屋根の雪処理|雪下ろしの事故と業者に頼む判断

塗装の時期

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

屋根の雪をどうするか。北海道では毎年この判断が必要になり、そして毎年、事故が起きています。北海道が公表している集計では、令和6年11月から令和7年3月までの雪による死傷者は244人で、うち11人が亡くなっています。

この数字の内訳を見ると、屋根からの転落が88人(36.1%)、はしごからの転落が50人(20.5%)。合わせて半数を超えます。落ちてくる雪や氷に巻き込まれた人も34人います。

この記事では、公表されている事故の数字と、北海道の研究機関が出している屋根の雪処理の資料をもとに、雪下ろしをやらずに済ませる方法、頼むときの判断、屋根に上がらずにできることを整理します。

なお、この記事は工事を請け負う立場で書いたものではありません。個別の建物の判断は現地の確認によります。

結論:まず「上がらずに済むか」を考える

先に要点を示します。

  • 北海道の雪害の死傷者は、令和6年度で244人。原因の1位は屋根からの転落です
  • 亡くなった方の記録を見ると、除雪作業中に屋根から転落という記述が繰り返し出てきます
  • 研究機関の資料は、落雪が隣家に侵入するトラブルや人身事故は、住まい手も責任を問われると明記しています
  • 屋根の形と敷地の条件によって、そもそも雪下ろしが要るかどうかが変わります

雪下ろしの技術を磨く話ではありません。上がらなくてよい状態をつくれるかという話です。

この記事で扱わないこと

北海道で毎年どれだけの人が巻き込まれているか

屋根に積もった雪

北海道が公表している雪害の集計から、令和6年11月1日から令和7年3月31日までの数字を引用します。

北海道の雪害 死傷者244人の原因別内訳(令和6年11月〜令和7年3月)
北海道の雪害 死傷者244人の原因別内訳(令和6年11月〜令和7年3月)
区分 人数
死者 11人
重傷 66人
軽傷 167人
死傷者合計 244人

この年が特別だったわけではありません。同じ資料の過去の集計では、死傷者の合計は令和1年度の119人から令和2年度の388人まで幅がありますが、毎年三桁で推移しています。雪の多い年と少ない年で人数は動きますが、ゼロに近づいた年はありません。

原因の内訳

原因 人数 割合
屋根からの転落 88人 36.1%
はしごからの転落 50人 20.5%
落氷雪 34人 13.9%
除雪機 9人 3.7%
その他 63人 25.8%

屋根とはしごを合わせると138人、全体の56.6%です。高いところから落ちる事故が、雪害の大半を占めています。

年齢の偏り

年齢構成では、75歳以上が101人(41.4%)、65〜74歳が63人(25.8%)。65歳以上で164人、全体の67.2%を占めます。

亡くなった方の記録には、「除雪作業中に屋根から転落したと思われるもの」という記述が繰り返し出てきます。年齢は55歳から94歳まで幅があり、「除雪作業中に屋根からの落雪に巻き込まれたもの」という例も含まれています。

出典:北海道「雪による被害」(令和6年11月〜令和7年3月の被害状況)

国がまとめている「雪下ろし安全10箇条」

雪下ろしの道具

国土交通省は、豪雪地帯における除雪作業中の事故について注意喚起を出しています。全国の数字として、多雪の年には年間1000件以上の事故が発生し、100人以上が亡くなるとしています。

そして、死亡事故の約8割は65歳以上の高齢者による事故となっていることから、高齢者を中心とした安全対策の実施や、命綱・安全帯・ヘルメット等の安全対策用具の普及を図る必要があるとしています。

注意事項としてまとめられているのは、屋根からの転落のほか、転倒事故、除雪機による事故、屋根から落雪による事故、水路等への転落事故、発症などの防止です。

「これまで大丈夫だった」は根拠にならない

同省の案内には、昔から安全対策を行わなくても事故に遭わなかったから大丈夫と考えるのはとても危険ですという一文があります。作業を行う本人だけでなく、家族、親戚、近所の方などが安全対策を行っていないのを見かけたら声をかけることが重要だとしています。

出典:国土交通省「雪下ろし安全10箇条〜除雪作業中の事故に注意しましょう〜」

そもそも雪下ろしが要る屋根かどうか

無落雪屋根の住宅

北海道の戸建て住宅の屋根は、雪の処理の考え方で大きく2つに分かれます。

落雪屋根と無落雪屋根で必要になるものが違う
落雪屋根と無落雪屋根で必要になるものが違う
種類 雪の処理 必要になるもの
落雪屋根 屋根から自然に落とす 軒下の堆雪スペース
無落雪屋根 屋根に載せたまま融かす・流す 断熱・気密・換気と排水の管理

研究機関の資料では、屋根雪を落とすことは構造体や防水処理に無理が少なく、種々の障害が軽減される一方、軒下に堆雪スペースが必要になると説明されています。そして、自敷地外へ雪が落下すると予想される場合は、無落雪屋根を選ぶべきとしています。

落雪屋根については、降雪後、数日以内に雪を自然落下させる必要があるとされ、複雑な屋根形状は雪の滑落を大きく阻害するため避けるべき、屋根勾配は最低でも5寸勾配を確保する必要があると具体的に書かれています。

長期間、屋根の上に雪を載せたままにしておくと、氷柱や巻きだれが発生しやすくなるとも指摘されています。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」北海道「積雪による建築物の倒壊の防止等について」

落雪の責任は住まい手にも及ぶ

敷地に落ちた雪の塊

同じ資料の冒頭に、はっきりした記述があります。

研究機関の資料より

落雪が隣家に侵入するトラブルや人身事故は、建築の専門家だけでなく、住まい手も責任を問われます。すがもれは、被害が発生すると、多大な修繕費用を要します。

民法には、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者が損害を賠償する責任を負うという定めがあります。占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が賠償しなければならないとされています。

屋根からの落雪がこれに当たるかどうかは個別の事情によりますが、「自然現象だから仕方がない」で終わる話ではないということは知っておいてください。実際に被害が出たときの保険の扱いは火災保険の記事で扱っています。

出典:北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」e-Gov法令検索「民法」第717条

雪はどこまで飛ぶのか

屋根から落ちる雪

落雪屋根で問題になるのは、雪が軒先から落ちて、どこまで届くかです。資料では、堆雪スペースが十分かどうかを表と計算ソフトで判断するとされ、屋根雪の滑落飛距離の簡易計算ファイルが研究機関のウェブサイトで公開されていることが案内されています。

住まい手の側で確認できるのは、次の点です。

  • 軒先から敷地の境界までどれだけ距離があるか
  • その範囲に通路、駐車場、物置、給湯器がないか
  • 隣家の窓や壁が落雪の方向にないか
  • 冬に人が通る動線と重なっていないか

ここが重なっている家では、毎年ひやりとする場面が繰り返されます。屋根の形を変える工事は簡単ではありませんが、雪止めの追加、動線の変更、カーポートや小屋根の設置で緩和できる場合があります。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

雪庇はできやすい場所がある

軒先に張り出した雪庇

屋根の端から張り出す雪の塊を雪庇と呼びます。落ちれば重大な事故になります。

資料によれば、雪庇は無落雪屋根(M形屋根、フラット屋根、無落雪勾配屋根)の風下側で発生しやすいという特徴があります。札幌の場合は北西からの風による吹雪が多く、その風下の南東側の屋根端部に雪庇ができるケースが多いと説明されています。

そのうえで、次のように案内されています。

  • 住宅の風下側が駐車場や玄関アプローチとなる場合は注意が必要
  • 用地を購入するときは周辺住宅の雪庇の形成方位を観察し、冬季の風向を知っておく
  • 雪庇の形成方位に駐車場や玄関アプローチがある場合は、カーポートや小屋根を設けて落下による事故防止対策を施す
  • 対策を怠ると、冬季に何度も屋根にのぼって雪庇除去をしなければならない

最後の一文が要点です。設計の段階で決まったことが、その後何十年ぶんの作業量になります。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

つららができる家とできない家

軒先に並ぶつらら

つららやすが漏りの多くは、雪が融け、その融雪水が再凍結することによって発生します。資料は、北海道の真冬の外気温は日中でもマイナスになるため融雪水はすぐに再凍結するとしています。

融雪に関わる熱の供給源のひとつが室内の暖房熱です。ここで印象的な例が挙げられています。

暖房されていない未入居の住宅では、氷柱や巻きだれ、すがもれの被害が極めて少ないというものです。これは極端な例として挙げられているものですが、暖房熱が屋根面に伝わることが、融雪と再凍結を起こす一因になっていることを示しています。融雪の熱源はほかにもあり、日射や外気温も関わります。

したがって対策は、屋根や天井に断熱・気密の措置をしっかり行い、暖房熱を屋根面に伝えないことになります。雪下ろしの回数を減らしたい場合、屋根の上ではなく天井裏に答えがあることがあります。

ルーフウィンドウがある家

資料では、ガラス面は室内の熱をよく伝えるため、融けた雪によって軒先に氷柱が発生しやすくなると指摘されています。そのうえで、ルーフウィンドウの近くの軒下が冬期間の歩行通路などにならないように配慮するよう案内されています。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

M形屋根は冬の前に見る

屋根の中央のとい

北海道でもっとも普及している無落雪屋根が、屋根の中央部に横どいと縦どいを持つM形屋根です。資料は30年以上前から普及しているとしています。

注意事項として挙げられているのが、縦どいに落ち葉やゴミが詰まると漏水しやすいという点です。そして次のように書かれています。

  • 毎年、冬に入る前に屋根の上にのぼり、掃除や点検を行うことが重要
  • 縦どいや横どいの接合部はシーリングするのが一般的だが、経年劣化すると雨漏れの原因になる
  • そのため、何年かに一度、板金の専門業者に定期点検を依頼する必要がある

ここは判断が要るところです。「毎年のぼって掃除」と「屋根に上がるのが事故の1位」が正面からぶつかります。年齢や体力を考えて、この作業こそ業者に頼む対象と割り切るのが現実的です。

M形屋根で不具合を防ぐための要点として、資料は天井または屋根の断熱性能が住宅の省エネルギー基準(平成4年)と同等以上確保されていること、防湿気密層が切れ目なく連続して施工されていること、小屋裏の換気措置が基準の換気孔面積を満たしていることの3つを挙げています。

塗り替えの時期に合わせて板金の状態を見てもらう考え方は無落雪屋根の塗装の記事にまとめています。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

はしごが事故の2割を占めている

屋根の上だけが危ないわけではありません。北海道の集計では、はしごからの転落が50人(20.5%)です。屋根に上がるまでと、降りるところで起きています。

国民生活センターは、雪に限らず脚立やはしごの事故について、20歳以上の事故458件のうち転落が433件で約95%、約半数で入院を要し、3件の死亡事故があったと公表しています。60〜70歳代が半数以上を占めるという内訳も雪害の統計と重なります。

同センターのアドバイスから、雪の場面でとくに効くものを挙げます。

  • 脚立やはしごを使用しない方法を検討する
  • 一人きりでの作業はやめる
  • あらかじめ無理のない計画を立て、作業中の「あと少し」をなくす
  • ヘルメット、動きやすい服、滑りにくい靴を事前に準備する
  • 確実に設置し、バランスを崩しにくい姿勢で使用する

雪の場面では、これに足元が凍っているという条件が加わります。はしごの脚が乗っている雪は、作業中に融けて沈みます。上がったときと降りるときで、状態が変わっているということです。

脚立とはしごの事故についてはDIYの記事でも扱っています。

出典:国民生活センター「思わぬ大けがに!高齢者の脚立・はしごからの転落」

やるなら当日に確かめること

それでも自分でやると決めた場合に、当日その場で確かめたい項目を挙げます。国土交通省が挙げる事故の類型に対応させたものです。

事故の類型 当日に確かめること
屋根からの転落 命綱の固定先はあるか。一人ではないか
はしごからの転落 足元は沈まないか。上端は固定できるか
落雪に巻き込まれる 下に人がいないか。屋根の反対側の雪は動かないか
転倒 足元の氷。降りたあとの通路
除雪機の事故 詰まりを取るときにエンジンを止めたか
発症 体調。気温。作業時間

最後の発症は見落とされがちです。北海道の集計にも、除雪作業中に倒れた、除雪作業後に心肺停止となったという記録が含まれています。寒いなかでの重労働は、心臓と血圧に負担がかかります。

業者に頼むときの考え方

雪下ろしや雪庇の除去を頼む場合、確認したい点があります。

確認すること 理由
作業中の保険に入っているか けがや物損の備え
屋根材を傷めない道具を使うか 金属屋根はスコップで傷が付く
どこに雪を落とすか 給湯器や配管の破損を避ける
1回いくらか、何時間か あとの請求の食い違いを防ぐ
連絡はいつまでに必要か 大雪の直後は依頼が集中する

大雪が降ってから探すと間に合いません。冬に入る前に、頼める先を決めておいてください。除雪業者、板金業者、屋根工事の会社、シルバー人材センターなど、地域によって受け皿が違います。

費用の考え方

雪下ろしの費用は、屋根の面積、勾配、雪の量、作業人数、雪を運び出す必要があるかで変わります。相場として一律に示せる性質のものではありません。複数に問い合わせて、条件を揃えて比べてください。

比べるときは、同じ内容で聞くのが大事です。「屋根の雪下ろし」といっても、下ろすだけなのか、下ろした雪を敷地の外へ運ぶところまで含むのかで金額が変わります。作業の範囲、人数、想定時間、追加が発生する条件を、依頼の前にそろえて聞いてください。この考え方は工事の見積もりと同じで、見積書のチェックポイントの内容がそのまま使えます。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

自分で頼めないときの選択肢

国土交通省は、共助による除排雪を紹介しています。高齢者などの除雪作業が困難な方の自宅の除雪を、町内会等の地域の住民が協力して行う取り組みです。同省は克雪体制づくりアドバイザーの派遣も行っています。

市町村によっては、高齢者世帯への除雪支援、屋根の雪下ろしの費用助成を設けている場合があります。内容と条件は市町村ごとに違い、毎年変わることもありますので、お住まいの市町村の窓口でご確認ください。

補助制度の探し方は補助金の記事で扱っている考え方が使えます。

屋根に上がらずにできること

上がらずに減らせるリスクもあります。

  • 秋のうちに、といと排水口の落ち葉を除く(下屋根であれば地上からの作業も可能な場合があります)
  • 屋根から落ちる位置に物を置かない。給湯器、物置、自転車、鉢
  • 玄関前や通路が落雪や雪庇の下にならないよう動線を変える
  • つららができはじめたら、下を通らないように印を付ける
  • 雪が壁に接する場所の雪を寄せる雪と外壁の記事
  • 天井裏の断熱・気密の状態を点検口から確認する

屋根の状態を見たいだけなら、2階の窓から見る、地上から双眼鏡で見る、棒の先に固定した携帯電話で撮るといった方法があります。

秋の点検は、塗り替えや板金の工事と同じ機会にまとめるという手もあります。足場が架かっているあいだであれば、業者が墜落防止の措置を講じたうえで、といの掃除も屋根の点検もまとめて行いやすくなります。足場があれば安全、という意味ではありません。屋根の上での作業には、足場とは別に墜落防止の備えが要ります。塗装がしやすい時期はおおむね春から秋なので、工事の年は、冬の前の点検を工事に組み込んでもらうと段取りが楽になります。

時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期、足場を活かして他の工事もまとめる考え方は足場費用の記事で扱っています。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

屋根の上で屋根材を傷めないために

雪下ろしには、建物側のリスクもあります。屋根材を傷つけると、そこが水の入口になります。

  • 金属屋根 … 金属のスコップで塗膜を削ると、そこからさびが出ます
  • 板金の立ち上がり部 … 蹴ると変形し、あとで漏水につながります
  • といと排水口 … 踏むと形が変わり、雪解け水があふれます
  • 化粧スレート … 踏む場所を誤ると割れます
  • 雪止め金具 … 引っ掛けると固定部が緩みます

資料が指摘するとおり、M形屋根では縦どいの詰まりが漏水につながります。雪をどけるときに、といのまわりを傷めては本末転倒です。

屋根材ごとの弱点は屋根材と塗装の記事で、無落雪屋根の板金については無落雪屋根の記事で扱っています。

出典:北海道立総合研究機構北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

雪を下ろす場所も決めておく

下ろした雪の行き先も、事前に決めておく項目です。

落としてはいけない場所 理由
給湯器・室外機の上 破損する。排気がふさがれる
灯油タンク・配管のまわり 配管が折れることがある
換気フードの前 ふさぐと室内の換気に影響する
外壁に接する位置 壁の下部が濡れ続ける
隣家側・道路側 トラブルの原因になる
避難経路・玄関前 出入りができなくなる

とくに換気フードと給湯器は、埋まると生活に直結します。雪が壁に接し続けることの影響は雪と外壁の記事で扱っています。

春先に確認すること

雪が消えたら、冬のあいだに何が起きていたかを確かめる時期です。

見る場所 確認すること
といと排水口 変形、外れ、詰まり
屋根の端部 板金の浮き、めくれ
軒天・破風 しみ、はがれ
外壁の足元 雪が接していた高さの傷み
室内の天井 しみ、うっすらした輪の跡

天井にしみが出ていたら、すが漏りの記事を確認してください。外壁側の傷みは劣化サインの記事にまとめています。壁の中で起きていることが疑われる場合は壁の中の結露の記事もあわせてご覧ください。

声をかけることが対策になる

国土交通省の案内には、除雪作業中の事故を減らすためには、作業を行う本人はもちろん、家族、親戚、近所の方などが安全対策を行っていないのを見かけたら声をかけ、雪下ろし安全10箇条を教えてあげるなど、地域全体で安全対策を行うことが重要とあります。

実際、北海道の集計で亡くなった方の多くは高齢者です。本人の判断だけに任せると、対策は進みにくいというのが、この呼びかけの前提にあります。

離れて暮らす家族ができることを挙げます。

  • 冬の前に頼める業者を一緒に探しておく
  • 市町村の除雪支援の制度があるか調べる
  • 作業する日は電話をして声をかける
  • 「今年からは頼もう」と代わりの方法を先に出す

止めるだけでは、たいてい受け入れられません。代わりの方法とセットで話すほうが進みます。

よくある質問

無落雪屋根なら雪下ろしは不要ですか

通常は載せたまま処理する設計の屋根です。ただし、設計上の積雪荷重に限りがない、という意味ではありません。想定を超える積雪、屋根や建具のたわみ・異音、排水不良といった変化があれば、自分で上がらず建築士や施工会社に相談してください。北海道も、過大な積雪による建築物の倒壊を防ぐため、安全を確保したうえでの雪下ろしを所有者等に促しています。

また研究機関の資料は、M形屋根について毎年、冬に入る前に屋根の上にのぼり、掃除や点検を行うことが重要としています。雪下ろしとは別に、点検の必要はあると考えてください。

どれくらい積もったら下ろすべきですか

建物の設計、屋根の形、雪質によって変わるため、一律の数字では決められません。判断に迷う状態であれば、上がる前に業者や市町村の窓口に相談してください。

雪庇は自分で落としてもいいですか

屋根の端に立つ作業になり、もっとも危険な部類です。資料は、雪庇の形成方位に駐車場や玄関アプローチがある場合、カーポートや小屋根を設けて落下による事故防止対策を施すことをすすめています。作業を繰り返すより、落ちても被害が出ない状態にするほうが根本的です。

命綱があれば大丈夫ですか

国土交通省は安全対策用具の普及を図る必要があるとしていますが、用具があれば安全になるという意味ではありません。固定する先の強度、装着の仕方、単独作業かどうかで結果が変わります。

つららは放っておいても大丈夫ですか

落下すれば危険です。また、つららができること自体が、屋根に熱が伝わっているサインでもあります。繰り返し大きなつららができる家は、断熱・気密・小屋裏換気の状態を確認する価値があります。

除雪機での事故も多いのですか

北海道の集計では、除雪機による死傷者は9人(3.7%)でした。件数としては屋根やはしごより少ないものの、巻き込まれる事故は重大になりやすい類型です。

屋根の雪で建物が壊れることはありますか

設計時の想定を超える積雪であれば、影響が出ることがあります。ただし北海道の住宅は積雪を前提に設計されています。不安がある場合は、下ろす前に建築士や施工した会社に相談してください。

雪止めを付ければ落雪は防げますか

雪が一度に落ちるのを抑える効果はありますが、屋根に雪を載せたままにするということでもあります。屋根の構造、勾配、断熱の状態によっては、すが漏りやつららの条件が変わります。付ける前に、屋根の専門業者に見てもらってください。

屋根の形を変えることはできますか

落雪屋根から無落雪屋根への変更は、大きな工事になります。構造、防水、断熱、換気をまとめて見直す必要があるためです。塗り替えのついでにできる工事ではありません。ただ、敷地の条件で毎年ひやりとしているのであれば、検討する価値はあります。

賃貸物件の場合、誰が雪下ろしをしますか

契約の内容によります。民法606条1項は貸主に使用及び収益に必要な修繕をする義務を定め、2項は貸主が保存に必要な行為をしようとするとき借主はこれを拒めないとしています。ただし、これは雪下ろしを誰がやるかを決めた規定ではありません。

実際には、日常の除雪の分担が契約書に書かれていることも多く、建物の管理状況や作業の性質によっても変わります。まず契約内容を確認し、管理会社か貸主に問い合わせてください。所有者側の考え方は賃貸物件の外壁塗装の記事で触れています。

まとめ

北海道の雪害では、令和6年度に244人が死傷し、11人が亡くなりました。原因の1位は屋根からの転落(88人・36.1%)、2位ははしごからの転落(50人・20.5%)で、合わせると全体の半数を超えます。65歳以上が67.2%を占めます。

国土交通省は、全国では多雪の年に年間1000件以上の事故、100人以上の死亡があるとし、死亡事故の約8割が65歳以上だとしています。そして「昔から大丈夫だったから」と考えるのはとても危険だと明記しています。

屋根の雪の処理は、上がってからの話ではなく、屋根の形と敷地の条件で決まる部分が大きいものです。研究機関の資料は、自敷地外へ雪が落下すると予想される場合は無落雪屋根を選ぶべきとし、雪庇の形成方位に駐車場や玄関があるならカーポートや小屋根で対策するようすすめています。対策を怠れば何度も屋根にのぼることになるとも書かれています。

つららやすが漏りは暖房熱が屋根に伝わることが原因とされ、暖房されていない未入居の住宅では被害が極めて少ないという例が挙げられています。屋根の上での作業を減らしたいなら、天井裏の断熱・気密・換気を確かめてください。

そして、落雪の事故は住まい手も責任を問われると資料は明記しています。今年の冬に備えるなら、雪が降る前に頼める先を決めておくことから始めてください。

もうひとつ、実行しやすい順番を挙げておきます。秋のうちに、といと排水口の掃除を業者に頼む。そのときに屋根と板金の状態も見てもらう。落雪や雪庇が落ちる位置に物を置かないよう、動線と置き場所を変える。この3つは、屋根に上がらずに、あるいは一度で済みます。

塗り替えの予定がある年なら、足場が架かっている機会にまとめると効率がよくなる場合があります。足場の仕様や工事の内容によっては別々のほうがよいこともあるので、そこは業者と相談してください。冬の作業を1回減らせるかどうかは、この段取りで決まることがあります。

本記事は公表資料をもとに一般的な考え方を整理したもので、個別の住宅における雪下ろしの要否や安全性を判断するものではありません。引用した被害状況は速報値であり、後日変更される場合があります。市町村の支援制度の内容と条件は自治体により異なり、変更されることがあります。屋根上での作業には転落の危険が伴います。実際の判断は、ご自身の状況をふまえて慎重に行い、必要に応じて専門業者や市町村の窓口にご相談ください。

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