寒冷地に強い外壁塗料の選び方|シリコン・フッ素・無機を比較

塗料と外壁材

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月3日編集方針と検証の手順

外壁塗装で費用を左右するのが塗料の選択です。ただ、シリコン・フッ素・無機と並べられても、北海道の家にどれが向くのかは分かりにくいものです。

先に結論を言うと、大事なのはグレードの上下より、低温での施工可否・透湿性・凍結融解や寒暖差への耐性という寒冷地の3性能です。この記事では、塗料の種類ごとの特徴を整理したうえで、性能の確かめ方、下塗り材や外壁材との相性、色とツヤまで解説します。費用の全体像は北海道の外壁塗装の費用相場をご覧ください。

  1. 結論:グレードより先に「寒冷地3性能」
    1. シリコン・フッ素・無機で迷ったら
    2. グレードだけで選ぶと失敗する理由
  2. 塗料は「樹脂の種類」で分かれる
    1. 各グレードの特徴を短く整理
    2. ラジカル制御型が選ばれている理由
  3. 北海道で確認したい3つの性能
    1. 1. 低温での施工可否
    2. 2. 透湿性
    3. 3. 凍結融解・寒暖差への耐性
  4. 製品仕様書はここを見る
    1. 施工条件(温度・湿度・乾燥時間)
    2. 期待耐用年数と試験の種類
    3. カタログの言葉に惑わされない
  5. 下塗り材の選択も重要
    1. 下塗り材の種類と使いどころ
    2. 見積書でのチェック
  6. 外壁材によって選択肢が変わる
    1. 窯業系サイディング
    2. 金属系サイディング
    3. 樹脂系サイディング
    4. モルタル
    5. ALC(軽量気泡コンクリート)
  7. 色を選ぶときの考え方
    1. 雪景色に映える色
    2. 汚れの目立ちにくさ
    3. 色見本は屋外で確認する
  8. ツヤの選び方
  9. 機能性塗料は北海道でどこまで有効か
    1. 遮熱と断熱は分けて考える
    2. 低汚染・防カビ・弾性の使いどころ
  10. 「高いほうがよい」とは限らない
  11. よくある失敗と避け方
  12. 業者に聞いておきたい質問
  13. よくある質問
    1. 遮熱塗料は北海道でも効果がありますか
    2. フッ素や無機は寒冷地でも使えますか
    3. 無機塗料は割れやすいと聞きました
    4. 水性と油性はどちらがよいですか
    5. 防カビ・防藻はつけるべきですか
    6. 付帯部も外壁と同じ塗料にすべきですか
    7. ホームセンターの塗料と業者用は違いますか
    8. 塗料メーカーはどこがいいですか
    9. 業者が勧める塗料をそのまま選んでいいですか
    10. 塗り替えより張り替えを考えたほうがよい場合は?
    11. 冬に塗ってもらうことはできますか
  14. まとめ

結論:グレードより先に「寒冷地3性能」

外壁を塗るローラー

迷ったときの基準はこうです。価格と寿命のバランスならシリコンかラジカル制御型を基準にし、長く住むならフッ素・無機も年あたりのコストで比べる。

そのうえで、どのグレードを選ぶ場合でも寒冷地の3性能(低温施工・透湿性・凍結融解や寒暖差への耐性)を確認する。この順番で考えると失敗しにくくなります。

シリコン・フッ素・無機で迷ったら

決め手はグレードの優劣ではなく、あと何年その家に住むかと外壁材があと何年もつかの2つです。

10年ほどで住み替えや張り替えを考えているなら、そこまでもつシリコン系で足ります。20年以上住み続ける予定で外壁材の状態がよければ、フッ素や無機で塗り替え回数を減らす選択に合理性が出てきます。

逆に、外壁材の寿命が近いのに無機を選ぶと、塗膜より先に外壁材が終わってしまいます。カバー工法を視野に入れる段階なら、高グレードの塗料はかえって無駄になりかねません。

費用の面では、30坪の住宅でシリコンとフッ素・無機のあいだに数十万円単位の差が出ることがあります。差額を耐用年数で割った「年あたりのコスト」に直すと比べやすくなります。試算のしかたは費用相場の記事で扱っています。

グレードだけで選ぶと失敗する理由

同じ「シリコン」でも、製品によって性能はかなり違います。そして寒冷地では、カタログの耐用年数より先に、施工時の気温・壁内の湿気・凍結融解が塗膜の寿命を縮めることがあります。

グレードは「候補を絞る入口」であって、最後の決め手にはなりません。決め手になるのは、次の章から説明する製品ごとの性能と、外壁材との相性です。

実際、業者ごとに提案する塗料が違って迷うという相談は珍しくありません。判断の物差しを自分で持っておくと、提案を比べられるようになります。

塗料は「樹脂の種類」で分かれる

並べられた塗料缶

塗料のグレードは、主成分となる樹脂の種類で分かれるのが基本です。樹脂が紫外線や水にどれだけ強いかで、塗膜の寿命がおおよそ決まります。単価と耐用年数の目安は次のとおりです(ラジカル制御型だけは樹脂の分類ではなく、劣化を抑える技術による区分です)。

塗料グレード別の耐用年数の目安
塗料グレード別の耐用年数の目安
種類 ㎡単価の目安 耐用年数の目安 特徴
アクリル 1,000〜1,400円 5〜7年 安価だが寿命が短い
ウレタン 1,500〜2,000円 7〜10年 密着性がよく付帯部向き
シリコン 2,000〜2,800円 10〜13年 価格と性能のバランスがよい
ラジカル制御型 2,300〜3,000円 12〜15年 白亜化を抑える設計
フッ素 3,500〜4,500円 15〜18年 耐候性が高い
無機 4,000〜5,500円 18〜22年 長寿命をうたう製品が多い

耐用年数はメーカーが示す期待値をもとにした目安です。同じ種類でも製品ごとに幅があり、実際には塗布量・下地の状態・施工の質・立地でも変わります。

各グレードの特徴を短く整理

アクリルとウレタンは安価ですが寿命が短く、外壁の主役としては選ばれにくくなりました。現在はウレタンを雨樋などの付帯部に使う場面が中心です。

シリコンは実績が多く、価格と寿命のバランスで選びやすいグレードです。フッ素と無機は高価ですが寿命が長く、塗り替え回数を減らしたい家に向きます。ただし塗膜が硬い製品では、下地の動きへの追従が課題になることがあります。

グレードで迷う場合は、見積もりの段階で「シリコン案とフッ素案の2案で出してください」と頼む方法もあります。同じ業者・同じ条件で差額が見えるため、年あたりのコストで比べやすくなります。

ラジカル制御型が選ばれている理由

ラジカル制御型は樹脂による分類ではなく、塗膜の劣化要因(顔料が紫外線を受けて発生するラジカル)を抑える技術による区分です。ベースの樹脂はシリコン系の製品が多くなっています。チョーキング(外壁を触ると白い粉がつく現象)を起こしにくくした設計とされ、シリコンに近い価格帯でより長い期待耐用年数を掲げる製品が多くなっています。

比較的新しい分類のため、長期の実績はこれから蓄積される段階です。採用する場合は、製品名で仕様書を確認してください。

出典:日本塗料工業会

北海道で確認したい3つの性能

霜のついた外壁

グレードだけで選ぶと、寒冷地では思ったほど長持ちしないことがあります。次の3点を製品仕様書で確認してください。

寒冷地で確認したい3つの性能
寒冷地で確認したい3つの性能

1. 低温での施工可否

塗料には施工できる環境条件があり、「気温5℃以上・湿度85%以下」が一般的な目安とされています。ただし条件は製品ごとに違うため、最終的には使う製品の仕様書で確認するのが確実です。

道内では、春先と晩秋の工事でこの差が効いてきます。低温に対応した製品なら、施工できる期間が数週間変わる可能性があるためです。条件を外れた気温で無理に塗ると、乾燥不良や密着不良の原因になるとされています。

気温だけでなく、朝晩の冷え込みで外壁が結露していないかも工程に影響します。秋の遅い時期の工事では、1日のうち作業できる時間そのものが短くなります。施工時期の考え方は北海道で外壁塗装ができる時期はいつ?にまとめています。

2. 透湿性

意外に見落とされがちですが、寒冷地では重要な性能です。

北海道の住宅は断熱性・気密性が高く、冬は室内と外気の温度差が大きくなります。生活で生まれた湿気が壁の中に入り込んだ場合、外へ逃げられないと壁内で結露することがあります。塗膜が湿気を通す性質(透湿性)があるかどうかで、壁の中の水分の抜けやすさが変わるとされています。

逆に、湿気を通しにくい塗膜で外壁を覆うと、閉じ込められた水分が塗膜の膨れや剥がれの原因になることがあります。高断熱の家ほど、透湿性は仕様書で確認したい項目です。

大事なのは、外からの水は入れず(防水)、中の湿気は逃がす(透湿)という両方の性能を、外壁の構成に合わせて確認することです。「防水性が高い」という一点だけを売りにした提案は、壁の中の湿気をどう逃がすのかまで聞いてみてください。

外壁材と壁の構造に合わせた組み合わせになっているかを、業者に説明してもらいましょう。

3. 凍結融解・寒暖差への耐性

外壁が吸った水分は、凍ると膨らみ、融けると縮みます。この繰り返しが凍害で、塗膜と外壁材を内側から傷めます。

メーカーによっては、凍結融解の促進試験の結果を公開しています。仕組みは凍害とは?で解説しています。

もうひとつが寒暖差です。北海道では季節の温度差に加え、晴れた冬の日中と夜間で外壁表面の温度が大きく動きます。

膨張と収縮の繰り返しに塗膜が追従できないと、ひび割れの原因になります。ひび割れが心配な外壁では、動きに追従する弾性・微弾性という選択肢があります。

ただし塗膜そのものより、外壁材が水を吸わないようにすることのほうが凍害対策としては重要です。外壁材と傷み具合に合った、吸水を抑えるタイプの下塗り材を使うかどうかもあわせて確認してください。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」北海道立総合研究機構 建築研究本部

製品仕様書はここを見る

仕様書を確認する手元

見積書に書かれた製品名で検索すると、メーカーの仕様書やカタログを読めます。業者任せにせず自分で確認できる、いちばん確実な方法です。見るのは次の3点です。

確認項目 見るところ 寒冷地での意味
施工条件 気温・湿度・乾燥時間 春先・晩秋に施工できるか
期待耐用年数 年数と試験の種類 塗り替え周期の見込み
性能表示 透湿性・弾性・凍結融解試験 寒冷地3性能の裏づけ

施工条件(温度・湿度・乾燥時間)

低温では塗料の乾燥・硬化に時間がかかります。仕様書には気温ごとの乾燥時間が書かれていることが多く、秋の工事で翌日の朝に結露する条件なども判断材料になります。施工条件の欄は、寒冷地ではとくに読む価値があります。

期待耐用年数と試験の種類

期待耐用年数は、多くの場合、促進耐候性試験(紫外線などを人工的に当てる試験)の結果をもとにした目安です。実際の壁での年数を保証する数字ではありません。「何年もちますか」と業者に聞くより、「この年数はどの試験に基づいていますか」と聞くほうが、提案の根拠を確かめられます。

カタログの言葉に惑わされない

カタログには「最長○年」「○年相当」といった表現が並びます。最長は条件がそろった場合の上限であって、平均ではありません。保証年数と期待耐用年数も別物です。

読み方のコツは、いちばん大きく書かれた数字ではなく、注記と条件の小さい文字を見ることです。そこに塗布量・下地条件・試験方法が書かれています。

下塗り材の選択も重要

下塗りを施した外壁

上塗りの塗料ばかりが注目されますが、下塗り材の選択が仕上がりと寿命を左右します。種類と使いどころを知っておくと、見積書の見え方が変わります。

下塗り材の種類と使いどころ

  • シーラー … 下地に浸透して密着させる。吸い込みの激しい下地向け
  • フィラー … 細かいひび割れを埋める。厚みがある
  • 微弾性フィラー … ひび割れへの追従性がある。モルタルの細かいクラックに
  • プライマー … 金属やシーリングとの密着用

外壁材の種類と傷み具合によって、適切な下塗り材は変わります。凍害が心配な外壁では、外壁材の吸水を抑えるタイプの下塗り材が選ばれることがあります。どれが適切かは下地の状態次第なので、提案の理由を業者に聞いてください。

なお、下塗りにも乾燥時間があり、低温期は上塗りまでの待ち時間が延びます。工期に余裕のない時期ほど、規定の乾燥時間が確保されているかを確認したいところです。

見積書でのチェック

確認はシンプルです。見積書に下塗り材の製品名が書かれているか。「下塗り一式」としか書かれていない場合は、何をどの理由で使うのか質問しましょう。

答えの具体性で、下地を見て選んでいるかが分かります。見積書全体の読み方は見積書はどこを見る?にまとめています。

外壁材によって選択肢が変わる

金属サイディングの外壁

塗料選びは、外壁材との組み合わせで考える必要があります。素材ごとの相性と注意点を整理します。

自宅の外壁材が分からない場合は、目地の有無とパネルの継ぎ目がヒントになります。横長の板を張り合わせてゴム状の目地があればサイディング系、継ぎ目のない塗り壁ならモルタルの可能性が高い、というのがおおまかな見分け方です。正確には現地調査で確認してもらってください。

外壁材 寒冷地での注意 塗装時のポイント
窯業系サイディング 水を吸いやすく凍害の報告が多い 吸水を抑える下塗り・目地の打ち替え
金属系サイディング 水を吸わず凍害に強い 金属用プライマー・錆処理が先
樹脂系サイディング 凍害に強い 原則塗り替え不要とされる(例外あり)
モルタル ひび割れが出やすい 弾性塗料・微弾性フィラーが選択肢
ALC 内部に気泡が多く吸水しやすい 塗膜とシーリングで防水を保つ

窯業系サイディング

全国でもっとも多い外壁材です。セメント系のため比較的水を吸いやすく、北海道では凍害の被害が報告されてきました。

塗装する場合は、吸水を抑える下塗り材で水の侵入を抑えることと、目地のシーリングを切らさないことが重要になります。すでに凍害が進んでいる場合は、塗装だけでは対応できないことがあります。

金属系サイディング

北海道で多く使われてきた外壁材です。素材自体は水を吸わないため凍害のリスクが低く、断熱材と一体になった製品もあります。

塗装する場合は、金属用のプライマーが必要です。錆が出ている場合はその処理が先になり、海に近い地域では塩害による錆にも注意が要ります。

樹脂系サイディング

塩化ビニル樹脂を成形したもので、水を吸わず、素材自体に色がついているため塗り替えは原則不要とされています。北海道では採用例が増えています。

ただし例外もあります。長年の紫外線で色あせが気になってきた場合や、部分的な補修の場合に塗装を検討することがあり、その際は樹脂への密着に対応した下塗りが必要です。対応できる業者が限られる地域もあります。

モルタル

築年数の古い住宅に多く見られます。寒暖差による膨張収縮でひび割れ(クラック)が出やすいため、動きに追従する弾性のある塗料や微弾性フィラーが選択肢になります。ひび割れの程度によっては、塗る前の補修が必要です。

ALC(軽量気泡コンクリート)

断熱性に優れる一方、素材の内部に気泡が多く、水を吸いやすい性質があります。塗膜とシーリングで防水を保つ前提の外壁材のため、塗り替えの時期を外さないことがとくに重要です。凍害の観点でも、放置は避けたい素材です。

色を選ぶときの考え方

雪景色の中の住宅

性能を絞り込んだら、次は色です。北海道では「雪の中でどう見えるか」という、本州とは違う視点が加わります。屋根・サッシ・玄関ドアなど、塗り替えない部分との組み合わせも忘れずに見てください。

雪景色に映える色

積雪期間の長い地域では、1年のうち何か月かを雪景色の中で過ごすことになります。白い背景の中では、淡い色は輪郭がぼやけて見えることがあります。冬の見え方を重視するなら、濃いめの色や彩度を抑えた深い色も選択肢に入れてみてください。

汚れの目立ちにくさ

融雪剤や泥はねで、外壁の下部は汚れやすくなります。真っ白や真っ黒は汚れが目立ちます。グレー系やベージュ系は比較的目立ちにくい色です。

色見本は屋外で確認する

小さな色見本と、実際に壁一面に塗ったときでは印象が変わります。面積が大きくなるほど、明るく鮮やかに見えやすくなります。

できるだけ大きな見本を、屋外の自然光の下で確認してください。晴れの日と曇りの日、できれば朝と夕方でも見え方が違います。

また、鮮やかな原色系は色あせが目立ちやすいとされています。長く同じ色を保ちたい場合は、彩度を抑えた色を選ぶか、耐候性の高いグレードと組み合わせるのが現実的です。

ツヤの選び方

塗料にはツヤあり・7分ツヤ・5分ツヤ・3分ツヤ・ツヤなしといった種類があります。ツヤがあるほど表面がなめらかで、汚れが付きにくく雨で流れやすいとされています。一方で、光沢が強いと落ち着きに欠けると感じる方もいます。

汚れにくさを優先するなら5分ツヤ以上が扱いやすい選択ですが、一律の正解はありません。ツヤの度合いで耐候性がどう変わるかは製品によって違うため、ツヤを落とす場合は仕様書や業者への確認をおすすめします。

北海道ならではの事情として、冬は雪面の照り返しで外壁が明るく見えます。ツヤの強い仕上げは、雪晴れの日に想像より光って見えることがあります。見本を屋外で確認するときに、この点も頭に入れておくと選びやすくなります。

機能性塗料は北海道でどこまで有効か

住宅の窓と外壁

遮熱・断熱・低汚染などの機能をうたう塗料があります。効果がないわけではありませんが、目的と条件が合って初めて意味が出るものです。過大な期待をせず、整理して考えましょう。

機能 期待できること 北海道での考え方
遮熱 日射による表面温度の上昇を抑える設計 室温への影響は住宅の条件による
断熱をうたう塗料 製品により異なる 冬の暖房費への効果は条件次第
低汚染 雨で汚れを流しやすい 幹線道路沿い・泥はねの多い立地で有効
防カビ・防藻 北面などの藻・カビを抑える 日当たりの悪い面が多い家で有効
弾性 ひび割れへの追従 寒暖差・モルタル・既存クラックのある壁に

遮熱と断熱は分けて考える

遮熱は「日射を反射して外壁表面の温度上昇を抑える」設計で、断熱とは別物です。室温にどこまで影響するかは、断熱材や窓など住宅側の条件によって変わります。

一方、断熱をうたう塗料が冬の暖房費をどこまで下げられるかは、住宅の断熱状態など条件によって大きく変わります。塗膜の厚みは数ミリに満たないため、暖房が中心の北海道で断熱を目的にするなら、塗料より外壁や窓の断熱改修のほうが効果は大きいとされています。断熱改修は補助金の対象になる場合もあります(補助金の記事参照)。

低汚染・防カビ・弾性の使いどころ

機能は「全部盛り」にするものではなく、立地で選ぶものです。日当たりの悪い北面が広い家なら防カビ・防藻、モルタルでひび割れが出ている家なら弾性、といったように、自分の家の弱点に合わせて必要な機能に絞るのが現実的です。

北海道では、融雪剤や泥はねで外壁の下部が汚れやすい事情もあります。幹線道路沿いや交通量の多い立地なら、低汚染タイプを検討する価値があります。機能を足すほど単価は上がるため、効果と費用の釣り合いも忘れずに見てください。

「高いほうがよい」とは限らない

耐用年数20年の塗料を選んでも、外壁材そのものが先に寿命を迎えれば意味がありません。

築年数が経っていて、次回はカバー工法や張り替えを考えている場合は、そこまでの期間を埋められるグレードで十分です。逆に、まだ長く住む予定で外壁材の状態がよければ、高グレードで塗り替え回数を減らすほうが合理的です。

判断材料はあと何年住むかと外壁材があと何年もつかの2つ。総額を耐用年数で割った「年あたりのコスト」での比べ方は、費用相場の記事で試算つきで解説しています。

よくある失敗と避け方

塗料選びの相談で見かける失敗には、パターンがあります。

  • グレードだけで決める … 寒冷地3性能と外壁材との相性を確認しない。対策は仕様書の性能欄を見ること
  • 下塗り材を確認しない … 見積書が「下塗り一式」のまま契約してしまう。対策は製品名と理由を聞くこと
  • 小さな色見本で決める … 仕上がりが思ったより明るく見えて後悔する。対策は屋外での大きな見本
  • 「寒冷地専用」の言葉だけで選ぶ … 何がどう寒冷地向きなのか裏づけを見ない。対策は仕様書で該当性能を確認
  • 秋遅くに焦って着工する … 低温と結露で乾燥条件が厳しくなる。対策は翌春に回す判断も持つ

どれも、契約前に仕様書と見積書を確認すれば避けられるものです。急がされたときほど、この確認を飛ばさないでください。

業者に聞いておきたい質問

提案された塗料が妥当かは、次の質問でおおよそ確かめられます。答えの具体性を見てください。

  • なぜこの製品なのですか(外壁材・傷み具合との関係で説明できるか)
  • 下塗り材は何を使いますか(製品名と選んだ理由)
  • 期待耐用年数はどんな試験に基づいていますか
  • 春先・晩秋の施工になる場合、気温への対応はどうしますか
  • この外壁材で過去に施工した例はありますか
  • 透湿性と防水のバランスはどう考えていますか
  • 塗り回数と塗布量は、仕様書どおりですか

即答できない質問があっても、後日きちんと調べて答えてくれる業者なら信頼できます。曖昧なまま契約を急がせる場合は、他社にも相談してください。

よくある質問

共通する答えは「グレードではなく、仕様書と外壁材との相性で決める」です。そのうえで、相談の多い質問に答えます。

遮熱塗料は北海道でも効果がありますか

外壁表面の温度上昇を抑える設計なので、夏の暑さ対策としては選択肢になります。ただし北海道では冷房より暖房の期間が長いため、光熱費全体への影響は限定的と考えるほうが現実的です。断熱を目的とするなら、外壁や窓の断熱改修のほうが効果は大きくなります。

フッ素や無機は寒冷地でも使えますか

使えます。耐候性の高さは寒冷地でも利点です。

ただし塗膜が硬い製品では、下地の動きやひび割れへの追従が課題になることがあります。外壁材との相性と下塗り材の選定を含めて、製品仕様書で確認してください。

無機塗料は割れやすいと聞きました

無機成分の多い塗膜は硬く、動きの大きい下地ではひび割れが出やすいという指摘があります。ただ、最近は樹脂と組み合わせて柔軟性を持たせた製品もあり、製品ごとの差が大きい部分です。ひび割れが心配な外壁では、弾性や追従性の表示を確認しましょう。

水性と油性はどちらがよいですか

現在は環境対応で水性が主流になりつつあり、性能差も縮まっているとされています。ただし施工できる気温や乾燥時間は水性・溶剤系の区分ではなく製品ごとに決まっているため、時期が心配な場合は仕様書の施工条件で確認してください。臭いへの配慮が必要な住宅密集地では水性が選ばれやすくなります。

防カビ・防藻はつけるべきですか

日当たりの悪い北面や、樹木に囲まれた立地では有効です。この機能を含む製品もあるため、提案された製品の仕様書で有無を確認してください。

付帯部も外壁と同じ塗料にすべきですか

雨樋・破風・軒天などの付帯部は、素材が外壁と違うため、同じ塗料である必要はありません。部位ごとに適した塗料を使うのが一般的です。

ただし外壁だけ高グレードで付帯部が短寿命だと、次の塗り替え時期がずれてしまいます。耐用年数のバランスも業者に相談してください。

ホームセンターの塗料と業者用は違いますか

DIY向けの製品は扱いやすさを優先した設計が中心で、業務用とは用途が異なります。戸建て外壁全体の塗装は足場と下地処理が必要な工事のため、製品の違い以前に、DIYでの施工自体をおすすめしにくいのが実情です。

塗料メーカーはどこがいいですか

国内の主要メーカーであれば、製品仕様書が公開されており性能を確認できます。メーカー名で選ぶより、製品ごとの仕様を確認するほうが確実です。

業者が勧める塗料をそのまま選んでいいですか

提案の理由を聞いてください。「その外壁材にはこの下塗りが必要だから」「傷み具合を考えるとこのグレードで十分だから」といった説明があれば納得できます。理由が説明できない提案は、他社にも相談してください。

塗り替えより張り替えを考えたほうがよい場合は?

外壁材そのものが凍害で崩れている、下地まで水が回っている。こうした状態では、どの塗料を選んでも長持ちしません。

塗装で守れるのは、外壁材がまだ健全なうちです。判断の分かれ目は塗り替えとカバー工法どちらを選ぶ?で解説しています。

冬に塗ってもらうことはできますか

気温と雪の条件から、北海道の冬の外壁塗装は基本的に難しいとされています。ただし、相談・現地調査・業者選びは冬でも進められます。

春の予約は早く埋まるため、冬の間に候補を絞っておくのが現実的です。詳しくは塗装できる時期の記事をご覧ください。

まとめ

塗料はグレードだけでなく、低温での施工可否・透湿性・凍結融解や寒暖差への耐性を確認してください。北海道ではこの3性能が効いてきます。確かめる場所は、製品名で引ける仕様書です。

上塗りだけでなく下塗り材の選択も重要です。外壁材の種類と傷み具合に合ったものが選ばれているか、見積書で製品名を確認しましょう。

そして、高いグレードが常に正解とは限りません。あと何年住むか、外壁材があと何年もつか。この2つから逆算して選んでください。

届いた見積もりの確認方法は見積書はどこを見る?にまとめています。提案の根拠を質問して、納得してから決めましょう。

塗料を載せる側の外壁材については外壁材の種類と選び方で整理しています。

色そのものの決め方は外壁の色の選び方で扱っています。

塗料を選んだあとは、決められた量が入っているかが問われます。確かめ方は外壁塗装の3回塗りは本当かで扱っています。

断熱をうたう塗料と、制度が断熱材として扱うものの違いは外張り断熱と外壁の更新にまとめています。

外壁が金属サイディングの場合は下地処理の考え方が変わります。金属サイディングの塗装の記事もあわせてご覧ください。

色を付けずに柄を残す選択肢もあります。クリア塗装の記事で塗れる時期と条件を整理しました。

海沿いの立地では、塗料選びの前に確かめたいことがあります。外壁の塩害の記事もあわせてご覧ください。

断熱塗料や遮熱塗料の効果をどこまで期待できるかは断熱塗料の効果にまとめています。

工事中のにおいの正体と対処は外壁塗装のにおいにまとめています。

モルタル下地では、防水形や可とう形の仕上塗材に下地の仕上げの限定があります。モルタル外壁の塗装で整理しました。

掲載金額は公開情報をもとにした参考値であり、特定の製品・価格を保証するものではありません。公共工事の仕様書は公共建築物を対象としたもので、戸建住宅にそのまま適用されるものではありません。

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