屋根の雪止めは北海道でも必要?屋根の形で決まる判断

劣化とトラブル

最終更新:2026年9月6日公開:2026年8月25日編集方針と検証の手順

屋根工事の見積書に「雪止め」の行がある。去年の落雪で樋やカーポートを傷めた。隣の敷地に雪が落ちている。

雪止めを調べ始めるきっかけは、だいたいこの3つのどれかです。ところが検索して出てくる解説の多くは、雪があまり積もらない地域の家を前提に書かれています。

北海道では前提が変わります。要るか要らないかは、屋根が雪を落とす形か、載せる形かでほぼ決まるからです。

ここでは、要否の判断、防げることと防げないこと、種類と後付けの可否、デメリット、法律と責任、費用と頼み先までを順に整理します。雪下ろしそのものは屋根の雪処理で扱っています。当サイトは記事を書くだけで工事も見積もりも受けないため、金額表は載せません。公的資料をもとに整理しています。

  1. 雪止めが要るかは屋根の形と落ち先で決まる
    1. 屋根の形と、雪止めの考え方
    2. 落ち先に何があるかを先に見る
  2. 雪止めで防げること、防げないこと
    1. 防げること
    2. 防げないこと
  3. 雪止めの種類と、後付けできる屋根材
    1. 種類と向く屋根材
    2. 付ける位置は軒先だけとは限らない
    3. 穴を開ける後付けは慎重に
  4. 無落雪屋根では雪止めの論点が変わる
    1. 載せた雪はどこへ行くのか
    2. 後から足すと何が変わるか
  5. 雪止めのデメリットは3つに整理できる
    1. 屋根に雪が残ることで起きること
    2. 金具まわりの錆と固定部
    3. 雪下ろしがしにくくなる
    4. 付けたときに変わること
    5. 付ける前に確かめる5点
  6. 雪止めは義務なのか、落雪の責任はどうなるのか
    1. 民法第218条は雨水についての条文
    2. 法令に「雪止め」が出てくる場所
    3. 落雪で被害が出たときの枠組み
  7. 費用は本数と足場と同時工事で変わる
    1. 雪止めの見積書で見る3点
    2. 誰に頼むか
  8. 付けない選択と、代わりの手だて
    1. 落ち先を空ける、動線を変える
    2. 堆雪スペースを確保する
  9. 落雪で車や物を壊したときに考えること
    1. まず記録を残す
    2. 備えの確かめ方
  10. 雪止めを考える面は、樋やつららも一緒に見る
    1. 落雪で壊れる樋
    2. つららと雪庇
  11. 新築や葺き替えのときに決めておくこと
    1. 屋根の形と落ち先を先に決める
    2. 先に付けるか、後から付けるか
  12. 点検の時期と、交換は年数ではなく症状で決める
    1. 金具を地上から見る
    2. 雪止め工事が動かせる時期
  13. よくある質問
    1. 雪止め金具の寿命はどれくらいですか
    2. 太陽光パネル(ソーラーパネル)の上の雪はどうなりますか
    3. 賃貸や借家では誰が付けるのですか
    4. 途中まで付いているのですが、足すべきですか
    5. 雪止めがないとどうなりますか
  14. まとめ
    1. 次にやること

雪止めが要るかは屋根の形と落ち先で決まる

軒下に通路とカーポートがある家

雪を落とす前提の勾配屋根なら、落ち先に何があるかで要否が決まります。人が通る、隣地に近い、下に壊れるものがあるなら検討する価値があります。

一方、雪を載せたまま融かす無落雪屋根(中央排水のM形)では、論点そのものが変わります。屋根の上に雪をとどめる設計なので、雪止めではなく堆雪スペースと排水の話になります。

つまり最初にやることは、金具の種類を調べることではありません。自分の屋根がどちらの形かと、雪がどこへ落ちているかを確かめることです。

屋根の形と、雪止めの考え方

屋根の形 雪の扱い 雪止めの考え方 先に見る場所
勾配屋根(三角屋根など) 滑らせて落とす 落ち先しだいで検討する 軒下に何があるか
無落雪屋根(中央排水のM形) 載せたまま融かす 基本的に別の論点になる 堆雪スペースと排水
勾配屋根のうち片流れ 落ちる向きが1方向に集まる 落ちる側の1面に絞って検討する 落ちる側の隣地・通路

落ち先に何があるかを先に見る

見るのは軒下です。人が通る動線、隣地との境界、カーポート、室外機、植栽、そして雨樋。このどれかに雪がかかっているなら、雪止めの検討に入ります。

逆に、落ち先が自分の敷地の空きスペースだけなら、急いで付ける理由はありません。落雪は迷惑や被害になったときに問題化するもので、雪が落ちること自体が問題なのではありません。

次の行動:自分の屋根が落とす形か載せる形かを、外から見て決める。

雪止めで防げること、防げないこと

雪止めの上に雪が残る屋根

雪止めは、屋根の面に取り付ける部材です。防ぐのは、屋根に積もった雪が一度にまとまって滑り落ちること。効果として期待できるのは、落ちる量とタイミングを分散させ、下にいる人や物への衝撃を減らすこと。そう考えると、期待の置きどころを間違えません。

雪止めに期待できること、できないこと
雪止めに期待できること、できないこと

逆に、雪止めを付けても雪が消えるわけではありません。屋根の上に雪は残り続けます。雪下ろしが要らなくなるわけでもなく、むしろ残った雪の扱いを考えることになります。

期待と実際がずれると、「付けたのに意味がなかった」という感想になりがちです。とくに根雪になる地域では、屋根に雪が載っている期間そのものが長くなります。先に線を引いておきます。

防げること

  • 屋根から一度に大量の雪が落ちること(量とタイミングが分かれる
  • 落雪による雨樋やカーポート、植栽の破損の可能性を下げる
  • 隣地や通路への落雪でトラブルになる可能性を下げる

防げないこと

  • 屋根に雪が積もること自体(雪は残る)
  • つららや雪庇(せっぴ)ができること
  • 雪下ろしが必要になる状況(むしろ雪が残るぶん、判断は増える)
  • 大量に積もったときの荷重(後述のとおり、荷重は屋根の設計側の話)

落雪は、当たった相手や状況によっては大きな事故になります。だからこそ「落ちないようにする」ではなく、落ちる量と場所を管理するという考え方で見ておくと、判断を誤りにくくなります。

雪止めの種類と、後付けできる屋根材

屋根に並ぶ雪止め金具

後付けできるかどうかは、屋根材の形で決まります。金属屋根のハゼ(折り曲げた継ぎ目)に金具をつかませる形なら、屋根に穴を開けずに取り付けられることがあります。

一方、板の上から留める形の屋根材では、固定のためにビスを打つことになります。この穴が漏りの入口になりうるため、防水処理と位置の判断が要ります。道内の住宅で使われてきたトタン屋根も、葺き方でハゼをつかめる場合とビス留めになる場合に分かれます。

種類は大きく4つ。金具(アングル受けを含む)、アングル(横棒)、ネット、そして瓦そのものが雪止めになっている雪止め瓦です。どれが向くかは屋根材で決まり、選べる範囲は思ったより狭いのが実情です。

種類と向く屋根材

種類 向く屋根材 後付け
雪止め金具 三角や羽根の形の小さな部材を点で並べる 金属屋根(トタン・ガルバリウム)・スレート 金属屋根はハゼをつかむ形なら穴なしも可/スレートはビス留め
アングル 金具に横棒を通して線で受ける 金属屋根 金具の設置が前提
ネット 面で受ける 金属屋根・瓦屋根(受け金具の可否による) 受け金具が要る
雪止め瓦 瓦自体に突起がある 瓦屋根 瓦の差し替えで可

同じ種類でも使える屋根材は製品ごとに違います。最後はメーカーの仕様で確かめてください。

金属屋根の葺き方(縦に細い凸が等間隔で並ぶ瓦棒、継ぎ目が細く立ち上がる立平、横のラインが出る横葺きなど)で使える金具が変わります。屋根材の見分けは屋根は塗れる材質か、トタン屋根の傷み方はトタン屋根の傷み方で扱いました。

付ける位置は軒先だけとは限らない

雪止めは軒先に1列というイメージがありますが、屋根の面積や勾配によっては上下に何列か置く考え方もあります。1列だけで受け止めようとすると、その1列に力が集中するためです。

どこに何列置くかは、屋根の大きさ、勾配、屋根材、そして守りたい場所で変わります。ここは製品の仕様と現地を見た判断になるので、業者に「なぜこの位置と本数か」を聞いてください。

穴を開ける後付けは慎重に

錆が出ている屋根、めっき(表面の金属被膜)が薄くなっている屋根にビスを打つと、その穴から傷みが進むことがあります。屋根の状態がよくないなら、雪止めだけを先に付けるより、屋根そのものの更新と一緒に考えるほうが、無駄な穴を増やさずに済みます。

屋根材の更新は屋根の葺き替え、外壁と同時に足場を組む考え方は屋根と外壁の同時施工が近い話です。

次の行動:屋根材と葺き方を写真に撮っておく(登らない)。

無落雪屋根では雪止めの論点が変わる

中央排水のM形屋根

無落雪屋根のうち中央排水のM形では、雪止めを足す意味は基本的にありません。雪を落とさずに屋根へ載せたまま融かす設計だからです。北方建築総合研究所ほかの資料で、無落雪屋根のうちもっとも普及した形として挙げられているのは屋根の中央部に横樋と縦樋を持つM形屋根です。

無落雪屋根には雪止めで雪を留める勾配屋根方式もあります(無落雪屋根の3方式。M形はスノーダクト方式の屋根の形です)。

そのかわり別の要点があります。雪を置く場所の確保と、融けた水を抜く排水です。屋根の上でも敷地の上でも、雪の置き場が先に決まっていないと、冬のあいだの行き先がなくなります。

載せた雪はどこへ行くのか

屋根の中央に集まった雪は、融けて縦樋から抜けます。ここが詰まると水の逃げ場がなくなります。M形屋根の排水経路と詰まりはM形屋根の排水経路、雪解けによる漏水はすが漏りの起き方と対処にまとめています。

つまりM形で気にするのは、雪を止める部材ではなく排水の経路が生きているかです。

後から足すと何が変わるか

中央排水のM形に雪止めを足しても、雪の残り方が変わるだけで、排水が良くなるわけではありません。部材が排水の妨げになる位置に入ると、かえって水の抜けが悪くなることがあります。

出典:北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

雪止めのデメリットは3つに整理できる

軒先にできた大きなつらら

屋根に雪が残ること、金具まわりの錆、雪下ろしのしにくさ。「デメリットはあるのか」という問いには、この3つで答えられます。

雪止めを付けたときに出てくる3つのこと
雪止めを付けたときに出てくる3つのこと

どれも「雪止めが悪い」という話ではありません。雪を屋根にとどめる部材である以上、とどめたことの結果として出てくるものです。

雪が長く残る地域ほど、この3つは効いてきます。付けるかどうかは、防ぎたい落雪の被害とこの3つを見比べて決めます。屋根の形と落ち先を見たうえで、最後にここを比べる順番になります。

屋根に雪が残ることで起きること

雪が屋根の上に長くとどまると、屋根面の温度差で融けた水が軒先で凍る条件がそろいやすくなります。すが漏り(雪解け水が屋根の内側に入って天井が濡れる現象)の一因になりうるもので、雪止めだけが原因になるわけではありません。

順序で言うと、雪止めの列の上側に雪が残る、その部分で融けた水が軒先の冷えた場所まで流れて凍る、凍った氷が次の水をせき止める、という流れです。せき止められた水が屋根材の重なりから入ると、天井の濡れとして出ます。仕組みはすが漏りが起きる仕組みを先に読むと早いです。

つららが同じ場所にできるようになった、という変化にも表れます。雪止めを付けた翌シーズンから軒先の様子が変わったなら、屋根の上の雪の残り方が変わったサインです。変化が続くようなら、地上から撮った写真を業者へ送って見てもらってください。

金具まわりの錆と固定部

金具は屋根材と違う金属であることがあり、接する部分から錆が出ることがあります。ビスで留めた部分は、防水処理が落ちてくると水の入口になります。

雪下ろしがしにくくなる

この記事は屋根に上がる作業を勧めるものではありません。ただし業者に頼む場合でも、雪止めがある屋根は手順と時間が変わります。金具やアングルをよけながらの作業になるためです。

付けたときに変わること

冬に見る場所 付けない場合 付けた場合
軒下 落ちた雪の山ができる 落ちる量が分かれるぶん、山は小さくなる(落ちなくなるわけではない)
軒先 つららは屋根の形しだい 同じ位置に付きやすくなる
屋根の上 雪が減るのが早い 雪が残る期間が延びる
雪下ろし(業者に頼む場合) 通常の手順 金具をよける手順と時間が増える

付ける前に確かめる5点

  • 屋根材と葺き方に合う固定方法があるか(穴を開けるか、つかむか)
  • 屋根の現状(錆・めっきの傷み・ずれ)が後付けに耐えるか
  • 付けたあとの雪下ろしをどうするか
  • 落ち先のどこを守りたいのか(全周に付ける必要があるか)
  • 他の屋根工事や塗装と同時にできる

雪止めは義務なのか、落雪の責任はどうなるのか

隣地との境界ぎわに落ちた雪

一般の住宅に雪止めの設置を全国一律で義務づける法令は見当たりません。よく引き合いに出される民法第218条は、条文を読むと雨水についての規定です。

ただし、義務が無いことと、落ちた雪の責任が無いことは別の話です。被害が出たときは、民法第717条などの枠組みで責任が問われることがあります。

法律の話は結論だけ書くと誤解を招きます。ここでは条文をそのまま置き、どこまでが条文の帰結で、どこからが解釈なのかを分けて書きます。

民法第218条は雨水についての条文

見出しは「雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止」で、条文は次のとおりです。

土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。

読んで分かるとおり、対象は雨水です。「雪を隣地に落としてはいけない」と要約している解説を見かけますが、それは条文の帰結ではなく類推にあたります。趣旨として「隣地へ直接そそぐ構造にしない」という考え方は参考になりますが、雪の落下をこの条文が直接禁じているわけではありません。

法令に「雪止め」が出てくる場所

建築基準法施行令第86条は、積雪荷重の計算方法を定めています。条文では「積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及びその地方における垂直積雪量を乗じて計算しなければならない」とされています。

単位荷重は、積雪量1センチメートルごとに1平方メートルあたり20ニュートン以上。ただし特定行政庁(建築確認を扱う自治体の部署)が多雪区域を指定して、異なる定めをすることができるとも書かれています。

同じ条の第4項には、雪止めが名指しで出てきます。屋根の積雪荷重は「屋根に雪止めがある場合を除き、その勾配が六十度以下の場合においては」勾配に応じた数値(屋根形状係数)にできる、という規定です。

条文には理由まで書かれていませんが、この屋根形状係数は、勾配が急なほど雪が残りにくいことを見込んだ規定と読めます。

読み替えると、雪止めがある屋根は、勾配による荷重の低減を使わないという扱いになります。雪止めを付けるとは、屋根に雪が残る前提で構造を考えるということでもあります。

いずれも屋根の構造の話であって、設置義務の規定ではありません。ただし積雪地では、自治体の条例や規則で落雪への措置を求めている場合があります。自分の地域の扱いは、建築行政の窓口で確認してください。

落雪で被害が出たときの枠組み

民法第717条は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵(欠陥)があって他人に損害が生じた場合の規定です。まず占有者(実際に住んで管理している人)が賠償の責任を負います。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が責任を負うという構成になっています。

屋根に自然に積もった雪をどう位置づけるかは事案によって変わり、別の条文を根拠に主張されることもあります。責任の有無は個別の事情で判断されるため、この記事で断定はしません。

屋根雪そのものの落雪と住まい手の責任は屋根の雪処理、工事中の事故と近隣への損害は工事中の事故の記事で扱っています。

出典:e-Gov法令検索「民法」e-Gov法令検索「建築基準法施行令」

次の行動:落ちている先が隣地なら、被害が出る前に相手方と状況を確かめる。

費用は本数と足場と同時工事で変わる

雪止め工事の見積書を確かめる

金額を動かすのは3つです。取り付ける範囲(本数や長さ)高さ(足場が要るか)、他の工事と同時かどうか。同じ「雪止め設置」でも、1面の軒先だけと、建物1周では別の工事になります。

当サイトは工事を受けていないため、自前の金額表を持っていません。そのかわり、見積書のどこを見れば2社を比べられるかは書けます。相場を知るより、同じ条件で2社に出してもらうほうが実際の判断には効きます。

総額を下げる正当な方法は2つ。必要な面に絞ることと、足場を屋根工事や塗装と共有することです。

雪止めの見積書で見る3点

  • 数量の単位:金具は「個」、アングルやネットは「m」。単位が違うと比較になりません
  • 固定方法:ハゼをつかむのか、ビス留めか。ビスなら防水処理がどう書かれているか
  • 足場:計上されているか、他の工事と共有できるか

見積書全体の読み方は見積書の確認項目、足場の中身は足場代の内訳が参考になります。

誰に頼むか

雪止めは屋根の部材なので、板金・屋根工事の業者が主な頼み先になります。外壁塗装の業者でも、足場を伴う工事に合わせて手配できることがあります。屋根材に合う金具を選べるかどうかが分かれ目なので、扱った実績のある屋根材かを聞いてみてください。

安さだけで選ぶと、屋根材に合わない固定方法で付けられることがあります。業者選びの一般的な考え方は業者の選び方にまとめています。

次の行動:同じ条件(本数・固定方法・足場の有無)で2社に見積もりを頼む。

付けない選択と、代わりの手だて

雪止めは唯一の答えではありません。落ち先を空ける、堆雪スペースを取る、動線を変えるという手だてがあり、費用をかけずにできるものもあります。

考え方の順番としては、まず「落ちて困る場所があるか」を確かめ、次に「その場所を動かせるか」を見ます。動かせるなら、屋根に手を入れない選択が残ります。

雪の落ち先の設計は、雪止めを付けたあとでも必要になります。付ける・付けないにかかわらず、一度は考えておく価値があります。

落ち先を空ける、動線を変える

物置や自転車の置き場を軒下から動かす。冬だけ通る道を変える。カーポートの位置を見直す。屋根に手を入れずにできることから順に検討します。

外壁側で雪をどう受けるかは雪から外壁を守る方法にあります。

堆雪スペースを確保する

敷地に雪を置く場所を決めておくと、除雪の行き先が定まります。北方建築総合研究所ほかの資料は、屋根の雪処理を計画するうえで堆雪スペースの確保に触れています。屋根の上の堆雪は先に触れたとおりで、ここでは敷地側の置き場の話です。

出典:北方建築総合研究所ほか「戸建て住宅の屋根の雪処理計画」

落雪で車や物を壊したときに考えること

落雪の被害は、誰の物が壊れたか、誰がけがをしたかで話の進み方が変わります。自分の車やカーポートなのか、隣家の物なのか、通りかかった人なのか。この3つは、相談する相手も、使える備えも別です。

先に押さえておきたいのは、その場で相手や業者と話をまとめないことです。被害の記録を残し、加入している保険の内容を確かめてから動くほうが、あとで困りません。

雪が積もる前に軒下と落ちる位置を写真に撮っておくと、あとの説明が楽になります。

まず記録を残す

いつ、どこに、どれくらいの雪が落ちたのか。壊れた物の写真、落雪の跡、屋根の状態。日付が分かる形で残すことが最初の手当てです。

片づける前に撮ってください。

備えの確かめ方

建物や家財の被害は火災保険、車の被害は自動車保険、他人の物や身体への賠償は個人賠償責任の特約など、どこが受け持つかは契約によって変わります

共通しているのは、判断するのは保険会社であって工事業者ではないという点です。「保険で直せます」と持ちかける相手にその場で契約しないという原則は、屋根まわりの工事でも同じです。火災保険の考え方は外壁塗装に火災保険は使えるか、断り方は訪問販売の断り方が詳しいです。

次の行動:加入している火災保険と個人賠償責任の特約の範囲を、証券で確かめておく。

雪止めを考える面は、樋やつららも一緒に見る

落雪が起きる面には、雨樋の破損、つらら、雪庇が集まりやすいという共通点があります。日射の当たり方と風向きで雪の残り方が変わるため、同じ面に症状が出るからです。

雪止めを検討するときに、その面の樋や軒先も一緒に見ておくと、工事を1回にまとめられることがあります。逆に、樋だけを直しても落雪の力が変わらなければ、また同じ場所が壊れます。

見るのは、屋根の面ごとです。南面と北面で雪の残り方が違う家では、傷み方も片側に偏ります。

落雪で壊れる樋

軒樋は落雪の通り道に置かれる部材です。毎年同じ面で樋が壊れるなら、雪の当たり方から見直したほうが早く収まります。雨樋の修理に壊れ方と直し方を置いています。

つららと雪庇

つららや雪庇のできる場所、落ちたときの危険については屋根の雪処理で扱っています。屋根に上がる作業の危険もそちらにまとめています。

新築や葺き替えのときに決めておくこと

雪止めは、後から付けるより、屋根を作るときに決めておくほうが選択肢が広い部材です。屋根材と一緒に納まりを考えられるため、穴を開けずに済む形が選べることがあります。

決めるのは金具の種類だけではありません。屋根の向き、雪の落ち先、堆雪スペース、樋の位置。雪をどう処理するかを敷地全体で考えるのが先で、雪止めはその一部です。

葺き替えや屋根のカバー工法を考えているなら、同じ機会に整理しておくと二度手間になりません。

屋根の形と落ち先を先に決める

どちらへ落とすか、落とした雪をどこへ置くか。玄関、駐車場、境界、給湯機やエアコンの室外機をよけて計画できると、冬のたびに困る場所が減ります。

屋根材の更新そのものは屋根の葺き替えにまとめています。

先に付けるか、後から付けるか

屋根を葺くときに一緒に取り付ける形(先付け)は、屋根材との納まりが決まっているぶん、後付けより選択肢が広く残ります。後付けは、既存の屋根材に合う金具があるかどうかが前提になります。

どちらにしても、どの面に何列付けるのかは現地の判断です。図面や写真を見せながら、理由を説明してもらってください。

点検の時期と、交換は年数ではなく症状で決める

地上から屋根の金具を見上げる

見るのは雪が積もる前と融けたあとの2回で、替えどきは年数ではなく症状で決めます。積もる前に金具の緩みと錆を見て、融けたあとに曲がりやずれが出ていないかを確かめます。

症状で判断するなら、見るのは金具の曲がり、めっきの傷みや錆、固定部の緩みです。屋根の上の部材なので、いずれも地上から、または屋根に上がらずに見える範囲で確認します。

道内では工事ができる期間が限られます。春に見つけた不具合を先送りすると、次の冬に持ち越しになります。点検そのものは、外を一周するだけで足ります。

金具を地上から見る

金具が並んで見えるか、片側だけ下がっていないか、屋根材にずれや浮きが出ていないか。登らずに見える範囲で足ります。気になるところは写真に撮って業者に見せます。

雪が融けたあとは軒先の下も見てください。落ちた金具や屋根材のかけらがあれば、上で何かが起きています。

雪止め工事が動かせる時期

当サイトでは、気象庁の平年値をもとに市町村ごとの塗装カレンダーを作っています。月平均の日最低気温が5℃を上回る月を数えると、道内で4〜6か月の幅がありました。

雪止めの工事だけならこの幅より広く動けますが、足場を塗装と共有するなら塗れる時期に合わせることになります。

次の行動:次の点検を「雪が積もる前」に予定として書き込む。

よくある質問

雪止めの疑問は、部材そのものより「誰が決めるか」「どこまで期待できるか」に集まります。ここでは、判断に迷いやすい5つを質問の形で確かめます。

いずれも、製品の仕様やその家の条件で変わる部分があります。断定できないところは、確認する相手を添えておきます。屋根の上のことは現地を見ないと決められないものが多いため、最後は見てもらうのが早道です。屋根の形と屋根材が分かる写真があれば、電話でもある程度は話が進みます。

雪止め金具の寿命はどれくらいですか

一律の年数の目安は見当たりません。寿命は年数より状態で決まり、金具の曲がり、めっきの傷みや錆、固定部の緩みが見えたときが交換の合図です。屋根材の更新に合わせて一緒に替える家もあります。

太陽光パネル(ソーラーパネル)の上の雪はどうなりますか

パネルの表面は屋根材より滑りやすく、雪が一気に落ちることがあります。パネルの上や周囲に雪止めを付けられるかは製品の仕様で決まるため、パネルのメーカーと施工業者の両方に確認してください。

賃貸や借家では誰が付けるのですか

屋根は建物の所有者が管理する部分にあたるため、まず貸主か管理会社へ相談します。修繕の分担や費用の負担は契約書に書かれていることがあります。入居者が独断で工事を手配すると、費用の扱いでもめる原因になります。雪下ろしの分担は屋根の雪処理側にあります。

途中まで付いているのですが、足すべきですか

一部の面にだけ付いている家はよくあります。足すかどうかは、付いていない面の落ち先に何があるかで決めます。何も無いなら、そのままでも困りません。

雪止めがないとどうなりますか

「うちは雪止めはいらない」と判断してよいのは、落ち先に人も物も無い場合です。困るのは、落ちた先に人の通り道や隣地、壊れるものがある場合で、まず落ち先を見るというこの記事の順番はそのためのものです。

まとめ

雪止めが要るかどうかは、屋根が雪を落とす形か、載せる形かでほぼ決まります。落とす屋根なら、次に見るのは落ち先です。人の通り道、隣地、カーポート、樋。ここに雪がかかっているなら検討する意味があります。

期待の置きどころも大事です。雪止めが分散させるのは落ちるタイミングと量で、雪が消えるわけではありません。屋根に残る雪は、つららや雪下ろしの判断という形で戻ってきます。

法律の面では、全国一律で設置を義務づける規定は見当たりません。民法第218条は雨水の規定です。ただし落雪で被害が出れば、民法第717条などの枠組みで責任が問われることがあります。

次にやること

  1. 自分の屋根が「落とす形」か「載せる形」かを外から見て決める
  2. 軒下の落ち先(動線・隣地・カーポート・樋)を確かめる
  3. 屋根材と葺き方を写真に撮る(登らない)
  4. 屋根工事や塗装の予定があるなら、同じ足場でできるか相談する

本文に金額表を載せていないのは、当サイトが自前の施工実績を持たないためです。実際の金額は屋根の形と工事内容で変わります。落雪の責任は個別の事情で判断されるため、心配があるときは専門家にご相談ください。当サイトは工事も見積もりも受けておらず、お問い合わせは記事へのご指摘や監修のご相談の窓口です。

この記事は編集部が公的資料をもとにまとめたものです。当サイトは施工を請け負っていません。

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