外壁の色の選び方|見本帳で決めてはいけない理由と手順

塗料と外壁材

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

色見本帳を渡されて、そこから選んでくださいと言われた。小さな四角を見比べても、家一軒に塗ったときの姿が想像できない。しかも一度塗れば10年以上そのままです。

色選びの記事はたくさんありますが、多くは「人気の色ランキング」で終わっています。それも参考にはなりますが、本当に効くのは「面積が変わると見え方が変わる」「その面がどんな条件に置かれているか」という2点です。

この記事では、色の見え方の仕組みと、北海道という条件、それに景観のルールという3つの角度から、後悔しにくい決め方の順番を整理します。

塗料そのものの選び方は寒冷地の塗料で、外壁材の性格は外壁材の種類と選び方で扱っています。この記事は色だけの話です。

なお、この記事は工事を請け負う立場で書いたものではありません。実際の色の決定は、現物と現地の条件を見たうえでの判断になります。

  1. 結論:見本帳で決めない
    1. この記事で扱わないこと
  2. まず「色を変えていいか」を確かめる
    1. 塗り替えも対象になりうる
  3. 色は3つの要素でできている
    1. 伝え方を具体的にする
  4. 面積が変わると色は変わる
    1. 対処は3つ
    2. まわりの色も一緒に見る
    3. 見本を当てる位置
  5. 汚れの目立ち方は色で決まる
    1. 北面は別に考える
    2. 雨だれは色より場所の問題
  6. 北海道で効いてくる条件
    1. 雪の白さが基準になる
    2. 濃色は温度差が大きくなる
    3. 雪が当たる高さは別に考える
  7. 組み合わせで決める
    1. 2色に分けるとき
  8. カラーシミュレーションの見方
    1. 過去の施工例を見せてもらう
  9. 色番号で記録する
  10. ツヤをどう選ぶか
  11. 実際に多い後悔のパターン
    1. 思ったより明るい・派手になった
    2. 屋根やサッシと合わなかった
    3. 汚れが早く目立った
    4. 冬の景色のなかで印象が変わった
    5. 塗り分けの位置が中途半端になった
  12. 家の形との相性
    1. 付帯部で締める
  13. 近隣との関係
    1. 色が原因のトラブルは避けられる
  14. 塗り分けの型を知っておく
    1. 上下で分ける
    2. 面で分ける
    3. 付帯部だけで変化をつける
    4. 境目の処理を聞いておく
  15. 決め方の手順
  16. よくある質問
    1. 人気の色を選べば間違いないですか
    2. 今と同じ色にすれば安全ですか
    3. 写真で仕上がりを見せてもらえますか
    4. 屋根の色はどう決めますか
    5. 白い家は北海道に向きませんか
    6. 色で室温は変わりますか
    7. ツヤ消しは汚れやすいと聞きました
    8. 色を決めるのにどれくらい時間がかかりますか
    9. 途中で色を変えられますか
    10. 家族の意見が割れたときはどうしますか
    11. 近所と同じような色になってしまいます
    12. 次の塗り替えのときも同じ色にできますか
    13. 汚れにくい塗料を選べば色は自由ですか
  17. まとめ

結論:見本帳で決めない

先に要点を示します。

  • 小さな色見本と実際の壁では、同じ色が違って見えます。面積が大きいほど、明るい色はより明るく、鮮やかな色はより鮮やかに見えます
  • 面ごとに条件が違います。日が当たる面と当たらない面、雪が寄る面で、汚れ方も見え方も変わります
  • 汚れの目立ち方は色で変わります。真っ白と真っ黒は、方向は違っても汚れが出やすい色です
  • 景観計画のある区域では、色に制限があることがあります。塗り替えでも届出の対象になりうるので、着工前に確認が要ります

決める順番は、①制限があるかを確かめる → ②絞り込む → ③大きな見本で確かめる → ④現地で確かめるです。見本帳は②の道具であって、決定の道具ではありません。

この記事で扱わないこと

まず「色を変えていいか」を確かめる

街並みのそろった住宅地

意外に飛ばされがちな手順です。地域によっては、建物の外観の色に公的なルールがあることがあります。

景観法にもとづいて景観行政団体(都道府県、指定都市、中核市のほか、都道府県と協議した市町村)が定める景観計画では、建築物の形態意匠の制限(形態、色彩、材質など)を定めることができます。国土交通省が示している制限規定のイメージには、次のような例が挙げられています。

景観計画で定められる制限の例

「外壁の色彩は暖色系の色相又は無彩色を基調とし、周辺との調和に配慮すること」。基調色の範囲をマンセル表色系で示す方法が用いられます。景観計画区域では届出制度により誘導され、基準に適合しない場合は設計変更等を勧告できるとされています。

塗り替えも対象になりうる

景観計画区域内で届出が必要になる行為には、建築物の建築等が含まれます。この「建築等」には外観を変更することとなる修繕・模様替えや色彩の変更が含まれるため、塗り替えで色を変える工事も対象になりえます。

ただし、国土交通省の景観法運用指針は、条例によって対象を一定規模以上に限ることや、届出の適用除外とすることも可能としています。実際に届出が必要かどうかは市町村ごとに違うということです。

確認先は市町村の景観担当窓口です。「うちは景観計画区域に入っていますか」「外壁の色に基準はありますか」の2つを聞けば足ります。業者が把握していることも多いので、見積もりのときに聞いてみてください。

景観形成基準は、勧告の基準になるものとされています。さらに、形態意匠について条例で特定届出対象行為と定められている場合には、変更命令の対象になりうるとされています。基準がある区域で、それに合わない色で塗ってしまうと、後から指摘を受ける可能性があるということです。塗り直しになれば費用も工期も無駄になります。

なお、景観の制限は市街地だけの話ではありません。観光地や自然公園の周辺、歴史的な街並みが残る地区などで定められていることがあります。北海道にも、そうした区域を持つ市町村があります。

出典:国土交通省「景観法(平成16年制定)の概要」国土交通省「景観法運用指針」

色は3つの要素でできている

並べた塗料の色見本

「もう少し落ち着いた感じに」と伝えても、業者と話がかみ合わないことがあります。色をひとまとまりの印象で捉えているうちは、指定が曖昧になるからです。

色は3つの要素に分けて考えられます。景観計画で基調色の範囲を示すときに使われるマンセル表色系も、この3つで色を表します。

要素 意味 外壁での効き方
色相 赤・黄・青といった色み 暖かい印象か、冷たい印象か
明度 明るさ 家が大きく見えるか、締まって見えるか
彩度 鮮やかさ まわりから浮くか、なじむか

迷ったときに動かすべきは明度と彩度です。色相(たとえばベージュ系)は決めたまま、明るさを一段落とす、鮮やかさを一段抑える。この2つだけで、印象はかなり変わります。

伝え方を具体的にする

業者に希望を伝えるとき、次のように言い換えると通じやすくなります。

  • 「落ち着いた感じ」 → 「彩度を下げてください」「もう少しくすんだ色に」
  • 「重すぎない感じ」 → 「明度を上げてください」「もう少し明るく」
  • 「今より暖かい印象に」 → 「色相を黄み寄りに」

色番号で候補を出してもらい、その番号の近くで調整してもらうのが確実です。言葉だけのやり取りは、必ずずれます。

面積が変わると色は変わる

壁に当てた大きな色見本

ここが色選びで最も多い失敗の原因です。

同じ色でも、小さな面積で見るときと大きな面積で見るときでは、印象が変わります。一般に、面積が大きくなるほど明るい色はより明るく、鮮やかな色はより鮮やかに感じられます。

そのため、見本帳で「ちょうどいい」と思った色を家全体に塗ると、思ったより白い、思ったより派手という結果になりがちです。

対処は3つ

  1. 見本帳より1段暗め・1段くすんだ色を選ぶ … 面積効果を見越して調整します
  2. A4以上の大きな色見本(塗板)を取り寄せる … 多くの塗料メーカーが用意しています
  3. 現地で、実際の壁に当てて見る … 屋外の光の下で、離れて見ます

3番目が決定的です。室内の照明の下で見た色と、屋外で見た色は違います。晴れの日と曇りの日でも違います。可能なら両方の日に見てください。

北海道で気をつけたいのは、季節によって日射の角度と明るさが大きく変わることです。冬は太陽の位置が低く、日照時間も短くなります。夏の昼に見た印象がそのまま冬に当てはまるとは限りません。

時間をかけられるなら、塗板を数日間、壁に留めておくのがおすすめです。朝、昼、夕方、曇りの日と、いろいろな光の下で目に入ります。何度も見ているうちに、最初の印象とは違う判断になることがあります。

まわりの色も一緒に見る

壁だけを凝視すると判断を誤ります。屋根、サッシ、玄関ドア、とい、それに隣家と空を視界に入れた状態で見てください。

とくに空の色は効きます。北海道の冬は曇天が続く地域が多く、灰色の空を背景にしたときにどう見えるかは、晴天の日だけでは分かりません。

見本を当てる位置

壁に当てるときは、次を意識してください。

  • 離れて見る … 顔の前ではなく、道路から見た距離で
  • 日なたと日陰の両方 … 同じ家でも面によって違います
  • 屋根・サッシ・といと一緒に見る … 単独ではなく組み合わせで判断します
  • 時間帯を変える … 朝と夕方では光の色が違います

汚れの目立ち方は色で決まる

窓の下に伸びた汚れの筋

10年後の姿を左右するのは、色そのものより汚れの出方です。

色によって目立つ汚れが変わる
色によって目立つ汚れが変わる
目立ちやすい汚れ 目立ちにくい汚れ
白・アイボリー すす、雨だれ、藻・かび 砂ぼこり
黒・濃紺 砂ぼこり、水あか、色あせ すす、雨だれ
ベージュ・グレー 明るい汚れ・暗い汚れとも目立ちにくい
赤・青などの鮮やかな色 色あせが目立つ

汚れが目立ちにくいとされるのは、ベージュ、グレー、薄いブラウンです。ここで言っているのは「汚れが付きにくい」ではなく「付いた汚れが分かりにくい」という意味です。汚れの付きにくさは塗膜の性能と周辺の環境によります。人気が集中するのは流行というより、この理由が大きいと考えられます。

理屈は単純で、付着する汚れの色に近いほど目立たないということです。外壁に付く汚れは、砂ぼこり、排気のすす、雨に混じった粒子、日の当たらない面の藻やかび。これらはおおむね灰色から茶色の範囲に収まります。中間色が有利になるのはそのためです。

逆に言えば、白と黒は「汚れが目立ちにくい色」ではありません。白は暗い汚れが、黒は明るい汚れが浮きます。選ぶなら、汚れが出る前提で水の流れを整えておくほうが実効的です。

北面は別に考える

日が当たらず乾きにくい面では、藻やかびが出やすくなります。同じ色を塗っても、北面だけ早く緑がかって見えることがあります。

これは色の失敗ではなく、その面の条件です。北面に木や物置が接していないか、風が通るかを合わせて見直すと、色の持ちも変わります。

雨だれは色より場所の問題

窓の下やといの継ぎ目の下に伸びる黒い筋は、色を変えても出ます。水が同じ場所を繰り返し流れているためです。

日本窯業外装材協会の資料は、サッシまわりから伝った水による汚れについて触れ、寒冷地ではその水が凍って外壁材の劣化を早めることがあると指摘しています。色で隠すより、水切りを付けるなど水の流れを変えるほうが根本的です。

汚れの筋が何を意味するかは外壁の劣化サインと点検の目安で扱っています。

出典:日本窯業外装材協会「サイディングの維持管理はどうするの お施主様へ」

北海道で効いてくる条件

雪景色のなかの住宅

全国向けの色選びの記事には出てこない条件があります。

雪の白さが基準になる

冬のあいだ、家のまわりは白一色になります。そのなかで自分の家がどう見えるかは、夏に見た印象とはまったく違います。

  • 白系 … 雪と同化して輪郭がぼやけます
  • 濃色 … 雪のなかで際立ち、重く見えます
  • 中間色 … どちらの季節でも落ち着いて見えます

年の半分近くが雪景色である以上、冬の見え方も確かめておく価値があります。色を検討するのが夏なら、雪の写真と見本を並べてみるだけでも違います。

濃色は温度差が大きくなる

濃い色は日射を吸収して表面温度が上がります。一方で、国土技術政策総合研究所の資料によれば、冬期には夜間放射によって外壁面の表面温度が外気温より2〜3℃低くなるとされています。

つまり北海道の外壁は、日中は日射で温まり、夜は外気温より冷えるという往復を繰り返しています。濃色はこの振れ幅を大きくする方向に働きます。

これを理由に「濃い色は避けるべき」と断定はできません。ただし、色を決めるときに温度の話が出るかどうかは、判断材料のひとつにはなります。出てきたら、その面をどう扱うつもりなのかを具体的に聞いてみてください。

雪が当たる高さは別に考える

屋根から落ちた雪や除雪で寄せた雪が当たる部分は、傷み方が違います。ここだけ濃い色にする、あるいは別の材料にするという住宅も見かけます。

色の話としては、その高さに汚れと傷が集中する前提で選ぶのが現実的です。詳しくは雪から外壁を守るで扱っています。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

組み合わせで決める

屋根とサッシと外壁

外壁だけを単独で選ぶと、家全体としてまとまりません。

要素 変えられるか 色決めでの扱い
屋根 同時なら変えられる 外壁より濃くするのが基本
サッシ・玄関ドア 基本は変えられない 先に固定条件として置く
とい・破風・軒天 塗り替えで変えられる 外壁に合わせるか、締め色にするか
基礎 変えられることがある 汚れやすいので暗めに

順番としては、変えられないもの(サッシ・玄関ドア)を先に置いて、そこから逆算するのが確実です。アルミサッシがシルバーなのか、こげ茶なのか、白なのかで、合う外壁色の範囲は変わります。

2色に分けるとき

上下や面で色を分ける場合、失敗を減らす目安があります。

  • 使う色は2色まで(付帯部を入れて3色まで)
  • 下を濃く、上を淡くすると落ち着きます
  • 色の切り替えは、材料や形状の切り替え位置に合わせる
  • 同系色で明度だけ変えると失敗しにくくなります

3色目を入れたくなったら、玄関ドアまわりなど狭い範囲にとどめるのが安全です。

カラーシミュレーションの見方

写真に色を合成して仕上がりを見せてくれる会社があります。方向性を決めるには便利ですが、そのまま信じてはいけない道具でもあります。

理由は3つあります。

  1. 画面の色は環境で変わる … パソコン、スマートフォン、印刷で同じには見えません
  2. 質感が再現されない … ツヤや外壁材の凹凸による陰影は写りません
  3. 光の条件が1つしかない … 撮影したときの天気と時間の色です

使い方としては、2色に分ける位置の確認、屋根との組み合わせの確認までにとどめ、色そのものは塗板で決めるのが安全です。

過去の施工例を見せてもらう

いちばん参考になるのは、その会社が実際に塗った家の写真です。可能なら、次のように頼んでみてください。

  • 候補と同じ色番号で塗った家の写真
  • 晴れの日と曇りの日の両方があれば両方
  • 塗ってから数年たった家の写真(汚れ方が分かります)

3番目が出てきたら、いつ撮ったものか、どういう経緯で撮れたのかを聞いてみてください。色の話をしながら、その会社の仕事の仕方も見えてきます。

色番号で記録する

「アイボリー」「ベージュ」は人によって指す色が違います。必ず色番号で確定させてください。

塗料メーカーの色見本帳には製品ごとの色番号が付いています。日本塗料工業会の塗料用標準色を使う場合は、その番号で指定します。

契約前に書面に残すこと

外壁・屋根・付帯部それぞれの色番号と、ツヤの指定(つや有り/七分/五分/三分/つや消し)、塗り分ける位置を、見積書か仕様書に書いてもらってください。口頭だけだと、仕上がってからの言った言わないになります。

引き渡し後も色番号は残しておいてください。数年後に付帯部だけ塗り直すとき、記録がないと色合わせに苦労します。

ツヤをどう選ぶか

光を受ける外壁の面

色と同じくらい印象を左右するのがツヤです。

ツヤ 見え方 性質
つや有り 光を強く反射する 汚れが付きにくいとされる
七分・五分 ほどよい光沢 中間的
三分・つや消し 落ち着いた質感 表面がわずかに粗くなる

一般に、ツヤがあるほど表面がなめらかで汚れが留まりにくいとされています。落ち着いた質感を求めてつや消しを選ぶ場合は、汚れの付き方が変わる可能性を承知したうえで選んでください。

なお、ツヤは年月とともに落ちていきます。塗りたてのツヤがそのまま続くわけではありません。

実際に多い後悔のパターン

塗り終わってから「思っていたのと違う」となる原因は、だいたい決まっています。

思ったより明るい・派手になった

いちばん多いパターンです。原因は面積効果で、見本帳の小さな四角で選んだ色を、そのまま家一軒に広げたためです。

防ぎ方は先に書いたとおり、候補より一段暗め・一段くすんだ色を選び、大きな塗板で確かめることです。「見本帳で少し地味かな」と感じるくらいが、壁に塗るとちょうどよくなります。

屋根やサッシと合わなかった

外壁だけを単独で選ぶと起きます。変えられないもの(サッシ、玄関ドア、屋根を塗らない場合はその色)を先に固定してから、外壁を合わせるという順番を守ってください。

汚れが早く目立った

白系を選んだ場合に多く、とくに窓の下と、といの継ぎ目の下に筋が出ます。色の問題というより、水の流れの問題です。塗り替えのときに水切りの処理を相談しておくと違います。

冬の景色のなかで印象が変わった

夏に色を決めた場合に起こります。雪のなかでは白系は輪郭がぼやけ、濃色は重く見えます。年の半分近くがその状態であることを、決める前に一度想像してみてください。

塗り分けの位置が中途半端になった

2色に分けたときに起きます。色の切り替えは、材料や形状が変わる位置に合わせるのが原則です。壁の途中で切り替えると、あとから見て理由のない線に見えます。

家の形との相性

同じ色でも、家の形によって見え方が変わります。断定できる法則ではありませんが、目安になる傾向があります。

家の特徴 合いやすい方向 理由
面が大きく凹凸が少ない 中間色・低彩度 色の面積が大きく出るため
凹凸や下屋が多い 単色でまとめる 色を分けると煩雑になる
窓が多い サッシ色を軸に決める サッシの線が目立つため
木部が見えている 木の色を活かす配色 木部の塗り替え周期も別

北海道の住宅は、雪を考えて凹凸を減らしたすっきりした形が多く見られます。その場合、壁の面積がそのまま印象になるので、彩度を抑えた色のほうが破綻しにくい傾向があります。

付帯部で締める

外壁を淡い色にしたとき、全体がぼやけて見えることがあります。そのときはとい・破風・水切りなどの付帯部を濃くすると輪郭が出ます。

面積が小さいぶん、付帯部は思い切った色にしても失敗しにくい部分です。付帯部の扱いと費用は付帯部の塗装で詳しく扱っています。

近隣との関係

色は自分だけの問題ではありません。とくに住宅が近接している場所では、隣家との対比が印象を決めます。

やっておくと安心なことを挙げます。

  1. 近所を歩いて、同じ系統の色の家を見る … 実物大の見本になります
  2. まわりが淡い色ばかりなら、極端な濃色は避ける
  3. 着工前のあいさつで、色が変わることを伝えておく

3番目は簡単ですが効きます。足場が外れて突然変わっているより、聞いていたほうが受け止め方が違います。

集合住宅や建売の分譲地では、もともと配色がそろえられていることがあります。管理規約や建築協定で外観の色が定められている場合もあるため、戸建てでも念のため手元の書類を確認してください。

色が原因のトラブルは避けられる

実際に問題になるのは、色そのものより事前に何も知らされていなかったことです。着工前のあいさつで「今回、外壁の色が変わります」と一言添えるだけで、受け止め方は変わります。

近隣への伝え方は工事の流れと工期にまとめています。足場を組む日や洗浄の日と合わせて、まとめて伝えてしまうのが効率的です。

塗り分けの型を知っておく

上下で色を分けた外壁

2色に分ける場合、よく使われる型がいくつかあります。どれを選んでも間違いということはありませんが、型を知っておくと業者の提案を評価しやすくなります。

上下で分ける

1階と2階の境目、あるいは腰壁の高さで色を変えます。下を濃く、上を淡くすると重心が下がって落ち着きます。逆にすると、上が重く見えます。

北海道では、雪が当たる下部だけ別の材料になっている住宅があります。その場合は材料の切り替え位置がそのまま色の切り替え位置になるので、無理なく分けられます。

面で分ける

正面だけ色を変える、あるいは出っ張った部分だけ変える方法です。形状の変わり目で切り替えるのが条件で、平らな壁の途中では切りません。

付帯部だけで変化をつける

外壁は単色にして、とい・破風・軒天・水切り・玄関ドアまわりだけ色を変えます。いちばん失敗が少なく、やり直しもしやすい方法です。

迷ったらこの型から検討してください。外壁を単色にしておけば、次の塗り替えのときに選択肢が狭まりません。

境目の処理を聞いておく

色を分けるときは、境目をどう処理するかを確認してください。見切り材を入れるのか、養生テープの線で分けるのかで、仕上がりの印象が変わります。

境目に段差や部材がない場所で分ける場合、まっすぐ出すのは職人の腕次第になります。過去の施工写真で、境目の仕上がりを見せてもらうと判断できます。

決め方の手順

ここまでを順番にまとめます。

色を決めるまでの4段階
色を決めるまでの4段階
  1. 制限の確認 … 市町村に景観計画があるか、色の基準と届出の要否
  2. 固定条件の整理 … サッシ・玄関ドア・屋根を変えるかどうか
  3. 方向性を決める … 淡いか濃いか、暖色か寒色か、単色か2色か
  4. 候補を3つに絞る … 見本帳で。ここでは決めない
  5. 大きな見本を取り寄せる … A4以上の塗板
  6. 現地で確かめる … 屋外・離れて・複数の面・時間帯を変えて
  7. 色番号とツヤを書面に … 見積書か仕様書へ

4から6に時間をかけてください。ここを飛ばすと、足場が外れてから後悔することになります。

よくある質問

人気の色を選べば間違いないですか

失敗しにくいのは確かです。ベージュやグレーが選ばれるのは汚れが目立ちにくいという実利があるためで、流行だけの話ではありません。ただし、家の形や屋根の色との相性は個別に見てください。

今と同じ色にすれば安全ですか

安全な選択です。ただし今の色は日焼けした後の色なので、同じ色番号で塗ると新品の状態に戻り、記憶より濃く見えることがあります。

写真で仕上がりを見せてもらえますか

カラーシミュレーションを用意している会社があります。方向性を決めるには有効ですが、画面の色と実際の塗料の色は一致しません。最終確認は必ず実物の塗板で行ってください。

屋根の色はどう決めますか

外壁より濃くすると落ち着きます。屋根を同時に塗るかどうかで選択肢が変わるので、屋根と外壁を同時に塗るかの判断と合わせて考えてください。

白い家は北海道に向きませんか

向かないとは言えません。ただし冬は雪と同化し、夏は雨だれや藻が目立ちやすいという条件は付きます。白を選ぶなら、水切りの処理と、汚れが出やすい位置の手当てを合わせて相談してください。

色で室温は変わりますか

濃い色ほど日射を吸収するため、外壁の表面温度は上がります。ただし室内の温度に効くのは、外壁の色より断熱・窓・気密・換気・暖房設備といった要素です。色を変えたら暖かくなるという期待はしないでください。

ツヤ消しは汚れやすいと聞きました

一般に、ツヤがあるほど表面がなめらかで汚れが留まりにくいとされています。つや消しが必ず汚れるという意味ではありませんが、質感と汚れやすさは一定のトレードオフがあると考えてください。

色を決めるのにどれくらい時間がかかりますか

見本の取り寄せに1〜2週間かかることがあります。塗料の発注もあるので、着工の数週間前までに決めておくと日程が動きません。

途中で色を変えられますか

塗り始める前なら変えられる場合があります。ただし塗料を発注したあとは費用が発生することがあります。迷っているなら契約後すぐ相談してください。

家族の意見が割れたときはどうしますか

候補を言葉で議論しても決まりません。大きな塗板を3枚取り寄せて、実際の壁に当てて全員で見るのがいちばん早い解決法です。屋外で、離れた位置から見てください。写真ではなく実物で見ると、意見が寄ってくることがあります。

近所と同じような色になってしまいます

その地域の条件に合う色が似てくるのは自然なことです。差をつけたいなら、外壁ではなく付帯部や玄関まわりで変化をつけるほうが安全です。外壁本体で奇抜な色を選ぶと、10年つき合うことになります。

次の塗り替えのときも同じ色にできますか

色番号を残してあれば可能です。ただし製品が製造中止になっていることがあります。その場合は近い色で調色することになるので、完全に同じにはならないと考えてください。

汚れにくい塗料を選べば色は自由ですか

汚れの付きにくさをうたう塗料はありますが、汚れがまったく付かなくなるわけではありません。色による目立ちやすさの差は残ります。塗料の性能と色選びは、切り離さずに考えてください。

まとめ

色選びで効くのは、流行より面積効果とその面の条件です。見本帳の小さな四角と、家一軒の壁では、同じ色が違って見えます。1段暗め・1段くすんだ色を選び、大きな塗板を現地で確かめる。これだけで失敗はかなり減ります。

そして、決める前に市町村に景観計画があるかどうかを確かめてください。景観計画区域では外壁の色に基準が定められていることがあり、色を変える塗り替えが届出の対象になりえます。条例で適用除外にできるとされているので、実際に必要かどうかは市町村によります。

北海道では、雪のなかでどう見えるかを一度考えてみてください。年の半分近くが白い景色のなかにあります。夏の写真だけで決めると、冬に印象が変わります。

最後に、色番号とツヤを必ず書面に残すこと。これは仕上がりの確認にも、数年後の部分補修にも効きます。

色が決まったら、次は塗り方です。工程ごとの塗付け量と確かめ方は外壁塗装の3回塗りは本当かにまとめています。

木部の色は塗料の系統によって変わり方が違います。木の外壁の塗り替えにまとめています。

いまの柄を残したまま塗り替えたい場合は、クリア塗装の記事で施工できる条件を確認してください。

断熱塗料や遮熱塗料の効果をどこまで期待できるかは断熱塗料の効果にまとめています。

本記事は色の選び方の考え方を整理したもので、特定の色や製品を推奨するものではありません。汚れの目立ちやすさや見え方は、外壁材・立地・周辺環境によって変わります。景観に関する制限や届出の要否は市町村ごとに異なるため、必ず所管の窓口にご確認ください。

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