空き家・別荘の外壁管理|北海道で年2回やることと空家法の枠組み

塗装の時期

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

実家が空き家になった。誰も住んでいないのに、外壁を塗る必要があるのか。年に何度か見に行くだけで足りるのか。そもそも、この家をどうするかも決まっていない。

人が住まない家は、住んでいる家より傷みが早く進みます。そして、管理が行き届かない空き家は、法律上の措置の対象になりうるという側面もあります。

この記事では、国土交通省が公表している空家等に関するガイドラインをもとに、空き家の外壁で何が起きるのか、どこまで管理すればよいのか、北海道では何が加わるのかを整理します。

なお、この記事は法律相談ではありません。掲載する内容は一般的な整理で、個別の物件についての判断や手続きを示すものではありません。

  1. 結論:住まない家ほど点検が要る
    1. この記事で扱わないこと
  2. 空き家の外壁が早く傷む理由
    1. 換気されない
    2. 異変に気づかれない
    3. 雪が処理されない
    4. 雨どいが詰まったままになる
    5. 設備の異常が放置される
  3. 空家法という枠組み
    1. 2つの区分
    2. 勧告を受けると税が変わる
    3. いきなり勧告にはならない
    4. 直せば元に戻る
    5. 指導の例に外壁の点検がある
    6. 勧告の内容は具体的になる
  4. 北海道の空き家に加わる条件
    1. 屋根の雪
    2. 暖房が入らない
    3. 水道の凍結
    4. すが漏りが起きても分からない
  5. 放置したときに何が起きるか
    1. 気づかれない期間が段階を進める
    2. 周囲への影響が出る段階
  6. どのくらいの頻度で見るか
    1. 最低でも年2回
    2. 春に見ること
    3. 秋に見ること
  7. 遠方に住んでいる場合
    1. 管理を依頼する
    2. 近隣との関係
    3. 記録を残す
  8. 所有者が複数いる場合
    1. 全員が対象になる
    2. 話し合いに時間がかかる
    3. 所有者が変わったとき
    4. 登記の確認
  9. 塗るか、売るか、壊すか
    1. 使う予定があるなら手を入れる
    2. 売る予定なら状態が価格に影響する
    3. 解体を考えているなら
    4. 決まっていないなら状態を保つ
  10. 別荘・セカンドハウスの場合
    1. 使わない期間の長さで考える
    2. 春に開ける前に確認する
    3. 獣や虫の侵入
  11. 工事を依頼するときの注意
    1. 立ち会えない
    2. 鍵と敷地の管理
    3. 近隣への説明
    4. 契約と支払い
  12. 費用をどう考えるか
    1. 住んでいる家より高くなる要素
    2. 安くなる要素もある
    3. 制度が使えるか確認する
    4. やる範囲を絞る判断
  13. よくある質問
    1. 誰も住まないのに塗る意味がありますか
    2. 年に1回では足りませんか
    3. 近所から苦情が来ました
    4. 市から通知が来ました
    5. 相続したばかりで状態が分かりません
    6. 雪下ろしを頼めますか
  14. 点検を頼むときの伝え方
    1. いつから空いているかを伝える
    2. 今後の予定を伝える
    3. 立ち会えるかどうかを伝える
    4. 建物の資料を用意する
  15. まとめ

結論:住まない家ほど点検が要る

先に要点を示します。

  • 空き家は換気されず、異変にも気づかれないため傷みが進みます
  • 管理が不十分な空き家は法律に基づく指導・勧告の対象になりえます
  • 勧告を受けると固定資産税等の住宅用地特例から除外されます
  • 北海道では雪と凍結という条件が加わります

塗り替えるかどうかを決める前に、まず状態を把握することから始めてください。工事をするかどうかは、その次に決めれば足ります。

この記事で扱わないこと

空き家の外壁が早く傷む理由

人の住まない住宅

建物は、使われていることで保たれている面があります。何が失われるのかを順に見ていきます。

換気されない

窓を開ける人がいなければ、室内の空気は動きません。湿気がこもれば、壁の内側にも影響します。

北海道の住宅は気密性が高いものが多く、閉め切った状態が続くと湿気の逃げ場がなくなります。室内側の湿気は、外壁の下地にも関わります。

見に行ったときは、短時間でも窓を開けて空気を入れ替えてください。それだけで室内の状態は変わります。ただし、開けたまま帰らないよう気をつけてください。

異変に気づかれない

住んでいれば、天井のしみや壁の変色にすぐ気づきます。空き家では、次に見に行くまで誰も気づきません。

季節ごとに見に行けるなら、それに越したことはありません。ただし現実には、年に1回か2回という方が多いと思います。だからこそ、行ったときに何を見るかを決めておく意味があります。

雨漏りが始まっていても、半年気づかなければ半年進みます。この「気づくまでの時間」が、空き家でいちばん大きな差になります。

住宅の傷みは、水が入ってから急に進むわけではありません。入った水が抜けずにとどまる期間の長さが、下地の腐朽につながります。空き家では、この期間が長くなりやすい構造になっています。

雪が処理されない

屋根の雪、玄関前の雪、外壁に接する吹きだまり。住んでいれば自然に処理されるものが、そのまま残ります。

外壁に雪が接した状態が長く続けば、その部分は乾きません。春の融雪期に、水がとどまり続けることになります。

雨どいが詰まったままになる

落ち葉や砂は毎年たまります。誰も掃除しなければ、詰まったまま何年も過ぎます。

あふれた水は外壁を伝い、その部分だけ濡れ続けます。費用がかからず効果が大きい手入れが、いちばん抜けやすいのが空き家です。

設備の異常が放置される

給排水管の破損、換気設備の故障、屋外の配管の凍結。これらは住んでいれば使ったときに分かります。

空き家では、次に行ったときに床が水浸しということが起こりえます。水を止めておくかどうかは、管理の基本方針として決めておいてください。

空家法という枠組み

古い住宅の外観

管理されない空き家については、法律に基づく仕組みがあります。

管理不全空家等と特定空家等
管理不全空家等と特定空家等

2つの区分

国土交通省のガイドラインは、空家等に対する措置について次のように整理しています。

管理不全空家等 特定空家等
位置づけ 放置すれば特定空家等になるおそれ 倒壊等の危険、衛生上有害など
根拠 法第13条 法第22条
措置 指導 → 勧告 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 代執行
勧告の効果 住宅用地特例から除外 住宅用地特例から除外

勧告を受けると税が変わる

同ガイドラインは、管理不全空家等について市町村長が勧告したときは、当該管理不全空家等に係る敷地については、地方税法の規定により、住宅用地特例の対象から除外されるとしています。

住宅用地特例は、住宅が建っている土地の固定資産税等の課税標準を軽減する仕組みです。この対象から外れれば、土地にかかる税額が変わります。

特定空家等についても、同ガイドラインは法第22条第2項に基づき市町村長が勧告した場合は、当該特定空家等に係る敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されるとしています。

いきなり勧告にはならない

同ガイドラインは、管理不全空家等の措置について所有者等に対する指導により、所有者等自らの意思による改善を促すことから始めることとされていると説明しています。

まず指導があり、それでも改善されない場合に勧告という順序です。指導の段階で対応すれば、税の扱いは変わりません。

同ガイドラインは、指導のときにあらかじめ示すべき内容として市町村長が勧告をした場合は、地方税法の規定に基づき、住宅用地特例の対象から除外されることとなることを挙げています。つまり、指導の段階で結果が予告される仕組みになっています。

直せば元に戻る

同ガイドラインは、所有者等が指導又は勧告に係る措置を実施したことが確認された場合について当該建築物等は管理不全空家等ではなくなるとし、勧告をしている場合には撤回するとしています。

そのうえで、勧告が撤回された場合、住宅用地特例の要件を満たす家屋の敷地については、当該特例の適用対象となるため、速やかに税務部局へ情報提供することが必要としています。

指導の例に外壁の点検がある

興味深いのは、指導できる措置の例として同ガイドラインが挙げている内容です。管理不全空家等に係る保安上の危険を回避するため、定期的に雨水浸入の痕跡がないか点検し、必要に応じて防腐処理等を行うよう指導するという例が示されています。

つまり、雨水の浸入を点検することは、空き家の管理として想定されている行為ということです。外壁の管理は、単なる見た目の問題ではありません。

勧告の内容は具体的になる

同ガイドラインは、勧告に係る措置について「定期的に屋根ふき材を点検すること」や「点検した結果、問題があれば必要に応じて補修を行うこと」といった概念的な内容ではなく、例えば「東側部分の屋根ふき材の補修を行うこと」等の具体の措置内容を示すべきであるとしています。

この記述は、行政がどこまで踏み込むかを示しています。「きちんと管理してください」ではなく、どこをどう直すかまで指定されるということです。

裏を返せば、所有者の側も具体的に何をすればよいかが分かるということでもあります。通知が届いた場合は、記載された措置の内容をそのまま業者に伝えれば話が通ります。

出典:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」

北海道の空き家に加わる条件

雪に埋もれた空き家

寒冷地の空き家には、本州にはない負担がかかります。

屋根の雪

誰も雪を処理しなければ、屋根に積もり続けます。建物の構造によっては、積雪が想定を超えることがあります。

落雪する屋根であれば、雪は落ちます。ただし落ちた雪が壁ぎわに積み上がり、そこから解けなくなります。屋根の形と雪の処理は無落雪屋根の塗装で扱っています。

暖房が入らない

人が住んでいれば、冬でも室内は暖かく保たれます。空き家は、室内も外気に近い温度になります。

これによって、屋根の雪が解けにくくなる面もあります。一方で、凍結と融解が建物全体で繰り返されることにもなります。

水道の凍結

配管の水を抜いていなければ、凍って破裂することがあります。春に見に行ったら室内が水浸しだったという事例は珍しくありません。

この水は、床や壁を伝って構造材にも達します。外壁の管理以前の問題として、水抜きは必ず行ってください。

すが漏りが起きても分からない

屋根の端で解けた水が凍り、せき止められて水があふれる現象があります。住んでいれば天井のしみで気づきますが、空き家では気づかれません。

仕組みはすが漏りとはで扱っています。空き家では、この現象が数年続くこともありえます。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

放置したときに何が起きるか

傷んだ外壁

法律上の措置とは別に、実際の建物で進むことを整理します。

段階 状態 対応
1 塗膜の色あせ、チョーキング 塗り替えで足りる
2 シーリングの切れ、細いひび割れ 補修+塗り替え
3 外壁材の割れ、反り、はがれ 部分交換の検討
4 下地の腐朽、雨漏り 下地からの改修
5 部材の落下、倒壊のおそれ 行政の措置の対象になりうる

1と2の段階で手を入れれば、費用は限られます。4以降になると、金額の桁が変わります。

気づかれない期間が段階を進める

住んでいる家であれば、2の段階で誰かが気づきます。空き家では、次に行ったときに3や4になっていることがあります。

だからこそ、年に2回の点検に意味があります。直すかどうかは別として、どの段階にいるかを把握しておいてください。

周囲への影響が出る段階

5の段階になると、自分の家の問題では済みません。外壁材や屋根材が飛べば、近隣に被害が出ます。

そこまで進む前に手を打つのが、費用の面でも近隣との関係の面でも合理的です。点検の目安は外壁の劣化サインと点検の目安にまとめています。

どのくらいの頻度で見るか

住宅の周りを歩く

現実的な管理の頻度を考えます。

北海道の空き家で年2回やること
北海道の空き家で年2回やること

最低でも年2回

北海道であれば、雪が解けた春と、雪が降る前の秋の2回が基本になります。

時期 主な目的
春(雪解け後) 冬のあいだの変化を確認する
秋(降雪前) 雨どいの掃除、水抜きの確認

春に見ること

  1. 室内の天井と壁 … 新しいしみがないか
  2. 外壁の下部 … 雪が接していた部分の状態
  3. 屋根と雨どい … 地上から見える範囲で
  4. 基礎まわり … 沈下、ひび割れ
  5. 敷地 … 倒れた木、飛来物
  6. 写真を撮る … 前回との比較

秋に見ること

  1. 雨どいの掃除 … 落ち葉と砂を取り除く
  2. 水道の水抜き … 凍結を防ぐ
  3. 外壁に接する物の撤去 … 乾かない状態を作らない
  4. 窓と戸締まり … 破損がないか
  5. 庭木の枝 … 雪で折れて当たらないか
  6. 近隣への連絡 … 何かあったときの連絡先

1番目と2番目が、費用をかけずにできてもっとも効果のある作業です。この2つだけでも、毎年やっておいてください。

この2つは、外壁の状態がどうであっても意味があります。水を敷地の外へ流し、配管の破裂を防ぐ。建物を保つ作業の中で、もっとも費用対効果が高い部類です。

行く日を決めておくと続きます。ゴールデンウィークと11月の最初の週末のように、毎年同じ時期にすると忘れません。

遠方に住んでいる場合

空き家の玄関

年2回でも、遠方からでは負担になります。

管理を依頼する

自治体によっては、空き家の管理に関する情報提供や相談の窓口があります。民間の管理サービスを利用する方法もあります。

同ガイドラインも、市町村は所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、常時から、必要に応じて、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うことが適切であるとしています。まず自治体の窓口に相談するという選択肢があります。

近隣との関係

何かあったときに、いちばん早く気づくのは近所の方です。連絡先を伝えておくだけで、対応が早くなります。

逆に、連絡先が分からない空き家は、近隣にとって不安の対象になります。連絡先を伝えることは、管理の一部と考えてください。

記録を残す

行くたびに写真を撮り、日付とともに保存してください。変化を追える形にしておくことが、判断の材料になります。

同ガイドラインも、行政の側について指導時の管理不全空家等の状態について写真等により記録しておくことが望ましいとしています。所有者の側でも、記録は自分を守る材料になります。

出典:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」

所有者が複数いる場合

相続で引き継いだ空き家では、所有者が一人とはかぎりません。

全員が対象になる

同ガイドラインは、市町村長が勧告を行うにあたり管理不全空家等の所有者等が複数存在する場合には、市町村長が確知している当該管理不全空家等の所有者等全員に対して勧告を行う必要があるとしています。

つまり、「誰か一人が代表で対応する」という整理は、行政の手続きの上では通用しません。共有者がいる場合、全員が関係者になります。

話し合いに時間がかかる

誰が費用を出すのか、どこまで直すのか、そもそも売るのか。共有者が複数いれば、決めるまでに時間がかかります。

その間も建物は傷みます。方針が決まるまでのあいだ、最低限の管理だけは誰かが担うという取り決めをしておくと、状況の悪化を抑えられます。

所有者が変わったとき

同ガイドラインは、勧告を受けた後に相続や売買により所有者等が変わった場合について勧告の効力が失われるため、新たに所有者等となった者に対し、市町村長はできる限り迅速に、改めて指導、勧告を行う必要があるとしています。

手続きは仕切り直しになりますが、建物の状態そのものは変わりません。引き継いだ側は、その状態から出発することになります。

登記の確認

相続した空き家では、登記の名義が古いままということがあります。誰が所有者なのかがはっきりしていないと、工事の契約もできません。

外壁の工事を検討する前に、名義の状態を確認しておいてください。手続きについては、司法書士等の専門家にご相談ください。

出典:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」

塗るか、売るか、壊すか

空き家と敷地

外壁の塗り替えを検討する前に、その家をどうするかが関わってきます。

使う予定があるなら手を入れる

将来住む、貸す、別荘として使うといった予定があるなら、傷みが進む前に手を入れるほうが総額は小さくなります。

外壁の塗り替えは、下地が傷む前であれば塗装で済みます。下地まで進めば、張り替えや大規模な補修になります。

売る予定なら状態が価格に影響する

傷んだ外壁は、買い手の判断に影響します。ただし、売る前に塗り替えた費用が価格に上乗せできるとはかぎりません。

不動産の取引については専門家に相談してください。この記事は、外壁の状態が判断材料のひとつになるという範囲にとどめます。

解体を考えているなら

近く解体する予定であれば、塗り替えは必要ありません。ただし、解体までのあいだに周囲へ危険が及ばないようにする責任は残ります。

飛びそうな部材の固定、敷地への立ち入り防止といった対応は、塗装とは別に必要になります。

決まっていないなら状態を保つ

いちばん多いのがこの状態です。方針が決まらないうちは、悪化させないことに集中してください。

雨どいの掃除、水抜き、年2回の点検。これらは方針がどうなっても無駄になりません。

方針が決まらない理由の多くは、家族のあいだで意見が分かれていることにあります。結論を急がず、そのあいだ建物を悪化させないという合意だけ先に取るという進め方が現実的です。

別荘・セカンドハウスの場合

使う予定がある建物でも、空いている期間が長ければ同じ問題が起きます。

使わない期間の長さで考える

夏だけ使う建物は、冬のあいだ完全な空き家と同じ状態になります。北海道では、この期間がもっとも負担の大きい季節です。

行けない期間が長い場合、誰かに見てもらう仕組みを用意しておく価値があります。

春に開ける前に確認する

シーズンの最初に行くときは、建物に入る前に外を一周してください。屋根、外壁、基礎まわりを見てから中に入ります。

中に入ってから水漏れに気づくより、外から異常の手がかりを見つけておくほうが、原因の特定が早くなります。

獣や虫の侵入

人がいない建物には、動物が入ることがあります。換気口の網が破れていないか、床下の点検口が開いていないかを見てください。

侵入経路は、外壁の傷みと重なることがあります。穴や隙間は、水の入り口でもあります。

工事を依頼するときの注意

無人の住宅で作業する

空き家の工事には、住みながらの工事とは違う難しさがあります。

立ち会えない

遠方に住んでいれば、工事中の様子を見られません。工程ごとの写真を送ってもらう約束をしておいてください。

洗浄後、下地補修後、下塗り後、完成後。この4点があれば、進み方が追えます。塗り回数と記録の考え方は塗り回数と塗料の量にまとめています。

鍵と敷地の管理

工事中は、業者が敷地に出入りします。鍵を預けるかどうか、預けるならどう管理するかを決めておいてください。

電気と水道を使う場合、契約が止まっていれば使えません。工事の前に、開通が必要かどうかを確認してください。

近隣への説明

空き家で工事が始まると、近隣は状況が分かりません。誰が何のためにやっているのかを、事前に伝えておいてください。

所有者が遠方であれば、業者に依頼してあいさつしてもらう方法もあります。ただし、所有者からの連絡があるかないかで受け止め方は変わります。

契約と支払い

立ち会えない工事だからこそ、契約書の内容が重要になります。完成の確認をどう行うか、支払いのタイミングをいつにするかを明確にしておいてください。

契約書の見方は契約書で確認する項目にまとめています。

費用をどう考えるか

空き家の外壁工事は、住んでいる家とは費用の考え方が変わります。

住んでいる家より高くなる要素

  • 移動 … 現場が遠ければ、その分が加わることがあります
  • 電気・水道 … 止まっていれば、開通の手間が要ります
  • 片づけ … 敷地に物が残っていれば、その処理
  • 草木 … 伸びた枝が足場の妨げになる
  • 下地の傷み … 進んでいれば補修が増える

最後の項目がいちばん大きく効きます。放置した期間が長いほど、塗装だけでは済まなくなります。

安くなる要素もある

住んでいる家では、生活への配慮が必要です。空き家であれば、洗濯物や換気の制約がありません。工程を詰めやすいという面はあります。

ただし、これで大きく安くなるわけではありません。足場も塗料も、住んでいるかどうかで変わりません。

制度が使えるか確認する

自治体によっては、空き家の改修や解体に関する支援制度があります。住んでいる家向けの制度とは、条件が異なることがあります。

北海道の制度は北海道の補助金にまとめています。ただし、空き家に適用できるかどうかは制度ごとに異なります。物件のある市町村の窓口で確認してください。

やる範囲を絞る判断

方針が決まっていない段階で、全面の塗り替えに踏み切る必要はありません。水が入る箇所だけ止める、飛びそうな部材だけ固定するという進め方もあります。

状態を悪化させないことが目的であれば、全面の工事より小さい費用で済むことがあります。何が目的かを業者に伝えて相談してください。

出典:住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト」

よくある質問

誰も住まないのに塗る意味がありますか

建物を保つという意味ではあります。ただし、解体や売却が決まっているなら、必ずしも必要ではありません。その家をどうするかが先です。

年に1回では足りませんか

北海道では、春と秋で目的が違います。秋の水抜きと雨どい掃除は、冬の被害を左右します。1回にするなら、状況によりますが秋のほうが効きます。

近所から苦情が来ました

まず状態を確認してください。木の枝、飛散物、雪の落ち方など、具体的な内容を聞いておくと対応しやすくなります。放置すると、行政の指導につながることがあります。

市から通知が来ました

内容を確認し、期限内に対応してください。指導の段階で改善すれば、税の扱いは変わりません。分からない点は、通知に記載された担当窓口に問い合わせてください。

相続したばかりで状態が分かりません

まず現地を見て、写真を撮ってください。その記録が出発点になります。建物の図面や過去の工事の書類が残っていないかも探しておくと役立ちます。

雪下ろしを頼めますか

専門の業者に依頼できることがあります。自分で行う場合も、無理はしないでください。屋根の形が落雪を前提としているかどうかで、必要性も変わります。

点検を頼むときの伝え方

業者に見てもらうとき、事情を伝えておくと調査の中身が変わります。

いつから空いているかを伝える

「3年前から誰も住んでいない」「冬は使っていない」といった情報は、どこを重点的に見るかの判断につながります。

空いている期間が長ければ、下地の状態を含めて見る必要があるという前提で調査されます。表面だけの点検では足りない可能性があるためです。

今後の予定を伝える

住む予定があるのか、売るのか、決まっていないのか。目的によって、提案される内容が変わります。

「決まっていない」と伝えても構いません。その場合は、状態を悪化させないための最小限の対応を相談するという話になります。

立ち会えるかどうかを伝える

遠方であれば、調査に立ち会えないことがあります。その場合は、写真と報告書で結果を受け取る形にしてください。

報告書には、どこを見たか、どういう状態だったか、何を勧めるかが書かれていれば十分です。口頭の説明だけでは、あとから確認できません。

建物の資料を用意する

新築時の図面、過去の工事の書類、前回の塗り替えの記録。手元にあれば、調査の精度が上がります。

相続した建物では、資料が家の中に残っていることがあります。片づけの際に、書類だけは分けておいてください。

まとめ

人が住まない家は、換気されず、異変に気づかれず、雪も雨どいも処理されません。住んでいる家より傷みが早く進むのは、この積み重ねによるものです。

管理が不十分な空き家は、市町村長の指導や勧告の対象になりえます。勧告を受けると、その敷地は固定資産税等の住宅用地特例から除外されます。ただし、措置を実施すれば勧告は撤回されます。

北海道では、屋根の雪、水道の凍結、すが漏りという条件が加わります。とくに秋の水抜きは、忘れると春に大きな被害として返ってきます。

その家をどうするか決まっていなくても、年2回の点検と、雨どいの掃除と、水抜きは無駄になりません。方針が決まるまでのあいだ、建物の状態を保つという一点に絞れば、やることははっきりします。まずそこから始めてください。

空き家だった住宅を買う場合の確認については、中古住宅を買う前の外壁チェックにまとめています。

本記事は空き家・別荘の外壁管理に関する一般的な整理で、個別の物件についての法令の適用、税額、手続きを判断するものではありません。空家等に関する措置の運用は市町村によって異なります。固定資産税等の取扱いについては、物件の所在する市町村の税務担当窓口にご確認ください。相続・売却・解体に関する判断は、専門家にご相談ください。屋根に上がる作業や無理な除雪は行わないでください。

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