コンクリート打ちっぱなし外壁の劣化と補修・塗装の選び方

塗料と外壁材

打ちっぱなしの外壁に、黒ずみや雨だれ、白い筋、細いひび割れが目立ってきています。業者から「撥水剤」「カラークリヤー」「打放し再生」を勧められても、素地の風合いを残すか塗りつぶすかは、迷うところです。

打ちっぱなし外壁は、ひび割れや欠けの補修を先に済ませ、仕上げは補修跡をどう扱うかで選ぶのが基本です。症状の見分け方、国の仕様書にある補修工法、撥水剤の中身、仕上げ4つの違い、北海道で工事できる時期、見積書で比べる点を整理しました。

もとにしたのは、国土交通省の仕様書、土木研究所・寒地土木研究所の資料、塗料メーカーの公開情報です。塗り替えの年数や1㎡あたりの単価は、公的な資料が見当たらないため扱いません。当サイトは塗装の専門家ではなく、施工や現地調査も行っていないので、自宅の壁の判断は、現地を見る施工業者や建築士の説明を優先してください。

この記事で扱わないこと

この記事は、打ちっぱなしの外壁で何が起きるか、どの順で直すか、素地を残すか塗るか、見積書で何を比べるかに絞っています。次の話題はこの記事では扱いません。リンクのある話題は、リンク先の記事で扱っています。

    1. この記事で扱わないこと
  1. コンクリート打ちっぱなし外壁とは?仕上げの種別
    1. 型枠を外した面がそのまま仕上げになる外壁
    2. 新築の打放し仕上げにもA種・B種・C種がある
    3. 打ちっぱなし風サイディングとは図面で見分ける
  2. 打ちっぱなし外壁のメリットとデメリット
    1. メリットは素材感と質感をそのまま見せられること
    2. デメリットは汚れ・補修跡が目立ち水を吸うこと
    3. 塗装で解決できることとできないこと
  3. 打ちっぱなし外壁にメンテナンスが必要な理由
    1. 表面の撥水は紫外線で数年で弱まる
    2. 水が入ると汚れ・錆汁・漏水につながる
  4. 打ちっぱなし外壁の劣化サインと急ぎ度・相談先
    1. 黒ずみ・雨だれ・白い筋は水の通り道のサイン
    2. 錆汁・鉄筋露出・欠けは仕上げより先に専門家へ
    3. 地上から外壁を一周して写真とメモで記録する
  5. 北海道の打ちっぱなし外壁、凍害の見え方
    1. 凍害は凍結と融解の繰り返しで表面に表れる
    2. スケーリング・微細ひび割れ・ポップアウトの違い
    3. 水切りなど水の処理で水の供給を断つ
  6. 仕様書に見るひび割れ3工法と欠損の充填工法
    1. 樹脂注入・Uカット・シール工法の違い
    2. 欠損部は充填工法、露出した鉄筋は防錆処理
    3. 漏水・錆汁は事前協議、浮き部改修工法は無い
  7. 撥水剤・含浸材はシラン系とけい酸塩系で違う
    1. シラン系は撥水、けい酸塩系は表層を緻密化
    2. 細孔をふさがず内部の水分を外へ逃がす
    3. 撥水が弱まっても吸水防止層が残った道路橋の例
  8. 打ちっぱなし外壁の仕上げ4つ、風合いで選ぶ
    1. 撥水・含浸は透明で素地をそのまま残す
    2. クリヤー・カラークリヤーは保護層をのせる
    3. 再現塗装と仕上塗材で塗りつぶす改修は下地を隠す
  9. 透明な仕上げの弱点は補修跡と汚れ跡が残ること
    1. 洗浄・補修しても跡が目立つケースがある
    2. 補修跡を目立たなくする処理と再現塗装の考え方
    3. 工事前に補修箇所の数と場所を共有して決める
  10. 打ちっぱなし外壁の塗り替え周期と費用の考え方
    1. 年数を示す公的資料は見当たらない
    2. 道路橋の調査では再塗布10年でLCC試算
    3. 年数より症状と見積書の内訳で判断する
  11. 北海道で打ちっぱなし外壁を補修できる時期と段取り
    1. 気温5℃以下では施工しない、降雨・降雪を避ける
    2. 充填作業は被着体5℃以下・50℃以上で中止
    3. 点検→補修→仕上げの順で雪の前から逆算する
  12. 業者選びと見積書の確かめ方、補修と仕上げを分ける
    1. 補修と仕上げを分けた見積書を依頼する
    2. 工法名を仕様書・メーカー資料の名前に置き換えて聞く
    3. 施工ライセンス制の工法は施工店が限られる
  13. コンクリート打ちっぱなし外壁のよくある質問
    1. 打ちっぱなし外壁に塗装は必要ですか、しないとどうなりますか
    2. 撥水剤は何年もちますか
    3. ひび割れは何mmから補修が必要ですか
    4. 白い筋や粉は何ですか、強度に問題はありますか
    5. 黒ずみや雨だれは洗えば落ちますか
    6. 打ちっぱなし風サイディングとはどう見分けますか
    7. 北海道の打ちっぱなし外壁は凍害で傷みやすいですか
  14. まとめ:補修を先に、仕上げは風合いで選ぶ

コンクリート打ちっぱなし外壁とは?仕上げの種別

型枠の継ぎ目と丸い穴が並ぶ打ちっぱなしの外壁

コンクリート打ちっぱなし外壁は、型枠を外したコンクリートの面をそのまま仕上げにした外壁です。タイルやモルタル、塗り材で覆わないので、雨や日差しをコンクリートが直接受けます。国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、新築時の打放し仕上げにもA種・B種・C種の種別があり、面の平らさは一様ではありません。打ちっぱなし風の窯業系サイディングは別の外壁材で、手入れの方法も違います。まず自宅の外壁がどちらかを、建築時の図面や仕様書で確かめておきます。

型枠を外した面がそのまま仕上げになる外壁

打ちっぱなしの壁は、型枠に流し込んだコンクリートが固まったあと、その枠を外した面をそのまま見せる仕上げです。壁に並ぶ四角い継ぎ目や丸い模様は、型枠の板の境目と、枠を留める金物の跡です。

同じ仕様書は、型枠締付け金物の穴や砂じま、へこみなどを「ポリマーセメントペースト等で補修し」、突起部を取り除くとしています。戸建てに一律に当てはまる仕様ではありませんが、壁に見える丸い模様は、こうした穴を埋めた跡と考えられます。

新築時に撥水剤などの保護材を塗ったかどうかは、建物ごとに違います。引き渡しのときの書類で確かめておくと、次の手入れの相談がしやすくなります。

新築の打放し仕上げにもA種・B種・C種がある

仕様書の表6.2.4「打放し仕上げの種別」は、仕上がりを3段階に分けています。目違いは型枠の継ぎ目にできる段差、不陸は面のでこぼこのことです。

  • A種:目違い、不陸等の極めて少ない良好な面
  • B種:目違い、不陸等の少ない良好な面で、グラインダー掛け等により平滑に調整したもの
  • C種:打放しのままで、目違い払いを行ったもの

これは公共建築物向けの区分で、戸建ての図面に同じ表記があるとは限りません。それでも、同じ「打ちっぱなし」のなかで、もとの面の仕上がりに差があることは知っておくと役立ちます。

打ちっぱなし風サイディングとは図面で見分ける

外観が打ちっぱなしに見えても、打ちっぱなし風の柄をつけた窯業系サイディングの場合があります。サイディングは板を張った外壁なので、ひび割れの補修や塗り替えの考え方が変わります。

見分けは見た目の印象ではなく、建築時の図面や仕様書の外壁材の欄で確かめるのが確実です。書類が見つからなければ、業者に外壁材の確認を頼みます。サイディングだった場合は、窯業系サイディングの塗り替えの内容が当てはまります。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

打ちっぱなし外壁のメリットとデメリット

打ちっぱなし外壁のメリットは、コンクリートの素材感や質感をそのまま見せられることです。デメリットは、表面を覆う層が無いぶん汚れや雨だれ、補修跡が目立ちやすく、保護が切れると表面から水を吸いやすいことにあります。撥水剤で抑えられるのは水の吸い込みで、見た目を整えられるのは下地を隠す塗装です。ひび割れや欠けそのものは補修でしか直りません。打ちっぱなしの家の断熱や結露は、外壁の手入れとは別の話なので、ここでは深入りしません。

メリットは素材感と質感をそのまま見せられること

打ちっぱなしが選ばれる理由として大きいのは、コンクリートそのものの表情です。菊水化学工業も打ちっぱなしの保護工法の説明で、「コンクリートの素材感、質感をそのまま生かして表現する」ことを目的に挙げています。

型枠の継ぎ目や穴の並び、場所ごとの色むらも含めて、ほかの外壁材には無い見た目になります。手入れの方法を選ぶときも、この風合いをどこまで残したいかが判断の軸になります。

デメリットは汚れ・補修跡が目立ち水を吸うこと

デメリットとしてよく挙がるのは、次の3つです。

  • 汚れ:雨だれや黒ずみを隠す塗膜が無いので目立つ
  • 補修跡:補修材の色や質感が周りと合いにくく、跡が残りやすい
  • 吸水:保護が切れると、表面から雨水を吸い込みやすい

寒地土木研究所の道路橋向けの資料は、撥水性の表面含浸材(撥水剤のように、コンクリートにしみ込ませて使う材料)を「外部からの吸水を抑える」材料と説明しています。裏を返せば、保護のないコンクリートは水を吸いやすいものとして考えておくほうが安全です。

塗装で解決できることとできないこと

撥水剤や含浸材は雨水の吸い込みを抑えるためのもので、汚れや補修跡は隠せません。見た目を整えられるのは、下地を隠す再現塗装や塗りつぶす仕上げです。カラークリヤーは色をのせますが、補修跡は残ります。

ひび割れや欠け、鉄筋の錆は、塗る前に補修で直す必要があります。

風合いを塗装で描き直す工法もありますが、これは下地を隠す方法です。下地そのものを直す方法ではないので、補修と仕上げは分けて考えます。

出典:菊水化学工業「打放しコンクリート保護システム『キクスイSA工法』のご紹介」/寒地土木研究所「コンクリート構造物における表面含浸材の適用手法」

打ちっぱなし外壁にメンテナンスが必要な理由

雨に濡れて色が濃く変わった打ちっぱなしの壁面

打ちっぱなし外壁に手入れが要るのは、撥水剤などで保護した外壁でも表面の撥水がずっとは続かないからです。寒地土木研究所の道路橋向けの資料は、シラン系の表面含浸材について、表面の撥水は「疎水基が紫外線に弱いため、数年で消失」と説明しています。撥水が弱まれば、雨水を表面から吸い込みやすくなります。ひび割れは、雨水が中へ入り、錆汁や漏水につながる入口にもなります。保護材の有無にかかわらず、ひび割れや欠けは定期的に見ておく必要があり、「丈夫だから何もしなくてよい」とは言い切れません。

表面の撥水は紫外線で数年で弱まる

同じ資料は、いちばん外側の撥水と、しみ込んだ内側の層を分けて説明しています。外側の撥水は数年で消える一方、内側の層(資料では「表層」)の撥水は「紫外線の影響を受けないため、長期に亘り持続」とされています。

水を弾かなくなったことは、手入れを考える合図になります。ただし、それだけで内側の効果まで消えたとは限りません。この内側の層(吸水防止層)については、「撥水剤・含浸材はシラン系とけい酸塩系で違う」の見出しで詳しく説明します。

水が入ると汚れ・錆汁・漏水につながる

コンクリートの中には鉄筋が入っています。表面に茶色い筋(錆汁)が出ているときは、中の鉄筋に錆が生じているおそれがあります。

国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書は、「ひび割れ部から漏水している場合又は錆汁がでている場合は、改修方法について事前に監督職員と協議する」と定めています。公共建築物向けの仕様書ですが、水の侵入と錆汁を特別に扱っている点は、戸建てでも判断の参考になります。

コンクリートの中性化と鉄筋の関係は、基礎の塗装の記事で触れています。

出典:寒地土木研究所「コンクリート構造物における表面含浸材の適用手法」/国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

打ちっぱなし外壁の劣化サインと急ぎ度・相談先

打ちっぱなしの壁に流れる茶色い錆汁の筋

打ちっぱなし外壁の症状は、見た目の問題と、急いで見てもらう症状に分けると整理しやすくなります。黒ずみや雨だれ、カビ、白い筋は、水が通ったりとどまったりしている場所を示すサインで、まず記録して仕上げの相談に含めます。錆汁は国の仕様書が事前の協議を求めている症状で、欠けて鉄筋が見えている所には防錆処理が求められています。こうした症状は、仕上げの話より先に、建築士や補修の専門業者に状態を見てもらいます。どの症状も、場所と写真を残しておけば、相談のときに説明しやすくなります。

黒ずみ・雨だれ・白い筋は水の通り道のサイン

窓の下や庇の端から筋状に伸びる黒ずみは、雨水が同じ道筋を繰り返し流れてできる汚れです。北側の壁や地面に近い部分の緑や黒の汚れは、苔やカビの場合があります。

白い筋や粉は白華と呼ばれる症状です。当サイトの凍害の記事では、内部を通った水が材料の成分を表面に運んで白く固まったもので、水が中を通っている証拠だと説明しています。

どれも水の通り道を教えてくれるサインなので、洗う前に写真を撮っておくと、あとで比べやすくなります。苔やカビの落とし方は、外壁のコケ・藻・カビにまとめています。

錆汁・鉄筋露出・欠けは仕上げより先に専門家へ

茶色い錆汁と、欠けた所から見える鉄筋は、仕上げより先に状態を見てもらう症状です。角や縁の欠けも、仕上げの前に補修が要ります。

仕様書は欠損部について、周りのもろい部分を取り除き、露出した鉄筋は「健全部が露出するまでコンクリートをはつり」、錆を落として防錆処理をすると定めています。

表面を埋めたり塗ったりするだけでは、内側の錆の処理になりません。鉄筋の錆で表面が押し割られる爆裂は、凍害とはの記事でも、凍害と間違えやすい症状として取り上げています。

地上から外壁を一周して写真とメモで記録する

自分でできるのは、地上から見える範囲の記録です。外壁を一周し、症状の種類と場所、写真を残します。笠木(壁の上端にかぶせた部材)、窓まわり、地面に近い部分は水がとどまりやすいので、とくに丁寧に見ておきます。

屋根やパラペット(屋上の立ち上がり壁)に上がる点検や、ハンマーで叩く確認は施工者の作業です。高い所は、地上からスマートフォンのズームで撮るだけでも記録になります。

症状 何のサインか 急ぎ度の目安 相談先
黒ずみ・雨だれ・苔やカビ 雨水の流れ道、水がとどまる場所 記録して仕上げの相談に含める 施工業者
白い筋・粉(白華) 内部を水が通っている 場所を記録して相談に含める 施工業者
細いひび割れ 水の入口になりうる 補修の相談に含める 施工業者
錆汁・鉄筋の露出 内部の鉄筋の錆のおそれ 仕上げより先に見てもらう 建築士・補修の専門業者
角や縁の欠け 欠損(鉄筋が見えれば防錆処理が要る) 補修の相談に含め、鉄筋が見えれば先に見てもらう 施工業者・建築士
表面のはがれ・小さなくぼみ 凍害で見られる変状の可能性 補修の相談に含める 施工業者・建築士

急ぎ度は公的な基準ではありません。仕様書が漏水・錆汁を事前協議の対象とし、露出した鉄筋に防錆処理を求めていることをもとに、当サイトが整理したものです。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

北海道の打ちっぱなし外壁、凍害の見え方

雪が残る打ちっぱなしの壁の足元で表面がはがれた部分

凍害は、コンクリートの中の水が凍って膨らみ、凍結と融解を繰り返すうちに組織が傷む現象です。日本コンクリート工学会は、水の凍結膨張を約9%と説明しています。寒地土木研究所の手引書によると、凍害を受けた面には、スケーリング、微細ひび割れ、ポップアウトといった形で傷みが表れます。手引書は道路橋など土木構造物を対象にした資料で、戸建ての外壁でも同じように起きることを示した資料は見当たりません。それでも、水を入れない・ためないという考え方は外壁にも通じます。

凍害は凍結と融解の繰り返しで表面に表れる

寒地土木研究所の手引書は、凍害を「コンクリート中の水分が0℃以下になった時の凍結膨張によって発生するもの」としています。そのうえで、「長年にわたる凍結と融解の繰り返しによってコンクリート組織が徐々に劣化する現象」と説明しています。

日本コンクリート工学会は、凍結膨張に見合う水分がコンクリートの中を移動し、そのときに生じる水圧が破壊をもたらすとしています。どちらの説明も、コンクリートが水を含んでいることを前提にしています。凍害全般の仕組みは、凍害とはで扱っています。

スケーリング・微細ひび割れ・ポップアウトの違い

手引書が挙げる3つの変状は、見え方が違います。

  • スケーリング:表面のモルタル部分がフレーク状に剥げ落ちる
  • 微細ひび割れ:表面に細かいひびが入る
  • ポップアウト:表面近くの骨材が膨張して、クレーター状のくぼみができる

手引書によると、微細ひび割れとスケーリングは「コンクリートのペースト部分が劣化するもの」です。品質が劣る場合や、細かな空気の泡(資料では「空気泡」)が適切に混ぜ込まれていない場合に多く発生します。

ポップアウトは骨材の品質が悪い場合によく観察される、とされています。

爆裂(鉄筋の錆によるもの)とは、原因が違います。見分けがつかないときは、業者や建築士に見てもらいます。

水切りなど水の処理で水の供給を断つ

土木研究所のマニュアルは、表面に水が常にとどまって入り込む場所では、撥水剤がしみ込んだ層そのものが凍害を受けるおそれがあるとしています。そのうえで、水の供給が止まるとすぐ乾くように、「水切りなどの水処理の併用も検討するとよい」と書いています。

道路橋向けの記述ですが、外壁に置き換えると、笠木や窓の下、地面の近くなどに水がとどまらないようにする考え方です。雪が壁ぎわに積もったまま解けては凍る場所も、記録の対象に加えておくと相談がしやすくなります。

出典:日本コンクリート工学会「コンクリートの基礎知識 凍害」/寒地土木研究所「凍害が疑われる構造物の調査・対策手引書(案)」/土木研究所「コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル 2022年版」

仕様書に見るひび割れ3工法と欠損の充填工法

打ちっぱなしの壁のひび割れに沿った溝へシーリング材を充填する手元

国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書は、コンクリート打放し仕上げ外壁のひび割れ部に使う改修工法を、樹脂注入・Uカットシール材充填・シールの3つと定めています。欠損部(欠け)の改修工法は充填工法です。モルタル塗り仕上げ外壁にある浮き部改修工法は、打放しの項にはありません。どの工法を使うかは特記(設計者が図面などで個別に指定する事項)によるとされ、ひびの幅だけで振り分ける書き方にはなっていません。公共建築物向けの仕様ですが、見積書の工法名を読む物差しになります。

樹脂注入・Uカット・シール工法の違い

仕様書の記述から、工法ごとの要点を表にまとめました。

工法 何をするか 仕様書にある要点
樹脂注入工法 ひび割れの中にエポキシ樹脂を注入する 特記がなければ自動式低圧エポキシ樹脂注入工法。注入間隔200~300mm、注入圧0.4N/mm²以下。樹脂はJIS A 6024
Uカットシール材充填工法 ひびに沿ってU字の溝を切り、シーリング材などを詰める 溝は幅10mm程度・深さ10~15mm程度。シーリング材は特記がなければポリウレタン系
シール工法 ひびの表面をシール材で覆う シール材を幅10mm・厚さ2mm程度に塗る
充填工法(欠損部) 欠けた部分をエポキシ樹脂モルタルやポリマーセメントモルタルで埋める もろい部分を除き、露出した鉄筋は錆を取って防錆処理

ひびの幅と場所で見る補修の判断は、外壁のひび割れはどこまで大丈夫かにまとめています。

欠損部は充填工法、露出した鉄筋は防錆処理

欠けた所の補修は、穴を埋める前の下ごしらえが中心です。仕様書は、欠損部の周りのもろい部分を「ハンマー等で軽い打撃を与えて除去」し、状態を目視で確かめるとしています。

露出した鉄筋があれば、健全な部分が出るまでコンクリートをはつり、錆を落として防錆剤を塗ってから埋めます。見積書に「欠損補修」とだけある場合は、鉄筋の錆の処理が含まれているかを聞いておくと安心です。

漏水・錆汁は事前協議、浮き部改修工法は無い

ひびから水が漏れている、錆汁が出ているといった場合、仕様書は改修方法を事前に協議するとしています。表面の補修だけで済ませず、原因を見てから工法を決める扱いです。

モルタル塗り仕上げ外壁の項には浮き部の改修工法が8種類ありますが、打放しの項には浮き部改修工法がありません。モルタルの浮きやアンカーピンニングの話は、モルタル外壁の塗装で扱っています。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

撥水剤・含浸材はシラン系とけい酸塩系で違う

打ちっぱなし外壁に塗る撥水剤や吸水防止剤は、土木研究所のマニュアルでは表面含浸材として扱われます。撥水性を与えるシラン系と、表層を緻密にするけい酸塩系に分かれ、けい酸塩系は基本的に撥水しません。どちらもコンクリートにしみ込む材料で、シラン系は細孔をふさがないため、内部の水分を外へ逃がせます。道路橋を対象とした15年にわたる調査では、表面の撥水が弱まっても、吸水防止層が残った事例があります。優劣ではなく働きの違いとして知っておくと、見積書が読みやすくなります。

シラン系は撥水、けい酸塩系は表層を緻密化

マニュアルの用語の定義を、要点だけ抜き出すと次のとおりです。

  • シラン系表面含浸材:コンクリートの水酸基と疎水基を化学的に結合させ、表層部に撥水性を与える
  • けい酸塩系表面含浸材:水酸化カルシウムとの反応などで、表層部を緻密にして改質する

寒地土木研究所の資料は、シラン系について「なお、空隙は充填されない」、けい酸塩系について「なお、基本的に撥水はしない」と補足しています。見積書に「撥水剤」「吸水防止剤」とある材料がシラン系かけい酸塩系かは、製品名だけでは分からないので業者に聞いてください。

資料は2つの優劣を示していません。どちらが向くかは、下地の状態や目的によって変わります。

細孔をふさがず内部の水分を外へ逃がす

シラン系については、「コンクリートの細孔は閉塞されないため,コンクリート内部から外部への水蒸気の透過が可能」と説明されています。外からの雨水を弾きながら、中の水分は外へ逃がせる性質です。

表面に塗膜をつくって覆う仕上げとは、保護層のでき方が違います。素地を残すか塗るかを考えるときの手がかりになります。

撥水が弱まっても吸水防止層が残った道路橋の例

寒冷地の道路橋の地覆(橋の路面の端にある立ち上がり部分)で15年追跡した調査では、紫外線による表面撥水の低下と、凍結融解によるスケーリングが確認されました。一方で、「含浸層(吸水防止層)は15年経過しても基本的に消失せず残存し」、塩化物イオンの侵入を抑える効果が実証された事例もあるとされています。

寒地土木研究所の資料も、「スケーリングがみられても吸水防止層が残存していれば効果は期待できる」としています。ただし、凍害対策としては、紫外線に強い製品を使うことや定期的な再塗布を検討することが望ましいとされます。戸建ての外壁で同じ年数もつとは読み替えられません。

出典:土木研究所「コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル 2022年版」/寒地土木研究所「コンクリート構造物における表面含浸材の適用手法」

打ちっぱなし外壁の仕上げ4つ、風合いで選ぶ

透明の撥水材をローラーで塗った部分が濡れ色になった打ちっぱなしの壁

補修が済んだあとの仕上げは、4つに分かれます。撥水・含浸材だけの透明な仕上げ、クリヤーやカラークリヤーの保護層、風合いを塗装で再現する工法、仕上塗材で塗りつぶす改修です。違いは、素地をどこまで見せ、補修跡をどう扱うかです。透明な仕上げほど素地が見え、補修跡も見えます。再現する工法と塗りつぶす改修は、下地を隠します。国土交通省の改修仕様書にある「改修後の新規仕上げ」の一覧には仕上塗材などが並び、撥水や透明の仕上げは挙がっていません。戸建てで使えないという意味ではなく、透明な仕上げは製品ごとの資料で中身を確かめる工法だということです。

打ちっぱなし外壁の仕上げ4つの違い
打ちっぱなし外壁の仕上げ4つの違い

撥水・含浸は透明で素地をそのまま残す

撥水・含浸材だけで仕上げると、見た目は今の打ちっぱなしに近いまま保てます。塗ったあとの色の濃さや艶の出方は製品によって違うので、目立たない場所で試し塗りをしてもらうと安心です。

道路橋向けの資料は、凍害対策として定期的な再塗布を検討することが望ましいとしています。戸建てでの再塗布の要否や時期は、製品の仕様と外壁の状態を確かめて決めます。

クリヤー・カラークリヤーは保護層をのせる

クリヤーは、透明な塗膜を重ねる仕上げです。菊水化学工業の打ちっぱなしの保護工法は、下塗りに「水系シラン系浸透性吸水防止剤」を塗り、その上にふっ素樹脂やシリコン樹脂のクリヤーを組み合わせる構成です。

カラークリヤーは色を含んだクリヤーで、素地がどの程度透けて見えるかは製品や塗り方で変わります。見本板で確かめてから決めます。サイディングのクリア塗装とは対象も材料も違い、そちらは外壁のクリア塗装にまとめています。

再現塗装と仕上塗材で塗りつぶす改修は下地を隠す

エスケー化研は、打ちっぱなしの風合いを塗装で再現する工法について、「塗装工法ですので、下地を完全に隠蔽します」と説明しています。同社は、下地を中塗りで隠すことで、下地補修は従来の方法より簡易で済み、工期を短くできるともしています。

メーカーの説明は下地補修の手間の話で、ひび割れや鉄筋の錆の処理を省いてよいという意味には読めません。どこまで簡易になるかは、現地の傷み方を見た業者の説明で確かめます。

仕上塗材で塗りつぶす改修は、仕様書の仕上げ一覧にある方法です。既存の打放し面に塗る場合は、目違いをサンダーで取り、「下地調整塗材 C-2 を、1~2mm 程度全面に塗り付けて、平滑にする」とされています。

塗りつぶせば、見た目はもう打ちっぱなしではなくなります。弾性塗料の種類と向き不向きは、弾性塗料とはで扱っています。

比べる点 撥水・含浸(透明) クリヤー・カラークリヤー 風合いを再現する塗装 仕上塗材で塗りつぶす(弾性塗料を含む)
素地の見え方 ほぼそのまま 保護層ごしに見える 塗装で描き直す 見えなくなる
補修跡 残る 残る 隠れる 隠れる
下地補修 先に済ませる 先に済ませる 補修は先に済ませる(下ごしらえが簡易で済む場合がある・メーカー説明) 補修のあと下地調整塗材で平滑にする
資料での位置づけ 改修仕様書の仕上げ一覧には挙がっていない 改修仕様書の仕上げ一覧には挙がっていない メーカーの工法 改修仕様書の仕上げ一覧にある

出典:菊水化学工業「打放しコンクリート保護システム『キクスイSA工法』のご紹介」/エスケー化研「塗装で蘇る打放しコンクリートの美しさ」/国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

透明な仕上げの弱点は補修跡と汚れ跡が残ること

素地を残す仕上げの弱点は、洗浄や補修をしても跡が目立つことがある点です。エスケー化研は、洗浄や補修をしても「汚れの残存跡や補修跡が目立つケース」があることを、従来の改修の欠点に挙げています。とくに補修箇所が多い壁では、跡の数がそのまま見た目に表れます。補修跡を目立たなくする処理や、風合いを塗装で描き直す工法は、この弱点への対策です。透明な仕上げを選ぶなら、補修箇所を工事前に業者と共有し、跡が残ることを了解してから決めます。

洗浄・補修しても跡が目立つケースがある

同社は、従来は「洗浄・下地補修後にクリヤー塗料、カラークリヤー塗料、撥水剤を塗布するなどの改修が一般的でした」と紹介しています。そのうえで、跡が目立つ点を欠点に挙げています。

ひびを埋めた線や欠けを埋めた部分は、色や質感が周りと合いにくいものです。透明な仕上げでは、その違いがそのまま見えます。

補修跡を目立たなくする処理と再現塗装の考え方

菊水化学工業は、クラックや鉄筋露出を伴う欠損を、まず躯体補修の工法で直すとしています。そのうえで、「表層に発生した補修跡については、特殊アート処理(FG工法)により」風合いを整える構成です。エスケー化研の再現工法は、下地を隠したうえで風合いを描く方法です。

どちらもメーカーによる工法の説明で、仕上がりは現場ごとに変わります。見本や施工例を見せてもらい、自宅の壁でどう見えるかを確かめてから決めます。

工事前に補修箇所の数と場所を共有して決める

透明な仕上げで後悔しやすいのは、補修跡の多さを工事のあとで知る場合です。見積もりの前に、記録した症状の写真と場所を業者に渡し、補修が入る位置と、跡が見える範囲を聞いておきます。

跡の数や見える位置によっては、再現する工法や塗りつぶす改修のほうが納得しやすいこともあります。どこまで許せるかは、住む人の感覚で決めてかまいません。

出典:エスケー化研「塗装で蘇る打放しコンクリートの美しさ」/菊水化学工業「打放しコンクリート保護システム『キクスイSA工法』のご紹介」

打ちっぱなし外壁の塗り替え周期と費用の考え方

打ちっぱなし外壁の撥水剤やクリヤーについて、何年ごとか、1㎡あたりいくらかを示す公的資料は見当たりません。そのため戸建ての年数や単価は書かず、道路橋の資料で分かることだけを示します。道路橋の調査では、表面の撥水は紫外線で数年で弱まる一方、吸水防止層は15年たっても残った事例があります。再塗布の間隔を10年と置いた試算では、塗布しない場合より、使う期間全体の費用(ライフサイクルコスト)が小さいとされています。戸建ての時期と予算は、年数ではなく症状と見積書の内訳で判断します。

年数を示す公的資料は見当たらない

業者やメーカーが示す年数は、製品や条件を前提にした目安です。公的な基準として決まった年数ではないので、提示されたら何を根拠にした年数かを聞いてかまいません。

同じ材料でも、日当たりや雨の当たり方、水がとどまる場所の有無で傷み方は変わります。年数だけで時期を決めず、症状の記録と合わせて考えます。

道路橋の調査では再塗布10年でLCC試算

寒地土木研究所の資料には、「スケーリングの進行抑制に効果的な再塗布のインターバルを10年」とした試算があります。その場合、「部材のライフサイクルコストは塗布した方が小さく、予算の平準化も図れる」とされています。試算のモデルは、橋長73mの道路橋の地覆です。

LCC(ライフサイクルコスト)は、工事の費用を使う期間全体で見た総額のことです。戸建ての外壁に10年という数字をそのまま当てはめることはできません。

年数より症状と見積書の内訳で判断する

時期の目安になるのは、劣化サインの表で見た症状です。錆汁や鉄筋が見える欠けがあれば補修を急ぎ、汚れや撥水の低下だけなら、工事しやすい季節に合わせて計画できます。

予算は、補修(ひび割れの長さ・欠けの箇所数)と仕上げ(面積・工法)を分けた見積書で比べます。足場が要るかどうかで総額が変わるので、その行も確かめます。

出典:寒地土木研究所「コンクリート構造物における表面含浸材の適用手法」/土木研究所「コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル 2022年版」

北海道で打ちっぱなし外壁を補修できる時期と段取り

足場とメッシュシートに囲まれた打ちっぱなしの住宅

国土交通省の改修仕様書は、外壁の改修工事について「気温が5℃以下の場合は、施工を行わない」とし、施工中は降雨や降雪にさらされないようにすると定めています。ひび割れや欠けを埋める作業では、補修材を付ける面が「5℃以下又は 50℃以上になるおそれのある場合は、作業を中止する」とされています。公共建築物向けの条件ですが、北海道では雪と気温の条件から逆算して段取りを組むのが基本です。点検、補修、仕上げの順に進めます。

打ちっぱなし外壁の点検から仕上げまで5つの手順
打ちっぱなし外壁の点検から仕上げまで5つの手順

気温5℃以下では施工しない、降雨・降雪を避ける

仕様書の外壁改修工事の共通事項には、「ただし、やむを得ず、施工する場合は、板覆い、シート掛け等を行うほか、ヒーター等で採暖する」というただし書きもあります。冬に工事が一切できないという意味ではありませんが、条件を整える手間が増えます。

公共建築物向けの仕様書で、戸建てに一律に当てはまるものではありません。北海道で塗装できる月の目安は、北海道で外壁塗装ができる時期で整理しています。

充填作業は被着体5℃以下・50℃以上で中止

被着体とは、補修材を付けるコンクリートの面のことです。気温が5℃を超えていても、朝晩や日陰の面が冷えていれば条件を満たさないことがあります。夏の直射日光で表面が熱くなりすぎる場合も、作業を止める条件に入ります。

ただし書きで、仮囲いやシート覆いで保温・遮熱する措置をとる場合は除くとされています。

塗装については、公共建築工事標準仕様書が「気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。ただし、採暖、換気等を適切に行う場合は、この限りでない」としています。寒地土木研究所の資料も、けい酸塩系の含浸材について「冬期施工では凍結に注意」としています。

点検→補修→仕上げの順で雪の前から逆算する

段取りは、図の5つの手順のとおりです。まず症状を記録し、補修と仕上げを分けた見積もりを取ります。

そのうえで、補修と仕上げの両方が気温の条件を満たす期間に収まるよう、工事の時期を決めます。雪が降り始める直前に工事を入れると、条件がそろわずに翌年へ持ち越すことがあります。補修材が硬化してから仕上げに進む工程も、工期に織り込んでおきます。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/寒地土木研究所「コンクリート構造物における表面含浸材の適用手法」

業者選びと見積書の確かめ方、補修と仕上げを分ける

外壁補修の見積書と仕様書の資料を見比べる手元

打ちっぱなし外壁の見積書は、補修と仕上げを分けて出してもらうのが基本です。補修は工法名と数量、仕上げは工法と面積で比べます。業者ごとに「打放し再生」「保護工法」など呼び名が違うので、仕様書やメーカー資料で使われている工法名に置き換えて聞くと、提案の中身を自分で確かめられます。打ちっぱなしの保護工法には、メーカーが施工ライセンス制度で運営しているものもあります。当サイトは工事の依頼や見積もりの相談を受け付けていないので、確認先は施工業者や建築士、塗料メーカーになります。

補修と仕上げを分けた見積書を依頼する

避けたいのは、ひびや欠けを補修しないまま、撥水剤や塗装だけで済ませることです。改修仕様書も、補修の節と仕上げの節を分けて書いています。

見積書では、ひび割れの長さや欠けの箇所数といった補修の数量と、仕上げの面積が別々の行になっているかを見ます。「一式」だけで中身が分からない場合は、内訳を出してもらいます。見積書全般の見方は、外壁塗装の見積書はどこを見る?にまとめています。

工法名を仕様書・メーカー資料の名前に置き換えて聞く

「打放し再生」「保護工法」と言われたら、4つの仕上げのどれに当たるかを聞き、表の区分に置き換えます。素地が透けて見えるか、下地を隠すか、含浸材の上にクリヤーを重ねるかを確かめる質問です。

そのうえで、次のような点を聞くと提案の中身が分かります。

  • 補修と仕上げの費用は、それぞれいくらか
  • ひび割れはどの工法で、何mぶん直すのか
  • 錆汁や欠けがある場所は、鉄筋の錆の処理まで含むか
  • 含浸材(撥水剤など)はシラン系か、けい酸塩系か
  • 透明な仕上げの場合、補修跡がどこにどう残るか
  • 工事の時期は、気温の条件をどう満たすか

答えが返ってこない項目があれば、ほかの業者の見積もりと比べる材料になります。

施工ライセンス制の工法は施工店が限られる

菊水化学工業は、打ちっぱなしの保護工法を1995年の発売以降、認定協力業者による責任施工体制で運営してきたと説明しています。2023年10月からは、施工ライセンス制度にしたとしています。こうした工法は、どの塗装店でも扱えるわけではありません。

特定の工法を希望するなら、メーカーに施工できる業者を問い合わせる方法もあります。当サイトは特定の工法や業者を勧めておらず、工事の相談も受け付けていません。

出典:菊水化学工業「打放しコンクリート保護システム『キクスイSA工法』のご紹介」/国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

コンクリート打ちっぱなし外壁のよくある質問

打ちっぱなし外壁について、本文で扱った疑問を中心に短く答えます。根拠は本文と同じく、国土交通省の仕様書、土木研究所と寒地土木研究所の資料、メーカーの公開情報です。年数や単価のように出典のある数値が無い問いには、何を見て判断すればよいかを答えます。北海道の凍害のように、建物や地域で答えが変わる問いには、確かめる先も添えています。詳しい理由は、それぞれの見出しの本文で確かめてください。洗浄のように本文で短く触れた点は、ここで補っています。

打ちっぱなし外壁に塗装は必要ですか、しないとどうなりますか

塗装が欠かせないとまでは言えませんが、保護と補修の計画は要ります。道路橋向けの資料では、表面の撥水が数年で消えるとされています。保護が切れると水を吸いやすくなり、ひび割れから入った水は、錆汁や漏水につながります。

撥水剤は何年もちますか

年数を決めた公的な資料は、調べた範囲では見つかりませんでした。道路橋の調査で分かっていることは、2つの見出しで紹介しています。「撥水剤・含浸材はシラン系とけい酸塩系で違う」と「打ちっぱなし外壁の塗り替え周期と費用の考え方」です。戸建ては、水の弾き方の変化や汚れ、ひび割れなどの症状で判断してください。

ひび割れは何mmから補修が必要ですか

仕様書は打放しのひび割れの改修工法を3つ定めていますが、どれを使うかは特記によるとしています。幅と場所の見方は外壁のひび割れはどこまで大丈夫かで扱っています。水が漏れている、錆汁が出ているときは、幅にかかわらず先に相談してください。

白い筋や粉は何ですか、強度に問題はありますか

白華と呼ばれる症状で、水が内部を通った跡として扱います。強度への影響は見た目だけでは判断できないので、場所を記録し、ひび割れや錆汁を伴っていないかを確かめてください。

茶色い錆汁があれば、先に専門家に見てもらいます。

黒ずみや雨だれは洗えば落ちますか

汚れを落とすのは手入れの第一歩です。ただし、メーカーは洗浄や補修をしても汚れの残存跡が目立つケースがあると説明しています。

洗浄でできるのは表面の汚れを落とすところまでで、ひび割れや欠けの補修、吸水を抑える保護にはなりません。洗ったあとに残る症状を記録し、補修や仕上げが要るかを業者に確かめます。

苔やカビの落とし方は外壁のコケ・藻・カビにまとめています。高い所の洗浄は業者に任せてください。

打ちっぱなし風サイディングとはどう見分けますか

建築時の図面や仕様書の外壁材の欄で確かめます。サイディングなら、窯業系サイディングの塗り替えの内容が当てはまります。

北海道の打ちっぱなし外壁は凍害で傷みやすいですか

道路橋などの調査では、凍結融解によるスケーリングなどが確認されています。ただ、戸建ての外壁でどれくらい起きるかを示した資料は、調べた範囲にはありません。水がとどまる場所を減らす工夫と、撥水の再塗布を検討する考え方が参考になります。自宅の壁の判断は、現地を見る業者や建築士に確かめてください。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/寒地土木研究所「コンクリート構造物における表面含浸材の適用手法」/エスケー化研「塗装で蘇る打放しコンクリートの美しさ」

まとめ:補修を先に、仕上げは風合いで選ぶ

打ちっぱなし外壁は、撥水がずっとは続かず、ひび割れや欠けも起きるので、放っておけるものではありません。補修を先に済ませ、仕上げは補修跡をどう扱うかで選びます。時期は症状を見て決め、予算は内訳を分けた見積書で比べます。次にすることは、この4つです。

  • 地上から外壁を一周し、症状を写真とメモで記録する(錆汁や鉄筋が見える欠けは先に専門家へ)
  • 補修と仕上げを分けた見積書を依頼する
  • 工事の時期を、気温5℃と雪の時期から逆算する
  • 補修を済ませてから仕上げに進む

記事へのご指摘や監修のご相談はお問い合わせから承ります。工事のご依頼や見積もりは受け付けておりません。

本記事は国土交通省の仕様書、土木研究所・寒地土木研究所の資料、塗料メーカーの公開情報をもとに一般的な考え方を整理したもので、個別の外壁の補修方法や工事の要否、費用を判断するものではありません。公共建築工事標準仕様書・公共建築改修工事標準仕様書は公共建築物を対象としたもので、戸建住宅にそのまま適用されるものではありません。土木研究所・寒地土木研究所の資料は道路橋など土木構造物を対象としたものです。工法や材料の適合と施工方法は、施工業者・建築士・塗料メーカーにご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました