修は色が合わないことがあります。見た目をどこまで求めるかも含めて相談してください。
石綿が含まれている可能性

古い屋根材には、石綿(アスベスト)が含まれているものがあります。
塗るだけなら飛散しないが、手順は要る
石綿を含む屋根材でも、塗装そのもので繊維が飛ぶわけではありません。問題になるのは削る、割る、切るといった作業です。高圧洗浄も、材料の状態によっては注意が要ります。
厚生労働省は、建築物の解体・改修工事について石綿含有建材の有無を事前に調査することを求めています。令和5年10月からは、この調査を有資格者が行うことが義務づけられました。
塗装工事でも調査の対象になりうる
「塗るだけだから関係ない」とは言い切れません。下地処理で削る作業が入るなら、改修工事として扱われます。屋根の葺き替えや撤去であれば、なおさらです。
手続きの詳細は石綿の事前調査にまとめています。見積もりの段階で、調査の有無を聞いておくと確実です。
いつごろの建物が対象か
石綿を含む建材は、時期によって使われ方が異なります。築年数が古いほど可能性が高くなりますが、年数だけで判定はできません。製品名が分かれば、メーカーの公表資料で確認できることがあります。
調査は、書類の確認と現地の目視で行われます。判定できない場合は、含有しているものとして扱うか、分析を行うかという進め方になります。
出典:厚生労働省「解体改修工事の受注者の皆さまへ」(改正石綿障害予防規則等の資料)/厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」
金属屋根の下ごしらえ

金属屋根の塗装は、塗る前の工程で仕上がりが決まります。
どこまで落とすかの区分そのものは、ケレンとはで整理しています。
仕様書には種別がある
国土交通省の公共建築工事標準仕様書は、亜鉛めっき鋼面の素地ごしらえについてA種とB種という種別を定めており、工程が異なります。
A種では、汚れ・付着物の除去と油類の除去に加えて化成皮膜処理を行うとされ、この処理は製造所等で行うと明記されています。現場で行う工程ではないという位置づけです。
これは公共建築物を対象とした仕様であり、戸建住宅の工事にそのまま適用されるものではありません。ただし金属面の塗装には下ごしらえの手順があるという点は、住宅でも変わりません。
さびの処理
さびが出ている場合は、落としてから塗るのが原則です。さびの上に塗料をのせても、下で進行が続きます。
落とし方は、状態によって手作業から機械までさまざまです。見積書にケレンや素地ごしらえという項目があるかを見てください。この工程が入っていない金属屋根の見積もりは、内容を確かめる価値があります。
錆止め塗料
金属屋根には、上塗りの前に錆止めの層が入ります。この層があるかどうかで、持ちがまったく変わります。
塗料の考え方は寒冷地に向く塗料と外壁材と塗料の組み合わせで扱っています。
出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
塗装ではなく別の工事になるとき

塗装で対応できないと判断されたら、選択肢は2つです。

| 工事 | 内容 | 考え方 |
|---|---|---|
| かぶせ(重ね葺き) | 既存の上に新しい屋根材を張る | 撤去の費用と手間が減る |
| 葺き替え | 既存を撤去して張り直す | 下地から確認できる |
かぶせは撤去しない
かぶせは、既存の屋根を残したまま上に重ねる方法です。撤去の費用と廃材の処理が減ります。石綿を含む屋根材の場合、撤去に伴う作業を避けられるという面もあります。
ただし、屋根が重くなること、下地の状態を直接確認しにくいことは前提として理解しておく必要があります。下地の木が傷んでいるなら、かぶせは選べません。
北海道では通気への配慮が要る
北海道立総合研究機構北方建築総合研究所は、外壁の通気性能を阻害しない屋根かぶせ改修工法に関する研究成果を公表しています。屋根に重ねる工事が、外壁側の通気に影響しうるという視点です。
寒冷地の住宅は、壁の中の湿気を通気層で外に逃がす構造になっていることがあります。屋根の改修でその出口をふさぐと、壁の中に湿気がとどまります。屋根だけの問題として扱えない理由がここにあります。
葺き替えは下地から見られる
葺き替えは、既存の屋根材を撤去してから新しくします。下地の状態を直接確認でき、傷んでいれば同時に直せます。
費用と工期はかぶせより大きくなります。下地に不安があるかどうかが、選択の分かれ目です。
判断が難しいのは、下地の状態は開けてみないと分からないという点です。小屋裏から見える範囲、室内のしみ、屋根材の浮き方といった手がかりから推測することになります。かぶせを前提に進めて、開けたら下地が傷んでいたという事態を避けるため、途中で工事内容が変わる可能性があるかどうかも聞いておいてください。
北海道で気をつけたいこと

寒冷地の屋根には、本州とは違う負担がかかります。
雪が塗膜を削る
屋根に積もった雪が動くと、塗膜がこすられます。落雪する屋根では、雪が滑る経路の塗膜が先に痩せます。
屋根の同じ面でも、傷み方が均一でないのはこのためです。点検では、いちばん傷んでいるところを基準に考えてください。
雪止めを付けている屋根では、雪止めの周辺に雪がとどまります。とどまった雪が解けて凍る往復が起きるため、そこも傷みやすい箇所になります。
凍結と融解
屋根は日中に日射で温まり、夜間は空に向かって熱を放出して冷えます。1日のうちに凍結と融解を繰り返す時期があります。
水を吸う屋根材にとって、この往復は負担です。スレートやセメント系の屋根材で塗膜が切れている状態は、寒冷地ではとくに不利と考えられます。
すが漏りは塗装では止まらない
屋根の端で雪が解けた水が凍り、せき止められて水があふれる現象があります。これは屋根材の防水性能の問題ではないため、塗装では解決しません。
仕組みと対策はすが漏りとはで扱っています。「塗れば直る」と言われた場合は、何が原因だと考えているのかを確かめてください。
工事ができる時期が限られる
公共建築工事標準仕様書は塗装について「気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない」としています。北海道では、この条件を満たす期間が限られます。
屋根は外壁より乾きにくい面があります。朝は露で濡れ、夕方は早く冷えます。実際に塗れる時間は、1日のうちで思うより短いことがあります。工期に余裕を見ておくほうが安全です。時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期にまとめています。
出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」
屋根塗装の進め方
屋根の塗り替えは、外壁と同じように工程が決まっています。
- 足場 … 屋根の勾配によっては屋根足場も必要になります
- 高圧洗浄 … 汚れ、コケ、古い塗膜の粉を落とします
- 乾燥 … 濡れたままでは塗れません
- 下地処理 … さび落とし、割れの補修、板金部の点検
- 錆止め・下塗り … 屋根材に応じた層を入れます
- 中塗り・上塗り … 決められた回数を塗ります
- 点検 … 塗り残し、たまりの確認
2番目と3番目が、屋根では外壁以上に効いてきます。屋根は面積が広く、乾くまでに時間がかかります。雨の多い時期に無理に進めると、乾燥の時間が足りません。
タスペーサーという部材
化粧スレートの屋根では、板と板の重なりに隙間を確保する部材を入れることがあります。塗料でこの隙間がふさがると、入った水が抜けなくなるためです。
見積書にこの工程があるかを見てください。スレート屋根で隙間の確保に関する記載がまったくない場合は、どう処理するのかを聞く価値があります。屋根材によって必要かどうかは変わるため、一律に要るものではありません。
板金部分は別に見る
屋根の頂上や谷にある金属の部材は、屋根材とは別に傷みます。固定している釘が浮く、下にある木が傷むといったことが起きます。
屋根材の塗装だけを見積もって、板金部分が入っていないことがあります。棟と谷をどう扱うかは、必ず確認してください。
見積書での見方
屋根の工事は、見積書で内容が見えにくくなりがちです。
- 屋根材の種類 … 何と書かれているか
- 工事の種類 … 塗装か、かぶせか、葺き替えか
- 面積 … 平方メートルで書かれているか
- 下地処理 … ケレン・素地ごしらえの記載があるか
- 錆止め … 金属屋根なら入っているか
- 塗り回数 … 何回塗るか
- 板金部分 … 棟や谷の扱い
「屋根塗装 一式」だけでは、これらが分かりません。内訳を出してもらってください。見積書の読み方は見積書はどこを見る?にまとめています。
屋根だけ極端に安い見積もり
他社と比べて屋根だけが極端に安い場合、下地処理か塗り回数のどちらかが省かれていることがあります。金額の差がどこから来ているのかを聞いてください。
逆に、屋根の状態を見ないまま高額な葺き替えを勧められた場合も、判断の根拠を確かめる必要があります。
屋根は外から見えないぶん、説明を確かめる手立てが少ない部分です。だからこそ、写真と内訳という形に残る材料を求めてください。口頭の説明だけで金額が決まる進め方は、あとから確認できません。
屋根の点検をどう頼むか
屋根は自分では見えないため、点検の頼み方が結果を左右します。
写真を残してもらう
点検を依頼するときは、屋根のどこを撮ったのかが分かる形で写真を出してもらってください。近接の写真だけでは、それが自分の家のどの部分か分かりません。
全体の写真と、気になる箇所の近接写真がセットになっていれば、位置関係がつかめます。この記録は、次に工事を考えるときの出発点にもなります。
複数から見てもらう意味
屋根の判断は、外壁より分かれやすい部分です。塗装で足りるのか、かぶせるのか、葺き替えるのかで金額が大きく変わるためです。
1社の説明だけで決めず、同じ屋根について複数の見方を聞くほうが判断しやすくなります。業者の選び方は外壁塗装業者の選び方にまとめています。
点検の時期
北海道では、雪が解けたあとの春が適期です。冬のあいだに起きた変化が残っており、その年のうちに工事の段取りも組めます。
秋に見つけると、そのまま冬に入ることになります。傷んだ状態で冬を越すと、凍結と融解で進みます。春に見て、夏までに手を打つ流れが無理がありません。
自分で確認できること

屋根に上がる必要はありません。地上からと、室内からで見られることがあります。
- 地上から見上げる … 色あせ、さび、ずれ、欠け
- 2階の窓から … 見える範囲の表面の状態
- 雨どいの中 … 屋根材の粒や破片がたまっていないか
- 室内の天井 … しみ、変色
- 小屋裏(点検口がある場合) … 木部のしみ、光が漏れていないか
3番目は分かりやすい手がかりです。雨どいに屋根材の粒がたまっていれば、表面が失われているということです。金属屋根なら、さびの粉が落ちていないかを見てください。
5番目の小屋裏は、点検口があれば見られます。木部に黒いしみがある、断熱材が濡れている、日中に光が差し込んでいるといった状態は、屋根側に何かある合図です。ただし小屋裏は足場がなく、踏み抜きの危険があります。奥に入らず、点検口から見える範囲にとどめてください。
屋根には上がらない
自分で屋根に上がるのは避けてください。屋根の上は、思っているより滑ります。とくに金属屋根と、雪や霜がある時期は危険です。
警察庁も、住宅の点検を装って屋根に上がろうとする手口に注意を呼びかけています。頼んでいないのに来た業者を屋根に上げないことも、あわせて意識してください。訪問販売への対応は訪問販売への対応で扱っています。
出典:警視庁「点検商法」
よくある誤解
屋根の工事では、次のような言い方をよく聞きます。それぞれ、確かめる価値があります。
「この塗料なら20年持ちます」
塗料の性能は、下地の状態と施工の内容に左右されます。同じ塗料でも、下ごしらえを省けば持ちは変わります。年数だけを示された場合は、その根拠と、保証の条件をあわせて確認してください。
「今なら足場代が無料です」
足場は実際に費用が発生する工程です。無料にできるものではなく、どこかに含まれていると考えるのが自然です。総額と内訳で比べてください。
「屋根が浮いていました」
写真がなければ確かめようがありません。どこの写真か、いつ撮ったものかが分かる形で出してもらってください。頼んでいない業者が屋根に上がったあとの指摘は、とくに慎重に扱う必要があります。
「塗れば雨漏りが止まります」
雨漏りの原因が屋根材の表面にあるとはかぎりません。板金の取り合い、下地、すが漏りなど、塗装では直らない原因が多くあります。調べ方は雨漏りの原因の調べ方で扱っています。
よくある質問
屋根の塗装は何年ごとですか
屋根材と塗料と環境で変わります。年数だけで決めるものではありません。さびが出ていないか、色あせが進んでいないかを見て判断してください。
外壁と屋根を別々にやってもいいですか
できます。ただし足場を2回組むことになります。同時にやるかどうかの判断は屋根と外壁を同時にやるべきかで扱っています。
遮熱塗料は北海道でも意味がありますか
夏の室温を下げる効果を狙うものです。寒冷地では、暖房期の熱の逃げ方も含めて考える必要があります。塗料の選び方は寒冷地に向く塗料で扱っています。
屋根を塗ると雪が落ちやすくなりますか
表面が滑らかになれば、雪の動き方は変わりえます。ただし落雪が増えると、近隣や自宅の付属物への影響が出ることがあります。落雪の扱いは屋根の形の問題でもあるため、無落雪屋根の塗装もあわせてご覧ください。
コケが生えています
コケが出ているのは、表面が水を保つようになっている合図です。落とせば見た目は戻りますが、原因は表面の状態にあります。洗浄だけで済ませるか、塗り替えまでやるかは、下の材料がどうなっているかによります。
屋根だけ先に塗ってもいいですか
できます。屋根の傷みが外壁より進んでいるなら、順番を入れ替える判断もありえます。ただし足場が2回になるため、その分の費用は見込んでおいてください。
前回いつ塗ったか分かりません
書類がなくても、今の状態から判断できます。さびの有無、色あせの程度、表面のざらつきを見てもらってください。前回の記録は次回のために残しておくと役立ちます。
屋根の点検は無料と言われました
無料の点検自体が問題というわけではありません。ただしその場で契約を迫られる、不安をあおられるといった進み方には注意が要ります。国民生活センターも、点検商法に関する注意を公表しています。
出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています!」
まとめ
屋根が塗装できるかどうかは、材料と状態の両方で決まります。金属屋根とスレートは塗装の対象になりますが、穴があいていたり割れが多数出ていたりすれば、塗装では対応できません。
粘土瓦はそもそも塗装を前提としない屋根材です。「瓦を塗りましょう」という提案には、必要性の説明を求めてください。
塗装で対応できない場合は、かぶせるか葺き替えるかになります。北海道では、屋根の改修が外壁の通気に影響しうるという視点も必要です。屋根だけを切り離して考えられない理由がここにあります。
そして、自分で屋根に上がらないでください。地上と室内から見られることは多く、それで十分に手がかりが得られます。
見積もりを受け取ったら、屋根材の名前と、下地処理の内容がどう書かれているかを見てください。この2つが書かれていれば、内容の当たり外れはかなり減らせます。
屋根に上がることの危険と、上がらずに済ませる方法は屋根の雪処理にまとめています。
屋根ではなく外壁が金属の場合は、金属サイディングの塗装の記事で塗り替えの合図と工程を扱っています。
断熱塗料や遮熱塗料の効果をどこまで期待できるかは断熱塗料の効果にまとめています。
ドローンを使った点検の法令と限界は外壁のドローン点検にまとめています。
トタンと呼ばれてきた材料そのものの正体と、錆の段階ごとの見分けはトタン屋根とは?北海道の家で見る錆の段階と3つの選択肢にまとめました。
屋根材ごとに換気棟の納まりが変わる点は、換気棟とは?北海道で必要かどうかは屋根の形と断熱の位置で決まるで整理しています。
本記事は屋根材と塗装の関係についての一般的な整理で、個別の住宅の診断や工事の要否を判断するものではありません。公共工事の仕様書は公共建築物を対象としたもので、戸建住宅にそのまま適用されるものではありません。屋根材の判定・状態の評価・工法の選定は、現地を確認した施工業者によります。石綿の取り扱いおよび事前調査の要否は、工事の内容と法令に基づいて判断されます。屋根に上がる作業は行わないでください。

