木の外壁の塗り替え|木材保護塗料と素地ごしらえ

塗料と外壁材

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月5日編集方針と検証の手順

板張りの外壁、ウッドデッキ、玄関まわりの木部。木は経年で色が変わり、手を入れる時期が来ます。ところが、木部の塗り替えは、サイディングやモルタルとは考え方が違います。

違いは大きく2つです。ひとつは塗る材料の選び方。もうひとつは塗る前の下ごしらえです。国の仕様書では、木部だけ別の節が立てられ、屋外の木部には専用の材料が定められています。

この記事では、公共建築工事標準仕様書に書かれている木部の扱いと、木材の劣化に関する研究機関の資料をもとに、木の外壁をどう維持するのか、塗り替えの周期がなぜ短いのかを整理します。北海道で気をつけたい点にも触れます。

なお、この記事は工事を請け負う立場で書いたものではありません。実際の仕様は現地を確認した業者の判断によります。

  1. 結論:木部は「濡れて乾く」を守る材料で維持する
    1. この記事で扱わないこと
  2. 木は水を含んだり放したりしている
  3. 国の仕様書には木部専用の節がある
  4. 下ごしらえの決め方が他と逆
    1. 外部で使ってはいけない材料がある
  5. 張り方によって弱い場所が変わる
  6. 下地と通気層は木部でも同じ話
  7. 釘と金物のまわりを見る
  8. 透明系と不透明系のどちらを選ぶか
  9. 膜で完全に覆う発想の落とし穴
  10. 北海道の木部で効いてくる条件
  11. 色あせは劣化ではないこともある
  12. 塗り替えの周期をどう考えるか
  13. 自分でできる年に一度の手入れ
  14. 部分的に取り替えるという選択
  15. ウッドデッキと柵は別に考える
  16. 玄関まわりと窓枠の木部
  17. 防腐・防蟻の扱い
  18. 業者に見てもらうときに聞くこと
  19. 塗り替えの工事はどう進むか
  20. 保証の考え方も他の面と違う
  21. 水が当たらない工夫のほうが効く
  22. 木の外壁を選ぶ・残す判断
  23. よくある質問
    1. 木の外壁は手間がかかりますか
    2. どのくらいの周期で塗り替えますか
    3. 木目を残したいのですが
    4. 一度ペンキで塗ってしまったのですが
    5. 腐っている部分は塗れば止まりますか
    6. 冬に塗ることはできますか
    7. 高圧洗浄をかけてもいいですか
    8. 木部だけ先に塗ることはできますか
    9. 木の外壁をやめてサイディングに替えられますか
    10. 色が濃いほうが長持ちしますか
    11. 雪が当たる面だけ傷みが早いのですが
  24. まとめ

結論:木部は「濡れて乾く」を守る材料で維持する

先に要点を示します。

  • 国の仕様書には、屋外の木部に適用する「木材保護塗料塗り」という独立した節があります
  • 木部の素地ごしらえは、不透明塗料塗りならA種、透明塗料塗りならB種が既定です。他の素地と決め方が違います
  • 木材の腐朽は、繊維飽和点を超えて細胞内に自由水が存在するようにならないと進みません
  • したがって維持の要点は、濡れたあとに乾く状態を保つことです

塗膜で完全に覆って水を入れない、という発想だけでは、木部はうまくいかないことがあります。

この記事で扱わないこと

木は水を含んだり放したりしている

木の外壁の表面

まず、木という材料の性質からです。国の研究機関の資料には次のように説明されています。

木材は大気中においては空気の温湿度条件に応じた一定の水分を含有し、この状態を気乾状態といいます。この水分は木材繊維に吸着され、周辺の空気が乾燥すると放出され、湿潤すると再度吸着して空気の湿度を一定に保つ作用があり、調湿作用として知られています。

そして、腐朽についてはこう書かれています。

腐朽が起きる条件

腐朽菌は空中や雨水中に存在するが、木材に付着しても気乾状態の含水分では生育できず、繊維飽和点を超えて細胞内に自由水が存在するようにならないと生育できない。すなわち、気乾状態の木材であれば液状の水で濡れるような条件が必要となる。

つまり、湿気を吸ったり放したりしている状態では腐り始めません。腐り始めるのは、液体の水で濡れた状態ができたときです。

ただし、始まったあとは話が変わります。同じ資料は、いったん腐朽が始まると水分が生成されるため、周辺の木部の含水率が30%以下でも腐朽は進行すると注意しています。腐朽菌の生育には酸素や温度も関わります。濡れなくなれば止まる、とは限らないということです。だからこそ、始まる前の段階で乾く状態を保つことに意味があります。

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」第3編第Ⅳ章

国の仕様書には木部専用の節がある

木部を塗装する手元

公共建築工事標準仕様書の塗装の章には、木材保護塗料塗り(WP)という節が置かれています。冒頭にこの節は、屋外の木部の木材保護塗料塗りに適用すると明記されています。

工程と塗付け量は次のとおりです。塗り替えの話なので、改修工事のほうの仕様書から引きます。カッコの中は、新設の木材に塗る場合の数値です。

工程 A種 B種 塗付け量(kg/㎡)
素地ごしらえ
下塗り 0.10(0.06)
上塗り(1回目) 0.06(0.06)
上塗り(2回目) 0.06(0.04)

種別は特記によりますが、特記がなければB種とされています。つまり下塗り1回+上塗り1回が既定で、A種にすると上塗りがもう1回増えます。

使う材料は日本建築学会材料規格 JASS 18 M-307 の木材保護塗料と定められています。一般的な外壁用の塗料とは別の材料だということです。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

下ごしらえの決め方が他と逆

木部の下ごしらえ

もうひとつ、木部には独特の決まりがあります。素地ごしらえの種別の決め方です。

木部の素地ごしらえ A種とB種の違い
木部の素地ごしらえ A種とB種の違い

仕様書には、木部の素地ごしらえは表により、種別は特記による。特記がなければ、不透明塗料塗りの場合はA種、透明塗料塗りの場合はB種とすると書かれています。

A種とB種で何が違うのか、工程を並べます。

工程 A種 B種 内容
汚れ・付着物除去 素地を傷つけないように除去。油類は溶剤等でふき取る
やに処理 削り取り又は電気ごて焼きのうえ、溶剤等でふき取る
研磨紙ずり 研磨紙P120〜220で、かんな目・逆目・けば等を研磨
節止め 節及びその周囲にはけ塗り
穴埋め 割れ、穴、隙間、くぼみ等に充填
研磨紙ずり 穴埋め乾燥後、全面を平らに研磨

透明な塗料で木目を見せる仕上げでは、節止めと穴埋めを行いません。埋めてしまえば木目が消えるためです。仕上げの見え方によって、下ごしらえの工程数が変わるというのが木部の特徴です。

外部で使ってはいけない材料がある

同じ表の注記に、実務で効く一文があります。合成樹脂エマルションパテは、外部に用いないというものです。

穴埋めに使うパテのうち、水性のエマルションタイプは屋外に向かないということです。穴を埋めたのに、そこから傷みが進むという事態を避けるための注記だと読めます。

また、ラワン材、しおじ等導管の深いものの場合は、必要に応じてやに処理の後に塗料の製造所の指定する目止め処理を行うとも書かれています。木の種類によって工程が変わります。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」18章

張り方によって弱い場所が変わる

縦張りの木製外壁

木の外壁は、板の張り方でいくつかの型に分かれます。どこに水がたまるかが変わるため、見る場所も変わります。

張り方 見え方 弱くなりやすい場所
下見板張り(横張り・重ね) 板が重なって段になる 重なりの下側、板の木口
縦張り 板が縦に並ぶ 板の下端、水切りとの取り合い
目地を通した張り方 板の間に隙間がある 下地の防水紙、留め付け部
羽目板 継ぎ目が細い 継ぎ目に入った水の抜け道

どの張り方でも共通しているのは、板の切り口(木口)と、板の下端が弱いということです。水は下に集まるため、いちばん下の段からだめになるのが典型的な進み方です。

点検のときは、まず地面に近い側から見上げるようにしてください。全体の点検の順番は劣化サインと点検の目安にまとめています。

出典:国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン 第Ⅳ章 劣化リスク分析・同解説」

下地と通気層は木部でも同じ話

木の外壁の下地

木の外壁でも、板の裏側に水が回ったときにどう抜けるかが重要です。国の研究機関の資料は、外装材を躯体に密着させる直張り構法は雨水浸入のリスクが大きく、外装材と躯体の間に通気層を設ける通気構法ではリスクが軽減されるとしています。

木の板は湿気を出し入れする材料なので、裏側が乾く条件があるかどうかが寿命を左右します。裏に湿気がこもると、表面をいくら塗っても内側から傷みます。

塗り替えの相談のときに、この壁に通気層があるかを聞いてみてください。分からない場合でも、土台まわりの水切りと、板の下端に隙間があるかは外から確認できます。壁の中の水については壁の中の結露の記事で扱っています。

出典:国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン 第Ⅳ章 劣化リスク分析・同解説」

釘と金物のまわりを見る

釘まわりの木部

木部の傷みは、留め付け部から始まることがよくあります。

  • 釘やビスの頭 … さびて周囲が黒く染まる
  • 釘穴 … 隙間ができて水が入る
  • 金物と木の接触部 … 乾きにくく、腐朽の起点になる
  • 板の反りで浮いた部分 … 隙間が広がる

黒い筋が縦に走っている場合、釘のさびが原因ということがあります。汚れとは意味が違うので、拭いても取れないときは留め付け部を疑ってください。

付帯部の金属部分の考え方は付帯部の塗装の記事で扱っています。

出典:国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン 第Ⅳ章 劣化リスク分析・同解説」

透明系と不透明系のどちらを選ぶか

木目の見える塗装

木部の塗料は、膜をつくるかどうかで分けて考えると整理しやすくなります。木に染み込ませる浸透形、しっかりした膜をつくる造膜形、そのあいだで薄い膜をつくる半造膜形があります。

これとは別に、木目が見えるか(透明・半透明)/隠れるか(不透明)という軸があります。2つの軸は完全には一致しないので、分けて考えてください。

浸透して木目を見せる系統 膜をつくって覆う系統
見た目 木目が残る 木目が隠れる
水の扱い 木が湿気を出し入れできる 膜で覆う
塗り替えの周期 短め やや長め
塗り替えの手間 重ね塗りしやすい はがれたら削る作業が要る
はがれ方 徐々に色が抜ける 部分的にめくれる

判断の分かれ目は次にどう手を入れたいかです。膜をつくる系統は塗り替えの間隔が延びる一方、いったんはがれ始めると、削り落とす作業が必要になります。浸透系は周期が短いかわりに、洗って重ねるだけで済むことが多くなります。

ここは好みの問題でもあります。ただ、木の外壁を選んだ理由が「木の見た目」であるなら、浸透系のほうが目的に合うことが多いようです。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

膜で完全に覆う発想の落とし穴

塗膜がはがれた木部

木部で起きやすい失敗が、膜が切れた部分から水が入り、内側で滞留するという形です。

木は湿気を出し入れする材料です。外側を厚い膜で覆うと、入った水が出ていく道がなくなります。研究機関の資料が示すとおり、腐朽の条件は細胞内に自由水が存在する状態です。水が抜けなければ、その条件に近づきます。

とくに次の場所は注意が要ります。

  • 板の木口(切り口) … 水を吸いやすく、乾きにくい
  • 重なりの下側 … 塗料が回りにくい
  • 釘やビスの頭 … 隙間ができる
  • 地面に近い部分 … 跳ね返りと雪
  • 水平に近い面 … 水がたまる

木口の処理は、施工でも維持でも見落とされやすい部分です。塗るときは木口まで確実にという点は、覚えておいて損がありません。

出典:国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン 第Ⅳ章 劣化リスク分析・同解説」

北海道の木部で効いてくる条件

北海道で木部を維持するときに、本州と違う条件があります。

  • 雪が壁に接する期間が長い … 足元が濡れ続ける
  • 0℃をまたぐ日が多い … 含水した木部が凍結と融解を繰り返す
  • 塗れる時期が限られる … 春から秋のあいだに終える必要がある
  • 乾燥する冬 … 屋外の木部は冬に乾くという面もある
  • 紫外線と気温差 … 南面の傷みが早い

いちばん効くのはです。雪が接している高さと、木部の傷みが進む高さは、たいてい一致します。外壁材の団体の資料も、土台部、下屋根部、バルコニー水切部等でサイディングに雪がかぶさる部分や、入隅部などで雪の吹きだまりができる部分は、積雪をこまめに除去してほしいとしています。窯業系サイディング向けの記述ですが、木部ではより重要になります。

加えて、木部が濡れたまま凍結と融解を繰り返すという条件が乗ります。ただし、コンクリートやセラミックスで問題になる凍害と木材とでは、材料の性質が違います。ここで確かなのは、凍結融解が繰り返される時期は、濡れた状態が長引きやすいということです。乾く時間が取れないこと自体が、木部には不利に働きます。凍害の仕組みは凍害の記事で扱っています。

雪の扱いは雪から外壁を守る記事にまとめています。

色あせは劣化ではないこともある

木部で判断を迷わせるのが色の変化です。塗った直後の色が抜けていくと、傷んだように見えます。

しかし、浸透して木目を見せる系統の塗料では、色が薄くなるのは通常の経過です。塗膜がはがれているわけではありません。判断は色ではなく、次の点で行ってください。

  • 水をかけたときの反応(玉になるか、染み込むか)
  • 表面のざらつき(繊維が立ってきていないか)
  • 手で触ったときの粉っぽさ
  • 特定の場所だけ黒いかどうか

逆に、膜をつくる系統では部分的なめくれが出ます。こちらは色よりはがれの有無で見ます。同じ木部でも、選んだ材料によって見るところが変わるということです。

塗り替えの周期をどう考えるか

木部の塗り替えは、他の外壁材より周期が短くなるのが普通です。年数で決めるより、状態で判断してください。

状態 意味
色が薄くなってきた 浸透形では通常の経過。これだけでは判断せず、下の項目とあわせて見る
水をかけると染み込む 撥水性が落ちている
表面がざらつく 木の繊維が立ってきている
黒ずんでいる 汚れか、湿った時間が長い場所
爪で押すとやわらかい 腐朽の可能性。塗装では対応できない
板が反っている・浮いている 留め直しや交換の検討

水をかけて染み込むかどうかは、自分でできる簡単な確認です。水滴が玉になって残れば撥水が効いており、すっと染み込むなら性能が落ちています。

下から2番目のやわらかいは別の段階です。腐朽が進んだ木は、塗っても戻りません。その部分を取り替えることになります。

自分でできる年に一度の手入れ

木部は、年に一度の手入れが効きやすい部分です。手の届く範囲であれば、自分で進められます。

木部を長持ちさせる1年の手入れ
木部を長持ちさせる1年の手入れ
時期 やること
雪解け後 足元の泥はねと汚れを洗い流す。乾かす
初夏 水をかけて撥水の効き具合を見る。写真を残す
といの詰まりを直す。壁ぎわの物をどける
冬前 雪の置き場を壁から離す

洗うときは柔らかいブラシと水で足ります。強くこすると繊維が毛羽立ち、かえって水を吸いやすくなります。汚れの落とし方の基本はコケ・藻・カビの記事と共通です。

洗ったあとは乾かす時間をとってください。木は表面が乾いて見えても内部に水が残ります。天気の続く日を選び、風の通りをよくしてから作業するほうが確実です。

写真を残しておくと、去年と比べてどう変わったかが分かります。木部は変化が緩やかなので、記憶では追えません。

部分的に取り替えるという選択

木の外壁の利点のひとつが、傷んだ板だけを交換できることです。全面をやり直さずに済む場面があります。

  • 地面に近い1段目だけを替える
  • 雪が当たる特定の面だけを替える
  • といから水が伝っていた1枚だけを替える

交換した板は色が違うため、塗り替えと同時に行うと仕上がりがそろいます。逆に言えば、塗り替えの見積もりを取るときに、交換が必要な板があるかを見てもらうとよいということです。

交換のときには、なぜそこだけ傷んだのかも確かめてください。といの不具合や水切りの納まりが原因であれば、板を替えても同じことが起きます。

また、交換する板の樹種と厚みを既存に合わせられるかも確認してください。同じ寸法の材料が手に入らない場合、加工が必要になります。可能であれば、新築時の資料に樹種が書かれていないかを探してみてください。

ウッドデッキと柵は別に考える

同じ木部でも、水平に近い面は条件が厳しくなります。デッキの床や手すりの上面は、水がたまり、乾きにくい場所です。

  • 塗り替えの周期は壁より短くなります
  • 雪が積もる冬のあいだ、ずっと濡れた状態になります
  • 床板の木口と、根太との接触面が傷みやすくなります
  • 手すりの上面と、支柱の付け根が弱点です

デッキはDIYで塗り直しやすい部分でもあります。地面に立って作業できるため、脚立に乗る必要がありません。自分でやる範囲の考え方はDIYの記事にまとめています。

玄関まわりと窓枠の木部

外壁全体は別の材料でも、玄関ドア、庇の裏、窓枠、飾りの梁が木という住宅は少なくありません。面積は小さくても、目に付く場所です。

この部分で気をつけたいことを挙げます。

  • 玄関ドア … 直射日光が当たる面から色が抜ける。上部と下部で差が出やすい
  • 庇の裏 … 水が回り込んだ跡が残る。下から見ないと分からない
  • 窓枠 … 結露水が下枠にたまる。浴室まわりはとくに
  • 飾り梁 … 上面に水がたまる。継ぎ目から入る

窓の下枠は、外側だけでなく室内側からの結露水も影響します。外壁材の団体の資料は、寒冷地では伝い水が冬期に凍結して劣化を早めることがあり、浴室サッシは浴室内側のガラスの結露水が伝い水となりやすいとしています。木部であれば、この影響はより直接的です。

付帯部としてまとめて塗るか、木部だけ別に手を入れるかは、周期の違いで決めてください。

防腐・防蟻の扱い

木部の維持というと防腐剤の話が出てきますが、考え方を整理しておきます。

研究機関の資料が示すとおり、腐朽菌は気乾状態の含水分では生育できません。したがって、薬剤の前に、乾く条件を保つことが本筋です。薬剤はそれを補うものと位置づけられます。

また、北海道はシロアリの分布が本州と異なりますが、存在しないわけではありません。地面に接する部分、床下、湿った木部は、種類にかかわらず注意する場所です。

気になる症状があれば、塗装業者ではなく、木造住宅の劣化を診られる建築士や専門業者に相談してください。相談先の考え方は業者の選び方にまとめています。

業者に見てもらうときに聞くこと

木部を含む工事の見積もりでは、次を確認してください。

  • 使う材料の種類(浸透系か、膜をつくる系統か)
  • 何回塗るか。下塗りと上塗りの回数
  • 素地ごしらえの中身(削るのか、洗うだけか)
  • 木口まで塗るか
  • 交換が必要な板があるか。あるなら何枚か
  • 次の塗り替えの目安の時期

木部は、他の面と塗り替えの周期がずれます。次回は木部だけを先に手を入れる、という進め方もあります。見積書の読み方は見積書のチェックポイントで扱っています。

あわせて、使った材料の製品名と色番号を控えておいてください。次に手を入れるとき、同じ系統の材料を重ねられるかどうかで手間が変わります。工事のあとに写真と一緒に残しておくと確実です。

塗り替えの工事はどう進むか

木部を含む塗り替えの流れを、一般的な順番で示します。下ごしらえの比重が大きいのが特徴です。

順番 工程 木部での注意
1 洗浄 圧力を落とす。毛羽立たせない
2 乾燥 木は乾くのに時間がかかる
3 素地ごしらえ 汚れ・付着物の除去、やに処理、研磨
4 板の交換・補修 必要な箇所を先に処理する
5 下塗り 木口まで確実に
6 上塗り 種別により1〜2回

2番目の乾燥が、木部では特に効いてきます。表面が乾いて見えても、内部に水が残っていることがあります。濡れた木に塗ると、閉じ込めた水が後で悪さをします。

工事全体の流れと日数の考え方は工事の流れと工期にまとめています。北海道では乾燥の時間が工期に直結するため、余裕をもった日程が要ります。

保証の考え方も他の面と違う

木部は、他の外壁材より塗膜の保証が短い、あるいは対象外とされることがあります。素材の性質上、経年での変化が避けられないためです。

契約の前に確認しておきたい点を挙げます。

  • 木部が保証の対象に入っているか
  • 入っている場合、年数と対象になる症状
  • 色あせや木目の変化は対象外とされているか
  • 交換した板の扱いはどうなるか

「保証がないから悪い」という話ではありません。木部は定期的に手を入れる前提の材料なので、次の手入れの時期を聞いておくほうが実際的です。保証の読み方は保証とアフター点検の記事で扱っています。

水が当たらない工夫のほうが効く

塗料の性能より効くのが、水の当たり方を変えることです。

やること 効果
雪を壁から離して寄せる 足元が濡れる期間を短くする
といの詰まりを直す 伝い水をつくらない
植栽を刈り込む 風が抜けて乾きやすくなる
地面の跳ね返りを減らす 砂利や犬走りで水はねを抑える
物を壁に立てかけない 接触部が乾かなくなる

どれも濡れている時間を短くするという一点で共通しています。腐朽の条件が液状の水で濡れる状態が続くことである以上、ここが本筋です。

木の外壁を選ぶ・残す判断

塗り替えの時期に、木のまま維持するか、別の材料に替えるかを考える方もいます。判断の材料を整理します。

木のまま維持する 別の材料に替える
見た目が気に入っている 手入れの周期を延ばしたい
傷んだ板だけ替えられる 高所の作業を減らしたい
手の届く範囲は自分でできる 断熱も同時に見直したい
次の工事までの費用が読める 下地から作り直す機会にしたい

替える場合、下地と通気層の作り直しを含む工事になります。断熱を同時に見直すのであれば、外張り断熱の記事の内容とあわせて検討してください。

どちらが正しいという話ではありません。あと何年その家に住むのか、手入れをどれくらい自分でやれるのかで答えが変わります。

よくある質問

木の外壁は手間がかかりますか

塗り替えの周期は他の外壁材より短くなるのが一般的です。ただし、傷んだ板だけを交換できるという利点があります。手間の総量ではなく、手の入れ方が違うと考えてください。

どのくらいの周期で塗り替えますか

材料と、日当たり・雪の当たり方で変わるため、年数では決められません。水をかけて染み込むかどうか、表面がざらついてきたかどうかで判断してください。

木目を残したいのですが

浸透して木目を見せる系統を選ぶことになります。国の仕様書でも、透明塗料塗りの場合の素地ごしらえはB種とされ、節止めと穴埋めを行わない工程になっています。

一度ペンキで塗ってしまったのですが

膜をつくる塗料を塗った木部を、あとから浸透系に戻すのは簡単ではありません。膜を落とす作業が必要になります。現状の膜の状態を見て判断することになるため、業者に相談してください。

腐っている部分は塗れば止まりますか

止まりません。腐朽が進んだ木は取り替えることになります。塗装は、健全な木を保つための手当てです。

冬に塗ることはできますか

条件がそろえばできますが、そろう日が少ないというのが実際です。公共建築工事標準仕様書は、気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は塗装を行わない、ただし採暖、換気等を適切に行う場合はこの限りでないとしています。禁じられているのは冬という季節ではなく、この条件のほうです。

とはいえ、屋外の木部で採暖や換気を整えるのは簡単ではありません。北海道では春から秋のあいだに終える計画にしておくほうが無難です。

高圧洗浄をかけてもいいですか

木部は強く当てると繊維が毛羽立ちます。洗う場合は圧力を落とし、乾かす時間を十分にとる必要があります。判断は業者に確認してください。

木部だけ先に塗ることはできますか

できます。むしろ周期が違うので、そのほうが合理的な場合があります。手の届く範囲であれば、自分で行うという選択もあります。

木の外壁をやめてサイディングに替えられますか

できますが、下地と通気層の作り直しを含む工事になります。外壁材を替える場合の選択肢は外壁材の種類と選び方カバー工法の記事で扱っています。

色が濃いほうが長持ちしますか

顔料の量が多いほど紫外線を防ぐ働きは強くなる傾向があるとされています。ただし、濃い色は日射で表面温度が上がりやすいという面もあります。木部では、色より濡れて乾く条件のほうが寿命に効きます。色の考え方は色の選び方の記事にまとめています。

雪が当たる面だけ傷みが早いのですが

雪が接している時間が長いためだと考えられます。その面だけ手を入れる周期を短くする、雪の寄せ方を変えるという対応が現実的です。

まとめ

木の外壁の維持は、膜で覆って水を止めるという発想だけではうまくいきません。研究機関の資料が示すとおり、木材の腐朽は繊維飽和点を超えて細胞内に自由水が存在するようにならないと生育できないため、液状の水で濡れた状態が続くかどうかが分かれ目になります。

国の仕様書には、屋外の木部に適用する木材保護塗料塗りという独立した節があり、特記がなければB種(下塗り1回+上塗り1回)、塗り替えに使う改修工事標準仕様書では、既存木材への塗付け量が下塗り0.10、上塗り1回目0.06、2回目0.06 kg/㎡と定められています(新設木材の場合は0.06/0.06/0.04)。素地ごしらえの種別は、不透明塗料ならA種、透明塗料ならB種と、仕上げの見え方で決まります。

実務で効く注記もあります。合成樹脂エマルションパテは外部に用いない、やには削り取りまたは電気ごて焼きのうえ溶剤でふき取るといった具体的な指示です。

北海道では、雪が接している高さと、木部が傷む高さが一致します。塗料の性能を上げるより、雪を壁から離す、といの詰まりを直す、植栽を刈り込むほうが効きます。

そして、木の外壁には傷んだ板だけを交換できるという利点があります。塗り替えの見積もりのときに、交換が必要な板があるかをあわせて見てもらってください。

手入れの周期が短いことを負担と感じるかどうかは、見方によります。手を入れるたびに状態を把握できるという面もあるからです。塗り替えの間隔が長い材料は、そのぶん次に見るまでの空白が長くなります。

年に一度、雪解けのあとに洗って、水をかけて撥水の効き具合を見る。それだけで、次に手を入れる時期の見当がつきます。木の外壁は、住んでいる人が状態を読める材料です。

同じ現場仕上げでも、モルタル外壁は下ごしらえの決め方が異なります。モルタル外壁の塗装にまとめました。

窯業系サイディングの塗り替えについては、窯業系サイディングの塗り替えをご覧ください。

本記事は公表資料をもとに一般的な考え方を整理したもので、個別の住宅における仕様の選定や、工事の要否を判断するものではありません。公共工事の仕様書は公共建築物を対象としたもので、戸建住宅にそのまま適用されるものではありません。塗付け量や工程は特記により変わります。木材の種類や施工方法により適切な手当ては異なります。実際の判断は、現地を確認した施工業者にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました